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温室効果ガスとしてのCO2の現状

こんにちは!DATAFLUCTのPRチームです。

気象庁が発表している通り、現在地球は過去1400年で最も暖かくなっております。
地球温暖化の主原因は二酸化炭素(以下CO2)やメタンなどの温室効果ガスと言われており、IPCC第5次評価報告書によると温室効果ガスの65%以上がCO2起因と言われてます。[参考:気象庁 地球温暖化]

そういった状況下、CO2削減施策として、CO2の発生抑制のほか、経済産業省 資源エネルギー庁はCO2の貯留、CO2の再利用(カーボンリサイクル)による削減のみならず、新たな資源の安定的な供給源の確保を推進しています。[参考:資源エネルギー庁 カーボンリサイクルについて]

カーボンリサイクルは大きく4つに分類されており、1つ目は化学品の生成、2つ目は微細藻類の光合成に代表される燃料生成、3つ目はコンクリートなどの鉱物生成の過程での吸収、最後に4つ目は、海洋生物の吸収による海域への貯留(ブルーカーボン)です。

また、ブルーカーボンに類似した用語にグリーンカーボンがあり、陸上の森林が光合成することによって吸収される炭素を指します。過去の調査によると、森林の2倍以上が海中によって吸収されていたそうです。

DATAFLUCTでは、温室効果ガスの現状の把握と、吸収のメカニズムの解明をデータによって可視化することにチャレンジするプロジェクトが立ち上がっています。

全世界のCO2を可視化
JAXA・環境省・国立環境研究所が、共同プロジェクトで開発した温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は、全世界のCO2やメタンなどの温室効果ガスの濃度分布を宇宙から監視することを目的として打ち上げられました。[参考:JAXA 人工衛星プロジェクト いぶき(GOSAT)]


※GOSATによる全球観測データ
[出典:国際環境経済研究所 「宇宙」からの温室効果ガス観測]

DATAFLUCTでは、GOSATのデータ等を活用し、各機関・企業によるカーボンリサイクルを中心としたCO2削減施策の効果測定に活用いただきたく、全世界のCO2濃度分布を時系列で可視化するサービスを開発しています。(2020年9月ごろリリース予定)そこで本記事では、開発中のプロダクトについて少しだけ分析プロセスをご紹介します。


緯度帯別にみた二酸化炭素濃度の変動

GOSATのL3全球CO2カラム平均濃度を用いまして、まずは北半球と南半球におけるCO2濃度の変動を見てみましょう。

図1,2では、2010年4月〜2020年4月にかけての緯度帯別に平均したCO2濃度の変動を示しています。

北半球(東-東南アジア域)の中・高緯度では南半球(オーストラリア域)に比べて、濃度も高く、変化幅も大きいことがわかりますが、これはCO2の放出源が北半球に多く存在しているためです。

また、北半球では植物活動が活発になる春から夏、特に7月に周期的な濃度減少が読み取れます。逆に南半球においては7月に一時的な濃度増加が見られていることも興味深いですね。



土地被覆別にみた二酸化炭素濃度の季節変動

陸域面積の多い北半球の中・高緯度では、春から夏にかけて濃度が減少し、夏から翌春にかけて徐々に増加するという傾向にありますが、土地被覆によってその季節変化幅がどの程度異なるかを調査しました。

土地被覆については、Degree Confluence Project による地上トレーニングデータと複数の既往土地被覆図を組み合わせて作成された全球土地被覆データ(http://db.cger.nies.go.jp/dataset/landuse/ja/)を利用させて頂きます。
こちらのデータは全球の土地被覆を緯度経度約1km間隔の分解能で表したラスター画像となっており、以下の7タイプに分類されています。

・森林
・草地
・農地
・都市 / 市街地
・水域
・裸地
・雪氷

今回は東-東南アジア域を対象とします。GOSATの分解能に合わせて2.5°×2.5°間隔に分割後、図3のようにメッシュ毎の土地被覆の割合を集計し、各土地被覆の面積とCO2濃度に有意な違いがあるかを検証しました。


図4,5は各メッシュの土地被覆の割合を横軸に、各メッシュに対応するCO2濃度の季節間変化量を縦軸にとってプロットしています。

図4(低緯度)と図5(中・高緯度)を比較していただくと分かる通り、中・高緯度では森林や水域の占める割合が多くなるほど、春から夏にかけての減少量が顕著に見えており(青線が右肩下がり)、裸地の面積が増えるほど、減少幅が小さくなっています。

一方で、秋以降の落葉時期に関しては土地被覆の割合に関わらず、濃度変化幅はそこまで大きくないですね。



将来の気候変動に関連してCO2の排出および吸収量を、数値モデルから高精度に推定することがグローバルな課題となっておりますが、今回用いたGOSATという衛星リモートセンシングでも、森林や水域の吸収力を十分に反映していた結果だったと言えるでしょう。

GOSATの後継機であるGOSAT-2も併用すると10年分以上のデータが蓄積されています。今後は長期的なデータセットを用いて、衛星により推定されたCO2濃度や排出量と実際の地上観測データとの整合性有無を検証していくことが求められます。

今回ご紹介した分析結果も含めて、DATAFLUCT co2.(CO2可視化サービス)を皆様にお披露目できるよう開発していますので、楽しみにしてお待ちください。

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