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博士課程って普段は何をやってる?進学するコスパは?企業が雇うメリットは?「教授 兼 社長」「博士課程 兼 開発者」が語りました!:Sigma-i Lab #9 文字起こし!

11月1日に開催されたミートアップ「Sigma-i Lab #9」では、博士課程のキャリアについて語りました。現役の研究者でありながら、シグマアイで技術の社会実装を手掛ける3名が集い、「博士課程の学生の生活は?」「企業での仕事と両立する意味は?」「社会でもっと活躍するには何が必要なのか?」など語りました。そして、参加いただいた皆様からも意見をいただきました。その模様の文字起こしをお送りいたします!

<登壇者>

大関真之(おおぜき・まさゆき)株式会社シグマアイ代表取締役CEO。東北大学大学院情報科学研究科情報基礎科学専攻・教授

人見 将(ひとみ・まさる)シグマアイ 事業開発担当 大阪大学大学院理学研究科・物理学専攻 博士課程 2年 在籍中

丸山 尚貴(まるやま・なおき)シグマアイ 開発担当 東北大学大学院 情報科学研究科 情報基礎科学専攻 博士後期課程 在籍中

普段、博士課程の人たちは何をしている?

○大関:はい、というわけでこんばんはでございます。Sigma-i Meet upの時間がやってまいりました。7時でございます。Sigma-iの大関でございます。よろしくお願いいたします。

まずは、今回のテーマが、「これからの博士課程学生とは?」。めちゃくちゃ前のめりな話をさせていただきます。先ほどのオープニング動画にも登場していますが、シグマアイには、博士課程の学生さんだったり、博士課程に在学して、卒業してすぐにキャリアを積むにあたってシグマアイに所属されている方々、それこそ越川(亜美)さんであったり、荒井(俊太)さんであったり、世永(公輝)さんという方々がいらっしゃいました。今、実際に博士課程学生に所属しながらシグマアイで働いていただいているお二人を招待して、お送りしてまいります。

それでは、まず、それぞれ自己紹介をお願いいたします。どうぞ!

○人見:じゃあ、私から。毎度毎度お邪魔しているんですけれども、人見将と言います。シグマアイでは主に事業開発を担当していますが、普段は大阪大学の博士後期課程に通っています。

○大関:ギョーザを焼いているわけじゃないんですね。

○人見:違います、違います。何で大阪でギョーザを焼いているんですか!(笑)

理学研究科の物理学専攻の博士後期課程2年生をやっています。今日はいつもとテーマが微妙に違う感じのテイストで、僕個人的にはすごい楽しみです。よろしくお願いします!

○大関:はい、よろしくお願いいたします。それではもうひと方。

○丸山:今回初めて登場、参加させてもらいます、丸山尚貴と申します。シグマアイでは、研究開発を行っていまして、それと合わせて、東北大の大関さんの研究室で博士課程も通っています。

○大関:お二人とも緊張していますね。

○人見:さっき、このイベントで話すのは、何回やっても慣れへんわ、という話をしていたんですけど。

○大関:そうですよね。人見くんは、正味3、4回くらい。

○人見:そうですよ。もはや中堅メンバーですよね。

○大関:そう。だから、中堅。

○人見:大関さんはまだ慣れていないと言うから、たぶん一生慣れへんねやろと。

○大関:慣れないという話を、始まる前にさせていただきましたけれども、ご視聴の方も、コメントを早速いただきまして、「こんばんワイエルシュトラス置換」というのと、量子jkさんから、こんばんはというコメントをいただいていますので、期待大の番組でございます。

たぶん、量子jk、助教? 助教授? 女子校生?

○人見:いや、どの可能性も等しくあると思いたいです。

○大関:いろいろと幅広い方が、どうしてもYouTubeでございますので、見ていただいている。しかもアーカイブに残りますので、はい、これが怖いっていう。そう、だから未来に残す、価値あるメッセージを、シグマアイのコアメッセージ同様に、価値のあるようなサービスを作っていくわけですけれども、残って未来永劫輝く。

○人見:あんまり。緊張させようとしている、番組を。

○大関:プロデューサーとしては、プロデューサー兼、ディレクター兼、出演者なんですけれども、お送りしたいなと思いますけれども。

まずは、この「これからの博士課程学生は?」ということでテーマになって、結構重たいと言うべきか、難しい料理の仕方なんだと思います。そもそもは博士課程というのは、広いご視聴していただいているメンバーに対して、どういうものなのかと。普通は、小中高大、大学生になって卒業して就職するよね、というのが普通のイメージなんだと思うんですけれども、その先ですよね。

修士課程と博士課程というのがありますけれども、博士課程はどんな過ごし方をされているのか。どんな制度なのか。そもそもそういうところから入っていこうかなと思うんですけども、最初は。

○人見:そうっすね。僕から説明を、簡単にすると、さっき大関さんがおっしゃったように、学部をまず4年で卒業します。4年以上かけている方も結構、僕の周りにはいますけれども、それはいいとして、4年で卒業して、その後、大学院の修士課程です。僕の学科だと、95%ぐらい修士に進みます。

○大関:物理学科ということですね。

○人見:はい、うちの大学の物理学科はそうで、修士課程2年で、ほとんどの人がここで就職します。ただ、残された殊勝なわれわれのような。

○大関:殊勝なんですか。

○人見:殊勝な方々はというか、少ないメンバーなんですけども、その後、博士課程、最近は博士後期課程と言ったりしますけれど、博士後期課程に進んで、基本的には、在学年限は3年ですが、博士論文を書いてPh.Dを取って卒業という流れが基本的な流れですよね。

日々の生活は、どうですか? 逆に、丸ちゃん。

○大関:普段、何をしているんですか。

○丸山:ええ。

○大関:まず、そもそも修士までは、大学を卒業されてわりと入っていく。2年過ごされて、その後、博士課程に進学する人は、非常に少ないというお話でしたけれども、同級生で博士課程に行かれた方はいらっしゃいました?

○丸山:本当にもう、片手で数えられるぐらいではあります。

○大関:うんうん。人見くんの時も片手?

○人見:急に友達が減るんですよね。

○大関:そう。いないですよね。

○人見:ほんまに。

○大関:だから、そういう点では、博士課程の人たちは、普段、何をしているの?という。大学生や修士課程だったら、サークル活動とか、部活動や、アルバイトなど、イメージはしやすいじゃないですか。一方で、博士はあまり知られていない。普段、教室で一緒に講義を受けている、演習を受けているというのは何となくイメージするんですけど、普段、どう過ごしているの。

○人見:そうですね。僕は。

○大関:やっぱりギョーザを焼いているんですか。

○人見:ギョーザは焼いていないので(笑)。何だろう、その印象。ギョーザ焼いていない。やっぱり、サークルというのもないし、授業もほとんほとんどないし、基本的に、家と大学研究室の往復みたいな。

○大関:おお。

○人見:研究室に行って、研究して、僕なんか理論やから家でもできるんですけど。

○大関:なるほど、なるほど。

○人見:はい、家でやったり、研究室でやったり、うちは研究室のメンバーが、お昼とかは一緒にご飯を食べたりもするので、そこが結構、生活の中のコミュニティーとしても大事なポジションを占めている感じはしますね。

でも、これといって取り立てて、今週末はこんなイベントがあるねん、みたいなのはないですね。どう?

