プロジェクトが止まるのは、だいたい「決める人」がいないとき
こんにちは。株式会社リアルアキバ・コミュニケーションズの倉光です。
今回は、いろいろなプロジェクトに関わってきた中で感じている、**「プロジェクトが進むチームと、なかなか進まないチームの違い」**について書いてみます。
企画、イベント、広告、コンテンツ制作など、エンタメの仕事は基本的に一人ではできません。
社内のメンバーだけでなく、クライアント、制作会社、クリエイター、タレント、会場、媒体など、一つのプロジェクトに多くの人が関わります。
人数が増えれば、それだけいろいろな意見が出ます。
それ自体は、とても良いことです。
ただ、プロジェクトが止まってしまうときに、よく起きていることがあります。
「で、最終的に誰が決めるんだっけ?」
という状態です。
全員の意見を聞くことと、全員で決めることは違う
プロジェクトを進めるうえで、関係者の意見を聞くことは大切です。
現場にしか分からないこともあれば、クリエイターにしか分からないこともあります。
営業には営業の視点がありますし、宣伝には宣伝の視点があります。
それぞれの意見を集めたほうが、企画の精度は上がります。
ただ、「みんなの意見を聞くこと」と「みんなで決めること」は別です。
全員が100%納得する答えを探していると、いつまで経っても決まらないことがあります。
Aさんはこうしたい。
Bさんは違う案がいい。
Cさんはリスクを心配している。
どの意見にも、それぞれ理由があります。
そこで必要になるのが、最終的に判断する人です。
いろいろな意見を聞いたうえで、
「今回はこれでいきましょう」
と言える人がいる。
それだけで、プロジェクトの進む速度は大きく変わります。
「決めないこと」にもコストがかかる
仕事をしていると、つい「もう少し考えましょう」と言いたくなる場面があります。
もちろん、本当に検討が必要なこともあります。
でも、決めないまま時間だけが過ぎることにもリスクがあります。
デザインが決まらなければ、入稿できない。
出演者が決まらなければ、告知できない。
予算が決まらなければ、発注できない。
企画が決まらなければ、そもそも制作を始められない。
一つの判断が止まるだけで、その後ろにいる何人もの仕事が止まります。
特にイベントやエンタメの仕事には、公開日や本番日があります。
締切は、こちらの判断を待ってくれません。
だから私は、「正しい判断をすること」と同じくらい、「必要なタイミングで判断すること」が大事だと思っています。
100点の判断を待つより、70点で進めることも必要
判断する立場になると、「間違えたくない」という気持ちは当然あります。
情報を全部集めて、あらゆる可能性を検討して、100点の答えを出したい。
でも実際の仕事では、すべての情報が揃うことのほうが珍しいと思います。
特にエンタメには、やってみないと分からないことがたくさんあります。
この企画が本当にファンに喜ばれるのか。
このクリエイティブが伸びるのか。
このイベントにどれくらい人が来てくれるのか。
事前に予測はできますが、絶対の正解はありません。
だから、ある程度の材料が揃ったら決める。
進めながら問題が見つかったら修正する。
私はそのほうが、結果的に良いものにつながることが多いと思っています。
100点になるまで止まり続けるより、70点で動き出して、走りながら100点に近づけていく。
そういう考え方も、プロジェクトを進めるうえでは必要です。
「責任者」と「作業する人」は同じでなくていい
プロジェクトで意外と曖昧になりやすいのが、
「誰が作業するのか」と「誰が決めるのか」です。
資料を作る人。デザインする人。クライアントと連絡する人。スケジュールを管理する人。
それぞれ担当者は決まっていても、「最終的に誰がOKを出すのか」
が決まっていないケースがあります。
私はプロジェクトが始まったら、できるだけ早い段階で、
誰が担当するのか。誰に確認するのか。そして、最後に誰が決めるのか。
この3つを整理しておくことが大事だと思っています。
ここが曖昧なプロジェクトほど、後半になって確認が増えたり、ひっくり返ったりします。
決める人は「一番偉い人」でなくてもいい
もう一つ大事なのは、決める人=役職が一番上の人、ではないということです。
すべてを社長や役員が判断していたら、会社は動かなくなります。
現場を一番理解している人が決めたほうがいいこともたくさんあります。
だから若いメンバーにも、少しずつ「決める経験」をしてほしいと思っています。
最初は小さな判断でいい。
この進行でいく。この案を提案する。このスケジュールで動く。
自分で情報を集めて、自分なりに考えて、決める。
そして結果を見る。うまくいかなければ、「なぜそうなったのか」を振り返る。
この経験を繰り返さないと、判断できる人にはなかなかなれません。
もちろん、大きなリスクがある判断まで最初から任せるわけではありません。
困ったときには相談してもらう。
最終的な責任は上の人間が持つ。
そのうえで、任せられる判断はどんどん任せていきたいと思っています。
決める人に必要なのは「全部知っていること」ではない
「自分はまだ知識が足りないから判断できません」という人もいます。
でも、決める人がすべての専門知識を持っている必要はないと思っています。
分からなければ、分かる人に聞けばいい。
法務のことは法務に聞く。
デザインのことはデザイナーに聞く。
現場のことは現場の担当者に聞く。
大事なのは、必要な情報を集めて、それぞれの意見を聞いたうえで、「では今回はどうするか」を決めることです。
判断することと、一人ですべてを抱えることは違います。
むしろ、周りの専門性をうまく借りられる人のほうが、良い判断ができると思っています。
「誰が決めるのか」が分かるだけで、チームは動きやすくなる
プロジェクトがうまく進まないと、「コミュニケーション不足だった」
という結論になりがちです。もちろん、それもあります。
ただ、その前に確認してほしいことがあります。
「この件は、誰が決めることになっているのか?」
ここが明確になっているでしょうか。
決める人が分かっていれば、メンバーも「誰に何を確認すればいいのか」が分かります。
そして、決める人も自分のところで仕事を止めないように判断する。
それだけでプロジェクトはかなり動きやすくなります。
私自身も、企画や営業、採用、人事、リーガルチェック、プロジェクト進行など、さまざまな仕事に関わっています。
その中で意識しているのは、何でも自分で決めることではありません。
「誰が決めるべきことなのかを決めること」も、マネジメントの仕事の一つだということです。
良いプロジェクトには、良い企画や優秀なメンバーだけでなく、前に進めるための仕組みがあります。
「誰が考えるのか」「誰が動くのか」「誰が決めるのか」
この3つを曖昧にしない。
シンプルなことですが、たくさんの人が関わるエンタメの仕事だからこそ、大切にしたいことの一つです。