20歳で独立宣言をし、25歳で実際に起業した河内道生 CEOが率いる株式会社ノットコーポレーションは、築古ビルやオフィスを独自の発想で再生・リノベーションさせている企業です。
まだ「リノベーション」や、「リモデル」という言葉が一般的ではなかった時代から、その可能性に着目し、着々と実績を積み重ね、施工のみの職人の会社からスタートし、現在では企画・設計、デザイン、施工まで一気通貫で成し遂げる企業へと成長してきました。
営業のノウハウさえわからない状況から自ら道を切り拓いてきた河内代表が大切にしているのは「お客様に寄り添うこと」と「期待値を超えること」。どのような発想・独自の視点でビルのリモデルを成功させ、事業を拡大してきたのか、どのような価値観を持ってゼロの状態から道を切り拓いてきたのか、河内代表にありのまま語っていただきました。
「カッコよく生きる」をポリシーにし、河内代表の原点とも言えるグループ会社・株式会社ザ・ガッツ、そしてリノベ事業を担うノットコーポレーションの魅力とは、どのようなものがあるのか、建築やインテリアデザイン、内装の仕事に関心がある人はもちろん、人生を切り拓き、「カッコよく生きたい」と思っているすべての人にお届けします。
独自の発想で築古ビルの価値を再構築。お客様の未来をつくるシゴトがここにある。
Q)まずはじめに、ノットコーポレーションはどのような事業を展開している会社なのか教えてください。
河内:ノットコーポレーションの河内です。
弊社は「未来をつくるカンパニー」を企業理念に掲げ、「ノットがかかわることで未来が変わる」を合言葉に、お客様の未来をつくる仕事をしています。具体的には、すでにあるビル、店舗、オフィスの付加価値を高めるリノベーションやリモデルの設計・デザイン・施工までを一気通貫で行なっています。
Q)「お客様の未来をつくる」ということですが、御社ならではの特徴や、強みについて伺えますか。
河内:弊社は1998年に創業し、2001年に法人になったのですが、創業当初は商業施設、店舗の設計・デザイン・施工を主軸に手がけてきました。お客様を引き込む空間をつくらないと成り立たない商売のため、「人が集まる空間」、「集客力を高める仕掛け」といったスキルやノウハウ、実績を積み重ねてきたことが弊社の強みだと自負しています。
この強みを活かして、既存ビルやオフィスの眠っている可能性を引き出して再生させ、設計・デザイン・施工を起点に「お客様の儲かる仕組みづくり」を提案させていただく。これが弊社の特徴です。
建物はすべてそうだと思いますが、特に経験を積み重ねてきた商業施設においては、お客様、つまりは人がその空間をどう感じるのか、どのような心持ちになるのか、どのような欲求を満たし、満足を提供するのかといったことを考え、カタチにしていくことが重要です。そういった発想やスキル、ノウハウ、経験を活かして、ビルの集客を考えたエントランスや共有部分のリノベーション・リモデル(再構築)を企画から設計・デザイン・施工まで行なっていますし、最近では、リクルーティングやエンゲージメントを高めるための「オフィスづくり」を提案し、実際に企画・設計・デザイン・施工までさせていただいています。
幅広い領域をカバーするノットコーポレーションが提供する『建物のシゴト』の解像度を高める。
Q)オフィス以外にも商業施設の事業を行っているとのことですが、貴社でになっている事業について、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
河内:おっしゃる通り弊社では、商業施設も手がけていまして、現在では大きく分けて3つの視点で事業を展開しています。
まず1つ目は、現在の主軸である『ビルソリューション事業』です。この事業では、築古物件の課題や個性をふまえ、外観やエントランスのリモデルでビルを再生させ、時代を見据えた収益性を高める提案を行い、企画・設計やデザインから施工まで、トータルに展開しています。
昨今、スクラップ&ビルドで新しいビルが建っていますが、建築費高騰などの影響により、中小ビルの建て替えはなかなか厳しい時代です。同時に、壊して建て替えることの繰り返しに疑問を持つ人たちがいるのも今の時代だと思います。
ビルソリューション事業での唯一無二の使命は、「既存物件の価値と収益性を高めること」であり、僕たちは、今あるものの価値をどうやってもう一度生み出すのかを真剣に考え、取り組んでいます。外観やエントランスはもちろん、ビル全体の価値再生を図る、この事業が僕たちの一番の活動の軸です。
2つ目は、『オフィス事業』です。働き方改革や、DXの推進ほか、オフィスを取り巻く環境は変化し、オフィスに求められる機能や、空間づくりも変化しています。
オフィス事業では、多様な働き方への対応や社内コミュニケーションの活性化をはじめとする「働くみなさんのエンゲージメントを高めるためのオフィスづくり」に取り組んでいます。クライアント企業の空間的課題を解決し、業務拡大や生産性向上を実現するオフィスとはどのようなものなのか、どのようなオフィスであれば今後、新しい人材が入ってくるのかなど、クライアントさんにとってのオフィスの役割や求められる機能、空間づくりを考え抜いて、提案。もちろん、企画から施工まで一気通貫で実現しています。最終的に、イノベーションを生み出す源泉の場となり、企業の未来をつくるオフィスを考え、提供していきたいと思っています。
3つ目は、スペースソリューション事業。飲食、物販、商業施設、ホテル、アミューズメント施設など、さまざまな店舗展開事業です。創業当初から展開していた分野をブラッシュアップし、「集客力のある店舗をつくること」は最低条件であり、僕たちにとっては基本だと考えて取り組んでいます。現在は、店舗の設計・デザイン・施工はもちろん、クライアントの目的や目標を実現するために必要な、マーケティングやコミュニケーションプラン、競合他社との差別化を図るためのブランド構築など、トータルに戦略を立案し、多面的な視点で提案しています。
Q)店舗からビル、そしてオフィスと事業対象が拡げてこられたのですね。
河内:そうですね。店舗からビルのリモデルに主軸を移した頃はオフィスの展開は行なっていませんでしたが、ビルのリモデルで成果を出していくなかで、テナントとして入っているオフィスからリノベーションの依頼が来るようになりました。
僕たちとしても、テナントさんの空間的魅力が高まることはビル全体の価値を高めることに繋がりますし、ビジネスとしても1つのビルで二毛作的な展開が可能になりますので、戦略的にオフィス事業も展開するようになったんです。
Q)他にも『コーヒーショップ』を運営していると伺いましたが、こちらはいかがでしょうか?