○大関:どうですか。

○人見:楽しい? 日々の生活。

○大関:そんな重要な質問を、いきなりするわけですね。はい。

○丸山:自分も人見くんと同じで、理論なので、基本的には家でできちゃうんですけど、それだけだと気持ち的にめいってしまいます。最近は、涼しくなってきたというのもあるので、結構大学に出てきて、それこそ同じくシグマアイに行きつつ、別の学生もいますので、そういう人といろいろ話をしたり。

○大関:博士は、ずっと研究室にこもって、もくもく研究しているイメージがあるというコメントもいただいていますけれど、まさに研究室にこもって。

○人見:そうですね。

○大関:もしくは自宅。今は、お仕事でリモートワークというのがありますけれども、ある意味それに近いんだと思うんですけれども、自分のペースで研究をされるという。だけど、モチベーションを維持するのは、なかなか大変であると。たまにお昼ご飯等々で。

○人見:そうなんですよ。これは、たぶんリモートワークに切り替わった方も、結構それを思っている方は多いと思うんですけど、9時-5時とかで出社・退社、出勤・退勤という切り方をしないから、極端なことを言うと、夕方に来て夜中おって朝帰る学生、みたいな人も全然たくさんいます。それがある意味許される環境というか、結局、自分で何をいつやるか決められるので、それは結構しんどいと言えばしんどいですよね。自由とはいえ。

○大関:普段、9時-5時とか、何か時間を決めていたりします?

○丸山:前は全く決めていなかったので。

○大関:夜中になっちゃったりとか。

○丸山:そうですね。ですけど、むしろ最近は4時とか5時とかに起きて。

○大関:え? 朝ですね。

○丸山:朝の。そこから、一応シグマアイは、基本的にほかの会社よりは自由に決めて働ける環境だと思っているので、その時間からシグマアイの仕事を始めて、昼過ぎぐらいとかに一通りに、最低限やることは終えて、そこから。

○大関:なるほど、なるほど。

○丸山:自由な時間じゃないんですけど、というようなふうに変えようとしています。

○人見:なるほど、なるほど。

○大関:俺も博士の時、ポスドクの時そうしていたんですよ。

○人見:朝?

○大関:朝の始発の電車が出る時。9時-5時がないじゃん。9時というたら混んでるじゃない? なので朝の始発列車って決めたんですよ。5時半だったかな、そのころに行って、取りあえず、おっしゃるように何か予定されているもの、絶対やらなきゃいけないものを12時までやって、12時からは俺の自由だって言って、やりたいことをやって、夕方、それこそ4時、5時ぐらいになったら眠くなるんで帰るとかね。

人見くんは、そういうタイムスケジュールとか、どうしているんですか。

○人見:僕は結構、普通の社会人に近い感じというか。9時-5時に近い生活を今は送っていて。というのは、僕も、早朝で静かじゃないですか、外も。だから、一番集中できるから。

○大関:そうね。

○人見:朝方とかが一番いいと思うんですけど、街でお酒を飲むのが好きなので、そうなると、アフターファイブが主戦場なんですよ。

○大関:主戦場。なるほど。コミュニティーを形成する上で。

○人見:そうそう、そうです。だから、9時-5時に合わせて仕事をして、夕方から飲みに行くというスタイルになりますね。

○大関:それで、もう寂しくないし、やることもできているし、ある程度ぐるぐると循環する感じなんですね。

○人見:ちょっとでもやることができているとか言っちゃうとね、聞かれたら困る人がおるわ、何人か(笑)

いつ発見が生まれるか分からない。博士課程には、「土日」という概念はあまり無い

○大関:なるほど、だから、博士課程というのは、いわゆる研究をしているということなんだと思うんですけれども、研究するってなると、進捗ですね。何かしらのペーパーワークとかだったら、何枚やったかとか分かりやすいじゃないですか。研究をやるってなると、たぶん進捗は、何枚何かを作業したとは違うわけじゃないですか。そのへんは、自分の中でどう折り合いを付けて、納得していますか?今日はいい仕事ができたから飲みに行きましょうという話とか、飲みに行かないまでも、ケーキとか、バウムクーヘンとか買って、自分にご褒美みたいなことをすると思うんですけれど。さっきの9時-5時もそうだし、刻み方が難しい。また、博士課程で特に理論系は、自分で鼓舞しながら、職場に出ずに生きてきたという意味では、リモートワークの先駆けだと思うんですよ。

○人見:確かにね。確かにそうかもしれないですね。

○大関:なので、そのノウハウとかが、たぶん今のリモートワーク社会に貢献するようなところがあると思うんですね。いつバウムクーヘンを食ったらいいかという。

難しい質問だったようですけれども、視聴者の中には、「500MHz(11.7T)のNMR室でウトウトする博士課程」を過ごしていた方もいらっしゃいますけれどもね。

ちなみに量子jkさんは、丸山さんを見たことがあると言っています。どこで目撃されたんでしょうね。EXPOかな。

○丸山:そうですかね。

○大関:はい。先週、われわれは、量子コンピューティングEXPOというところで、シグマアイのメンバーも展示させていただきましたけれども、その翌週でございますからね、その興奮覚めやらぬというところではあるんですけれども、いかがですか。バウムクーヘンを食べるタイミングは。

○人見:僕は、めちゃくちゃ答えにならへん答えやけど、正直に言うと、食べたい時に食べますね。

○大関:なるほど、なるほど。だから、何かができた時ってやると、もしかしたらきついかもしれないから。

○人見:そうですね。

○大関:やっぱり鼓舞している感じですか。

○人見:だから、これは1日でできるやろうと思っていたことが1カ月かかったり。

○大関:1カ月。

○人見:1カ月かけなあかんなと思っていたことが、半日で分かったりってあるじゃないですか、研究で。だから、いついつまでにこれという切り方が、原理的に無理で、だから、本当にけものみたいですけど、その日の気分でやってきて。僕が今、正解なのか分からないですけど。

○大関:丸山くん、どうですか。いつバウムクーヘンを食べます?

○丸山:僕は、わりと区切るんですけど、区切り方としては、例えば論文を読むとか、論文を書くとか、計算するとか、この計算はちょっと詰まったりするんですけど、ある程度伸びる可能性のない範囲で区切ってというふうにはしています。

○大関:だから、それぞれ、自分のタイムマネジメントもそうだし、やり過ぎない、オーバーロードし過ぎないように工夫されていると。それは、最初は難しかったですか。博士1年とかですかね。

○人見:土日とか、長くない?

