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【データサイエンティスト】独特の立ち位置で自分たちの想い込めた商品開発できるのが醍醐味

インヴァスト株式会社でスペシャリストとして勤務している土井雄太氏に、データサイエンティストの業務ややりがいについて話を伺いました。

プロフィールや入社のきっかけ、現在の業務内容そしてデータサイエンティストに求められるスキルなど様々な点から語って頂いています。

クオンツアナリストとして豊富な経験、優秀ファンド賞を4年連続受賞も

-プロフィールをご紹介頂けますか。

私は2022年1月からインヴァスト株式会社の事業推進部 データサイエンスチームのスペシャリストという肩書でデータサイエンティストとして勤務しています。この会社では最年長に近いと思うのですが、もともとは1990年に新卒で野村證券系のシンクタンクである野村総研に入社しました。

野村総研では金融工学の知見を活かしてマーケット分析を行う部署に配属され、クオンツアナリスト(金融工学や統計学の知見を用いて定量的な観点から金融市場の分析を行う)としてキャリアをスタートさせたんです。

その後、人事異動で部署が変わりましたが、私自身は最初に配属された部署での仕事にやりがいを感じましたので、金融市場の定量分析を扱う職種で外資系の投資銀行や国内の金融機関などで経験を積んできました。

約30年間のキャリアなんですが、実はその前半と後半で業務の性質に若干の違いがあります。というのは、金融市場にはセルサイドとバイサイドという面があるんですね。セルサイドは主に証券会社で、バイサイドは機関投資家や資産運用会社の総称なのですが、私のキャリアは前半をセルサイド、そして後半でバイサイドに転じた形なんです。

前半は証券会社のセールスをサポートする業務だったんですけれども、資産運用の業務に携わりたくなったのでバイサイドに移りました。資産運用のノウハウを開発したり、自社で実際に運用したり、あるいは投資の助言をする仕事ですね。

キャリア前半のセルサイドでは定量分析の観点から営業担当者のビジネスサポートやトレーディングの意思決定サポートを行い、後半のバイサイドでは運用手法の開発に関わるリサーチや、開発した運用手法に基づいてファンドマネージャーとしての運用業務に携わりました。

-ご自身のキャリアで最も印象に残っているのは?

自分が企画から運用モデル開発、そしてマーケティングに至るまで中心スタッフとして関わり、世に出した公募投信が運用評価機関から表彰されたことが最も印象に残っています。ファンドとして受賞するので個人ではなくチーム全員への評価ではありますけれども、開発したファンドがモーニングスターで優秀ファンド賞を4年連続で受賞したんです。

金融領域の同じ課題を役員と共有、「世直し」イメージして入社

-クオンツアナリストとしては輝かしいご経歴ですが、インヴァスト株式会社にはどのようなきっかけで入社されたんですか?

モーニングスターから4年連続で優秀ファンド賞を頂いたり、ということもありまして充実感と達成感があったのは確かなんですけれども、私自身にはモヤモヤしていた部分もあったんです。

というのはファンドに設定されている信託報酬(運用にかかる手数料・サービス料)が高かったため、何とも言えない印象を抱いていたんですね。手数料としてかかる信託報酬が自分の給料の源泉なのでファンドが売れて年収が上がるのは嬉しかったのですが、一方で金融リテラシーが低い方向けの商品でもありましたので、家族や知人には自信を持って勧められない。

むしろ、自分がやっていることは、会社にはプラスであっても世の中に対しては全然プラスになっていないどころかマイナスではないのかと考えてしまい、ファンドを設定してからの5~6年間ほど、釈然としない気持ちのまま仕事を続けていました。

そんな時期にたまたま会社の体制が変更され、同年代の同僚が数人退職するなど自分の置かれている環境が変化したので、いい機会かなと考えてベンチャー企業に転職したんです。いわゆるFinTechと呼ばれる会社でした。ただ、そのベンチャー企業は業績が芳しくなかったため、私が入社してまもなく多くの従業員が退職してしまったんです。