河内:コーヒーショップは、僕が代表取締役を務めている『株式会社ザ・ガッツ』というグループ会社で運営しています。
ザ・ガッツは建物の内装施工、内装化粧フィルムやグラフィックシートの貼り施工をメインに、建物の価値を創造する職人たちの集まりであり、プロフェッショナル集団です。
「That’s great!」を理念に、職人としての技術力や仕事への姿勢、創り出す空間はもちろん、立ち振る舞い、行動、発言といった人としての在り方についても、職人として譲れない誇りとスタイルを持つ専門集団であり、人としての芯の部分で「カッコよく生きる」ことをポリシーに活動しています。
Q)そのようなプロフェッショナル集団が、なぜコーヒーショップを運営しているのか教えていただけますでしょうか。
河内:コーヒーショップというよりは、ベンチとカウンターだけの「THE GUT’S COFFEE(ザ・ガッツコーヒー)という名のコーヒースタンドで、ザ・ ガッツの工場の入り口にあり、ひとことで言えば、ザ・ガッツのコンセプトショップです。
ガッツの職人の技術力を含めたカッコ良さをより多くのみなさんに伝えたい、「職人ってカッコいいな」「面白そうな仕事をしているんだ!」と気づいていただくきっかけにしたいと思い、始めました。
職人の「カッコよく生きる」を表現したコーヒースタンドは、バリスタが注文ごとに豆を挽き、至極の一杯を抽出しています。ご興味のある方は、ぜひ一度足を運んでいただきたいですね!
Q)前提の質問になってしまうのですが、ノットコーポレーションと、ザ・ガッツは仕事上の関わりはあるのでしょうか。
河内:ノットが行う企画・設計・デザイン・施工のうち、内装施工、内装化粧フィルムや、グラフィックシート貼りの施工をその道のプロフェッショナルであるザ・ガッツが行うという関係です。
ノットコーポレーションは、もともとザ・ ガッツのように内装施工の会社からスタートし、会社の成長とともに、施工だけでなく、企画や設計、デザインと川上の仕事も行うようになりました。もちろん施工も行うわけですが、業務量からいって協力会社が必要になります。
一方で、僕はものづくりというか、ザ・ガッツのような職人の仕事が好きなので、だったら内装施工の職人を集めたプロフェッショナル集団をつくろう!と思い、別会社としてザ・ガッツをつくったというのが流れになりますね。
ザ・ガッツは、ノットで企画、デザインし、設計した内容、施工に求めるクオリティや材料、工法などを一番わかっている職人たちがいるため、意思の疎通がスムーズで、クオリティの高い仕事ができる。さらに、ノット一社の時よりもグループとして儲かるというスキームができたと個人的には考えています。
クオリティの高い商品を扱い、お客様に「That’s great!」と思っていただける施工にこだわっているザ・ガッツは、技術力はもちろん、仕事ぶりやつくるものに高い競争力があり、ノットの強みの一つになっています。
お客様に想像・期待以上の価値を提供するシゴトの実態。ノットコーポレーションが大切にするスタンスとは。
Q)ノットコーポレーションにおいて、お客様との関係性や、提案で大切にしていること、御社ならではの工夫などあれば教えてください。
河内:ノットの仕事はビルのリモデルなど規模が大きいので、一度仕事をさせていただいたお客様とはしばらく仕事のやりとりがなくなることが結構あります。
そのため、仕事をさせていただいている間が、もっともお客様との関係づくりのために大切な時期であり、僕たちの仕事ぶり、仕事の結果で信頼いただくことが何よりの関係づくりだと感じています。
信頼いただくために大切にしていることは、「お客様の期待値を超える提案と仕事を行うこと」です。例えば、常にセンスを磨き、時にはサプライズ的な活動を行うなど、期待値を超えるための努力を日々行なっています。
Q)現実問題として、大手の同業他社と比較されるケースも多いのではないかと思いますが、競合相手に勝つために行なっている工夫や考えていることなどがあれば伺えますか。
河内:大手の同業他社と戦うためには、僕たちの強みをもっと出していかなあかんなぁと思っていますね。企画力をさらに上げていきたいとも思っています。
同時に、競合に勝つための工夫ではありませんが、僕たちは『お客様に寄り添った提案をすること』をとても大切にしています。
ありがたいことに、ずっと関係が続いている大手のお客さんもありますが、大きなプロジェクトになるとどうしても入札やコンペというカタチになってしまうんですね。それは致し方ないのですが、大手の競合に混じって僕たちがコンペに参加できるのは、僕たちがお客様に寄り添った提案をしていることをお客さんがわかってくださっているからこそだと思うんですね。ここはこれからも磨きをかけて大切にしたいですね。