○大関:土日。

○人見:分からないねんけど。

○大関:土日がない。

○人見:余暇というものが、たぶんないというか、常に何かに差し迫っている感覚があって。逆にどうですか、職業研究者って、この研究をいついつまでに、もちろん予算とかありますけど、やらないといけないって、まあないじゃないですか、ベースには。

○大関:まあフリーですね。

○人見:でも、逆に、誰かに先にいいアイデアが得られたという焦燥感はあって、それって、土曜やから、日曜やからって全研究者が休んでいるわけじゃないじゃないですか。そのあたりはどうどうですか。

○大関:僕は休みます。長いから。マラソンなので、365日なのか、10年なのかな分からないので、今できないと駄目とは思わない。ただ、パフォーマンスを下げたら終わりと思っていますよ。だから、飲み過ぎたとか、病気、風邪になるもそうですよね。そういうケアのために絶対寝るし、土日は、余暇として、やったことない、普段やらないことを必ずやるというふうにはしていますね。そうしないとリセットが効かないから。タイムマネジメントの一環だとは思っているんですけど。

あとは、出張をあえてするというか、旅行するというか、場所を変えるということは意図してやるというのはあったりします。だから、そういう意味では、近いんじゃないかなと思いますけどね。

そんな感じで、博士課程の人たちは謎の生活をしていると。常日頃研究じゃないですか。先ほど、土日、余暇がないという話でしたけど。

シグマアイで視野を広げる。研究と社会の接点に身を置く。

○人見:ちょっと、博士課程という主語にすると、大きくなり過ぎるかなというのは思っていて、何かというと、シグマアイで働いているじゃないですか、まず。丸ちゃんと僕も、契約上も違うし、コミットの仕方も違うと思うんですけど、研究、研究、研究という本当に象牙の塔にこもってという感じでもないんですよね、そういう意味では、僕らは。

だから、仕事もして、研究もする。わりと難しいですけど。

○大関:その時に、もちろんシグマアイを選んだ理由というのは別個あるとしても、博士課程だけをやるという選択もあると思うんですね。研究に、ある意味没頭すると。

そういう環境が整っていて、準備もできていて、それでいいですよって言われたらやってもいいと思うんですけれども。お二人の場合は、いろいろ理由はあると思うんですけれども、プラスアルファとして研究以外、博士課程学生としての所属以外に、シグマアイなり、アルバイトであるとか、それこそ正職員として勤めている。

その理由。シグマアイを選ぶというよりも、場所としてプラスアルファで、ある意味で余計なことは、どう自分で包摂して、いいものに変えていっているか。ペース作りだったりするかもしれないですけど、そこらへんはいかがですか。

○大関:すっげえ真面目だね、俺。

あきさんは、土日は手間のかかる料理するそうです。

○人見:いいですよね。そういうのはありやな。

○丸山:研究だと、自分の所属している研究分野の中での問題というふうに切り取って考えるという。

一方で、実際にそうしてみて改めて思うことですけど、これだけで、一つの研究分野だけ切り取って世の中の問題とかを解決できるわけじゃないじゃないですか。そういう意味で、別の分野の視点からも考えるという、そういう時間も大事だと思っています。研究室以外の場として、そういう自分もあるというか。研究しながらも会社に勤めていると。

○大関:それは、博士課程学生としての研究以外に何かをするということで、刺激であったり、相互作用的なものは、今までご経験はありますか。

○丸山:そうですね。

○大関:知識上の共有とかもそうでしょうけど。

○丸山:特に自分は、この研究室で量子アニーリングというところで、会社の自分の研究が結構密接に関わっています。それが前提になっているんですけど、例えば自分は物流の最適化もやっています。現場でこういう技術がほしいよねとか、、特に最近ですけど、考えるようになってきたのがあって、それを研究室でもっと活かすことができれば。

○大関:コメントの中で、あきさんが、「視野が狭くなると、研究行き詰まったとき解決方法が思いつかなくなる。」ということで、そういう意味では、視野を広げるというのが一つ、キーワードなんだろうなと思いますね。

そんな中で人見くんは、物理学科、物理学から事業開発ですか。シグマアイらしい事業開発の仕事をしているわけですか、言うたら物理ではないといえばないですよね。

○人見:関係ないですよね。

○大関:そこらへんで、折り合いの付け方とか、刺激の受け方、与え方というのはどうですか。

○人見:僕はマスター、修士の2年から働かせてもらっているのですけれど、これは結構明確に三つの理由があって。

○大関:三つ。

○人見:はい。めちゃくちゃ高尚なことから下世話なことまであるんですけど。

○大関:どっちから行きましょう?

○人見:どっちからがいいですかね。

○大関:じゃあ、高尚から。

○人見:高尚なほうから。はい、高尚なほうから行きますけど、一番持っている理想の研究者の像の話なんですけど。

○大関:なるほど。

○人見:本当に何の意味もない研究に専念して新しい真理を探求するという、言うなればトラディショナルな研究者像がわりとあって。でも、一方で、この研究が実際どういう意味を持っていて、どういう価値を持っていて、価値とかって言っちゃうといくらに変わる、お金に変わるという意味に聞こえるかもしれないですが、そうじゃなくて、長期的にも短期的にも未来の人類にとってまで広い意味で、どういう価値を持っているかということを分かりたいんですよ。門を開くって言ったらちょっと大げさなんですけど、平たく言えば研究と社会の接点としてのシグマアイだと思っています。というのは一つ、僕の個人的な研究者像として、研究もやるけど、社会に開かれた研究者でありたいと思うのがあるので、それはすごいいい場所だなと。一番高尚なところですね。

○大関:素晴らしい。

○人見:二つ目は、これは、物理と事業開発は全然違うじゃないかって、お互いどういうところに恩恵があるかという話につながるんですけど、結局何を研究してるかの違いやな、というスタンスが、わりとあって。

物理は、もちろん、僕は固体中の電子状態とかの計算をするんですけど、一方で、前回のMeet upをご覧いただいていたらあれかもしれないですけど、イノシシがどうとか、人口減少がどうとか、医療機関の最適化がどうとかというのって、ちょっと冷ややかに聞こえるかもしれないですけど、人間を対象にした研究と言えなくもない。これはロジカルに考えたら次はどういうステップを踏めばいいんだろうとか、どういう人、言い方は悪いですけど、どういう手法をこのネットワークの中に加えたら、もっといい世界になるだろう、というのは、わりと研究的な文脈、側面があります。シグマアイに限って言うと、それをみんな良しとしてやっている感じがあると思うんですけど。そういう意味で、人間を研究しているか、固体の電子を研究しているか。

だから、ある意味、研究テーマの違いだけなので、それはすごい、研究対象として楽しいというのが二つ目。

三つ目はもうちょっと下世話なんで、10秒で終わりますけど、お金をいただけるからというような感じです。

○大関:それは大事ですよね。

○人見:博士課程の学生は、言うてもそんなにリッチではないですから(笑)。

○大関:自分もそうですからね、駿台予備学校に行った下世話な理由はそうしたよね、それは(笑)。

博士への進学を決めたのは、なぜ?いつ?

