こんにちは。株式会社リアルアキバ・コミュニケーションズの倉光です。
今回は、若いメンバーから企画やアイデアを提案されたときに、私が意識していることについて書いてみようと思います。
エンタメの仕事を長くしていると、いろいろな企画に出会います。
イベント、広告、SNS施策、グッズ、タレントとのコラボレーション。
新しい企画を聞いたときに、
「ああ、それ昔やったことあるな」
「似たような企画、前にもあったな」
と思うことは珍しくありません。
実際に、過去に同じような企画を実施して、思うような結果が出なかったこともあります。
だから、経験がある人ほど、つい言いたくなる言葉があります。
「それ、前にもやったよ」
でも、私はできるだけ、この言葉だけで会話を終わらせないようにしたいと思っています。
なぜなら、過去にうまくいかなかった企画が、今もうまくいかないとは限らないからです。
同じ企画でも、時代が変われば結果は変わる
エンタメ業界は、とにかく変化が速いです。
数年前には一般的ではなかったサービスや文化が、今では当たり前になっていることもあります。
SNSの使われ方も変わります。
ファンの楽しみ方も変わります。
コンテンツの届け方も変わります。
例えば、昔はイベント会場に来てもらわなければ成立しなかった企画が、今なら配信やSNSと組み合わせることで、会場に来られない人にも参加してもらえるかもしれません。
以前はコストがかかりすぎて実現できなかった企画が、新しい技術やサービスによって実現できるようになっていることもあります。
つまり、
企画のアイデアが同じでも、それを取り巻く環境は同じではない。
ということです。
過去に失敗したという理由だけで、その可能性を閉じてしまうのは、少しもったいないと思っています。
「前にもやった」は、経験の共有であって、否定の言葉ではない
もちろん、過去の経験を無視するべきだとは思いません。
むしろ、経験がある人間は、その経験をきちんと共有する責任があると思っています。
例えば、若手から新しいイベント企画が提案されたとします。
以前、似たような企画を実施して、集客がうまくいかなかった。
その場合、
「それ前にもやって失敗したから、やめたほうがいい」
で終わらせるのではなく、
「似た企画を以前やったことがある。そのときは集客が課題だったけど、今回はどう解決できそう?」
と聞いてみる。あるいは、
「前回は予算が合わなかったけど、今なら別の方法があるかもしれないね」
と考える。過去の経験は、若手のアイデアを否定するために使うものではありません。
新しい企画の成功確率を上げるために使うもの。
私はそう考えています。
若手が持っている「今の感覚」は、立派な武器
以前、「エンタメ業界で20代に任せる理由」というコラムを書きました。
そこで触れたことにもつながりますが、私は若い世代が持っている感覚には大きな価値があると思っています。
何が面白いのか。
何が話題になっているのか。
どんな表現が共感されるのか。
どんなコンテンツがシェアされるのか。
こうした感覚は、必ずしも経験年数に比例するものではありません。
むしろ、日常的に新しいカルチャーに触れている若いメンバーのほうが詳しいこともあります。
私自身、若いメンバーから教えてもらうことも少なくありません。
だから、「自分のほうが業界経験が長いから、正しい」
とは考えないようにしたいと思っています。
経験があるから分かることもある。
経験がないからこそ気づけることもある。
その両方が組み合わさったときに、新しい企画が生まれるのだと思います。
最初の一言で、次のアイデアが出なくなることもある
若手が企画を提案するのは、意外と勇気が必要です。
特に入社したばかりのメンバーや、まだ経験が少ないメンバーにとっては、
「こんなことを言っていいのかな」
「的外れだと思われないかな」
「もう誰かが考えているかもしれない」
という不安もあると思います。
そんな中で、勇気を出して提案したアイデアに対して、
「それ前にもやったよ」
「そんなの無理だよ」
「昔からある企画だよ」
と返されたら、どうでしょう。
次からは、提案すること自体をためらってしまうかもしれません。
私は、それが一番もったいないと思っています。
もちろん、すべての提案を採用するわけではありません。
実現できない企画もありますし、事業として成立しない企画もあります。
でも、提案を採用しないことと、提案する意欲をなくさせることは別です。
「今回は難しいけど、こういう視点は面白いね」
「ここを変えたら実現できるかもしれない」
「次は予算も考えてみよう」
そういう会話ができるだけで、次の提案につながると思っています。
