4.求められる人材 | 社長の一言/CEO
今回は、過去に私が新卒者向けの会社説明会でお話しした、弊社が求める人材像について4つの視点からまとめています。 (1)主体的であることAIR WAYのバリューでも定めていますが、弊社は"主体的で...
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エアーが力を入れていることについてお話する前に、経営者の視点で、少しソフトウェア開発事業について感じたことをお話しします。
ソフトウェア開発会社を経営することの難しさ
SESから受託開発への転換
受託開発からパッケージビジネスへ、立ちはだかる壁
今私たちが力を入れていること
3本柱
セキュリティソリューション
データ利活用ソリューション
AIソリューション
一般的に、ソフトウェア開発会社は、以下の3つのいずれかの事業に該当します。
1.SES事業
技術者を派遣する事業です。小さいリスクで起業できますが、自社にノウハウが溜まらず、社員の会社への愛着を養成することが難しいです。
2.受託開発事業(SIも含めます)
SES事業と比べると、成功したときのリターンは大きいですが、失敗するリスクも大きくなります。
3.パッケージビジネス事業
プロダクトアウトまたはマーケットインの発想で、自社で開発または、他社から仕入れて付加価値を含め提供します。
かつて新興企業やスタートアップでは、自社のエンジニアだけで大型プロジェクトや複数案件を賄うのが難しい状況でした。そのため、SES事業を始まりとして、エンジニアの不足を補いながら事業を拡大してきました。
SESから受託開発へ事業を転換していくには、経営者の覚悟とリスクテイクが求められます。なぜなら、
1に慣れてしまうと、挑戦することがリスクにつながるので、2へ転換し難くなってきます。
また、2から3へ事業を転換することも大変難しいです。
受託開発事業で順調に成長していくと、その会社としての"強み"が見えてきます。たとえば、「顧客のセキュリティ案件を多く受注している」場合、自然とセキュリティについてのノウハウが溜まります。多くの会社からの要望も、経験値の中からリスクを抑えて受注、開発、展開していくことができるようになります。
こうして「特有の開発スキルを持つ集団」になると、受託開発で個別の顧客から要望されたことだけを考えるのではなく、最大公約数的な多くの企業から求められる機能を考えます。集まったノウハウをもとにパッケージを開発したら、もっと多くの企業に売れるのではないかと思い、パッケージビジネスに進出したくなります。
しかし、ここも大きな越えなければならない壁があります。
受託開発の場合は、顧客からのお金でシステムを開発できますが、パッケージビジネスは先行投資が必要です。市場調査から始まって、市場から支持される仕様を決めて、マーケティングと企画、開発製造、リリースまでの数か月、数年。また人工に換算すれば、数十人月といった小規模でも数千万円から数億円が必要となります。必要な人材でいえば、受託開発のときには必要が無かったマーケティング部門、パッケージを販売する営業部門が必要となり、さらなるリスクが広がります。
その投資費用を企業が捻出できる余剰資金はあるのか。
多額の返済を覚悟して数年間の回収計画を立てて、金融機関から借り入れるのか。
とても難しい問題です。
さて、前置きが長くなりましたが、タイトルにある通り、「今私たちが力を入れていること」についてお話しします。上記のリスクをテイクしながらも、弊社はパッケージビジネス(自社製品の開発・販売)、受託開発、さらに海外仕入製品の販売と3つの事業を展開しています。
テクノロジーの変遷が激しい中、一つの事業に集中しすぎた場合、その事業の調子が悪いと会社全体に影響が出てしまいます。どれかが凹んでも、どれかがカバーする意味でも、3本柱のリスク分散は、弊社が生き残るための必要な戦略です。
ソリューションカットでは、 3つのフォーカスする事業ドメインがあります。
前回の記事でもお話ししましたが、「利便性と安全性はトレードオフ」のため、セキュリティビジネスはなくなることはありません。弊社は企業にとっては欠かせない、"メール"に対する情報漏洩対策のソリューションを展開しております。
日々のメールを監査することで、世の中から企業の不正を未然に防ごう。
