■ なにをやっているのか
エンタープライズBDR(大手企業向け新規開拓)の「続けるべきか、止めるべきか、変えるべきか」を、データで判断できる状態をつくるサービスをやっています。
サービス名は「LOGOTORU(ロゴトル)」。私たちが提供するのはアポイントの数ではありません。BDR投資の意思決定に必要な判断材料を、毎月データで届けるサービスです。
具体的には、エンタープライズ市場に対するBDR活動(コール・メール)を実行しながら、その過程で得られる市場の反応データを6つの独自指標で構造化・記録・分析します。有効会話率、ネガティブ反応率、リスト残存率、商談化率、ネガパーソン蓄積率、初回有効会話接触回数。この6つを毎月計測し、KEEP(継続)/ ADJUST(変更)/ STOP(停止)の判断バッジをクライアントに提示します。
アウトプットは上長への上申資料としてそのまま使えるA4 1枚のレポートです。「エンタープライズ開拓の成果が見えない。でもやめる判断もできない」——この膠着を、感覚や経験ではなくデータで解消するのがLOGOTORUの仕事です。
全データはクライアント所有のGoogle Sheets上で開示しています。囲い込みはしません。契約が終了しても、データ構造とログはクライアントの資産として残ります。
営業代行ではありません。代行は「アポを納品する」ことが仕事です。LOGOTORUは「この市場を攻め続けるべきかどうかの判断材料を納品する」ことが仕事です。データがSTOPを示したら、自社の売上が減っても「止めましょう」と提案します。止められること。これが営業代行との構造的な違いです。
■ なぜやるのか
日本国内でエンタープライズ開拓のターゲットになる企業は約3,800社しかありません。有限です。
にもかかわらず、多くの企業が架電数やアポイント数をKPIにした「焼畑営業」を続けています。焼畑営業の厄介なところは、短期的には成果が出ることです。
私たちは3社・12,000件超のエンタープライズBDR接触データを分析して、ある構造的なパターンを発見しました。
アプローチ量を増やした月は商談が出ます。しかし、その効果は同月限り。翌月以降はゼロに戻ります。さらに深刻なのは、ネガティブ反応(明確な拒否)が蓄積されると、3ヶ月後に有効会話率が大きく低下するという事実です。相関係数 r = -0.72。統計的に強い相関です。
つまり、「今月は商談が出ているから大丈夫」という判断が、3ヶ月後の市場崩壊を隠してしまう。短期の成果が長期の市場摩耗を見えなくする構造。これが焼畑の正体です。
代表の橋本は、SalesforceとAWSでエンタープライズBDRに従事する中で、この構造に直面しました。営業代行はアポ数が売上です。だから止める理由がない。市場が疲弊していても、架電を続ける構造的なインセンティブが存在します。
LOGOTORUはこの構造を逆転させるために作りました。報酬はアポ数に連動しない固定月額制。データがSTOPを示したら、自社の売上が減っても止めましょうと言う。この判断ができるのは、報酬設計がアポ数と切り離されているからです。
実際に、あるクライアントでネガパーソン蓄積率が5.1%に到達した時点で有効会話率が7.3%まで低下。その後8.3%で有効会話率5.2%まで崩壊し、LOGOTORUとして撤退を推奨しました。もっと早く止められたかもしれない。この経験から、ネガパーソン蓄積率に3段階の閾値(5%警戒、10%警告、20%強制ストップ)を設定し、市場保護ラインとして全クライアントに適用しています。
エンタープライズ市場は有限です。一度焼いた市場の回復には最低3ヶ月かかります。回復しないケースもあります。市場を守ることは、クライアントの未来の売上を守ることと同義です。
「営業代行」ではなく「判断基盤」。これがLOGOTORUの存在理由です。
■ どうやっているのか
LOGOTORUの技術基盤は、Google Sheets、Looker Studio、GAS(Google Apps Script)で構成されています。サーバーなし、データベースなし、自社APIなし。全てGoogleの無料インフラの上で動いています。
これは意図的な設計です。クライアントがスプレッドシートを開けば中身が全部見える。ブラックボックスを排除した「ガラスボックス設計」と呼んでいます。
クライアントごとに1ファイル(16タブ構成)のスプレッドシートを作成し、マスター指標、閾値設定、相関分析、rawデータを全て格納しています。Looker Studioで17ページのダッシュボードを構築し、判断バッジ、トレンドチャート、散布図を可視化しています。
独自の相関エンジンは、10ペア×4ラグ(0〜3ヶ月)のCORREL関数マトリクスで構成しています。「ネガティブ率が上がると3ヶ月後に有効会話率がどう動くか」「アプローチ量を増やすと翌月の質がどう変わるか」を定量的に分析します。さらにLINEST関数による回帰分析で、将来の有効会話率を予測しています。
BDRの実行は、業務委託のオペレーターチームが担当しています。橋本が相関エンジンに基づいてアプローチ設計を行い、オペレーターが実行する。通話録音はamptalk(コール解析AI)がリアクションメモを自動生成するため、オペレーターにメモを取らせる必要はありません。
研修は読ませるマニュアルではなく、初日5分のロールプレイ(3シナリオ)で完結させます。型化された判断ルールと、amptalkによる自動分類が、属人性を排除しています。判断はオペレーターにさせません。判断はOS(数式)と橋本が行います。
月次レポートは、スプレッドシートのrawデータタブから該当月の数値を取得し、相関エンジンの回帰式に基づいて3ヶ月後の予測値を算出。KEEP / ADJUST / STOPの判断バッジとともに、A4 1枚のレポートとしてクライアントに納品します。このレポートは上長への上申資料としてそのまま転送できる設計です。
私たちの事業設計は意図的に小さく作っています。6〜8社の小さなクライアントベースで、深く伴走する。スケールは意図的にしません。クライアントの数を増やすことよりも、1社1社の判断精度を上げることを優先しています。
判断の質は全料金プランで同じです。差がつくのはチャネル範囲(コール+メール、またはLinkedIn+手紙の追加)と壁打ちの頻度のみ。月100万のクライアントにも、月250万のクライアントにも、同じ精度の判断根拠を提供しています。