M&A業界で「仲介」と「FA(売り手専属アドバイザー)」は似て非なる仕事です。
オーナーズが求めるのは、成約を急ぐ人ではなく、売り手オーナーの理想を最後まで追求するプロフェッショナルです。
本記事はFA経験者・M&A業界経験者、または金融機関出身でFA転向を検討している方を主な想定読者としています。今回は前編として、「必須要件/歓迎要件」「合わない人の特徴」「選考フローと見ているポイント」「カルチャーの実態」を、応募者が判断できる粒度で整理しました。後編では、実務がより具体的にイメージできる内容を掲載いたします。
採用で「絶対に外せない」のは、スキルより先に“価値観の一致”
オーナーズの採用で最も重視しているのは、当社のビジョン・ミッションへの共感です。
● 「正しいことを正しくやり切り、理想の未来を実現する」
● 「事業オーナーから支持されるNo.1プロフェッショナルファームになる」
FAとしての役割は、単にM&Aを成立させることではありません。顧客である売り手オーナーのニーズに真正面から向き合い、最善の支援を提供できる覚悟があるかどうかを見ています。
どれだけスキルが高くても、「売り手特化」「顧客本位」という価値観に共感できない場合、当社で長期的に活躍することは難しいと考えています。
必須要件・歓迎要件
必須要件(役割別)
● ヴァイス・プレジデント(以下:VP):FAとしての実務遂行能力が必須です。
● アソシエイト:金融機関での法人営業経験、または財務の基礎素養(PL/BSが読める、論理的思考力)が必須です。
歓迎要件(必須ではありませんが、保有していると望ましい経験・スキル)
● オーナー経営者への直接の提案営業経験(経営課題に触れた経験)
● 公認会計士/税理士/中小企業診断士などの資格
● M&A業務経験(仲介出身でもFAへの転向意欲があれば歓迎)
立ち上がりが早い人の特徴
オーナー特有の思考や意思決定を肌感覚で理解している人(オーナーへの折衝経験がある人)は、信頼獲得までのスピードが上がります。M&Aフローは座学で習得期間を短縮できますが、「経営者の感情」や「経営者への営業スタイル」の確立には時間がかかるためです。
合う人・合いにくい人の傾向
オーナーズが評価するのは、個の成果だけではありません。チームの資産を増やす行動が強く評価されます。
合いにくい傾向
● 個人プレー偏重:ナレッジを囲い込み、共有しない/ドキュメント化しない人
● 変化への適応が苦手:テクノロジー活用による変化が多い環境で、従来手法に固執する人
● 成約・利益重視が先行:顧客に不利な情報を隠して成約させようとする人
特に重視する価値観・行動特性
● 誠実さ(Integrity):信頼が根幹であり、サービス提供の場面での誠実さが不可欠です。
● チームスピリット:情報共有を進んで行う姿勢と、チームから学ぶ素直さを重視します。シニア・若手を問いません。
「仲介」と「FA」の決定的な違いは、ゴールが違うこと
仲介会社は「両者の妥協点を探してマッチングさせる」設計になりやすい一方、オーナーズのFAは「売り手オーナーの利益を最大化すること」をゴールに置きます。条件が良い買い手であっても、オーナーの理念に合わないなら断る提案をすることがあります。成約第一ではなく、顧客の理想を追い切る価値観を持てるかが適性の分岐点です。
選考プロセスの全体像(フロー/見ているポイント/スピード感)
選考フロー
書類選考 → 1次面接(社長)→ 2次面接(パートナー)→ 会食(パートナー)/オファー面談(人事)→ 最終面接
※状況により回数や順番は前後します。
※オンライン・対面は柔軟に対応しますが、最終局面(会食)では来社して空気感を掴むことを推奨します。
各フェーズで見ているポイント
● 1次(社長):価値観、ビジョン・カルチャーフィット、基本的な地頭、コミュニケーション能力を見ます。
● 2次(パートナー):実務スキル、FAとしての適性、現場メンバーとの相性を見ます。
● 最終:覚悟(コミットメント)、人間性(価値観)、長期的なキャリアの整合性を見ます。
面接で共通して見る評価項目
● 論理的思考力
● コミュニケーション能力
● アンラーニングできる素直さ(前職の成功体験に固執せず、FAモデルやテクノロジー活用に適応できる柔軟性)
選考スピード
