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CEO&CIOが語るミッション・バリュー。sustenの社名に込めた社会貢献への想いとは

これまでになかった投資信託の新たなカタチを日本に広げていこうとしているsusten・キャピタルマネジメント(以下、susten)は、「誰もが安心して暮らせるsustainableな社会の実現」をビジョンとして掲げています。

その理想に対して誰よりも強い思いを持ち、組織を引っ張るのがCEO岡野大とCIO山口雅史の両名。このスペシャル対談第2弾のテーマは「ビジョン&ミッション」!抱いてきた課題感、社名やロゴに込めた想い、そしてこれからの展望についてたっぷり語ってもらいました。

「ただ売れるものばかりを作っていていいのか」

誰もがビジネスに携わるなかで抱く理想と現実のジレンマにまっすぐ立ち向かう二人の言葉、ぜひ聞いてください。

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岡野 大(おかの だい) 最高経営責任者(CEO)

2012年ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント入社。戦略株式運用部(ヘッジファンドチーム)にて数百億円規模の株式、デリバティブ、為替等の投資判断を行う。ポートフォリオ・マネージャーとして海外の機関投資家のために運用を行ってきた一方で、日本の個人投資家のために品質の高いサービスを提供したいと思い続け、2019年7月株式会社sustenキャピタル・マネジメントを創業、CEO就任。東京大学大学院工学系研究科修了(修士)

山口 雅史(やまぐち まさし) 最高投資責任者(CIO)

2007年ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント入社。運用投資戦略部にてポートフォリオ・マネージャーを務め、日本国内法人の資産運用に従事。2012年にGoldman Sachs(在NY) へ移籍後は、欧米事業法人、大学基金、SWF等15兆円の資産配分、タクティカル・アセット・アロケーション の計量運用責任者を歴任。2019年7月、株式会社sustenキャピタル・マネジメント創業、CIO就任。京都大学大学院情報学研究科修了(修士)。日本証券アナリスト協会検定会員

本当に良いものを日本に普及させたい

ーーまず日本社会への貢献をビジョンに掲げるに至ったのは、それまでの投資運用会社でのキャリアで抱いていた思いが関係しているのでしょうか。

山口 :そうです。私の場合は「そもそも自分は日本に対して何も貢献できていないんじゃないか」という自身のキャリアへの課題感がまずありました。

2009年頃から「ポートフォリオマネージャー」というお客様のお金を運用する仕事をしてきましたが、2012年にニューヨークへ移籍した後はほとんど北米とヨーロッパの機関投資家の方々を対象として運用を担当していました。

でも、そこでいくら利益を上げても故郷である「日本」にはほとんど影響がないんです。私は日本で育ってきたのに、何も恩返しができていない。「これでいいのか」と歯がゆさを感じるようになっていました。

岡野 :顧客は機関投資家ですからね。海外の企業や資産家の方々のお金を殖やしても、日本の、特に個人にはほとんど影響がないですもんね。

山口:そう。それで、その思いに拍車をかけたのが、日本の友人、先輩達からの資産運用についての相談にまともに応えられないという経験でした。

ーー資産運用のプロである山口さんが、アドバイスをできなかったというのは意外です。どうしてだったのですか?

山口:資産運用で日本の個人ができることって、欧米のプロの投資家に比べてすごく限られているんです。そんな中で「こうすればなんとかできるかも……」と伝えた方法は時間も手間もかかりすぎて。本職をお持ちの会社員の方にはとてもできないようなものでした。

親しい間柄だからこそ、書店で売っている怪しげな投資本のようなものではない本当のアドバイスを伝えたいのに、それができない。そんな経験が何度も重なって、さらにもどかしさは増していきました。

ーー日本にいた岡野さんにはどんな課題感があったのですか?

岡野:僕が持っていたのは「ただ売れるものばかりを作っていていいのか」という思いです。プロである以上「良いもの」、つまり「顧客のためになる面白い運用戦略の商品」を売りたいと思っていましたから、最新の理論研究を反映させた商品を考案しては大手証券会社の担当さんのもとに営業をかけていたんです。でも、そういう商品は採用されないんです。

担当者の方も最初は「確かにこれなら大きなリターンが期待できそう・・・すごくいい戦略ですね!」と反応してくれるんです。でも、すぐに踵を返して「あ、でも個人のお客さんには理解してもらえないから売れないかもしれませんね」と言葉を継ぐ。

「良いものを作りたい」けど結果を出すためには「売れるものを作らなきゃいけない」。そこにメーカーの人間としてジレンマを感じていました。

山口:私も似たようなフラストレーションをニューヨークで感じていました。担当企業のうち8割は普通の民間企業で、従業員の積み立てた数千億円規模の年金基金をたった2名で運用しているということもザラで、やはり岡野と同じ状況でした。

効率の良い高度な戦略を持って行っても採用はされず、「そんな凝ったことはしなくていいんです。普通にやってください」と言われてしまう。

確かに複雑で周りがやっていない戦略ですが、決してリスクが高いわけではありません。けれど、「正しい」と頭で分かっていても誰もやったことがないことには「なんか怖い」という感覚がつきまとい、選んではもらえない。

