1
/
5

ユーザーを素敵な未来へ。「未来ドリブン」思考がユーザーのHappyに必要な理由ーRetty 武田和也×コネヒト 高橋恭文対談

2022年4月1日、コネヒトの新経営体制がスタートしました。

本エントリでは、新代表の高橋恭文が、日本最大級の実名口コミグルメサービスを担うRetty株式会社の代表取締役CEO武田和也さんと対談した模様をお届けします。

まずはじめに、二人の経歴をご紹介。

武田 和也(写真左):愛媛県出身、⻘山学院大学卒業。2007年株式会社ネットエイジ(現ユナイテッド株式会社)に入社し、インターネット広告の販売などマーケティング関連事業に従事。退社後1年間起業準備のためにシリコンバレーに滞在。帰国後、日本が世界に誇る食文化の興隆に貢献すべく、2010年にRetty株式会社を創業。2011年6月、実名口コミグルメサービス「Retty」をリリースし、月間利用者数は4000万人を超える。また、2020年8月には店内モバイルオーダーサービス「RettyOrder」を提供開始、2020年10月東証マザーズ上場。

高橋 恭文(写真右):株式会社アルバイトタイムスに新卒入社し、求人広告営業を経て、外食起業支援・定着支援事業を立ち上げ。2010年に株式会社カカクコムに入社し、『食べログ』のマネタイズ草創期から、チャネル責任者、ビジネスプロダクトマネージャーとして食べログの課金店舗を拡大。その後、2014年にRetty株式会社に入社し、執行役員、営業責任者として『Retty』のマネタイズに従事。2018年にコネヒトに入社し、営業部責任者、社会発信を担当し、2019年より執行役員として企画戦略室で社会性事業を立ち上げ、2022年4月より代表取締役に就任。

組織の指針や展望を示す「ビジョン」という存在。

そこで働く人にとって見慣れているもの・愛されているものだからこそ、新たな変化が加わるとき「もっとこうありたい」という希望を強く意識する節目となります。

今回、新たな「食体験」を創り上げ、食産業をリードしたいという強い意思を込めてビジョンをアップデートした Retty株式会社(本社:東京都港区、以下Retty)代表取締役CEOの武田和也社長と、コネヒト新代表の高橋が「ユーザーを向いたインターネットサービスのこれから」をテーマに対談を行いました。

創業12年目Retty・11年目コネヒト、それぞれのビジョンの変遷

―Rettyは2021年の12月にコーポレートビジョンを「食を通じて世界中の人々をHappyに」から「新たな『食体験』を創り上げ、人生をもっとHappyに」へとアップデートしています。まず、その背景についてお聞かせください。

Retty 武田 和也社長(以下、武田氏):ビジョンのアップデートは、Rettyが創業して10年という節目が1つのきっかけとなりました。

前のビジョンに親しみを感じていた社員もいましたが、旧ビジョンで使っていた「世界中の人々」というワードについては、会社が実際に注力している事業内容とかい離が生じていました。

新しいビジョンについては、それぞれの部署のミッション・業務内容に落とし込めるように作り込んで事業を推進するような力を持たせたいと考え、リニューアルに至りました。

以前のビジョンはユーザーに軸を置いた内容でしたが、新ビジョンは、ユーザーだけでなく飲食店で働く方々、生産者など「食」に関わる人たちに視野を広げています。次の10年に向けて私たちなりの新たな「食体験」を創り、「食」の業界全体を変えること、よくすることに注力していきたいという思いがこめられています。

コネヒト高橋(以下、高橋):コネヒトの場合は、子どもを望む家族と母親を対象とした事業からスタートして、現在は「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」というビジョンを掲げています。

このビジョンの中であえて「家族」ではなく「家族像」という言葉を使っているのには、理由があります。

「家族」という領域に対する関心度は個々の属性によって異なっており、関心を示しているのが「子どもがいる人」「子どもを持ちたい人」に集中している傾向が見られます。
しかし、日本で18歳未満の子どもがいる世帯は全世帯の2割と人口構成の中では少数派です。

対して「家族像」は、たとえ潜在的であっても誰もが持っていて、自分ごととして語ることができるものです。属性に縛られずに家族というテーマを大衆の話題に近づけるために、現在のビジョンにシフトしていきました。

