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"めざすのは最強の弱者" メディア取材が殺到する、NSグループ創業秘話(後編)

※本ストーリーは、代表 荻野勝朗著のデジタルブック「創業者物語」を再構成したものです。
前編はこちら
 
■荻野 勝朗 プロフィール
株式会社NSグループ代表。22歳でスキー専門店 "ヴィクトリア" を設立。売上900億円の企業に育てる。その後、サービス業界へ参入するため、現NSグループ(ニュートン・サンザグループ)を創業、「カラオケパセラ」「ホテルバリアン」「安心お宿」「アンダリゾート」など 20業態・100店舗以上の設立に携わる。

#「これなら絶対に勝てる」カラオケパセラ誕生の理由

前編はこちら
再びゼロから会社を立ち上げて考えていくうちに目を付けたのは、会社の近くに他社が出店していた "カラオケボックス" でした。

当時、中の様子が見えないカラオケボックスは「不良学生が飲酒・喫煙をする場」「料理がまずいし、部屋も汚い」「出店数が増えすぎて店員教育が出来ていない」といったネガティブなイメージがつきまとっていて、出店数が拡大する一方で客離れが起き始めていました。

では、なぜそんな業界にチャレンジしたのか。
答えは簡単。ヴィクトリアの経験から「間違ったことで溢れている業界なら、勝てる」という自信があったからです。

サービスの質を下げてコスト削減すると、短期的には儲かります。しかし顧客目線で考えたら、いくら安くても「汚い、まずい、不親切」なお店にまた行きたいとは思えません。
それなら多少価格が高くても、イメージとは真反対に「きれい、おいしい、親切」をめざせば、お客様は自然とそちらの店舗を選ぶようになるはず。

その狙いから、現在のニュートン・サンザの主軸となっている事業 カラオケパセラ は立ち上がりました。


# カラオケのイメージを変えた、パセラの「お味保証制度」

では、どうやってカラオケ店のイメージを変えてきたのか。
その答えの一つが現在にも残る「お味保証制度」です。

味に満足いただけなかったお客様には返金を保証する『お味保証制度』


普通どんなに「料理が美味しい」と伝えても、他店で嫌な思いをしたお客様が、わざわざ足を運んできてくれることはありません。
そのため、パセラでは「万が一食事が美味しくないと思ったら、メニュー代金はすべて返金する」という仕組みを立ち上げました。

もちろん食事に絶対的な自信がないと出来ない制度ではありますが、ここまでやって初めて、従来のカラオケに悪いイメージを持っている人も「そこまで言うなら食べてみよう」となります。
結果として多くの方にパセラの食事を体験してもらえ、「パセラは他のカラオケ店とは違う」「カラオケ店は苦手だけど、パセラなら行きたい」といった、名指しで選ばれるブランドになることが出来ました。

食事を美味しくすることは、歌う場所を提供するカラオケ店としては一見、"不必要なコスト"に考えられがちです。
しかし、カラオケパセラの成長理由には間違いなく、そういった目に見えにくい満足度の追求が根底にありました。


# 世の中は間違ったことで溢れている。幸いなことに。

同様の発想はニュートン・サンザの他ブランドでも活かされています。

例えば、国内カプセルホテルランキングで1位を獲得した「安心お宿」。カプセルホテルの常識を覆す充実した設備とサービスで、利便性と快適さをとことんまで追求したのがこの事業です。
それまでのカプセルホテルは、終電を逃してしまった人や、お金のない学生が”仕方なく”泊まるところ。安い代わりにサービスを求めない、完全に寝るためだけの場所。「貧者の宿」と揶揄されていました。

けれど、「部屋は狭くてもいいから、広くて豪華なお風呂でリラックスしたい」「ビジネスホテルに泊まるほどではないけど、綺麗なところで休みたい」という、"顧客や競合企業がまだ気付いていないニーズ" は確実にあったのです。

安心お宿の誕生は、日本のカプセルホテルのイメージを180度変えました。今や「進化型カプセルホテル」という新しいマーケットが生まれ、日本中におしゃれで綺麗なカプセルホテルが建設されています。

進化系カプセルホテル『安心お宿』


ウェディング部門を開設した背景も、同様に「この業界は間違っている」という確信があったから。
結婚式の目的は、幸せな夫婦二人の門出を祝うこと。贅沢な結婚式のせいで大きな借金(ブライダルローン)を抱え、その後の結婚生活を圧迫してしまったら本末転倒だと思います。

だからこそ私たちは、会社の利益のために結婚式の単価を吊り上げるのではなく、「お客様(新郎新婦と参列者)にとってのベストは何か」を最優先に考える。それができれば、ブライダル事業も絶対に成功するという確信がありました。

今、パセラのブライダル事業の中では、 従来のご祝儀制の半額以下でできる「会費制結婚式」が大人気になっています。(会社はあまり儲かりませんが・・・笑)
カラオケパセラや安心お宿といった事業では、競合店と比べて高価格なサービスが多いですが、私たちの目的はあくまでも「間違ったことを正して、本当に価値のあるサービスを提供すること」。それが叶うなら、方法は決して一つではありません。
長い目で見れば、そうやって顧客目線での価値を追求することこそが最高の経営戦略になる、と私たちは考えています。