色々と苦労して悶々としていた時に、以前から登録していた某転職サイトを通じて鶴見常務取締役とお話する機会があったのがインヴァスト株式会社との最初の接点でした。

鶴見常務の言葉で一番刺さったのは「家族や友人に喜んでもらえる胸を張れるサービスを作りたいと思っている」という趣旨の発言でした。私にも「自社の商品を家族や知人に勧められない」という悩みがあったので、鶴見さんの言葉がハマった、マッチしたんです。

金融領域に関して課題を感じている点については自分と同じでしたし、その課題を違った角度からのビジネスを通じて解決することは、既存の金融機関よりもインヴァストのような独特の立ち位置にある企業の方がやりやすいと感じたんですね。

何か「世直し」のようなイメージを感じました。もちろん、自分の経験がストレートに生かせそうだと思ったことも、インヴァストへの入社を希望した理由の一つです。

【鶴見豪常務取締役インタビュー】

金融業界のデータサイエンティストはアナリスト兼プログラマー兼コンサルタント

-現在はどのような業務に携わっていらっしゃるのでしょうか。

私は事業推進部の中にあるデータサイエンスチームに所属しており、部署は社内でDSと呼ばれています。ヘッドが鶴見常務で私と中務さんの2人スタッフ体制なんですけれども、6月から新たに2名の方がジョインされる予定となっているので、計4名となります。

社内に蓄積されている金融市場データエージェントの取引実績データ等を用いて、当社グループがリリースしているマイメイトの品質向上を図るのが、私が所属しているデータサイエンスチームの主要ミッションになります。

業務のひとつがマイメイトのエンジンで用いている機械学習とAIの技術的な部分をブラッシュアップすることで、もうひとつがユーザーインターフェース、エンジンとは別にユーザーの使い勝手を改良することです。前者は同僚の中務さんが担当しており、後者を私が担当しています。

ソーシャルあるごトレーディングサービス「MAiMATE」公式サイト
https://www.mai-mate.com/

-データサイエンティストの業務についてもう少し詳しくお話いただけますか。

データサイエンティストの肩書きを持つ方の業務は会社によって大きく違うと思います。金融業界におけるデータサイエンティストに必要なスキルはいくつもの要素から構成されるんです。

市場を分析してレポートするアナリストとしてのスキルも必要ですし、ステークホルダーに対してリサーチを説明するスキルも求められます。その時に必要な能力は分析するためのアカデミックな知識だけではありません。

金融業界では今のようなビッグデータが一般化するずっと前から大量のデータを分析していました。パソコンでは難しい、大量のデータを処理できるエンジニアリング環境を使いこなせるプログラミング技術も要求されます。

同時に自分たちがやっていることの価値をきちんと専門外の方にも理解してもらえるよう上手にプレゼンテーションできる技術やコンサルタント的なスキルも必要なんですね。

抽象的ですけれど、アナリストでありプログラマーでありコンサルタントと、さまざまなスキルを兼ね備えるのが金融業界におけるデータサイエンティストと考えれば良いと思います。また、状況に応じて性格が変わっていく仕事ですし、会社によって業務の中身も異なりますので、解釈が難しい職種とも言えますね。

新しい方が来られるのでチームの運営体制についてミーティングしたんですが、私も含めてそれぞれの得意分野が違うので、アサインされる仕事も変わります。私の場合、機械学習というよりは金融マーケットに関する知見を期待されている部分がありますので、実際の業務もそれに近いところでプログラムをチェックするというよりはこういう切り口で分析した方がいいんじゃないかと提案したり、自分で分析したりしています。

新しくジョインされる方にもバックグラウンドがありますから、データサイエンティストに必要ないくつもの要素の中でどこを担当していただくか、検討しているところです。

データサイエンティストにはルーチンとしてこれをやればいいという決まりきった役割はなくて、人によって期待される部分が違うんです。ですから、これからデータサイエンティストを目指そうとしている方にも、全てを満たす自信がなくても何かひとつでもこれが出来るというものがあればいいんじゃないかなと思います。

