2026年、「実装の年」の途中で考えていること。
Wantedlyに、こうして文章を載せるようになって、しばらく経つ。
本来は採用のための場所なんだろうけれど、最近、僕自身の使い方が少し変わってきたような気がしている。
もちろん、いい人と出会えたら嬉しい。
ただ、実際にはインターンの仲介をされている方から連絡をいただいたり、Web制作を請け負うフリーランスの方からアプローチがあったりする。プロフィールを見ても、どんなことをされているのか、よくわからないこともある。
まあ、それぞれ仕事として活動されているわけだから、別に悪いことではない。
でも、僕が想像していた「出会い」とは、ちょっと違うんだよなあ。
そんなこともあって、今はWantedlyを、直接的な採用活動の場というより、僕たちの会社が何を考え、何をしようとしているのか、その途中経過を残しておく場所として捉えるようになった。
何年か経って読み返したときに、
「ああ、あの頃はこんなことを考えていたんだな」
と思えるものが残っていたら、それだけでも意味がある。
そして、そのモノローグに付き合ってくれる人がいたら、なお嬉しい。
今年は「実装の年」だった。
僕たち株式会社さくら福祉会には、30年先を見据えた「Happy Factory構想」がある。
地域になくてはならない会社になっていくこと。
障害のある人や、さまざまな理由で働くことに困難を抱えている人たちにも、多様な仕事や役割が生まれること。
公的な制度に過度に依存せず、自分たちでも価値を生み出し、収益を得て、それを次の仕事や地域へと還元していくこと。
そして、そこで働く人自身にとっても、働きがいや成長を感じられる会社であること。
「半径5kmを幸せにする」という理念を、30年かけて具体的な事業と組織の姿にしていこうという構想だ。
もちろん、30年後の完成予想図がきっちり出来上がっているわけではない。
というより、そんなものが最初から全部わかっていたら、ずいぶん楽だろうなと思う。
でも、目指している方向はある。
だからこそ、今年、2026年は「実装の年」と位置づけて、これまで考えてきたことを、できるところから実際に動かしてみようとしてきた。
そして、結構いろんなことが動き始めた。
やってみたら、できることがずいぶん増えた。
現在、僕たちの会社には三つの事業部門がある。
まず、ソーシャルアグリ事業部。
中心となるジョブテラス山の畑では、障害福祉サービスを提供しながら、農業をはじめとした仕事づくりを進めている。
田畑を起こし、作物を育て、収穫し、それを商品として販売する。
その一連の流れを自分たちで手がけられるようになってきた。
考えてみれば、農業って、作物を育てるだけでは終わらない。
どう売るか、どう届けるか。
中長期的には直売所の運営も考えられるし、自分たちが育てたものを使って、飲食事業へ展開していくことだって考えられる。
次に、コミュニティリテール事業部。
三右衛門本舗の屋号で、小売業と卸売業を営んでいる。
地域の子どもたちが立ち寄る小さなお店でもあり、商品を仕入れ、取引先へ届ける商業活動の拠点でもある。
実店舗の売場づくりもまだまだ工夫できるし、オンライン販売や新しい販路の開拓にも、取り組みたいことがある。
そして、デジタル出版・IPプロデュース事業部。
Webサイト、Podcast、動画、キャラクター、デジタルコンテンツなど、ずいぶんいろんなことを始めた。
こちらはAIエージェントたちの存在が大きい。
僕の頭の中にあったアイデアを、調べたり、整理したり、実際に試作したりするところまで、驚くほど短い時間で進められるようになった。
以前なら「面白そうだけど、ちょっと無理かな」で終わっていたことが、今では「とりあえずやってみようか」になる。
これは、実際にやってみて感じた大きな変化だった。
ただし。
つくれるようになったことと、事業として育てられることは、やっぱり違う。
ここが、最近ひしひしと感じているところなのだ。
形にはなってきた。でも、その先が難しい。
例えば、商品を扱うことができても、それだけで販路が広がるわけではない。
コンテンツをつくることができても、それだけで収益が生まれるわけではない。
農産物を育てることができても、それを安定した商売にするには、まだまだ考えなければならないことがある。
結局、誰に、何を、どう届けるのか。
そして、どのくらいの売上をつくり、どれだけの利益を残していくのか。
そこまでやって、初めて事業になっていく。
正直なところ、今の僕たちは、いろんな可能性を持っている一方で、それを十分に活かしきれていない。
これは少し、もどかしい。
しかも、ソーシャルアグリ事業部の中核となる障害福祉サービスには、人員配置基準がある。
必要な支援を提供するために配置している職員を、ほかの事業へ簡単に振り向けるわけにはいかない。
かといって、コミュニティリテールとデジタル出版・IPプロデュースを、このままずっと僕自身が動かしていけるのか。
こちらについては、通常業務のほか、仕事が終わってからや休日の時間も使いながら、構想や企画、試作を進めてきた部分が大きい。
それができたのも、AIエージェントのおかげなのだけれど。
いつまでもそういう形でいいとは思っていない。
もちろん、まだ構想段階のものまで一気に事業化する必要はないし、実現しないものもあるだろう。