# 新しい価値は、まだまだ生み出せるはず

最近になり、競合のカラオケ店でもきれいなところは増えてきました。
しかし、まだ出来ることはたくさんあるはずです。

大手カラオケ店の整備されたマニュアルでは、画一的なサービスが逆にお客様に不満を与えているかもしれない。
それなら店舗に決裁権を委譲し、お客様一人ひとりの異なるニーズにもできる限りお応えする "+αのサービス"を提供すればいい。

カラオケパセラでは店長が文字通り"その店舗の経営者"として、一店一店プラスの独自サービスを開発してます。
中には、ラーメン好きの店長が研究を重ねて生み出した「ラーメン パ郎」、ヴィジュアル系ロックバンドのファンだった店長が、自分の好きなアーティストとコラボした「ゼメキスカフェ」など、パセラ内でも他の人には真似できない企画が数多くあります。それでいいんです。

成熟した業界に参入し、他の会社をコピーしてもつまらないですよね。
世の中の不具合を見つめ、他の会社がやらないチャレンジに挑んでいく方が、よっぽど面白い。

極端なことを言えば、ホストクラブに参入したっていい。日本一明朗で楽しいエンターテイメント。そんなホストクラブがあったら、社会の見る目も変わってくるはず。
この世に直したい商売がある限り、それを改革するビジネスが無くなることはありません。
世直しに挑んでみたい人には、どんどんチャレンジをしてもらう。ニュートン・サンザグループは、そんなアイデアを持った"出る杭"たちを伸ばせる会社でありたいと考えています。

社員の裁量は大きく某がっちり系番組で「スゴい店長」として紹介された社員も

# めざすのは、最強の弱者

有名なマーケティング理論の一つに『ランチェスター戦略』というものがあります。
強者と弱者、それぞれに適した戦い方の原理原則がまとめられているのですが、当社ではこのランチェスター戦略を非常に重要視しています。

ニュートン・サンザグループでは様々な事業を展開していますが、どこかで見たことがあるような店舗はおそらく一つもありません。
それは、このランチェスター戦略にのっとって、弱者の戦略(=圧倒的な差別化)を実現しているからです。

大資本を持った強者と同じ戦い方をしても、 後発の私たち”弱者”は絶対に勝てません。
だから私たちは、誰もがやりたがらなかった、やろうとさえしなかった独自の”へんな戦い方”で挑んでいくのです。

今後、会社はさらなる成長をつづけていくと思いますが、私たちは単純な規模の拡大をめざしません。
規模を拡大するために毎年100軒出店しようとすると、どうしても新しい尖ったコンセプトは立てられなくなる。働き方も画一的になり、 社内に新たなポジションも生まれにくくなるでしょう。

だからこそ、私たちはその真逆を行く。
常に新しい業態を開拓し、その領域で圧倒的に選んでいただける店舗を局地的につくる。その業態が成長すれば事業化し、新たな社長を立て分社化する。

日本人1億3000万人に愛されるサービスなんてあり得ない。
けれど、5万人の熱烈なファンに選ばれるサービスなら、つくることができる。
それを従業員全員でやれば、新しい事業やサービスを50,100と生み出していけるはず。そうして有機的に絡み合った少数精鋭チームの集まった企業こそが、私たちのめざす姿です。

経営戦略の観点から見れば、規模の小さい私たちは弱者です。しかし、決して弱い存在ではありません。
最強の弱者として、強者以上に強い輝きを放つ会社をつくりたいのです。




# 「起業家を生み出すインキュベータになる」経営者として、卒業に向けた想い


70歳を超えた今、”卒業”という言葉が、日々頭の中に浮かんでいます。

最後に何を成すべきか。私には一つだけ決めていることがあります。
それは人材育成に注力し、多くの社長を社会に輩出していくこと。

独立して事業を興す方法は、一つじゃない。自ら資本をかき集め大きなリスクを背負わずとも、ニュートン・サンザグループの一員として独立する道もある。会社員には絶対なりたくなかった私ですから、事業家をめざす人の志は全力で応援したい。
もともとランチェスター戦略にならって出店地域を東京だけに集中していましたが、ある時あえて大阪で新店舗を進出させました。その理由は「地元大阪に帰って事業を興したい」という社員の希望を叶えるため。一緒にやってきた優秀な社員が事業を興すなら、それくらいは会社として手助けをしたい。

一般的には「社員=ただの労働力」と見なされがちなサービス業でありながら、当社では MBA 取得に欠かせないロジカルシンキングを学ぶ研修や財務研修など、数多くの教育カリキュラムを用意しています。
それは、出る杭を伸ばし、経営力を持った人材を数多く育成するためです。
もしあなたが野心やビジネスアイデアを持つ人なら、ぜひ「パセラのコワーク」を覗いてみてほしい。そこにはスタートアップやフリーランスでビジネスを展開する人向けが集まっています。才能ある多くのビジネスパーソンからは、たくさんの刺激をもらえるはず。

独立とは、決して独りになることではありません。自分だけでは難しくても、多くの仲間と一緒なら世の中に大きなインパクトを与えるビジネスは生み出せる。
「ただの会社員になりたくない」 今、そう思うあなたも、私たちと一緒にチャレンジしてくれませんか。


このメッセージが少しでも気になった方は、ぜひ一度、気軽に話を聞きに来てみてください。
結果として、ニュートン・サンザグループで働くことがゴールじゃなくてもいい。

私たちは、一緒に世直しをする仲間を探しています。


株式会社NSグループでは一緒に働く仲間を募集しています
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