【前編はこちら】
前編では、吉元代表のキャリアの原点や、Sotasを創業した覚悟についてお話しいただきました。
続くこの後編では、巨大市場のインフラとなる「コンパウンド(複合)戦略」、国家プロジェクト採択の裏側、そして社内から「次の起業家を輩出する」というタフな組織設計とカルチャーについて深く迫ります。
「2ヶ月で5000物質の情報更新がある」無法地帯のOSになる──Sotasのコンパウンド戦略と国家プロジェクトの真実
![]()
──Sotasが展開する事業の強みや、他社との差別化ポイントについて教えてください。
私たちは単なる便利なツールを提供するのではなく、産業全体のデータ流通インフラを握る「プラットフォーマー」としてのコンパウンド(複合)戦略*をとっています。
*コンパウンド戦略:単一の機能(SaaS)を提供するだけでなく、複数のプロダクトやサービスをシームレスに連携させて提供することで、顧客や業界全体の課題を多角的に解決し、プラットフォームとしての利便性と参入障壁を劇的に高めるビジネス戦略。
化学業界では、環境や安全に関するグローバルな法規制により、わずか2ヶ月間で約20の法令、5000もの対象物質情報が更新されるという凄まじい複雑性があります。この情報を人の目で管理することはもはや不可能です。私たちは「Sotas化学調査」と「Sotasデータベース」を組み合わせることで、営業・調達・研究開発の分断をなくし、この複雑なサプライチェーン全体を最適化する仕組みを構築しています。
特にデータベースの構築では、各社でバラバラな項目を統合するため、AIやクラウドでも自動化できない名寄せ作業を泥臭く行い、今では2500項目もの「秘伝のタレ」とも言える独自のデータ構造を作り上げました。これが他社には絶対に真似できない圧倒的な参入障壁になっています。
Sotasの事業全体像
![]()
──設立4年目にして、経済産業省の国家プロジェクトにも採択されたそうですね。
はい。国家プロジェクト「CMP(化学物質資源循環情報プラットフォーム)」のアプリベンダーとして、富士通さんやNECさんと並んでSotasも採択されました。
大手の資本力に勝てた理由は、私たちが創業期から泥臭く政策ロビイングを続けてきたことと、大手がブラックボックスになりがちなサプライチェーンの「川中の中小企業」を徹底的に押さえるポジションを取ったからです。「私たちがいなければ、この大きなパズルは完成しない」と堂々と訴求しました。私たちはただのツール屋ではなく、日本のサプライチェーンのデータ標準を自ら定義する側に立っています。
VCの方から「大手の資本が参入してきたらどうするのか?」という質問を投げかけられることがありますが、大手の資本よりも、私以上にこの化学産業に強い思い入れと執念を持った起業家が現れることの方がよっぽど怖いです。それくらい、我々の覚悟は桁違いだということです。
──グローバル展開などの今後の事業展望についてはいかがでしょうか。
世界で誰よりも化学バーティカルの情報を持つ会社になり、データプラットフォームを構築していきます。
化学反応の法則は世界共通であり、私たちが構築するデータ基盤はグローバルで通用します。さらには試験・分析機関のM&Aなども視野に入れ、統一されたデータ規格を自社で創り出すつもりです。まずは日本で強固なデータ資産と標準規格を確立することが、世界市場へ出ていくための最大の競争優位性になると考えています。
「日本でトップクラスの水準を目指す」挑戦──少数精鋭で生産性を極限まで高めるAIネイティブな組織設計
![]()
──事業のスケールに伴い、どのような組織を目指していらっしゃいますか。
生成AIの進化を前提とし、生産性において「日本でトップクラスの水準を目指す」、極めて高密度な組織を目標としています。
当初は2年後の組織体制として250名規模の人員計画を立てていましたが、AIを活用することで150から160名の少数精鋭体制へと見直しました。単に人を集める労働集約的な組織ではなく、一人ひとりの生産性を極限まで高め、その分を社員への高い報酬として還元できるAIネイティブな組織を設計しています。
──すでに非常に優秀な幹部陣や各分野のプロフェッショナルが揃っていると伺いました。
上場スタートアップの創業メンバーやCレベル・執行役員経験者、トップTierのPEファンド出身者など、各領域で卓越した専門性を持つプロフェッショナルが続々と参画しています。
私一人では到底実現できない壮大なビジョンだからこそ、自身の役割を任せられる「上位互換」の人材を積極的に採用しています。圧倒的に優秀な幹部陣が揃う環境に、自ら課題を発見し自走できる若手が交わることで、爆発的な化学反応が起きると確信しています。
──組織の拡大も累計20億円の資金調達もこれだけ順調に進み、国のインフラを担える立場になってきている中で、吉元さんご自身の現在地はどのように評価されていますか。
自らの現在地は「まだ15点」だと思っています。マイナスになっていないのは、優秀なメンバーが同じ船に乗ってくれたからですね。
「成功するからワクワクするんじゃない、ワクワクするから成功する」という前向きなエネルギーを大切にしているので、現状に決して甘んじることなく、まずは事業をさらに軌道に乗せてみんなを安心させるという気概を込めてストイックに走り続けています。
スタバの「GABカード」が組織カルチャーの原点──「Respect Always」が循環するカルチャーと、起業家を輩出するタフな打席
![]()