○大関:そもそも博士課程に行こうって思った流れ、経緯とか、時期を聞きたい。就職活動を修士の人はして、博士課程に行かずに就職して民間企業に勤めてというのが一つのキャリアなんですけれども、どうやったら博士課程になれるのか、なろうとすればいいのかというのは、結構知らないんですよ。

意外にベールに包まれていて、僕も、とある学生さん、今博士課程にいらっしゃる学生さんからその指摘を受けて、大反省したんですけれども、実際、どうやって博士課程になるのか。どうやってなるんですか。なったんですか。

○人見:気付いたらなっていましたけどね(笑)。

○大関:ああ、それが前提なんですか。じゃあ、もちろん試験というか、プレゼンテーションとかすると思うんですけれども、そういうのを受けるぞ、やるぞって宣言をしたのは、いつだったわけ?

○人見:僕はちょっと早くて、これは個人的な話もあるんですけど、5年一貫の大学院のプログラムにも入っていたので、そういう意味では、4年生卒業のタイミングで博士までは行くだろうと。ある意味、楽観的ですよね。就職とかをある程度度外視。何とかなるんじゃないかみたいな感じで決めていました。

○大関:それは、もとから5年博士まで行く、行ってもいいだろうと。行った後のことは考えていました?

○人見:ううん、いや、全然、その後、例えば研究者になるとか、民間に行くとか、民間ってどの業種やねんとか、資格を取るのかとか、何も考えていなかったですね。考えていないし、解像度が低く過ぎて。

○大関:分からないという。

○人見:分からないですね。

○大関:情報がないですもんね。そこらへんが、僕はバグだと思っているんですけど。いや、知り過ぎると、逆に行けないのかもしれないかな、というのもあるんで分からないんですけれども。なるほど、なるほど。じゃあ、丸山くんは。

○丸山:経緯ですね。

○大関:はい。

○丸山:自分的に大切にしているのは、実際にやってみて決めようと。決めようということを大事にしていまして、もともとはエンジニアというか、プログラマー志望だったので、それも、実際にそれが自分に向いているかとか、本当に仕事として楽しいかというのが分からなかったので、学部の時に、仙台のIT系の会社を探して、アルバイトできるところを探して。

○大関:空き時間がある時ね、ありますね。

○丸山:結構その時は、それこそフルタイムに近いぐらいで働いていたりした。実際に会社で働くということはどういうことなのか、これを続けられそうか、というのを判断していました。そういうスタンスでやって、研究に関しても研究開発センターですかね、ちょうどそういう、研究の入り口ですけど、論文を読んで記事にしてまとめるという、そういう活動があるので、それで研究ってどういうものなんだと、楽しめそうかとか、そういうところをやってみて決めたという、そういう流れです。

○大関:人見くんに追加で質問だけど、5年の一貫プログラムを選択した理由は何なんですか。乗り?

○人見:ううん。

○大関:かっこいい?

○人見:ううん。ばかみてえだけど、よりかっこいい。先輩がお金をもらっていていいなとかもありますし、真面目なことを言うと、海外研修とか、国内研修とか。

○大関:経験として。

○人見:いろいろ経験としてはいいなと思って。

○大関:やっぱり、どちらも実際に経験してみるというところと、経験できることに期待をして選んでいるというのはあるかもしれないですね。なるほど、なるほど。タイミングは人それぞれ、早かったわけですけど、丸ちゃんは、いつ、よし、博士に行こうと思いました?

○丸山:修士1年の秋。

○大関:今ぐらい。

○人見:確かに。

○大関:今ぐらいですか。

○丸山:今ぐらいです。

○大関:ああ、ちなみに僕もそのぐらいです。

○人見:え? 逆にどうだったんですか。

○大関:どういうこと?

○人見:博士に行く時に。

○大関:どんなことを考えていたかっていうこと?

○人見:そう。

○大関:何も考えていない。何も考えていないかな。

○人見:でも、修士1年の秋とかって、インターンとか、僕らの世代だったらあってさ、みんな、周りで就活をわりと真剣に、みたいな。

○大関:そうですね。僕の時も同じですよ。夏休みが終わって、夏の学校が終わって、お盆が終わって帰ってきたら、もうみんな就職活動になっているんですよ。物理学会で発表しつつ。みんなスーツを着ているんですよ。僕は今の格好みたいな。あれ? みんな、何でスーツを着ているんだろう。

○人見:そら、ドクターへ行くわ(笑)。

○大関:なんですよね。だから、情報の非対称性から来ているのかなというのもあるんですよね。就職活動の情報って入り過ぎていて、それを知らないでいると、意外に自然と博士課程って行くのかなというのがあってね。

やっぱり、研究が好きですか、嫌いですかって言ったら好きだったんだと思うんですよ。嫌いではなかったので。怒られていましたけど、何も進捗がないから、それこそ。だけど、やっている行為にネガティブな気持ちはなかったので、やっていこうかなというのはありましたね。

だから、僕の中では、その意味では気付いたらなっていたというのは、似ている部分はあるかなと思いますね。

はい、それで、博士課程というのはこんな感じでなるんだと。博士課程の皆さんは、日々自分をマネジメントしつつ、進捗を自分で確認しつつやっているわけでございますけれども。

○人見:心痛くなる回ですやん(笑)。

○大関:そうなんですか(笑)。

○人見:いやいや、まあ(笑)。

企業は、博士の能力を活かすことができているのか。

○大関:コメントでもいろいろありますけれどもね、「隣の芝の色に興味を持つ能力は大事だと思います。大学でも企業でも」、人間でもという意味だと思いますけど、「あと自分にとっての「現場」ってどこ?ってのは考えた方がいいと思っています、私は。」というコメントがありましたけれど。

ミヤさんから、「博士に憧れはあるけど、博士の先輩がすごい人が多くて、どうしても引け目を感じてしまう...」、あるあるですね。せっかくですので、先輩にあたる存在なんだと思うのですけれど、憧れがあるけれども、というのは修士課程とか学部生なのかもしれないですけれども。