候補者の都合にもよりますが、最短1ヶ月程度で内定が出ることがあります。大手金融やファームと比較検討中の候補者に対しては、当社の意思決定が早い分、オファー期限を柔軟に調整して待つケースもあります。
合否を分けるのは「なぜオーナーズなのか」
合否を分けやすいのは志望理由に関する「解像度」です。次の問いに、自分の言葉で答えられるかが重要です。
● なぜM&Aなのか
● なぜ仲介ではなくFAなのか
● なぜ今のタイミングでオーナーズなのか(キャリアビジョンとの接続)
スキルが足りていても、内定を見送るケースがあります。会社からの提供価値(教育、ブランド、給与)ばかりに関心が寄り、自分が組織にどう貢献するかの視点が欠けている場合は、評価されません。逆に、未経験者であっても当社で働くことに熱意を持ってくれる仲間は大歓迎です。
入社後のイメージ:フラットながらも規律と基準は高い
空気感
「知的な熱量」があります。代表の作田をはじめ、Big4や大手証券、金融機関などプロフェッショナルファーム出身のパートナー陣が、高い基準を持ち込んでいます。そこに「中小M&A業界全体を変えたい」という情熱が重なっています。
日常コミュニケーション
Slackなどを活用しフラットです。一方で、口頭や阿吽の呼吸に頼らず、ナレッジや決定事項をテキストに残す文化が根付いています。
入社直後でも情報にアクセスしやすいよう、ドキュメント化を徹底しています。そのほかのコミュニケーションは以下の通りです。
● 月に一度、全員出社の全社定例MTGを実施します(前月振り返りを含みます)。その際にはシャッフルランチを行い、部門横断で交流する時間があります。
● 案件ごとに必ずパートナーが1名アサインされ、最終意思決定を担います。フロントはディールヘッド(ディレクターもしくはVP)が主体となり、プロジェクトをマネジメントします。
意見が対立したときの決着
「誰が言ったか」「どう思ったか」ではなく、「オーナーズにとって何が正しいか」を基準に議論します。感情論で押し通すことはありません。
評価される働き方/評価されにくい働き方
評価されやすい
● 個人の経験やナレッジを見える化し、チーム全体の資産にする働き方
● テクノロジーを活用して生産性を上げる工夫
評価されにくい
● 情報を抱え込み、属人的なブラックボックスを作る動き方
● 成果を自分だけのものにしようとする動き方
働き方・制度の実態
制度
リモートワーク可、時短勤務、通勤手当(定期代支給)、ストックオプション制度、社宅制度、リファラル採用制度、病欠休暇制度(入社半年間の有給取得前)、VC健保加入(2026年4月予定)があります。
形骸化している制度は特にありません。機能しない制度があれば、廃止・変更する柔軟性があります。
リモート・出社の実態
リモート環境は整っており、ワークライフバランスを取りやすいです。育児や介護にも理解があり、協力的な雰囲気です。
一方で組織拡大フェーズのため、濃密な情報共有とカルチャー浸透を重視し、週2〜3日程度出社するメンバーが多いです(一定出社している方がパフォーマンスは高くなる傾向)。
残業の実態
案件の佳境(デューデリジェンス(以下、DD)への対応や最終契約前など)には土日・深夜稼働が発生することがあります。ただし、慢性的な長時間労働はありません。忙しさは担当案件のフェーズ次第で、DD対応中や最終契約前の1〜2週間が特に多忙になりやすいです。クロージング後や仕込み時期は比較的コントロールしやすく、長期休暇を取るメンバーもいます。無駄な社内資料作成は排除しており、意味のない残業はありません。
休暇・育児・副業
休暇・育児は柔軟に利用できます(プロとしての自律が前提です)。お子さんの送迎で中抜けしたり、夕方早めに退勤して夜に少し稼働したりする調整は日常的にあります。
副業は許可制です。ただしコミットが求められる職種のため、実態として現時点では副業をしている社員はいません。
オンボーディングと、入社後にギャップが出やすい点
教育・立ち上がり
コーポレート主導の導入研修と、自律学習環境の提供がベースとなります。
入社時オリエンテーション(初日):
ITツール(Slack, Notionなど)やセキュリティ、コンプライアンス、労務関連のレクチャーを実施し、スムーズな業務開始を支援します。
目標設定(入社3週間以内):
早期に評価者と1on1を行い、期待役割と評価基準のすり合わせ(目標設定)を行うことで、迷いなく業務に取り組めるようサポートしています。
