メトスは、長い歴史の中で安定的な成長をしてきました。その結果「サウナと言えばメトス」と業界関係者に認知されるポジションを築くことが出来ました。これまでメトスが日本にサウナ文化を定着させてきた取り組みの歴史とこれからの事業ビジョン、成長戦略について代表取締役社長の吉永昌一郎が語ります。
吉永昌一郎 代表取締役社長 福岡市中央区出身。高校卒業後、航空自衛隊整備士を経て、アパレル業界、照明業界、水処理メーカーを渡り歩いたあと、1997年株式会社メトス(旧:中山産業株式会社)に入社。入社後は、山口県〜九州一円の営業を手がけ、その後、温浴事業統括、東京支社長、理事、取締役を経て、2018年に代表取締役に就任。
ーーメトスをご存じない方に向けて最初に事業説明をお願いします 弊社は 「人の心と体をあたためる」 をスローガンに掲げ、サウナ・温浴/暖炉・薪ストーブ/介護浴槽の3領域を軸に、空間づくりとプロダクト提供を行っています。特にサウナ・温浴分野では、国内の施設向けサウナ関連設備の企画・設計・施工を担い、豊富な導入実績を強みとしています。
また、暖炉・薪ストーブ領域では、国内外ブランドの薪ストーブや関連アクセサリー、メンテナンス用品などを取り扱い、暮らしに“火のある時間”を届けています。
さらに介護浴槽では、介護施設や病院での入浴を支える製品・仕組みを通じて、「入浴ケア」の質向上に貢献しています。
加えて、サウナ関連商品を扱う直営店/オンラインを通じて、サウナ文化の発信や体験価値の提供にも取り組んでいます。そうした中で「サウナと言えばメトス」と業界内では言われるポジションを築くことが出来ています。
ーー「サウナと言えばメトス」というポジションはどう作られてきたんですか? 実は、「サウナと言えばメトス」という立ち位置を意識して最初に動き始めたのは、今から15年ほど前になります。 当時は、サウナそのものが今ほど注目されていませんでしたし、「サウナ文化をどう広げるか」という視点自体が、ほとんどなかった時代でした。
ロウリュ普及に向けた仕掛け 私たちが最初に着目したのは、 「ロウリュ(löyly)」 です。
ロウリュは、サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる、フィンランド由来のサウナ文化です。 ところが当時、日本ではこの言葉の表記がバラバラでした。「ローリュー」だったり「ロウリュー」だったりと。SEO的にも、文化的にも、言葉が統一されていない状態だったんです。 そこで私は、日本サウナ・スパ協会にお願いして、表記を「ロウリュ」に統一しませんか?と提案しました。
「サウナ文化を広げるなら、まず言葉を整えないといけない」 ここが、「サウナと言えばメトス」の最初の入口でした。
全国で3施設しかなかったロウリュを、普及させる 当時、ロウリュを実施している施設は、全国でわずか3か所しかありませんでした。 多くの施設では「水かけ禁止」が当たり前で、ロウリュ自体が“危険な行為”と見られていた時代です。私たちは、「ロウリュの安全性」「正しい設備設計」「運用ルール」を整理しながら、熱波師・施設・メーカーを巻き込んで普及支援を進めていきました。その結果、 約3年で150施設以上にロウリュが広がり 、 「これから確実に増える」という手応えを得ました。
次に来ると読んでいたのが、ロウリュ専用ヒーターです。「ロウリュを前提に設計されたヒーターが必要になる」そう考え、私たちはフィンランドのサウナヒーターメーカーと組み、 ロウリュに最適化されたヒーターを日本市場に提案していきました。
今では当たり前になっている、石を多く積み、水を受け止める構造のヒーターですね。 この流れで、「ロウリュ × メトス」という認知が、一気に業界内に広がりました。
フィンランドと共に、文化として広げた もう一つ大きかったのは、フィンランドとの関係性です。私たちは10年以上前から、 Sauna from Finland(サウナ・フロム・フィンランド) という、フィンランドのサウナ関連企業約200社が加盟する団体に、日本代表として参加してきました。そこでフィンランド側から言われたのが、 「日本でサウナ文化を広げる方法を、一緒に考えてほしい」
この相談をきっかけに立ち上げたのが、 直営店「サウナソッピ」 です。
サウナソッピには、フィンランドの約25社の製品を集め、日本ではまだ知られていなかった本場のサウナ文化を、体験として見せる場をつくりました。
ここには、「業界関係者」「設計者」「事業者」などが全国から訪れ、「サウナと言えばメトス」という認識が、業界内で定着していきました。
国を巻き込んだサウナムーブメントと、その裏側 ちょうどその頃、フィンランドでは失業率の上昇を背景に、「サウナを観光資源にする国家戦略」が動き出します。公共サウナ施設の整備、投資家との連携。その象徴が、ヘルシンキの公共サウナ施設です。この流れの中で、 日本・フィンランド国交100周年のタイミングで、 大使館主導の「サウナアンバサダー施策」も国内で始まりました。この取り組みも日本市場が広がったことに寄与することになりました。
現在、日本では海外大手メーカーも参入し、競争は激しくなっています。ただ、私は競合が増えることをネガティブには捉えていません。市場が広がれば、「安全性」「実績」「技術背景」といった、最終的に問われる価値が、必ず効いてくる。だからこそ私たちは、その長期戦で勝つ前提で動いています。