○人見:そうじゃないですか。

○大関:ずっと引け目を感じますか。

○人見:だから、あるあるで、「二十歳ってもっと大人やと」思っていました。二十歳の誕生日に、たぶん人類は全員感じると思うんですけど。

○大関:なるほど。

○人見:それと同じじゃないですかね。

○大関:確かにね。僕は、教授ってすげえもんだと思っていたけど、教授になっちゃったら大したことねえやって思っちゃいましたけど。

○人見:そうそう。

○大関:一番怖かったのは准教授ですね。学生を受け持つので、指導はできるかとか、いろいろ考えたよね。一番怖かったですね。でも、なったら、やるしかねえのかという意味では、なっちゃったみたいなものがありますけど。

憧れとか。丸ちゃんの時って、博士の学生は荒井くんか。荒井くん、すご過ぎだよね。

○人見:確かに。

○丸山:直接比べちゃ駄目なんですよ。

○大関:うんうん、うん。その感覚は、やっぱりあったんですか。。

○丸山:もう戦っちゃ駄目なんだなって。

○大関:そこらへんは、やっぱり考えますよね。へこむよね、そのままだったらね。だけど違うキャラだからとか、フィールドだからって。やっぱり、そういう考えを持っていたりするんだ。

○人見:そうですね。ベクトルが違うんだという、強みの。だからスカラーでやっちゃうと、もう無理なんですよ(笑)。

○大関:すげえから。今、経験値だけでとかいう。

○人見:そうそう、そう。でも、ドクターは、確かに中盤ぐらいとかになってみると、僕は、これを自分の強みやと思ってやっている。彼はここが強いとか、ある程度自分も含めて客観視して。

○大関:そうですね。

○人見:ただ、でも、昔、僕が学部生やった時のドクターの先輩は、今の俺よりもすごかったんやろうなとは思うから、ずっとそういう憧れ、ないし畏怖というか、そういうのはありそうですけどね。

○大関:まあね、実際に自分の時も、同期が飛び級して1個上にいたんですよ。修士の1年の夏前ぐらいに、もう論文を書いているんですよ。あ、8月だ。それ以降、量子アニーリングの研究に来て、3カ月に1個、定理を証明する男って言われていたんですよ。

○人見:やばいな。

○大関:論文が3カ月に1個出てくるんですよ。これはかなわねえやってなりますよね。だから、僕は量子アニーリングの研究を一切しなかったんですよ。負けるっていって。それで、さっきの話みたいに、張り合うというのとは違うよねと。ベクトルが違うよねというのは、やっていましたけどね。

だから、そういう意味では、本当に自分のセルフマネジメントの能力にたけているという、セルフプロデュースって言ってもいいのかもしれないですけどね。

○人見:確かに。それは確かにほしいですね。

○大関:そういう個人経営者的なキャリアなんじゃないですか、ある意味、博士課程学生って。

学生っていうと、教わってなんぼというか、そういうイメージをどうしても持ってしまうんですけど、今までの話を聞いていると、個人経営者っぽい。それこそ、問題も、たぶん研究するにしても、指導教員の方がいらっしゃったとしても、独自のオリジナリティーを持って、これがそれこそ重要な課題であるというふうに突き詰めていくんだと。曲がりなりとも頑張って、進んだり、進まなかったりすると思うんですけども、そのへんは独特な立ち振る舞いを求められているのかなと思うけど。

○人見:確かに確かに。

○大関:うん。そういう意味では、民間企業に就職を、最終的にする人が多いという前提でいきますけれども、民間企業で勤めるというのは従業員じゃないですか。そういう意味では、個人経営者的立ち振る舞いができるという博士課程学生の独特さというのは、ちょっと異質に浮かぶんですね。でも、博士を卒業された後に民間企業に就職される方もいらっしゃいますよね。しらばっくれて質問していますけれど。人見さん、いかがでしょうか。

○人見:たくさんいらっしゃると思いますし、いや、ちょっと、これはまた、大丈夫ですよね、閲覧者が少ないから(笑)。

○大関:何の話ですか(笑)。

○人見:僕もまだ社会に出たわけではないので分からないのですけど、博士課程の学生の能力のどのぐらい何を生かせられているのか。つまり、生かす側と生かせる側というか、学生側と会社側ってどうなんだろうなというのはあって、もうちょっと突っ込んで言うと、会社の人たちって、博士後期を出てPh.Dを持った人間をどう生かそうと思っているのかなというのも疑問やし、僕ら学生にとっては、どうやって自分をアピールする、自分のどこがアピールできる点なのかというのを言語ができているんのかなというのを、ちょっと僕は今、すごい課題意識がある感じですね。

○大関:丸山くん、どうですか、この言をいただいて。逆に、こういうことを考えました? 実は博士課程学生というのは独特であるという。

それでいいんだけど、例えばシグマアイでの働き方というのは、エンジニアの中でリーダーとしてやっているわけじゃないですか。そういうところでも、立ち居振る舞いの仕方としても、そのまんま企業で就職してお仕事を任されるというポジショニングと、また違っているわけじゃないですか。いきなりそういうところに行っても、簡単な表現をすると、やっていけるものなんですか。もちろんやりながら、頑張りながらと思いますけれども、そこでは、博士課程学生としてのキャリアを積んできた経験であるとか、そういうのが生かされたりするのかなと思ったんですけれども。

○丸山:僕としては、特に開発系に限ってだと、既に対象とする問題があってそれを解決する。それに対して、研究者はどう解くかという解き方の部分をすごく工夫できる人だと思っていて。そもそもシグマアイでも重要な考えだと思いますけれど、そもそもその問題自体を疑って捉え直す。その問題って何だって、もっと別の問題とか、あらゆる視点で考えるという、そこは結構博士課程で、やっていなくてもできる人はできると思うんですけど、博士課程で通っている経験を生かした働き方かなと。

博士が社会で活かせるのは、オリジナリティーとか、アイデアのセンスとか、ロジカルな考えとか。

○大関:研究って、普段どうやっているんですか。

○人見:どうやっているか?

○大関:はい。研究というのも、漠然としたイメージを持っているじゃないですか。仕事というと、今の話で出てきましたけど、何かプロジェクトがあって、それに対してこういうアプローチをしましょうと決める人がいて、それに対して実装とか、プログラムを開発したりして、世にお届けするために製品化する。何となくのイメージがこうだと思うんですけれども、研究ってなると、どういうことをされるんですか。

○人見:たぶん、いろいろなレベル感があると思うんですけど、イメージとしては、わりと、ふとした疑問からスタートしているかなと思っていて。それは、先行研究を読む中で、これって、これを例えば考えてみたらどうなんやろ。Aという物質に対してBという理論を当てはめたらどうなんやろ、みたいな、そういうふとした疑問からスタートして、まずは問題設定ですよね。どこまでが分かっていて、何が分かっていないかというところからスタートして。

だから、ふとした疑問ベースの問題設定から、手法は、たぶん、みんなそれぞれ、いろいろあると思うんですけど、実験なり、理論なり、数値計算なり、いろいろあると思うんですけど、それをへて、研究ってどうしているか?