というコンセプトが理解を広め、AI機能を盛り込んだ「WISE Audit」というソリューションは、調査会社調べでNo.1のシェアを獲得しています。導入企業をリストアップすると、日本を代表する大企業が居並びます。ご興味のある方は、弊社HPまでご来訪ください。
セキュリティとは広範囲にわたりますし、扱うカテゴリーによっては、レッドオーシャンのような競争が激しい市場もあります。私たちは、事業セグメントを細かく定義して、”ニッチでトップ”を展開できるようなマーケットを定めています。差別化できるように、今の画一的なサービス提供時代には珍しいかもしれませんが、自社製の強みを活かした製品のカスタマイズを積極的に展開しています。
近年、インターネットを取り巻く環境も大きく変化して、集められるデータ量が爆増しています。
ある著名な方が語っていましたが、
・人類史上直近2年のデータが、
過去から今までのデータ量の9割を占める。
(もしかしたら、早晩2年ではなく1年になるかも)
・現代人が1日に受け取る情報量は、江戸時代の一年分、
あるいは平安時代の一生分に相当する。
”データは利益の源泉”のため、このデータを如何に有効に活用できるかが、企業が成長できるか否かに影響する時代です。
そのため、私たちは、”DX(デジタルトランスフォーメーション)”ソリューションも展開しています。このジャンルは海外製品の進歩がめざましく、海外で多く活用されているソリューションに弊社が付加価値をつけて日本市場に展開しています。
私たちは、自分たちで開発するだけでなく、よりいいモノを世界から探して、日本市場に合うようにローカライズ・カルチャライズして日本の顧客に提供しています。毎年、次に扱うソリューションを海外で探し求めています。 海外の優れた製品を扱うことは、社員が触発され、世の中の動向に敏感になり、嗅覚鋭く次のイノベーションを起こすことに繋がると考えています。(若手社員には相当な刺激になっていると思います。)
3つ目は、なんといってもAIですね。自社で独自に開発するAIエンジンもあれば、海外の優れたAIを活用した製品化など、いろいろな可能性を排除せず、日々新しい”何か”を生み出す努力をしています。
近年では、マシンラーニングを活用し企業の不正を感知するソリューションの開発、ディープラーニングを活用し”心の揺れ”を感知するソリューションを研究したりしています。また、データ利活用の領域でも、AIを活用する流れは止まりません。AIの学習に必要な、信頼できるデータを集めてきて分析するソリューションも扱っています。
また、昨年秋に Anthropic社が発表した「MCP」という生成AIモデルで、ツールやサービスと連携するための標準規格が発表され、OpenAI、Google、Microsoft社とこぞって追従の動きが出ています。「MCP」の登場によって、生成AIやAIエージェントの便利につながることへのセキュリティの課題も急浮上しており、来るべき時代に備えたMCPのセキュリティ対策ソリューションを、海外メーカーとの協業により提供しています。
ChatGPTに代表されるような生成AIが登場して以来、様々な企業がAIを活用し、業務効率向上への取り組みを飛躍的に進行させています。従来では人が時間をかけて、検索して、ようやく得ていた情報を、”プロンプト”として命令するだけで、容易に答えを得られる時代になってきました。
プログラミングでさえ、従来のコーディングできるエンジニアから、プロンプトに正しい指示や質問を与え最適化できるエンジニアへと、求められるスキルが変わってきていると感じます。弊社では、全社員に生成AI機能が使える環境を提供していますが、AIに慣れよ使えよで新しいアイデアを創出してほしいと願っています。イノベーションが常態化する企業に変革していきたい、と思っています。
この記事を読んでくださった皆さんには、大きな会社の歯車ではなく、小さな会社の原動力となって、ぜひ、自己実現に向かって進んでいただければと思います。
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(予告編) AIRと私
1.AIR誕生
2.テクノロジーの変遷
3.今私たちが力を入れてること
4.求められる人材
5.営業のカタチ
6.人生は挑戦と冒険