支援先インタビュー | Leave a Nest CAPITAL
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「バックオフィス」という言葉に対し、「守りの仕事」や「定型業務」といったイメージを抱く方は少なくありません。しかし、その理解では不十分だと考えています。
私たちリバネスキャピタルは、この役割を「環境開発」と再定義し、従来の固定観念を塗り替えようとしています。本記事では、代表取締役社長の池上さんへのインタビューを通じて、「環境開発」の具体的な定義や役割、企業に与えるインパクトの大きさを詳しく解説します!
池上 昌弘 / 代表取締役社長
修士(技術経営)。東京工業大学生命理工学部卒業。2002年6月に株式会社リバネスを立ち上げ、取締役CFOに就任。リバネス創業期の財務・経理・労務などコーポレート業務を一手に引き受け、経営の土台構築に貢献しながら、これまでに70社以上の研究開発型ベンチャー企業のコーポレート・ファイナンス面を支援。2020年1月リバネスの子会社として株式会社リバネスキャピタルを会社分割により設立し、代表取締役社長に就任。
一番の理由は、バックオフィスという言葉が持つ「後ろに控えている」「守りの役割である」といったイメージそのものが、組織にネガティブな影響を与えかねないと考えているからです。
バックオフィスという呼び方では、どうしても「決められた手続きを、ミスのないよう受動的にこなすこと」だけに価値の重きを置いてしまいがちです。もちろん正確な業務遂行は重要ですが、急成長するベンチャーにおいて、既存のルールや仕組みは状況に応じて自ら柔軟に変えていくべきものです。それなのに「バック」と「フロント」という言葉で役割を切り離してしまうと、組織の中に明確な分断や対立構造が生まれてしまいます。
その通りです。フロント側がバック側を下に見るような空気が生まれたり、逆にバック側のメンバーが「自分たちは指示を待つサポート役だ」と自ら主体性を手放してしまったりする。こうした意識の乖離は、組織が急拡大する際に、本来攻めるべきところにまでブレーキをかけるような、致命的な要因になってしまう恐れがあります。
この「バックオフィス」という言葉が持つ「後ろに控えている」というニュアンスを払拭するために、私たちは「環境開発」という言葉にこだわり、役割を再定義したいと考えています。
一言で言えば、「経営のための適切な環境そのものを主体的に開発していくこと」で、経営者や事業部メンバーが自らの情熱をコア業務に100%注げるよう、組織に必要な仕組み・オペレーション・数字の土台といった環境を先回りして設計・構築し、アップデートし続けるプロフェッショナルな役割を指します。実務そのものは、経理や労務といった一般的にイメージされるバックオフィスの業務と重なる部分も多いですが、その役割に対する向き合い方が根本から異なります。
バックオフィスが「すでにある仕組みを維持・管理する」というイメージで見られがちなのに対し、「環境開発」は、経営のスピードや状況に合わせて、その仕組み自体をゼロから構築し、アップデートし続ける「攻め」の役割を担うものだと定義しています。
はい。その前提があるからこそ、リバネスキャピタルでは自分たちを「外注先」ではなく、経営の「伴走者」であると認識しています。
多くの創業期ベンチャーでは、代表者が不慣れな資金繰りや膨大な書類作成、雇用手続きといった事務作業に追われ、本来注力すべき研究開発が止まってしまうという課題を抱えています。そういった企業に対し、私たちは単に言われた作業を代行するのではなく、「どうすれば事業部のメンバーが自分のやりたいことに100%集中できる環境を作れるか」という問いからスタートします。
例えば、バラバラになった領収書を整理するような基本的な土台作りから着手し、その会社のフェーズや組織文化に合わせた最適なオペレーションをゼロから設計していくといったイメージです。このように、経営の足かせになる要素を先回りして取り除き、組織がスムーズに動くための仕組みを主体的に構築・アップデートしていくプロセスこそが、私たちが考える「環境開発」なのです。
その通りです。この役割を担う上で最も重要なのは、「自分たちの仕事の価値をどこに置くか」というマインドセットです。
既存のルールを遵守することに満足せず、「このルールは今の組織に本当に最適か?」と常に問い直し、自ら能動的に仕組みを書き換えていく主体性が求められます。自分たちの実務が、間接的にでも世界に対するインパクトや社会貢献に直結していると捉えられるか。目先の作業に埋没せず、より遠くのビジョンを見据えて動ける広い視座こそが、環境開発という機能を成立させる根幹となります。
「自分たちが研究に専念できるようになった」という声はもちろんですが、「経営の解像度が上がった」と言っていただけることが多いですね。経営者にとって、数字は共通言語です。私たちがカオスな状態を整理し、経営の「今」を正しく映し出すことで、彼らは自信を持ってアクセルを踏めるようになる。この「安心感」を提供することこそ、環境開発の本質的な価値だと考えています。
IPOを視野に入れ、資金調達のラウンドも進んでいたあるベンチャー企業での話です。外向きには順調に見えていましたが、急成長の影で、社内では管理業務がなかなか安定せず、バックオフィス体制の維持が困難な状況に陥っていました。