「俺たちのプロダクト」を世に問えるのがインヴァストで働く醍醐味

-インヴァスト株式会社でデータサイエンティストとしてやりがいを感じるのはどのような部分でしょう。

自分たちが良いと思うサービスの開発に集中できるのが当社で働く醍醐味だと思います。

一般に金融商品ビジネスは販売会社や販売担当者の声が大きく、そちらの方に顔を向けた商品開発、もっというとへつらった商品開発になりがちで、こういった商品は概ね顧客にとって望ましい商品設計になりません。

資産運用会社として自分たちが作りたいファンドというより、AIが流行ってるからロボットを開発している会社のファンドを作れとか、少し前だとBRICSなど特定の新興国だけのファンドを作ってくれなど、セールストークしやすいファンドへのニーズが強くなるんです。そのため、なかなか主体的にファンドを作れないという悩みをどの会社も抱えていて、私も直面していました。

当社は、銀行さん等を販売窓口にしたビジネスモデルではないので、販売側の都合を気にすることなく、自分たちが信じる方向に進んでいけるところが長所だと考えています。

本当に良いかどうかを決めるのは我々ではなくてユーザーですけれども、我々の想いをサービスに込めて伝えるという、自分たちが良いと考えるものを開発できるのはモチベーションが高まりますし、この会社に勤める楽しさですね。「俺たちのプロダクト」を世に問うことは、既存の金融機関ではなかなかできないのでその点に面白みを感じます。

-逆に失敗談はありますか?

同僚の中務さんは、自分にとって強化学習の分野の師匠のような存在です。不明点が出てきたときは彼に尋ねればほぼ100%近い確率で問題は解決します。逆に自分の力で彼の問題を解決できたことがまだないので、早く自分のバックグラウンドを通じてチーム内にシナジー効果を出していきたいです。

まだ5ヶ月くらいなので幸い、今のところ自分の失敗で大きな穴をあけてしまったことはありません。しかし、スピード感の違いが周囲をやきもきさせてしまったことはあるんじゃないかなと思っています。私なりに良かれと思って丁寧に仕事するんですけれど、思っていたよりスピード重視の面があって、周りの方をやきもきさせるようなことがつい最近もありました。

手を抜かずに丁寧にやることを良しとする組織もありますし、そういう文化で過ごしてきましたので、資料の見栄えにこだわってみたり、どう突っ込まれてもいいように準備するところがあったんですね。でも、インヴァストはそれよりも早く出すことを重視するスタンスなんだなと感じるので、会社の期待どおりに動いていけるよう頑張ろうと思っています(笑)。

-土井さんの目標やキャリアプランはどのように描いていらっしゃるのでしょうか。

もう若くないので出世したいとかそういうのはあまりないんですね。ただ、無理な営業をかけなくてもユーザーや残高が増えていく理想的なサービスを作り上げていきたいと考えています。

金融商品のセールスの現場ではちょくちょくトラブルが起きるんですね。値段が下がったぞどうするんだというのはレベルの低いトラブルなんですけれども、よくニュースになる80歳の認知症に近いおばあちゃんに1億円の商品を売ってるようなケースがありますよね。営業担当者にとってはノルマが課されてますから悪いと思っていてもやらざるを得ない。

でも、そうまでして売らなきゃいけない商品・サービスって本当に必要とはされていないんじゃないか、と考えてしまうんです。多少は必要なのかもしれないけれども、過剰に供給されているので捌くために歪みが出てしまっているような気がしています。

その意味で、無理な営業をしなくてもクチコミでユーザーが増えていったり、ネットを通じたプロモーションで自然と残高が増えていくのが理想だと思いますから、最終的にインヴァストから販売できて、自分に何らかの貢献ができればいいな、と考えています。

ベンチャーと大手の「いいとこ取り」している会社がインヴァスト

-インヴァスト株式会社に入社して文化や社風についてどのように感じましたか?