繰り返しになるかもしれませんが、お客さんに寄り添い、さらにお客さんの期待値を超える提案や結果を出すことが僕たちにとってもっとも重要であり、さらに高めていきたいことです。
大手競合は多くのデザイナーを抱え、その中からトップのデザインを提案してくるわけですから、そこに勝つのはそう甘くはありません。もちろん、挑戦する価値はあります。
一方で、僕たちの強みを提供していくお客さんは大手だけではない。所有するビルの収益や価値の低下に課題を抱えている中小企業のみなさんは多いと感じています。そういう方々に寄り添って、課題を解決し、ビルの魅力や収益性を蘇らせる。大手のビルと比べると億単位の仕事ではないかもしれませんが、中小のビルのリモデルをきっちり行なっていくことが、お客さんの成長戦略に貢献し、僕たちの強みをさらに高めていくための大事な仕事だと捉えています。
とにかく思考の連続。革新的なアイディアでリモデルの業界のNo.1を目指す。
Q)中小ビルの『リモデル』で工夫されていること、他社と異なる魅力はありますか。
河内:中小ビルに限ったことではありませんが、外観やエントランスのリモデルを提案して、建物の収益性を高めていくことが僕たちならではの魅力だと思っています。
例えば、賃貸マンションのリフォームというと、各戸をリフォームすることを考えると思います。その場合、全戸改修し、例えば1戸につき100万円かかるとすると、30戸あるマンションでは3,000万円が必要です。
しかし、僕たちは、各戸の改修よりエントランスの改修を提案します。マンションを選ぶ時、まず目にするのは外観やエントランスであり、そこが汚いと部屋の見学までたどり着かない。だからまず、外観やエントランスからリモデルしてみることが良いという切り口で、例えば「500万円で30戸の確率をあげられるかもしれません」と提案する。これが他社と決定的に異なる僕たちならではの工夫であり、魅力だと思っています。
ビルのオーナーさんからしたら3,000万円かかるところを500万円で済むかもしれない訳で、やってみる価値はありますよね。実際に、エントランスをリモデルして空室を埋めた実績が僕たちにはあるので、そこは自信を持って提案しています。
外観やエントランスのリモデルで物件の付加価値を生み出し、収益性を高めるというアイデアは今から20年くらい前、僕が30代の時に考え、始めたのです。
Q)そのアイデアを考え出してからは、順調に事業を拡大してきたのでしょうか。
河内:いいえ、順調とは言えませんでした。何しろ最初は営業の仕方さえわからなかったのですからね(笑)。
僕自身はニーズよりもシーズが大事とか、これからはリノベーションやな、お客さんのお役に立てるよう価値提供や付加価値づくりをしていきたいなと思っていたのですが、今から約15年くらい前はまだリノベーションという言葉もあまり流行っていない時代でした。
今でこそ価値や付加価値、価値提供ということが言われますが、僕が住んでいた大阪は当時、そのような言葉に馴染みがない印象でしたから、僕たちの強みや価値を伝え、実際の売り上げにつなげていくしんどさは正直なところありました。それで付加価値への投資を考えている人がいる東京でまずは実績を積み重ねて地固めをし、そのあと大阪で展開するというスキームで取り組んできました。
Q)東京で実績を積まれたということは、ノットコーポレーションの特徴である外観やエントランスのリモデルで、ビルの収益を高めるという価値づくりが東京の市場でも受け入れられたということですよね?
河内:そうですね。築古ビルやマンションのエントランスをリモデルして、ビルの価値を再生させるという発想、概念を持っている施工会社が当時はなかったような印象でした。
ライバルがいない状況で、僕たちの事業はブルーオーシャンで勝ち筋だと感じたため、そこを狙って事業展開して行ったんです。それが結果に繋がったということだと思っています。
実際に東京で実績を積んで、そのあと大阪でもリモデルの事業を展開した次第です。
お客様に寄り寄り添いつつ、期待値を超えることをつらぬき成長してきたノットコーポレーション。河内社長の生き方そのものが会社のあり方になり、スタッフやクライアントを惹きつけています。
その背景にはどのような経験や想いがあるのか、第2章では河内社長の20代の頃のやんちゃな話や未来に向けた想いなどを伺いました。必見です!