アイデアの完成度より、「なぜ面白いと思ったのか」を聞きたい
若手から出てくる企画は、最初から完成されているとは限りません。
予算が考えられていない。
スケジュールが現実的ではない。
権利関係が整理されていない。
誰に向けた企画なのかが曖昧。
そういうこともあります。
でも、それは経験を積めば身につけられる部分でもあります。
私が最初に聞きたいのは、
「なぜ、それを面白いと思ったのか?」
です。
どこに可能性を感じたのか。
誰が喜ぶと思ったのか。
何を見て、そのアイデアを思いついたのか。
その背景を聞いてみると、企画書に書かれている内容以上に面白い発見があることもあります。
例えば、提案されたイベントの形式自体は珍しくなくても、その人が着目しているファンの行動や新しいカルチャーに価値があるかもしれません。
企画そのものを評価する前に、そのアイデアが生まれた理由を理解することも大切だと思っています。
「前例がない」と「前例がある」は、どちらも判断理由にならない
企画の会議では、
「前例がないから難しい」
という言葉を聞くことがあります。
一方で、「前にもやったから新しくない」
という言葉もあります。
でも、よく考えると少し不思議です。
前例がなければ難しい。
前例があれば新しくない。
それでは、新しい企画を生み出す余地がなくなってしまいます。
私は、前例があるかどうかよりも、
「今、この企画をやる意味があるか」
を考えたいと思っています。
誰に届けたいのか。
今の市場やファンのニーズに合っているのか。
実現できる条件が揃っているのか。
会社として取り組む意味があるのか。
そこを判断することが重要です。
前例は、あくまで判断材料の一つ。
前例があるから成功するわけでも、前例がないから失敗するわけでもありません。
若手のアイデアを、経験者が現実に近づける
私は、若手にすべてを任せて、あとは自由にやってもらえばいいとは思っていません。
新しい感覚を持った人がアイデアを出す。
経験のある人が、予算やスケジュール、リスクを整理する。
制作の専門家が、実現する方法を考える。
営業が、クライアントやパートナーとの接点をつくる。
それぞれの強みを組み合わせて、企画を形にしていく。
それがチームで仕事をする意味だと思っています。
若手のアイデアを、経験者が否定するのではなく、経験者が持っている知識を使って、実現できる企画に育てていく。
その関係性が理想です。
もちろん、若手側も「面白いと思ったのでやりたいです」だけではなく、実現するために何が必要なのかを考える必要があります。
お互いが学び合えることが大切だと思っています。
経験が増えるほど、柔軟でありたい
仕事を長く続けていると、どうしても自分の中に成功パターンや失敗パターンが蓄積されていきます。
それは大きな財産です。
ただ、その経験が増えるほど、
「これは無理だろう」
「これはうまくいかないだろう」
と、早い段階で判断できてしまうこともあります。
それが正しい場合もあります。
でも、経験があるからこそ、知らないうちに可能性を狭めてしまうこともあると思っています。
だから私は、
経験を積んでも、新しいアイデアに驚ける人でありたい。
と思っています。
自分が知らないカルチャー。
自分が使っていないサービス。
自分には思いつかなかった企画。
そういうものに出会ったときに、
「それは違う」ではなく、
「それ、どういうところが面白いの?」
と聞けること。
これは、年齢を重ねても大切にしたい姿勢です。
「それ前にもやった」の先に、新しい企画がある
エンタメ業界には、過去に実施された企画がたくさんあります。
イベントも、グッズも、広告も、プロモーションも。
完全にゼロから生まれるアイデアばかりではありません。
でも、同じ企画でも、誰がやるか、いつやるか、誰に届けるかによって、まったく違う価値が生まれることがあります。
だから私は、若手から提案を受けたとき、
「それ前にもやったよ」ではなく、「前にもやったことがあるけど、今回は何が違うだろう?」
と考えたいと思っています。
過去の経験を否定する必要はありません。
若い感覚を無条件に正しいとする必要もありません。
大切なのは、その両方を使って、今できる一番面白い企画を考えることです。
そして、若いメンバーには、遠慮せずアイデアを出してほしい。
すでに誰かが考えたことかもしれない。
過去に失敗したことかもしれない。
でも、今なら実現できるかもしれない。
過去の経験は、新しい挑戦を止めるためのものではなく、新しい挑戦を成功させるためのもの。
私は、そういう考え方ができるチームで、これからも新しいエンターテインメントをつくっていきたいと思っています。