入社前のイメージと比較すると3つのポジティブサプライズがありました。

一つ目は、オンとオフの切り替えが上手な方が多いことです。オフィスに行くとわかるのですが、17時過ぎあたりから帰宅する人がぽつぽつ出始め、ほとんどの方が18時をすぎるとオフィスからいなくなります。一見、淡々と仕事をしていらっしゃるように見えるのですが、一人一人が決して少なくない業務量に対して成果を出していらっしゃいます。

二つ目は、非常にフラットで働きやすいことです。もちろん、社長がいて役員がいて管理職がいて、といった名目上の階層はありますが、上から目線で人に接する方がいないので、普段上下関係を意識することがありません。仕事上で議論を行う場面でも、会社員的な「この人は目上だから」みたいな気をあまり使わなくて良い組織だと思います。

三つ目は、当社が高いレベルで組織の多様性を実現していることです。多様性と言うとジェンダーや国籍の話をイメージされる方が多いと思います。実際、当社には優秀な女性が多数在籍していますし、外国籍の社員の比率も他社比で圧倒的に高いことは事実です。

しかしながら、そのような表面的な事象ではなく、様々なバックグラウンドを持つ人たちの、異なる考えを否定することなく、耳を傾けて尊重する気風があるんです。その証拠に、入社してから同僚の悪口や欠席裁判の場に遭遇したことが1回もありません。年齢的には若くても、精神的に成熟した方が集まっているのではないでしょうか。

また、当社は様々な会社と合併しながら、性格やビジネスを変えて生き延びてきた歴史がありますので、自然と環境に対して柔軟に対応するDNAが形成されているようにも思えます。

こういったことが相互にシナジー効果となって魅力的なカルチャーが出来上がっているのでしょう。正直に言ってしまうと最初は地場証券的なノリかな、と思っていたんですが(笑)、全然そんな事はなくて、外から見たイメージとは違う会社だと思います。

-最後に、求職者の方に向けたメッセージ、こんな方と働きたいなどあればお願いします。

例えば金融に詳しい、エンジニアとしてこんな開発をしてきましたというご経験をお持ちの方は即戦力として働けると思うのですけれども、ご縁があって働いていれば自然と身につくものなので、知識やスキルはあまり重視していません。

どれだけ真面目にやるか、特別な才能やスキルは必要なくて、真面目に誠実に投げ出さずにやっていく姿勢が大切だと思います。それができる人であれば私はウェルカムですね。誠実で真面目な人と一緒に働きたいですし、どこかに偽りがあると信頼関係も結べませんから。

幸いなことに自分の周りは皆そういう方ですし、同僚の中務さんは私より一回り若いんですが見識も深く助けて頂いています。私が同じように同僚や会社に返せているかと言うとまだクエスチョンなので(笑)、真面目に頑張りたいと思っています。

最後に、入社してみてインヴァストはベンチャーとも伝統的な金融企業とも違う文化を持っている会社だと感じています。ベンチャー企業はいい意味でも悪い意味でもGreedyな、貪欲な面がありますよね。

一方で会社としての体裁が整っていないことが多くて、ビジネスを回しながら会社の制度を創り上げていくので、最初に飛び込んだベンチャー企業では「えっ、こんなことが決まっていないのか」と驚いたことも度々ありました。

その点、当社は制度がきちんと整っていますし、ガツガツしたところがなくていい意味で落ち着いています。一番違うのが財務基盤で、しっかりしてますよね。

ベンチャー企業はマネタイズに成功した数少ないケースを除いて、多くは財務的に厳しい場合が多いと思います。インヴァストはその意味でベンチャー企業とは違うと言えますし、トラディショナルな金融企業とも違う。上場企業の信用と財務基盤があって、でも自由といいとこ取りしている会社だと考えています。

(取材日:2022年5月26日 聞き手:垣本陸)

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