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大手総合商社から複業でカヤックに!面白法人の「ガバナンス」について語る

面白法人カヤックでは、本業の仕事・副業の仕事といった優先順序を付けず、あえて「複業」という言葉を使用しています。複数の仕事を同時に本業として取り組む人を増やすことで、カヤックがより柔軟に変化できる組織になることが目的です。
一つの「複業」の取り組みとして、大手総合商社でグループガバナンスを担当する大橋英雄さんを外部アドバイザーに迎えました。

グループ管理部部長の氏原大さんと大橋さんに、面白法人カヤックグループの今とその可能性についてお話を伺いながら、複業の可能性について考えます。

氏原大(グループ管理部 部長)
大橋英雄さん(大手総合商社にて グループガバナンスを担当)

◆大手総合商社の大橋さんがカヤックに来た!!

ー大橋さんは複業という形で週に1度、外部アドバイザーとしてグループ管理部に関わっていますが、どういう経緯で引き受けたのですか?

大橋 カヤックの知人に声をかけられたのがきっかけです。私も、一般論としてのガバナンスについて頭を整理したかったので引き受けました。私が所属する大手総合商社には国内外で約1700社の子会社がありますが、カヤックは10社強。規模の違いもあるので、施策への反応やスピード感の違いも含めて、自分たちが考えたことが具体的にどうなるのか見てみたいという関心がありました。

ー大橋さんが引き受けた当初はどのような状況でしたか?

氏原 カヤックではグループ会社が年々1、2社ずつ増えていて、今16社(2022年11月1日時点)あります。その一方で、カヤックはもともとクリエイターを大事にしている会社なので、グループ会社に対しても何かこうしてほしいと強制することがないんです。さらにカヤックの事業が多岐にわたる中で、グループ化の参考にできる会社もない。そこで、長い歴史がある会社に所属する大橋さんからガバナンスを教えていただけたのが、大変ありがたかったです。

大橋 カヤックの場合は『面白法人』を第一に掲げていますよね。楽しげな雰囲気やクリエイターを大事にする自由な風土は、グループガバナンスや内部統制とは真逆なわけです。矛盾とも言えるような…。会社の良いところを残しながら、上場企業としてガバナンスや内部統制をどう進めていくかを一緒に考えてきました。氏原さんからの質問に答えながら、会計や権限など、各社の自律性の課題とギャップを明確にしていく。僕はいわゆる壁打ち相手です。

◆大手総合商社×ベンチャー企業で働く

ーグループガバナンスを進める上で、大手総合商社とカヤックにおける違いはありますか?

大橋 ガバナンスの一般論としてはどこの会社も一緒です。規模の大小にかかわらず今までやってきたことは役に立つだろうと思いました。カルチャーの違うものを取り込むときは、企業の大小を問わず必ず課題が発生する。私の勤める大手総合商社もカヤックも上場企業なので、同じ土俵の世界です。

ーはじめから両社の共通点をガバナンスの視点から見えていたのでしょうか?

大橋 大企業特有のカルチャーをベンチャー企業のカルチャーに応用できるのか、両社の共通点があるのかは、正直スタートした時には確信はもてませんでした。サイコロで給料を決める会社と、ネクタイをつけてかっちりしている会社。今思うと全然会話が噛み合わない可能性もありましたよね(笑)。私と同じように大企業で複業ができる人たちも読むかもしれないので敢えて言うと、意外と違いはないよって。役に立つのかわからない話が意外と役に立つことも。そのままでは役に立たなくても発見のきっかけになったり、違いを提供するだけでもひとつの価値になる可能性があります。


ー週に一度という関わり方についてはどうでしょうか?

大橋 常勤ではなく社外にいるからこそできることがあると思います。僕は社員ではないので、ある種の第三者性をもって関わることができる。当事者意識がないのではなくて、冷静沈着たる第三者性。自分の子どもが夜泣いた時の焦りとは違って、他人の子どもが泣いている時は余裕を持って対応できる、みたいな。カヤックのことを考える時間で、普段会社にいる間に出て来たらいいのにと思うアイデアや言葉が浮かぶこともあります。ここに兼業する人を関わらせる正当性があり、複業ならではの面白さになり得るのではないでしょうか。

ー実際に複業をしてみていかがですか?