──吉元さんの謙虚でストイックなスタンスに、メンバーの皆さんも魅了されていると伺っています。Sotas独自のカルチャーや大切にしている価値観はどのようなものでしょうか。
嬉しい言葉をありがとうございます。私は、「あらゆる立場を越えて敬意を持って相手に向き合う」というバリューを非常に大切にしています。
この原点には、私が学生時代にスターバックスでアルバイトをしていた時の経験があります。そこでは、お互いの良いところを称賛し合う「GABカード」という文化が浸透しており、社員もアルバイトも関係なくリスペクトし合うことで、働く意味や高いモチベーションを感じることができました。今でも当時もらったカードを読み返してはしみじみするほどです。Sotasでも、尊敬と感謝が循環する「サーキュラーリスペクト」の文化を根付かせたいと考えています。
──素晴らしいですね。お互いをプロとして尊重し合えるからこそ、少数精鋭でも強い組織になるのですね。では、今後ジョインする若手メンバーにはどう育っていってほしいですか。
Sotasをただの事業会社で終わらせるのではなく、将来の社長や起業家を次々と輩出するタフな人材の輩出機関にしたいという執念を持っています。
私自身、前職のスタートアップで副社長COOとしてチャンスをもらい、市場価値を大きく高めてもらいました。だからこそ、今度は自分がメンバーにその打席を用意し、チャンスを掴める組織を作りたいのです。ここで圧倒的な実戦経験を積んだ若手が、将来的に自ら社会を変える起業家として羽ばたいていく。
そして、そうやって輩出した次の世代のリーダーたちに対して、私自身もまた「絶対に負けないぞ」と刺激をもらい、お互いに背中を追いかけ合いながらさらに挑戦を続けていきたいんです。その循環こそが、日本の新産業を強くしていくと信じています。
20代という貴重な時間をどこに投資するか──若手に求める3つの素養と、熱狂できる打席の選び方
![]()
──これからSotasに入社する新卒や20代の若手層に「必ず持っていてほしい素養」はありますか。その理由とあわせて教えてください。
私が20代、特に社会人の初期に絶対に持っていてほしいと思うのは、「素直さ」「負荷肯定力」「集中力」の3点です。
まず「素直さ」ですが、これは単に言われたことに「はい」と答える受動的な態度ではありません。素直であることの最大のメリットは、先輩や周りのプロフェッショナルが長年の歳月をかけて得てきた知見や、本当は教えたくない秘伝のノウハウを、最短距離で引き出すことができる「魔法」だということです。30代になると、単に素直なだけではなかなか評価されづらくなりますが、20代は素直なだけでとにかく可愛がられます。この「愛され力」があるからこそ、周りの人がどんどん新しい機会や打席を与えてくれる。これに勝る成長の近道はありません。
二つ目の「負荷肯定力」は、言い換えるなら「成長への貪欲力」ですね。20代、もっと言うと社会人初期の当たり前基準が、その後の30代以降における自分自身の限界値を形成します。率直に言って、30代を過ぎてから自分の「当たり前」の基準を上げようと思っても、容易ではありません。それくらいのスタンスで最初から挑んだ方がいいです。
ではどうやってその基準を上げるかというと、手段はただ一つ、極力「ちょっとしんどいな」と感じる環境(脱コンフォートゾーン)に常に身を置く意識を持つことです。付き合うメンバーも、目指す目標値も、時間の使い方も、すべてにおいて「ちょっとしんどいな」を意識して選択し続ける。その負荷を、自分の成長のためにポジティブに肯定できる力が、3年後に圧倒的な差となって現れます。
そして三つ目が「集中力」です。私は、仕事において非連続な成長と最大の成果を出すために、以下のような計算式が成り立つと考えています。
- 仕事の成果=能力×集中力
- 能力=コンピテンシー×成長率
- 成長率=判断の数×集中力
※各項目にかかる時間は同一という前提
前提として、それぞれの立場で目指す目標は違えど、「成果」はビジネスにおける普遍的な目的関数です。ここで注目していただきたいのは、個人の「コンピテンシー(資質)」や「判断の数(打席数)」という変数は自分自身ではアンコントロールな部分が多いのに対して、唯一と言っていいほど100%自分でコントロールできる変数が「集中力」だということです。
いかにその時々の目の前のミッションに対して、自分の集中力を最大化して臨めるか。この「集中力」を徹底的に研ぎ澄ますことが、個人の成長率を跳ね上げ、結果として成果の最大化に直結します。
──非常に明快で、身が引き締まるお話です。最後に、Sotasへの参画を検討している方、あるいはこれからの企業選びに悩む20代に向けて、背中を押すメッセージをお願いします。
私から強く伝えたいのは、20代は「絶対的に自分の成長率を最大化できる環境を選ぶべきだ」ということです。先ほどの計算式にもあったように、個人の成長率は【成長率 = 判断の数 × 集中力】という掛け算で決まります。
そうであるならば、Sotasに限らず、「自分で判断を下す機会」や「圧倒的な打席の多さ」を提供してくれる企業や環境を選択することこそが、成長への最短距離です。加えて、「集中力」の継続にはその仕事に熱狂できるか、ワクワクできるかというのが重要だと思うので、直感的にワクワクする環境を選択するのも間違いではないと思います。
そういった中で、Sotasはどんなワクワクを提供できるかというと「日本のネクスト自動車産業である化学産業、そのインフラを創る挑戦」です。そんなスケールの大きさにワクワクできる方はぜひSotasをご選択ください。