○大関:今のは、研究のアプローチだと思いますよ。ふとした疑問から始まるってことですよね。壮大なテーマはもちろんあるんだろうけれども、ミクロなテーマではなくて、壮大なテーマの中で電子系の何かを知りたいという時に、ふと思った疑問があって、そこからアプローチが始まるってことですよね。

丸山くんは、どう研究をやっています?

○丸山:自分は、始め方としても、全く同じですね。それこそ、量子アニーリングって、結構触って遊べるので、触りながら、疑問に感じたことをに考えるというような感じで思っているので、実際に量子の研究を、大関さんに渋いって。そんな感じで、ボトムアップじゃないですけれど。

○大関:いろいろと試行錯誤してね。

○丸山:あとは、これだけじゃ駄目なんだなっていうのを最近思っているので、改めて大きな問題として、大きな問題の中で自分がやりたいこと、どこにそれが行っているのかというのは、考えていますね。

○大関:今までのお話を聞いていても、研究をするということと、博士課程学生は実は独立した経営者みたいなものであると。個人経営者的なものであるということを考えると、よく言われるのが、民間企業で、博士課程を卒業された人たちを採用して、博士人材を生かしましょうという話が、とりわけ叫ばれているわけですけれど、何か違和感を感じる部分があるんですよ。今の話を統合するとね。

民間企業でお勤めするということは、もう杓子定規に言えば、会社の中ではプロジェクトがあります。遂行しなければいけないミッションがあります。それのとおりに、上意下達的に、方針に従ってお仕事してください。それは従業員のはずなんですよね。

それに対して、博士課程学生、博士のキャリアを積んだ人というのは、もちろん適応能力もあると思うし、いわゆる地頭とか、底力みたいなのがあるので対応することはできると思うんですよ。だけど、それは、もしかしたら生かし方を、先ほど人見くんがちらっと言っていましたけれども、生かし方をうまくできていないのかもしれないですね。

○人見:うん。

○大関:実際にコメントの中で、「情報科学研究科を離れた後に民間製造業に、民間製造業に転職しました。アイデアや方法のオリジナリティーは評価されています」というのがあるので。

○人見:本当にそのとおりで、僕もすごい思うんですけど、専門知識を生かすという、ある意味表皮の部分。だから、CSを勉強しましたからコンピューターサイエンスが分かります。それを生かすレイヤ。僕だったら物理の計算を生かすというレイヤで採るというのもあるし、その1個下の、例えば大学院で博士まで行って論文も書けるぐらい地頭を生かすレイヤもあるけど、博士で研究してきて、訓練してきたものって、また違うレイヤで。だから、今コメントでおっしゃってもらったように、勉強してきたことと分野としては違うけど、オリジナリティーとか、アイデアのセンスとか、ロジカルな考えとか。平たい言葉で言っちゃうとそういうことになるんですけど、それが生かせると、真に、僕らは研究を訓練してきて良かったかなって思える気がしますけど。

変わり者こそが、デジタルトランスフォーメーションを進めることができる

○大関:丸ちゃん、どうですか。

○丸山:そうですね。

○大関:そうですよねって。

○丸山:逆に言うと、まさにそのとおりで、ここと同じことをやるのを嫌がるというか、避けてきました。

○大関:来ちゃっている感じ。

○丸山:新しいことをやるというのは、必要な素養というか、なのかな。

○大関:最近、時代に変化を求めていると思うんですね。令和になって数年たっていますけれども、新年号になってからも、ある種の変わり目を分かりやすく、でも、コロナもありましたけれどもね。技術でとか、社会構造としてとか、そういうもので変化があるかって言うと、日本の場合は旧態依然としたシステムがあって、デジタルトランスフォーメーションだ、デジタルトランスフォーメーションだって言っているわけですけども、なかなか変わらない。この状況。

それを打破するためにはどうしたらいいかというのを、みんな、ある意味、考えているのか、考えているふりをしているのか、探しているわけですけれども、それに対する回答にもなるかもしれないですね。個々人が、そのままやり続けていることをやり続けるのではなくて、違うことを選んできた人間だからこそ、じゃあ、ここでも違うことをやってみようかなと、考えたりすることができるのかなと。今こそ必要なのが、こういう変わりもの人材なんじゃないですか。

○人見:そうなんだよ(笑)。

○大関:そうなんだよって。アピールしていますけど。

○人見:そうなってくれ(笑)。

○大関:だけど、今それが、ある意味論理的に行くと、ふさわしい人材だなというのは、僕らは、少なくとも今ここでコンセンサスを得たと思いますけれども、だけどそれが世に通じていない。ないしは、知ってもらう必要があるよねという段階なんだと思うんですね。そういうところは、日々感じたりしますか。

○人見:そうですね。だから、今日の一連のトークテーマでありましたけど、そもそも博士後期課程って何やねんというのがまずあるし、それって、博士課程とか、Ph.Dという概念自体がまだ市民権を得ていないというか。特に産業界では理解し切られていないというのもあるし。もっと言うと、なんぼ頭がようても、コミュニケーションを取られへんかったら社会では無理やんとか、なんぼ頭がようても、これが最低限はできな無理やんとか。社会との接点を持てる人材になるという、こっちサイド、学生サイドに課せられた要請もありはしますよね。

○大関:うんうん、うんうん。よく言われますね。コミュニケーション能力がどうこうとか、言われたりはするんですけど、そのへん、どう思います? コミュニケーション能力って言われると、僕らは結構窮するんですけれど。

○丸山:そうですね。少なくとも自分は、単に博士課程オンリーで研究していたので、間違いなく人と話せないんで(笑)。

○大関:はいはい、さっきの話にもありましたね。

○丸山:ただでさえ少ないコミュ力を求められるんだ、と、今、思いました。

○大関:民間にね。

○丸山:民間で働きながらコミュ力を維持するというので。

○大関:コミュ力を維持する、ないし、接点を設けさえすれば発揮することもできるし、どうやって生かしたらいいかというのは、個々人で少なくとも理解はできるってわけですよね。

ちなみに、そういうコミュ力を醸成するなり、鍛えるというのは、大学院の中では何かあったりするんですか。

○人見:いや、それは難しいと思っていて。

○大関:なるほど。

○人見:だから、それって、僕らが議論するまでもなく、だから反駁の余地のない前提じゃないですか。しゃべれる人間のほうがええという。コミュニケーションを取れる人間のほうがいいっていうのは。

○大関:もちろんね。

○人見:だから、それはすごい、たぶんプログラムとかでも組み込まれていて、要請されているけど、例えばこの座学を受けたらコミュ力上がるの?みたいな。

○大関:ないね。なかなかないね、確かにね。

○人見:これは、気持ちは分かるけど、やる意味ありますかね、というのが逆にあって。

○大関:目標、目的設定は適切なんだけども、アプローチがちょっと物足りないかなというのが現状と。であるからこそ、民間企業だったり、外との接点なんだから、外での活躍をして、少なくとも皆さんは世の中で貢献できる人材になろうとしていると。