膨大な数の補助金を取得しているものの事務管理が追いつかず、担当者が入れ替わるたびにノウハウが分散するという課題を抱えていたんです。現場が「本来あるべき管理体制」を模索し、手探り状態で奮闘する中、リバネスキャピタルのメンバーが週に1回ペースで実際に現地へ入り込みました。
まずは「その企業のバックオフィスメンバー」の一員として、メンバー自ら手を動かし、滞っていた実務を1つひとつ片付けていくことから始めました。その過程で現場スタッフが抱える悩みや、経営陣まで届いていなかった細かな課題を丁寧に吸い上げ、それらを「解決すべき課題」として言語化していったのです。
その言語化をヒントに、混乱していた業務フローを整理し、当時の組織のフェーズでも確実に回せる「必要最小限のオペレーション」を再設計しました。作業を代行するだけでなく、客観的な視点で組織の歪みを正し、持続可能な仕組みを構築したことで、新たなCFOをスムーズに迎え入れられる土壌も整い、組織は落ち着きを取り戻しました。
▼リバネスキャピタルの支援先インタビュー
自分の業務を単なる作業として捉えるのではなく、その本質的な課題がどこにあるのかを自ら言語化し、解決に向けた道筋を設計する力です。私はこれを「仕事の定義力」と呼んでいます。
自身の仕事をきちんと定義できれば、どの業務を型化して仕組みに任せ、どこに人間が深く関与すべきかという「役割の境界線」を自ら引けるようになります。
環境開発のメンバーに求めているのは、定型業務を最小化することそのものではありません。それによって生み出した余白を、事業部の「攻め」を加速させるための知識製造や、経営の意思決定を支えるための思考に充てること。つまり、実務を通じて組織にどのような新しい価値を実装できるかを自ら描き、実行してほしいと考えています。
そうですね。ただ、私たちは外からアドバイスするだけの存在ではありません。伴走先において足りないリソースがあれば、自ら手を動かす。「手も口も出す」のがスタンダードです。
実務のプロフェッショナルとしてレベルアップしながら、現場の困りごとをヒアリングして課題の本質を見抜き、それを解決するための具体的なオペレーションへと落とし込んでいく。このプロセスを通じて、自身の「構想力」や「課題認識力・解決力」も磨かれていきます。
作業をこなす人材ではなく、ベースの仕組みをデザインし、その結果を経営判断に接続する人材になる。リバネスキャピタルでは、入社間もないメンバーであっても、今の業務をどうアップデートするかを問い続けます。それは、彼ら・彼女らが将来どのような環境へ行っても通用する、本質的な「仕事の定義力」を身につけて欲しいという想いが背景にあるんです。
私が掲げている構想は、「1ベンチャー・1環境開発計画」です。全てのベンチャー企業に、経営者の右腕としてボールを何でも拾い、環境を整えられるプロフェッショナルが一人必ずいる世界を実現したいと考えています。
私たちは自らがそのモデルケースとなると同時に、そうした「環境開発人材」を育成し、輩出していくためのインフラになりたいと思っています。
この仕事で求められるのは、特定の資格や専門スキルよりも「お盆の広さ」(=柔軟な対応力)だと考えています。ベンチャーの創業期は、とにかく領域の定義ができない「こぼれ落ちる球」が無限に発生します。それを「自分の担当ではない」と安易に線を引かず、企業・事業成長に繋がるものだと信じ、何でも面白がって拾いに行けるスタンスが非常に重要です。
実際に私たちのメンバーは、経理や給与計算、労務、法務対応といった実務はもちろん、AIを使いこなした業務改善や、時にはイベントの企画・司会、営業活動まで、文字通り「何でも」こなしています。特定の領域に固執せず、自身の役割を柔軟に広げていくプロセスそのものを楽しめる好奇心旺盛な方こそが、最も輝ける場所だと言えるでしょう。
そうですね。意外かもしれませんが、私は「やりたいことが明確にない」ことは、この仕事において強力な武器になると信じています。強い志を持つアントレプレナー(起業家)に伴走するには、相手を自分の色に染めるのではなく、相手のベクトルを理解して全力で乗っかるための柔軟な器が必要だからです。
「やりたいことがない」からこそ、「誰かのやりたいことに全力で乗っかる」ことができる。この乗っかり方は、受け身な姿勢では絶対にムリで、自発的な選択でしか為し得ません。言いたいのは、「やりたいことがない」ことを、何もやらないことの言い訳にするのはとても勿体ないということなんです。
ネガティブに捉えがちな面を逆手にとり、誰かのやりたいことに全力で乗っかっていくという一歩さえ踏み出せば、あなた自身の「やりたいこと」や「介在価値」もいつか必ず見つかるでしょう。
過去の私自身がそうだったのですが、やりたいことが明確になかった中、ただ目の前の面白いことに巻き込まれる形で仲間たちの夢に乗っかり、一緒に走り抜けてきました。その過程で気づきを得て、今こうしてリバネスキャピタルという会社を仲間と一緒に動かし、世の中のベンチャーを伴走支援するというやりたいことが見つかりました。
誰かの情熱に全力で乗っかり、本気で向き合う経験は、必ずあなた自身の価値を高める第一歩になります。リバネスキャピタルには、失敗を恐れずにチャレンジできる機会が面白いほど転がっています!
今の自分に何ができるかわからない、あるいは将来の目標がまだ見えないという人にこそ、ぜひ飛び込んできてほしいですね。