スタートアップなのでコーポレートチームとの距離感も近く、Slackなど(#helpチャンネルなど)を活用して即時対応を心がけています。入社直後の不明点もすぐに解消できる環境です。
座学研修や過去の勉強会アーカイブ(Onboarding Training)に加え、独自の「M&Aナビゲーションシステム」やNotionなどのドキュメントに整理されたナレッジを通じて、早期から自走できる環境です。未経験者でも、ツールとOJTで早期に実戦投入されます。
実務のOJTに関しては本記事の後編(実務編)にて詳細を掲載する予定です。
ギャップが出やすい点
論理だけではうまくいかない場面があります。オーナーとの信頼構築は人間力が必要です。想像以上に自主性が求められます。スタートアップでは環境が整備されていない部分もあり、待ちの姿勢は不満につながりやすいです。自ら環境を作り、事業を成長させる意識が必要です。
成長・キャリア:未経験からでも最短2年でVP昇格の事例
未経験からでも最短2年程度でVPに昇格した事例があります。キャリアパスは次の通りです。
● アソシエイト(未経験者):オーナーズのビジョン・バリューをよく理解し、上席者のリーダーシップのもと、顧客に価値を届ける重要な役割を担う。主体的に品質や効率性を追求し、改善に向けた提言や活動を行う。率先して組織のカルチャーを体現する行動を取り、上席者のカルチャー醸成をサポートする
● VP:必要に応じて上席者の助言を仰ぎながら、案件の受託から実行までを主体的に行う。主体的に品質や効率性を追求し、改善に向けた提言・活動を行う。 現場での指導を中心に、アソシエイトの育成に重要な役割を持つ。率先して組織のカルチャーを体現する行動を取り、上席者のカルチャー醸成をサポートする。
● ディレクター:案件を主体的にリードし、チームメンバーの業務のマネジメントを行い、顧客への価値提供を確実なものとする。チームの収益目標達成、サービス品質管理、カルチャー醸成についてパートナーを補佐する重要なマネジメントの役割を担う。自身を含めた現場の声を吸い上げ、積極的に改善に向けた活動を実践する。アソシエイト、ヴァイスプレジデントの人材育成をリードする。
昇進・昇給は、売上貢献だけで決まりません。関与案件の成果に加え、ナレッジ化や採用協力などのチーム貢献、バリュー体現度も総合的に評価します。特にアソシエイト、VP層は定性面の比重も大きいです。
昇格実例の参考:
● https://note.com/risonal/n/nf4e4ed98a3b7
● https://note.com/risonal/n/nc5730de80cbe
面接で評価が高い人の共通点と、事前にやるべき言語化
評価が高いのは、オーナーズの存在意義を理解し、自分の人生・キャリアとリンクさせて語れる人です。次の問いに答えられる状態にしておくとご自身の強みとして伝わりやすくなります。
● なぜ今、M&Aにコミットしたいのか
● なぜ仲介ではなく「売り手FA」なのか
● オーナーズで何を実現し、どう価値提供を積み上げたいのか
● 会社に何を求めるかではなく、自分がどう貢献するか(成果/ナレッジ化/チームへの価値)
また、よくある誤解として「スタートアップだから自由、ジョブホッパーも多い」というイメージがあります。実態は、情報の取り扱いやコンプライアンス、ドキュメント作成のルールなど、組織としての規律が徹底されています。成果とクオリティへの要求基準も高いです。自立した社員が多く、そこに馴染めるかがフィットの分岐点です。
まとめ/応募者へのメッセージ
オーナーズが求めるのは、売り手オーナーの理想を最後まで追い切るFAとしての矜持を持てる人です。ビジョンへの共感とIntegrity、そしてチームの資産を増やす働き方が評価されます。
一方で、案件フェーズによる繁忙や、論理だけでは通用しないオーナー対応、自主性の強いスタートアップ環境など、負荷と期待値も明確です。
顧客本位を徹底し、必要なら「断る提案」もできる仕事がしたい人、テクノロジー活用で作業を減らし本質業務(対話・戦略・交渉)に集中したい人、個人の成果だけでなくチーム貢献にもコミットしたい人を歓迎します。不安がある場合は、面接で「出社・リモートの実態」「繁忙の波」「オンボーディングでどこまで期待されるか」など、具体的に確認してください。ミスマッチ回避の姿勢自体が、誠実さとして評価されます。