○人見:努力中です。

○大関:そうしていった暁には、つまり、これからの博士課程の学生さんは、今みたいに、世の中と接点を持ちましょうと。しかも、世の中の接点というのは、問題解決能力ではなくて、問題発見能力にあるんだと思うんですね。いろんなところをふと疑問視して、今までこういうふうにやってきたことなんだけど、いや、そもそも、実はここを切り替えたほうがいいんじゃないかというのがふっと出てきて、それをたぶん実装するとか、開発するということができると思うんですけど。

そういったものが浸透していく、そういった人材が育っていくとした先に、どんな未来が待っているか。それは住み心地のいい世界なんでしょうか。今の現状は、少なくとも博士課程学生さんは頭のいい人、使い勝手の悪い人、コミュニケーション能力がなさそうな人って、やっぱりまだ、僕らの時代からも言われ続けていて、ここ10年、20年近く言われているわけじゃないですか。一向に改善しないじゃないですか。

どうしたらいいの。「朝まで生テレビ!」みたいになってきましたね(笑)。

○人見:まあ、やっぱ、丸ちゃんとかモデルケースになって。

○大関:ああ、なるほど。

○人見:そういう人がどんどん増えていくというのは、草の根運動的には大事な気がしますね。

○大関:面白いなと思ったのは、今、コメントで、「一企業人としては「全員がコミュニケーション能力最大値」というのも不自然。」であるという。

○人見:なるほど。

○大関:確かに、就職活動とかでは、コミュニケーション能力が大事にされているんですよね、テンプレート的には。だけれども、言葉を尽くして表現するというのは正しい姿だと思うんだけれど、言葉を埋めてその場の空気を暖めるというのは実は違うというか、それが意味があるわけじゃないじゃないですか。たぶん熟考している状況が大事な場合もあって、無言の空間で実は意味があるということもあると思うんですよね。

たぶん、そういうのを大切にしているのが、今の博士課程の学生さんで、社会人の経験があるというお二人なんだと思うんですけれども、コミュニケーションを最大、もしくはコミュニケーションを評価される時代に対してのアンチテーゼになっているんですよね。それをどう理解してもらうかというのは、なかなか難しいですね。ハードルは高いですが、そういうところが今の現状とのギャップであって、それさえ乗り越えることができたら、この人材を生かしていくことができるのかなとは思いますけどね。

博士に行くのは、コスパ的にはどうなのか?

○大関:「興味の赴くまま、研究室や教授室に凸る。」とか言っていますけれど、「変わり者は、地方大学では中々生きにくい(笑)」。

○人見:はいはい、それもね、そうですよね。

○大関:そういうことは、感じたことがあります? 大阪は、都会ちゃあ都会なんでしょうけど。

○人見:大阪は都会ですけど、それこそ、イノシシのプロジェクトは、愛媛大学さんと一緒にやらせていただいて、教育機関としての側面が強いし、実地のところでも、めちゃくちゃ先生方は多忙なんだなと。それは地方とか都心とかあんまり関係ないのかもしれないですけど、地方の方がより社会性を要求されている世界観なのかなというのは、感覚的には感じますね。

○大関:東北大学って、変わり者。丸ちゃんが変わり者かというと、また違うね。わりとまともなほうなので。

○人見:教授のほうが変わっているかもしれない(笑)。

○大関:やりづらいということは、そこまで感じていないなと思っていますね。なるほどね。うん、何か困ったことはありますか? 博士課程の学生をやって。

○丸山:単純に東北大一般についてですけど、博士課程って、現状、コストパフォーマンスみたいなものは考えない。自分の周りはですけど、みんなコスパを意識して生きている人が多いなと思いますよね。そういう周りとの違いという意味でも、生きにくいというのは、自分的にはあります。

○大関:コストパフォーマンス。

○人見:コストパフォーマンス、悪いと思っちゃうよね。今、この時間をこれに使っていて大丈夫なのって思うんですけれど。

○大関:おお、研究に充てる時間が減ってしまう、みたいなこと?

○人見:いや、僕が今、丸ちゃんの話を聞いていて思ったのは、例えばマスターの時に、銀行に就職したいと思っているんだったら、物理の研究をするよりも、今この時間を資格の勉強に充てたほうがコスパはいいです。逆に物理の基礎研究をやっていたり、量子アニーリングの理論研究をやっていたら、何も生きないかもしれなくて、コスパ悪いですよね。

○大関:リスク回避ができていないということね。

○人見:そうそう、そうそう。

○大関:それは、そうかもしれないですね。でも、さりとて、社会人でご就職されて、その後に、何がしかの技術が欲しくて学び直しに来るという、その面もあるわけですよね。もちろん、それを予測することはできますかと言ったら、予測することはできないっちゃできないんですけれども、どうなんだろうね。コスパ。そうか。

○人見:コスパで選んでいる感は強いかも。

○大関:うんうん。でも、その後、行き詰まってしまうというのもあるじゃないですか。その時にどうするんだろうなというのは、どうしても。

○人見:結局、コスパというのも実は費用対効果なんだから、効果をどのぐらいかというのを評価しないといけないけど、でも、やっている時はもちろん分からないじゃないですか、その後どれぐらい何が必要かというのは。だから、あんまり考えても。

○大関:そう、どうしようもねえんだろうなとは。

○人見:どうしようもねえっていう。

○大関:その場にいる、そこでいるから得られるものについては、全力で尽くすというのが、仕事においても重要なんだとは思いますけどね、なかなかね。「コスパ重視という姿勢も結局別の誰かが作った線引きだと思います。自分で線引きする人が欲しい。」と。なるほどという気がいたしますね。あきさんは「コスパで研究したことない(笑)」そうです。これはちょっと面白いな。「博士に行ったからといって、給料が爆上がりするわけでもないし、早く結婚したいって人が周りにはやっぱり一定数いてるなって感じます。」、どう?

