2026年5月11日、RagateはAWSプレミアティアサービスパートナーである株式会社サーバーワークスと資本業務提携を結びました。まず発行済株式の20%を取得してもらい、段階的にグループの一員となっていく形です。
その約1か月後、代表の益子竜与志はこの判断の背景をブログに書きました。タイトルは「製販一体で、SI市場の次の勝ち筋を取りにいく ― 資本提携で変えること、変えないこと」です。
まず、第9期が過去最高益だった
記事は決算の報告から始まります。第9期は過去最高益で着地しました。
ただし本人は、これを到達点としては扱っていません。創業から数えて10期目という段階で経営者として反省すべき点が多くあると認めたうえで、「自分の信念を曲げずにここまでやってこられた」ことを評価する、という書き方です。過去最高益はあくまで通過点だ、と明記されています。
業績が悪くて身売りをした、という構図ではありません。最も良い数字が出た年に、次の一手として提携を選んでいます。
なぜ、いま提携なのか
理由として挙げられているのは、第10期以降の加速度的な成長です。
Ragateが培ってきたノウハウは「いままさに市場が求めている企業像そのものだ」と益子は書いています。戦略立案から実装・運用まで一気通貫で支援する企業。この価値をより多くの顧客に届けるために、ここでギアを上げる必要があった、と。
提携相手については、「ずっと一緒に仕事がしたかったサーバーワークスさん」という見出しが立てられています。同社はAWSプレミアティアサービスパートナーとして1,540社を超えるクラウド導入・運用を支援してきた国内有数のクラウドインテグレーターです。
サーバーワークスグループの大規模な顧客基盤とエンタープライズのインフラ実績に、Ragateの最新鋭のAI・サーバーレス技術を掛け合わせる。この組み合わせで、業界内でも屈指の技術力が実現できる、というのが狙いです。
買い手のリテラシーが上がり、交渉力が増した
市場の読み方も具体的に書かれています。
AIという「代替品」の登場によって、買い手側のリテラシーが急速に上昇し、交渉力が増している。顧客はもはや概念やユースケースの説明に疲れており、「結局うちは何をどう変えればいいのか」という実行レベルの提案を求めている。
だからマーケティング施策も「実行がイメージできる」ものでなければ市場で機能しない、と続きます。開発者、マーケター、営業が「製販一体」の考えで連携することが、時代を勝ち抜く必須条件である、と。
タイトルの「製販一体」は、ここから来ています。つくる側と売る側が分かれていては、実行レベルの提案は出てきません。
変えないもの、変えるもの
記事の中盤に、この提携で何が変わり、何が変わらないのかが整理されています。
変えないのはサービスの根本的な価値提供です。AI時代への対応は続けるが、創業以来ぶれていない基本的な価値観は維持する。
大きく変えるのは、販売チャネル戦略でした。良いサービスを持っていても届く場所が限定されては意味がない。サーバーワークスとの提携を通じて「届け方」を大きくスケールさせる、という説明です。
現在Ragateの案件は4つの経路から入ってきます。自社で直接契約するプライム案件、サーバーワークスとの共同案件、他社と組んでの共同提案、すでに動いている案件への参画。パートナーと一緒に進める案件は全体の半分くらいを目指す、という目標が置かれています。提携は、この構造を支える柱のひとつです。
提携で、いちばん大切にしていること
この記事で最も個人的な部分は、提携において何を重視しているかという箇所です。
最も重視しているのは人間関係の構築だ、と益子は書いています。ビジネストークから入るのではなく、まず相手の人となりを知り、自分の人となりを知ってもらう。「素晴らしい議論は、素晴らしい人間関係からしか生まれない」という信条を社会人2年目から貫いており、提携でも同じ原則を適用している、と。
そして、率直な注意書きが続きます。大手企業との提携だからビジネスが自動的に成功するわけではない。実際には「ちょっと距離感の近いアライアンス」程度の関係性から始まり、共に汗をかいて信頼を積み上げることで、初めてシナジーが本物になる。
提携を発表した瞬間に何かが変わるわけではない、という認識が、最初から書かれています。
ホップ、ステップ、ジャンプ
今後の時間軸も示されています。第10期をホップ、第11期をステップ、第12期をジャンプ。一足飛びの成長を狙わず、計画的に進む方針です。
記事は、長期的なRagateの成長像に共感してくれるパートナーを見つけたことへの感謝と、「ラーゲイトは、ずっと残り続けます」という宣言で終わります。第10期がRagateの本当のスタートだ、と。
会社を説明することは、原点を確かめること
この年、益子は自分の会社を外部に説明する機会を重ねています。
2026年7月には金沢シーサイドFMの「社長!あなたの会社教えてください。」に出演しました。その振り返りのブログには、「会社を説明することは、原点を確かめること」だと気づいた、と書かれています。
番組で話したのは、22歳でサーバーレス技術に出会ったこと。当時は実務的でないと見なされていた技術に将来性を認めたこと。「先端技術を限定的なものにせず、より多くの企業が活用できる状態にしたい」という想いから23歳で創業したこと。そして「最新技術を大衆化する」というミッションが、創業当時から変わっていないこと。
単なるサービス説明ではなく、「意思決定の積み重ねがもたらした企業の輪郭」を改めて認識する機会になった、と書かれています。
資本提携も、ラジオ出演も、同じ年の出来事です。会社の形が変わっていく局面で、変えないものを繰り返し言葉にしている、というのがこの時期の記録になっています。