こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
先日、社内のメンバーからこんな相談を受けました。
入社して3年が経ち、プレイヤーとしては一人で案件を回せるようになってきました。でも、これからマネージャー的なポジションを担っていく上で、これまでの『プレイヤーとしての成長の仕方』とは別の何かが必要な気がしています。どう成長していけばいいのでしょうか?
これは、多くのビジネスパーソンが若手から中堅に差し掛かるタイミングでぶつかる壁です。
若手の頃は、「早く自走できるようになろう(=一人で仕事が回せるようになろう)」と教えられます。若手レベルであれば、日々の業務をこなし、目の前の目標を達成していけば、自然とプレイヤーとしての能力は上がっていきます。
しかし、プレイヤーとして一定の成果が出せるようになった後、そこからさらに上のレイヤー(マネージャーや事業責任者など)へ行くためには、「自走」だけでは不十分です。そこで求められるのが、「自育」、つまり「自分で自分を育てる力」なのです。他者から自分を育ててもらう機会や時間が減っていくタイミングにこそ、この自育のスキルが重要になります。
今回は、キャリアの頭打ちを防ぎ、自分自身を一段上のステージへ引き上げるための「自育と非連続な成長」の考え方についてお話しします。
目次
「連続的な成長」と「非連続な成長」
今のあなたの職場が、有能な上司がずっと引き上げてくれる環境であれば、ついていくだけで成長できるかもしれません。しかし、いつかはその環境にも限界が来ます。その時に自分で自分を育てられるかどうかがキャリア戦略上、非常に重要になります。
「自育」の種類には、大きく分けて2種類の成長が存在します。
①連続的な成長(日々の改善)
一つ目は、一次関数のグラフのように、努力した分だけ右肩上がりで伸びていく「連続的な成長」です。これは、日々の業務の中で振り返りを行い、できなかったことをできるようにしていく習慣によって作られます。
しかし、この連続的な成長には「ポジションによる上限」があります。
新入社員には新入社員の、現場のマネージャーにはマネージャーの期待値というものがあります。今のポジションの中でどれだけ日々の改善を繰り返しても、そのポジションに求められる期待値の天井にぶつかってしまうのです。つまり成長とともに役職を上げたり、ポジションチェンジが起きないと、成長はそこで止まってしまうのです。

連続的な成長は、実際はかなりすぐに止まってしまう
②非連続な成長(ギアの入れ替え)
連続的な成長が止まってきた時に必要になるのが、もう一つの「非連続な成長」です。これは、これまでの成長曲線の延長線上ではない、階段を一段飛ばしで登るような成長です。
そのためには、「目標の置き換え」と「そのためのギアの入れ替え(=価値観のアップデート)」が不可欠になります。
「個人で売上を追う」から「チームで追う」へ。
「自分の成長」から「事業の成長」へ。
このようにミッションを大きく書き換えた時、これまでのやり方やスタンスのままでは到底太刀打ちできないことに気づくはずです。そんな時に、これまでのやり方で2倍頑張るのではなく、これまでの自分から脱皮し大きくやり方を変えていく必要があります。

「非連続な成長を何回起こせるか?」が、キャリアの至上命題なのです
「セルフ認知科学コーチング」のすゝめ
非連続な成長を遂げるためには、現状の自分の認知(価値観ややり方)を根底から書き換える必要があります。コーチをつけながらこのような認知の書き換えを行うアプローチを認知科学コーチングと言います。
これをコーチをつけてやってもらうのではなく、自分で自分自身に仕掛けることを、私は「セルフ認知科学コーチング」と呼んでいます。
わかりやすい例で説明しましょう。
「来期の目標は前年比1.2倍です」と言われたら、多くの人は「じゃあ、土日も少し働こうかな」「作業をもう少し効率化しよう」と、これまでの取り組みやその価値観の範囲内の延長線上で努力しようとします。
では、「目標は前年比3倍です」と言われたらどうでしょう?労働時間を3倍にすることは物理的に不可能です。つまり、これまでのやり方を根本から捨て去り、戦い方そのものを変えざるを得なくなります。「そもそも一人採用しないと無理だ」「商品単価を上げる仕組みを作らなきゃいけない」といった具合に、視座が強制的に引き上げられるのです。
このように、既存のやり方では絶対に到達できない「極端な目標」をあえて設定し、自分の認知を強制的に書き換えること。
これが非連続な成長を生み出すトリガーになります。
安易な転職が招く「ミドルエイジクライシス」の罠
この「非連続な成長」から逃げてしまうと、後々キャリアの大きな危機を迎えることになります。
近年、転職によって給与を上げるのが当たり前になってきました。転職=キャリアアップといった考え方も植え付けられています。もちろんそれ自体は悪いことではありませんが、ここに落とし穴があります。
転職で給与が上がったとしても、それは「非連続な成長」を遂げたわけではなく、「今の自分の実力でもらえる限界水準に、早く到達しただけ」というケースが非常に多いのです。
本来なら45歳で到達するはずだった限界の年収に、転職を繰り返すことで36歳で到達してしまったとしましょう。給与は上がりますが、自分自身の「実力の天井」が突破されたわけではありません。

転職による給与UPは実力が伴っていないので、やり過ぎに注意が必要
そして、いざそこからさらに上を目指そうとした時、「実力をつけるための厳しい舞台」は、その年収帯ではもう誰も用意してくれません。もしもう一度実力をつける舞台に戻ろうとすれば、年収を大きく下げる必要が出てきます。
こうして、「給与は高いが、これ以上成長する見込みもなく、任せられる大きなミッションもない」という状態に陥る。これこそが、40代前後で多くの人が直面する「ミドルエイジクライシス」の正体の一つだと私は考えています。
若手のうちは、経験は買ってでもしろ
「今の仕事、ある程度こなせるようになったな」
「最近、大きな壁にぶつかってないな」
もしあなたがそう感じているなら、それは連続的な成長が頭打ちになっているサインかもしれません。そこで安易に環境を変えて年収を上げるだけの道を選ぶのか。
それとも、あえて自分の認知を書き換えなければ達成できないような「極端な目標」を自ら設定し、非連続な成長の苦しみに飛び込むのか。
後者を選べる人、つまり「セルフ認知科学コーチング」で自分で自分を育てられる人だけが、長期的にキャリアを伸ばし続けることができるのだと思います。「経験は買ってでもしろ」と昔から言われますが、まさにその通りです。プレイヤーとしての自走に慣れてきたら、次はぜひ「非連続な成長」を自ら創り出すことに挑戦してみてください。