アウトドアサウナは、完璧に「仕掛けた市場」 アウトドアサウナは、完全に私たちが仕掛けた分野です。 約8年前、室内サウナでは「建築基準法」「行政規制」「水かけ禁止」といった制約が多く、 薪サウナやロウリュを自由に楽しめない 状況がありました。
そこで考えたのが、「じゃあ、外ならできるんじゃないか」という発想です。テントサウナ(商標取得)を皮切りに、「トレーラーサウナ」「モバイルサウナ」「イベント活用」と、 「入り口としてのサウナ」 を設計しました。アウトドアサウナには、もう一つ大きな意味があります。 それは、 マナーと文化を伝える場 になることです。室内サウナはどうしても「自分だけの世界」になりがちで、 学ぶ場がありません。
一方アウトドアサウナは、「水着で」「男女一緒に」「会話しながら」入れる。子どもにも、 「最初は下段でいいよ」「3分くらいで出よう」 そんなことを自然に教えられる。これは、 サウナ文化の入口として、最適な形 でした。
災害支援という側面も さらに、東日本大震災の際には、 テントサウナが 入浴支援 として活用されました。「ライフラインが止まった状況でも使える」「心と体のケアにつながる」この経験から、アウトドアサウナは 「贅沢」ではなく、 最低限の生活インフラにもなり得る と確信しました。
流行ったから乗ったわけではない。文化を調べ、言葉を整え、設備を作り、ルールを作り、場を作った。その積み重ねの結果として、 「サウナと言えばメトス」 というポジションができた。私はそう思っています。
ーー今後の事業ビジョンについて教えてください いつまでにというのは、公には公表しませんが、まずは、この3領域を基軸にして、売上規模を倍の規模まで増やしたいと考えています。 前提として、「サウナ・温浴」の市場規模は今後も急拡大すると見ています。 サウナの利用者側の市場で見ると、専門家の調べでは、現状の約2,000億の市場が5年後には、1兆円と5倍の規模になるという見立てもあるぐらい今後も市場拡大は続くでしょう。
その中でも、さらに細分化して伸びる領域としては、「ホテル・旅館の客室サウナ」、「民泊・貸別荘などのプライベートサウナ」、「サウナ付き住宅」といったニーズが拡大していくと考えています。特に不動産・住宅領域は、住宅の省エネ化やコスト上昇など環境変化の中で、「民泊への転用」の動きも出てきているので、この時流をきちんと捉えた動きを強めていくことはとても重要だと考えています。
ーー具体的にはどのような取り組みをしていくのですか? 私の具体的な考えの一つは、営業部門のメンバーが複数の商材を取り扱い、顧客のニーズを踏まえた提案を増やしていくことです。
現状は、どうしても担当商材が決まっているため、お客様から指名が入らない限り、自分の担当商材を超えたご提案をすることが少ないのが現状。ともすると、「担当外のことは分からない」ということにもなりやすい。
そこで、例えば、ホテルのお客様で、サウナを導入していただいた際に、暖炉など周辺商材も提案する。お客様からしても、施設の付加価値が上がることで稼働率が高まるなどの効果が得られることは十分に期待できると思います。
お客様の担当として立つ人間が 「その人に聞けば何でも分かる」営業組織に変えていくことは急務だと考えています。
また、さらにブランド力を高めて、指名買いされる仕組みを作ることや、物品販売や代理店モデルも含めて、弊社が最後の施工までを担わなくても納品ができる形のモデルを増やしていくことも重要だと思っています。
ーー事業成長のために組織や社員に求めていきたいことは? 一番は、 ジブンゴト化 です。
最近よく社員に話していることは、 「自分の事業/自分の商品/自分の目標を、本当にジブンゴトにできていますか?」という問いです。
「自分が関わっている仕事」という捉え方と「自分がやっている仕事」というのは大きく違うと思っています。「 会社が決めたから」、「目標があるから」ではなく、どれだけ自分の仕事に自分の意思を持てるか。これが仕事をする上で私は重要だと思っていますし、その方が仕事もより楽しくなると思うんですよね。
そうして楽しんで仕事をして、成功体験を重ねる人は周囲に良い影響を与えていくこともありますから、 そういう循環をもっともっと増やしていきたいですね。
ーーメトスの「求める人物像」は? いま求めたいのは、 マルチタスクが出来る方です。 もちろんスペシャリストも大事ですし、全員が専門性を高めていくことは大前提です。 でも、メトスの事業は「お客様の夢の実現」「人の心と体を温める」という企業ポリシーの延長線にあります。
「薪ストーブだけ」「サウナだけ」ではなく、 お客様の夢があるなら、横に広げて提案できる人がいい。最初は、精通している必要はない。 でも、 顧客視点で「広げる発想」が持てる 人に来てほしいと思っています。
そして、 明るい人、元気な人、コミュニケーションをして気持ちがいい人 はやっぱり良いと思います。
それから最適解を完璧に出せる人もすごいと思いますが、私はそれよりも、まず動く、前に進めることの出来る人が良いと思います。
後は、もう一つ言うと上手くいかなかった時に 「できませんでした」と言える人。 言い訳をするよりも、できなかった事実を言えた方が、次の手が打てますしね。
最後に、これは少し個人的な話ですが、最近は「感性」の価値を強く感じています。 サウナも暖炉も、機能だけではなく、体験や空気感が重要です。 感性を大切にできる人と一緒にものづくりをしていきたいなと思っています。
株式会社メトスでは下記の職種の募集をしています。