岡野 :これはほとんどの業界で言えるんでしょうね。必ずしも「良いもの」が売れるわけじゃない。でも、だからこそ「本当に『良いもの』を普及させることにチャレンジがしたい」と強く思うようになっていきました。

ーーそれで日本で「本当に良い個人向け投資信託サービス」を普及させようと、sustenキャピタル・マネジメントを創業したんですね。

岡野:その通りです。僕らが本当にやりたいことは「良いものを作って日本社会に貢献する」こと。日本人の個人が投資運用でとれる選択肢というのはとても限られているだけに、そこには大きく貢献できる可能性がありました。1兆、いや10兆という巨大なスケールの可能性が。

その規模の運用を可能にする仕組みを1から、少数精鋭の組織で創り上げる。そして自分達が本当に「良い」と思えるものを愚直に提供するための販路も、自分たちで創る。そのためにクオンツ運用の専門家である山口と、それを個人のユーザーに届けるために中村・益子と事業を立ち上げたんです。

社名とロゴに託した社会貢献への本気度

ーー本当に良い投資信託サービスを日本の個人投資家に普及させて、社会貢献につなげていく。非常に難易度の高いチャレンジですよね。

山口:その通りです。創業当初から「これを普及させるのは相当難しいんじゃないか」という話はしていました。というのも、日本を代表するような証券会社の本部担当者に対面で説明しても理解してもらうのが難しい投資戦略を、オンラインのWebページで個人のお客様に分かってもらおうとするわけですから。

岡野:そう、相当難しい。でも「方法は一つじゃない、いきなり投資戦略を真っ向から理解してもらうのではないやり方だってあるはずだ」と考えて導き出したのが「完全成果報酬型」というスキームによる訴求です。

ーーどういうことですか?

山口:やはり私たちがいくら自分たちの投資戦略を「良いものです」と言ったところで、お客様には本当かどうかはわからないですよね。専門的な情報を多く保有しているのは企業側で、お客様側はそれを持っていないから判別が難しい。お客様にしてみれば「sustenが言っているだけでしょ」となってしまう。いわゆる「情報の非対称性」というもので、仕方がない部分があるんです。

だからこそ「完全成果報酬型」、つまり「利益が出たときだけお金をください。利益がでなければタダで働きます。だって、私たちは本当に良いものだと思っていますから」と伝えることで、まず私たちが「本気である」という部分を分かってもらおうと考えたんです。

ーーなるほど、成果が出なければ手数料がかからないのは利用者にとって非常にわかりやすい安心材料になる。まずそのスキームで信頼を得てシェアを拡大しようと。

山口:はい。実現にはかなり大きなハードルがありましたが、既存の仕組みを組み合わせながら出来上がった「完全成果報酬型」が、情報の非対称性の溝を埋めるのに大きく役立ってくれていると思います。

ーー「sustenキャピタル・マネジメント」という社名にもそうした投資信託としての良いサービスを普及させようという思いが込められているんですか?

岡野:いえ、社名にはもっと広い意味での社会貢献への思いを込めています。「日本の持続性を向上させる」という意味で「sustain」、「預かり資産の10ベーシスポイント分を環境・福祉の世界に投資していく」という目標の意味での「Ten」を合わせて「susten」なんです。10ベーシスポイントとは、年率0.1%という意味ですね。

ーー昨今話題のESG投資とは違うのですか?

岡野:ESG投資は環境・社会課題に配慮、貢献するガバナンスのしっかりした企業に投資しようというムーブメントです。そのコンセプトには共感するんですが、そうした企業の株価が上がっても、困っている人を助ける福祉や環境保全活動改善に取り組む人たちに資本が行きわたるのにはかなり時間がかかるという所に難点があります。

本当に環境・福祉の分野に効率よくお金が行きつくかというと疑問符がつく部分があって。僕たちは、現実的に金融と環境・福祉の世界をつなぎ、直接お金を渡す仕組みを考えたかったんです。

ーーお客様から預かった資産の0.1%分は環境・福祉の企業の株を購入するとなると、リターンに影響がありそうな気がしますが……。

岡野:ちょっとわかりづらいかもしれませんが、お客様の預かり資産の0.1%を投資するのではなく、お客様の資産運用によって得た弊社の利益から、預かり資産に対して年率0.1%に相当する部分もしくは売上の10%を投資しようということなんです。

投資家の方の気持ちに立ってみると「環境には優しいけどリターンは良いかわからない」なんて所に大切な資金を投下されては困りますよね。それに、投資対象を敢えて限定していくという行為は期待リターンを削ぐという大きなマイナスの影響をもたらす側面を持っています。

だから僕らはまず「お客様には与えられたリスクの範囲内でリターンを最大化して資産を大きくします」という約束事のもとに運用を行って対価をいただき、その上で「その対価の一部を自分たちが主体となって環境・福祉のエリアに投資をしていきます」というモデルを考案したんです。

僕らのサービスは「完全成果報酬型」ですから、リターンが出せなければお客様からフィーを頂けません。すると、社会への還元もできない。けれど大きくリターンが出せれば会社の利益となるフィーをしっかりいただいた上でなら、寄付性の高い社会還元も大きくできる。

ーーその社会還元の目標値が10ベーシスポイントなんですね。

山口:このコンセプトと目標をあらわす「susten」を社名に入れるのか、そしてサービス名は『SUSTEN』でいいのか。この議論は益子・中村を含めて相当長く議論しましたね。先行サービスである「WealthNavi」や「Folio」のように金融サービスを連想する名前の方がわかりやすいし、広がりやすいんじゃないかと。

ーーそれでもこの社名とサービス名に決まったのはどうしてですか?