○人見:いや、全然、はい、したいです。

○大関:そうなんだよね。さっきの従業員話なんだと思っているんですよ、僕は。博士になると給料が上がらないというのは、従業員として扱う企業では、そうだよねって思うんですよね。だって、生かしていないんだもん、その人という意味と、その人のできるスキルを、ある意味何割かって言ったらたぶん3割ぐらいの部分を使ってやっているよねっていって、それのギャップもあると思う。

言葉にはできていないと思うんですよ。今日みたいに、こうやってやり取りしてみて初めて言葉にするなり、言われてみるとそうだよねと。博士というのは、ただ頭がいいわけじゃなくて、自分でマネジメントができる。セルフプロデュースができる。そういう人材を会社の中に入れますと言った時に、セルフプロデュースができるやつをいっぱい採用する必要がありますかって言ったら、実はないんですよね。

だから、その意味で採用数は少ないかもしれないけど、その採用した人はどう生かすかっていった時に、ロールモデルも少ないですというのもそうだし、どうやってこいつらを生かそうかというのは、企業さんの中でもないわけですよ。そうすると、ちょっと頭のいい人として扱う。そうなると、給料、月給3万円上げましょうかぐらいしかならないよねという問題も発生しているんだと思うんですよね。

だから、そういう意味では、こっちも優秀な学生なり、コミュニケーション能力を高めた学生は当然必要なんですけれども、民間企業の中でも、どう生かすかというところをしっかりと考え直す必要があるのかなとは思いますけどね。

個人開発ができて、自己表現をする。アーティスト的な側面もある。

○大関:「こんばんは!コスパという観点だと、海外と比べると違うんですかね?」。海外の博士。Facebookだったり、Googleだったりとか、、高いんですよね、給料がね。

○人見:そうですね。だから、結構もらえるのはもらえますよね、博士課程まで行って。しかもPh.Dを持っていたほうが、その後の職探しも全然違うというのはあるけれども、さっき、それこそちょっと話していたけど、それって逆に、Ph.Dがただの就職のための特急券に落ちる可能性もあるじゃないですか。

○大関:はいはい。

○人見:そういう世界観が進んでいくと。だから、Ph.D取っておきゃお金儲けできるわという世界も、果たして。

○大関:ありなのかというね。

○人見:もろ手を挙げて喜べるかって言うと、どうなんだろうとなりますよね。

○大関:うんうん。なるほど、丸山くん、どうですか。行きたいと思ったこと、ある? 俺は全くないです。日本の飯はうまいと思っているので。

○丸山:ううん、ないです。

○大関:うんうん。短期とかで、経験上は積もうというのはあると思うのですけれど、生活の主戦場とするというのは、また、人それぞれあるとは思うんですけどね。海外の話をすると、隣の芝が青いみたいな話は当然出てきてしまうんですけれども。それも含めて、だから結局、博士課程を支援しましょうという動きと同じなんだと思うんですけれども、それは何のために支援するんですかという。経済的困窮を極めているから支援をしてるというのが今だと思うんです、日本は特に。

だけど、たぶん、海外での博士の支援の仕方というのは、社会のインフラとして、人材として大事にしているからこそ支援していると。隣で芝生的によく知らないままに言いますけれど、そうなんですよ。

そう思うと、さっきの「民間企業での生かし方 is 何」というのが分からないままだから、単純に支援するとしても、なぜってなるのかなというのがあって、片手落ちの議論をずっと続けているんだろうなというのは、ありますね。

○人見:みんな不幸ですよね。

○大関:そうそう。

○人見:会社も、個人も、行政も、みんな不幸ですよね。

○大関:そう。わけの分からないまま頭のいい子を育てましょうってなっちゃうので、それはちょっと違うよね、というのはあるかなと思います。

だから、少なくとも日本で、今はデジタルトランスフォーメーションの例を挙げましたけれど、社会的にインパクトのある、もしくは変化を求めているという時には、僕は、この博士課程学生に任せたほうがいいと思っているんですよね。出身者ですね、博士を取った人にね。

やっぱり、ぽっと思い付いたことでそもそも論を言ってくる、みたいな。リチャード・ファインマンが、ロケット墜落事故の時の調査員になった時に、最初はやらないって言って、でも、奥さんに「あんたがいたほうがきっと変なものを見つけるから行きなさいよ」って言われた話を、僕は忘れられないんですよ。やっぱり、博士を卒業された方というのは、変わり者であると。変わり者であるということは、着眼点が違うというのもそうだし、セルフマネジメントができて、セルフプロデュースができるということは、それで見つけた何かで結果を出すことができると思うんですよね。

そうなると、実は大企業ではないかもしれない。中小企業とか、ちっちゃいところで一人でも二人でも採用していただいて、新しいことを作るという時に、この博士課程学生出身者、卒業生というのが羽ばたいていく社会ができる。そうした時に、人が少ない日本であっても、博士課程学生は幸いわりと多いので、そうしたら卒業した人もわりと多いので、生かしていく道があるのかなと思いますけどね。

はい、あっという間に、お時間が8時になってしまいましたけれどもね。最後に、お二人、せっかくなのでひと言ずつ、言いたいことはありますか。言いたいことというとあれですけれども、これからの残りの博士課程学生生活と、社会人生活をしつつ、目標なりを。

○人見:私から、いいですか。

○大関:どうぞ。

○人見:全く何も考えていなかったんですけどね。もうちょっと博士課程卒業できるように頑張ります。偉そうなことを言いましたけど、それが一番ですね。

○大関:まずはね、直近の目標でございますので。

○人見:一番ですし、その後どうなっているか分かりませんが、道端で見掛けたら、ぜひ、飲みに行きましょうぐらいしか言うことがないですけど(笑)。

○大関:今日はジャケットを着ていますけど、アロハシャツを着ていたり、シーズンによって楽しめるので。

○人見:シーズンによって、春号から冬号まで。

○大関:ファッションショーがありますので。

○人見:ぜひ、またよろしくお願いします。何を言っているか分からないですけど。

○大関:丸山くん、最後のあいさつをお願いします。

○丸山:自分は、今シグマアイでやっていることに、企業研究者としてやれたらいいなというのは、研究と関係ないんですけれど、個人で開発していることとか、サービス開発や、博士課程とか、研究室で得たことを、そういう個人的な活動にも生かしていけたらいいかなって、思っているところです。

○大関:はい、ありがとうございます。

というわけで、上のコメントというか、どういう話をしたかというまとめがあるわけですけれども、博士課程を卒業した人というのは変わり者である、セルフコントロールができ、セルフプロデュースができるから、さっきの丸山くんの話じゃないですけど、個人開発ができて、自己表現をする、ある種アーティスト的な側面もあるのかなと思いますので。

そういった目線で、ただの頭のいい人とかではなくて、道を追求した人というところは変わらないんだけれども、新しい芸術の形であったり、表現の仕方なんだなということを理解していただけると、これから博士課程の人を見る目が変わるのかなと思います。もしも経営者の方とか、人材採用、人事の人からいったら、そうか、博士卒業の人はこういうふうに活用するといいのかと言って、新しい部署に所属させていただいたりするといいことがあるんじゃないかなと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

では、本日もSigma-i Meet up、普段とは雰囲気が違ってお二人が緊張しておりますので、インタビュー口調でやりましたけれど、いかがだったでしょうか。また、次回、Sigma-i Meet upでお会いすることを楽しみにしております。

それでは、またの日、来月ぐらいなんですかね、またお会いしましょう。どうもありがとうございました。

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