でも、何かを育てようとするなら、それに向き合う時間と、実際に動かしていく人が必要になる。
人、モノ、カネ。
経営にはどれも欠かせない。
ただ、今の僕たちの場合、まずは人なのではないか。
最近、そんなことを考えている。
どういう人がいたら、面白いんだろう。
例えば、今ある商品や取引先との関係を活かしながら、新しい販路を開拓していく。
つくってきたコンテンツを見渡して、どれをどう育てたら事業になるのか考えてみる。
農業とお店をつなぎ、その先に新しい商売を生み出していく。
そんなことを、僕たち経営陣と一緒に考え、実際に動かしていく人がいたら、ずいぶん違うだろうなと思う。
ただ、ここでまた考えてしまう。
いったい、どんな人なんだろう。
一定のデジタルリテラシーは必要だと思う。
AIも含めた道具を使いながら、自分で調べ、考え、試していけること。
組織というものについても、ある程度の理解や経験があった方がいい。
事業を営む以上、売上や利益、経営についての感覚も必要になる。
そして、クリエイティブで、フットワークが軽くて、簡単には諦めない人。
……。
いや、待て。
こんなふうに並べ始めると、ずいぶんハードルが高くなってしまう(笑)。
何でもできる人が欲しいという話ではないんだよなあ。
むしろ、わからないことがあっても調べてみる。面白そうなことがあったら試してみる。うまくいかなければ、違うやり方を考えてみる。
そういうことを、一緒に面白がれる人がいい。
もちろん、事業そのものを丸ごと預けて「あとはよろしく」なんてことは考えていない。
僕や役員、経営陣が関わりながら、会社としてできる限りの支援をして、一緒に育てていく。
特に最初のうちは、僕自身と時間を共有し、考え方や判断をすり合わせていく場面が多くなると思う。
お互いの予定を調整し、必要な時間は仕事としてきちんと確保する。
その中で、僕の思いつきを一緒に面白がってくれてもいいし、「それは今じゃないでしょう」と止めてくれてもいい。
そして、できれば、そこで生まれた仕事が実際の売上になり、利益になり、次の事業へとつながっていく。
いつか、その人自身の仕事が、自分の人件費や新しい雇用を支える収益を生み出すようになったら、どんなに面白いだろう。
もちろん、雇用する以上、給与や労働条件は会社が責任を持つという前提での話だ。
もしかしたら、UターンやIターンで佐久へ来る人にとっても、こういう仕事には何か面白さがあるのかもしれない。
地方で、農業も、商業も、デジタルもある会社に関わり、経営に近いところから事業を育てていく。
なかなか、そういう仕事も多くはないような気がする。
でも、実際にそんな働き方を成立させるには、待遇も、役割も、事業収支も、きちんと考えなければならない。
面白そう、だけでは人を迎えられない。
そこは経営の仕事なのだと思う。
30年構想の、今どのあたりにいるんだろう。
Happy Factory構想では、最初の10年を、事業基盤をつくり、複数の収益の柱を育てていく時期として考えている。
今年は、そのための実装を進めてきた。
来年は、動き始めたものを互いにつなぎ、事業として展開させていく一年にしたい。
農業と商業をつなぐ。
商品とコンテンツをつなぐ。
事業所の中で生まれた仕事を、地域の暮らしや経済につなぐ。
そして、それらを単発の取り組みではなく、継続して営める事業に変えていく。
言葉にすると簡単だけれど、実際にはここが難しい。
でも、だからこそ、そこに関わる人の仕事は面白くなるのかもしれない。
単に今ある仕事をこなすのではなく、会社がこれからどんな姿になっていくのか、その過程そのものに関わることができる。
自分が携わった事業が育ち、やがて次の人へと引き継がれていく。
10年後には、今はまだない仕事が当たり前のように存在しているかもしれない。
30年後には、会社の姿がずいぶん変わっているかもしれない。
その変化の一部分を、自分の仕事として担える。
そういう働き方があってもいいんじゃないかなと思う。
まあ、まだ考えている途中なのだけれど。
ここまで書いておいてなんだけれど、今すぐ具体的な求人条件を並べて、応募を募ろうという話ではない。
実際に人を迎えるなら、役割も待遇も、どの事業をどのくらいの規模で育てていくのかも、もっと整理していく必要がある。
まずは、その前段階として、今の僕が何を考えているのかを書いておこうと思った。
実装の年として、いろんなことを試してきた。
思っていた以上に、できることが増えた。
その一方で、できることが増えたからこそ、それをどう事業にしていくかという課題も見えてきた。
そして今、人のことを考え始めている。
30年のHappy Factory構想に向かうには、たぶんこういうことを何度も繰り返していくのだろう。
考えて、やってみて、現実を見て、また考える。
その途中の記録を、これからも少しずつ残しておきたい。
いつか読み返したとき、あの頃はこんなところで悩んでいたんだな、と笑えるかもしれない。
そして、もしも、この文章を読んで、
「なんだか、その話に混ざってみたいな」
と思ってくれる人がいたら。
それはそれで、ずいぶん嬉しいことだ。
まだ、具体的に何が始まるのかはわからない。
でも、そういう出会いから始まる仕事があってもいい。
今は、そんなことを考えている。