岡野:僕らはゼロから立ち上がったスタートアップです。安定的な収益基盤があるわけではなく、起業から数年は目標としている数字の社会還元はまず難しい状況です。事実、昨年はこの目標は達成できませんでした。

3、4年経って経営が軌道に乗りはじめて、ようやくこのことが公言できるようになると見ていましたが、そのタイミングで「売上の一部を環境・福祉の分野に還元します!」と言うと「業績が順調だから思いつき、イメージアップのために社会還元と言い出したんだな」と受け取られてしまう可能性がある。

僕たちが最初からこのコンセプトを理念として会社を立ち上げていますから、それが分かっていただけるように社名とサービス名に刻み入れようと話したんです。

山口:岡野が言うことは非常に筋が通っていましたから、僕らも賛成しました。会社ロゴにもこの僕らの目指す理念が刻みこまれています。「sustain」の頭文字である「S」、そしておなじ模様がある数字にも見えるように。

新しい金融サービスで投資と社会を変革する

ーービジョンの実現を目指してこれから取り組みたいのはどんなことですか?

山口:投資を投資と思ってほしくないという思いがあって、その投資への意識を変えていきたいですね。日本の方は投資を特別なものだと考えちゃっているところがあると思うんです。

例えば今、多くの人は給料をもらったらリスク性の資産である株式投資に対しては「ちょっと怖い」と身構えて貯金でガチガチに固めてしまいます。一方で仮想通貨にバリバリ手を出して「10倍株探してます!」という人も一定数いる。でも、その2種類のパターンが大半で、その間の方がほとんどいないんです。

岡野:多くの人が想像する投資のリスクって「0か100」の世界で、どうしても「全損するか爆益が出るか」みたいな極端な話になっちゃって、間にあるはずの分布、グラデーションが抜けてしまうんですよね。

山口:そのグラデーションの状態を作るためも、今は運用サービスに絞ってサービス提供してますが、便利な「入れ物」としてインフラになりうるような金融サービスを提供していくことも考えています。例えば、証券口座に紐付いたデビット・カードを発行するという手がありますね。

実は私はアメリカでは給与の振込先口座を証券会社の口座にしていました。なぜかというと、証券会社がデビットカードを作っていて、証券会社口座のお金でコーヒーショップでコーヒーが普通に買えたからです。日本の銀行口座やPayPayみたいな感覚で証券口座のお金が使えて、電気代や家賃も引き落とせる。そして、同じ口座でそのうち数パーセントをETFの購入に回しておける。

こうなると「投資」と「貯金」の間には境目がなくなっていきます。そもそも銀行預金も銀行が皆さんの預かり金を国債や株式に投資しているんだから、投資なんです。そうなると銀行預金も投資信託も、リスクやリターンを数字で評価できるようになってくる。

岡野:僕らは「完全成果報酬型」のサービスなので、給料を「日本円で貯めていくのか、他の資産で貯めていくのか」というコンセプトにすごくマッチすると前から思っているんです。放置している分には手数料がかかりませんから。

法規制で難しい部分は多いのですが、将来的には給与をsustenの口座で受け取れるような仕組みも検討していきたいですね。「ここに任せておけばいいや」と思えるくらいのインフラにしていきたいなと思ってます。

ーーsustenが投資のインフラになって利用され、多面的に社会貢献につながっていく。そうした未来図に向けて、参加を検討する新たなメンバーにメッセージをお願いします。

岡野:これから僕たちは個人の資産運用の最適解を提供するサービスとして、足りないものを一つ一つ解決していきます。具体的には既存のロボアドサービスに近い現在のUIや、既存の投資運用業界の人たちと同じようなアプローチのプレゼンテーションを、もっと議論して「本当のあるべき姿」に近づけていこうと考えています。

山口:今後は個人に留まらず、プロの機関投資家に向けたサービスも作っていきたいですね。私も岡野も機関投資家向けにサービスを提供してきたバックグラウンドを持っているので。そうして個人投資家と機関投資家、双方に対して良いサービスを提供できるようにしていきたい。新しいことに挑戦する場はたくさんあります。

岡野:そして双方から得た対価をさらに日本社会に還元して貢献する。このビジョンに共鳴してくれるプロフェッショナル達と、共に理想を追求していきたいですね。新たなメンバーの加入を楽しみにしています!

執筆:北原泰幸、編集:榮田佳織

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