ユーザーのことを突き詰めて考えると、ビジネスの領域が広がっていく

―創業期・成長期を経てビジョンの領域を広げた経緯について、Rettyとコネヒトとで重なる部分もありますね。

高橋:Rettyの新しいビジョンの中に「人生をもっとHappyに」という言葉が使われています。「人生」という単語からビジネスの領域が広がった印象を受けました。

アプリやサイトを利用する「ユーザー」だけではなく、飲食店を含め「食」に関わるすべての人たち、ひいては食産業に関わるすべての人たちの「人生」が含まれているんですよね。

この部分には僕も共感するところがあります。コネヒトには「お母さん」「子どもがいる家族」に向けたサービスがあります。

実際の育児の現場は、地域・親が所属する職場などを含めた、いわゆる「社会」から受ける影響が大きいので、コアユーザーを幸せにするためには、社会が「家族」にどう向き合うのか、というポイントが重要となります。

そうしたことを踏まえると、「ユーザーに向き合う」という点について、どこまでの範囲をどの程度まで深めていけばいいのかは、今後の課題としてしっかり向き合っていく必要があると思います。

「ユーザーと向き合う」ってどういうこと?

高橋:Rettyは「User Happy」を大切にされている印象を受けます。武田さんは「ユーザーと向き合う」というのはどういうことだと考えていますか?

武田氏:さまざまな利用者の方々がいて、飲食店の方々がいて、広告を出稿するクライアントがいます。

「ユーザーと向き合う」と口で言うのは簡単なことですが、あらゆる立場の人に対して「価値を届ける」「価値がどのくらい増えているか」という部分をちゃんと踏まえた上で、それらを適切に提供し、継続することが大事だと思っています。

まだ100%できているとは思っていませんが、ユーザーに価値を提供し続けることに謙虚に向き合っていこうという思いはあります。

高橋:「謙虚に向き合う」っていい言葉ですね。この部分をもう少し詳しく教えてください。

武田氏:自分たちが提供しているものって、売る立場なのでどうしても期待値を高く相手に説明するし、自分たちにとっても当然良いと感じているものだと思います。でも、実際は継続的に満足度を高められないケースもあります。

そういうときに、現状と真摯に向き合い、ユーザーのために「次に何をすればいいのか」「どんな価値を高めればいいのか」と考える必要があります。そうした姿勢を継続することが「謙虚」ということなのかな、と思います。

要は「自分たちが良いものを提供できているんだぜ」って思いすぎないことが大切だということです。

具体的な例を出すと、Rettyの場合は、四半期ごとに「ピアレビュー」を通じた評価・検証を行っています。現状を客観的に見つめ、組織としての行動指針を改めて確認するきっかけとなっています。

高橋:ネガティブな評価や事実に対してもまっすぐ向き合って「じゃあ、どうするか」と考え続ける、ということですね。

武田氏:なかなか難しいことですけどね。謙虚に向き合っているからこそ、組織内で商品を営業する側の「商品にまだ改善すべき点があるから、売りにくい」いう声と、開発する側の「もっと営業が売ってくれないと、開発に投資できない」という声がぶつかるケースもあります。

どの段階でも起こることだと思いますが、こうしたことにも1つ1つ向き合ってやっていく必要があると思います。



別のアプローチからユーザーにメリットを還元

高橋:Rettyは、ユーザー向けのグルメサービスだけでなく、飲食店に訪れたお客さんのスマホでQRコードを読み取って注文する「モバイルオーダー」のような飲食店向けの事業も展開されています。こうしたサービスによってどのような価値が生まれているのでしょうか。

武田氏:「モバイルオーダー」は、もともと飲食店の固定費の削減というメリットが期待されていました。ある程度の規模の店舗の場合、ホールに必要なスタッフの数や負担を減らす効果は確実にあります。

「コストパフォーマンス」というメリットに加え、お客さんがモバイルオーダーを利用することで、集客する側との関係性ができて来店のリピートにつながっているケースもあります。

今後は、集客側と顧客側、両者にとっての価値の幅がさらに広がっていくと思います。

高橋:集客する立場の飲食店は「お客さんに満足してもらう」という目的を達成するために、さまざまな業務や問題を抱えていますよね。

「モバイルオーダー」は、飲食店側の負担やコストを軽減することで、本来の目的の達成をサポートしている側面もあるように思います。それは結果的に、お客さんにメリットが還元されることにもつながりますよね。

武田:ただ単に飲食店の「固定費を減らす」という価値だけではなく、どうやって付加価値を生み出せるのかが、食やインターネットサービス全体で求められているように感じています。

高橋:お話をうかがっていると、Rettyはユーザー側だけでなく、集客側からのアプローチにも注力している印象を受けました。

コロナ禍が長期化し、以前と比べて外食がしにくくなっているからこそ、集客側とお客さんにとって「お互いを大切にする」「いい体験ができる」という価値観の重要性が増しているのかもしれません。

コネヒトが次のステージを目指すために掲げる「ユーザースタート、未来ドリブン」

―ここまで「ユーザーを向いたインターネットサービス」について対談してきました。Rettyとコネヒトが、ユーザーだけでなくユーザーを取り巻く対象へのアプローチに視点を広げている点は、類似していると感じました。

最後に、今後コネヒトが目指すところを教えてください。

高橋:コネヒトの4月1日の経営体制の刷新にあたり、メンバーに対して当初は「ユーザーファースト」「家族に向いていこう」という趣旨のメッセージを伝えようと思っていました。
しかし、前代表や経営チームと話し合い「ユーザースタート、未来ドリブン」というメッセージを打ち出そうという結論に至りました。

武田氏:「未来ドリブン」ってどういう意味ですか。

高橋:単刀直入に言うと「未来を向いてほしい」という意図を込めています。

「ユーザーと向き合う」「ユーザーファースト」は、もちろん重要な概念です。それを実現するためには「ユーザーインタビューをしよう」「ユーザーの声を聞いてこんな機能を変更しよう」といった方法が一般的ですが、果たしてそうしたことが「ユーザーと向き合う」の正解かといえば、違うと思います。

そこには2つの理由があります。1つめは「ユーザーは自分の抱えている本質的な課題を言語化できるのか」ということ、2つめは「言われたことは過去のことである、これから起こることではない」ということです。

コネヒトが携わる家族の領域は「次の世代」「近未来」を予測する必要性のある領域です。妊活中・妊娠中・育児中など、さまざまなライフステージにいるユーザーがいて、個々のステージはどんどん変化していきます。同時に新しいユーザーも増えており、以前、同じステージにいたユーザーとは既に価値観が変わっている部分があります。

ですから、ユーザーの声など収集した情報をそのまま取り入れるのではなく、いったん咀嚼して「では、これから何が必要なのか?」「これから何が起こるのか?」「どうあるべきか?ありたいか?」ということを描いていきたいな、と思っています。

そういったユーザーを起点に、未来と向き合ってほしいという思いを「ユーザースタート、未来ドリブン」というメッセージにこめました。

武田氏:なるほど! Rettyのビジョンの「新たな食体験」という部分と似ているかもしれませんね。僕らの場合、この先10年の新たな食体験を見据えてビジョンをリニューアルしましたが、その点が「未来ドリブン」と共通点があるように感じました。

高橋:未来を展望して「じゃあ、どう動くのか」「どんな体験を提供できるのか」という根本的な考え方は確かに類似しているように思います。

インターネットサービスの使い方については、Z世代の参入によって変化が加速しています。また、「妊娠・出産」に関してユーザーの身の回りに起きていることはそれほど変化がないのですが、価値観が変わっています。つまり、「体験」の内容はそれほど変わらないけど「感じ方」の部分が大きく変わっています。

変化が加速する中で、インターネットサービスはどうあるべきか、事業はどうあるべきか、という点について、「未来ドリブン」な問いを常に立て続ける必要があると感じています。

終わりに…

食と家族、2つのまったく違う領域でも、ユーザーを広くとらえ「未来の体験を変えたい」という強い意思がビジョンやメッセージに込めらていました。めまぐるしく変化する社会の中で、自分の中にあるユーザーの定義や、これから訪れてほしい「明るい変化」を伴った未来について思考を止めずに向き合っていきたいです。

コネヒト株式会社では一緒に働く仲間を募集しています
8 いいね!
8 いいね!
今週のランキング
コネヒト株式会社からお誘い
この話題に共感したら、メンバーと話してみませんか?