大橋 他の企業にアドバイスをするために転職するのは厳しいですが、複業でお願いしますと言われれば、会社の許可があれば可能ですよね。私自身も、会社と違う環境で業務が似ている人たちと議論できる。絶対、自分にはプラスになっていると思います。そんな関わり方をする人が他にも何人も出てくると、意外と負担を少なくして新しいものが導入できるのではないでしょうか。グループガバナンス自体が色々なカルチャーを繋げる仕事なのですが、私自身が複業というかたちで大きな伝統企業とカヤックを繋いでいる側面もあります。何か別のかたちでも、役に立つかもしれないと感じています。新しい化学反応が生まれるかもしれない。そこが面白いところです。

◆カルチャーを繋ぐとどうなるの!?

ー異なる企業のカルチャーを繋ぐ時に気をつけなければいけないことはありますか?

大橋 グループガバナンスを進める上で、完全に自由にするとお祭りのようになって統制が取れないし、完全に締め上げるとみんなのやる気がなくなるんです。カヤックの場合は、ともすると面白くない法人になっちゃう。そのいいバランスや塩梅があるはずです。統制の許容範囲は企業の風土や文化によって違います。統制か自由かではなくて、自由を与えながら統制するという答えが必ずどこかにあるはず。みんな生身の人間なので、何人もの気持ちをシミュレートすることが非常に大事ですね。

ー氏原さんから見て、大橋さんのアドバイスでありがたかった点を教えてください。

氏原 カルチャーを繋ぐと大橋さんが仰っていましたが、グループガバナンスを進める上で本当にわからないのは人の心の機微なんですよね。こういうことをするとこういうリアクションが返ってくるだろうというシミュレーションが難しい。制度での対処法が書かれたものはありますが、「なぜそうしたのか」を詳しく知るには、やってみた人に聞かないとわからないんですよね。大橋さんがいないとわからなかった部分だと思うんです。大橋さんの体験に裏付けられたお話しが聞けるので、導入したいものがもっと身体感覚を伴ったものになる。知りたいのは、ガバナンスを進める時に起きる、人の関係の変化や特有の心理状態なんです。つまり、人の心を扱うという意味では、どんな企業を繋げる時でも気をつけることは同じです。だから大企業でもカヤックでも、起きる状況はそんなに変わらないということかなと思います。

大橋 例えば、ある一つの対応がA社だとスムーズだったけど、B社だとうまくいかなかったということがあります。完全に同じ状況は起きないし、登場人物も違うわけです。でも、話して伝えることで、もう少しその施策の色や雰囲気が出て、人間の形になってくるんですよ。そうなってくると具体的な施策にも落としやすいですよね。

ー大橋さんと氏原さんが一緒に仕事をしていること自体が、異なるカルチャーの繋がりを体現しているようにも感じられます。

氏原 こうやって話をしていると、大橋さんのお勤めの総合商社とカヤックは、カルチャーがそこまで大きく違わないのかもしれないと思いました。考えていたほど遠くないから、会話が成立しているのかも。規模が違っても、意外な組み合わせでも成立する可能性を感じられました。

大橋 逆に言えば、思わぬ会社同士の組み合わせの方が、面白いのかもしれません。今日、柳澤社長が「面白いものを取り入れて、面白くやれるようにしてほしい」と仰っていました。それがカヤックのコーポレートカルチャーですよね。カヤックで複業するまでは、そんな風に考えたことは一回もないですよ。確かに面白くやれれば、それに越したことはないですよね。

◆「ベストプラクティス」の共有がグループを強くする

-新設されたグループ管理部ですが、どのように仕事を進めていくべきでしょうか。

大橋 ベストプラクティスの共有が、一番進めやすいと思います。結果が出ているものを共有し合えるのは、グループ会社の強みです。外には出せない話も、グループの中であれば共有できますよね。自分たちが当たり前にこなしていることも、実は他のグループ会社の人が悩んでいることかもしれない。

氏原 細かいことでもいいんですよね。たとえば、あるグループ会社が案件ごとにチェックシートを作っていて、カヤックでも他の会社でもすごく役に立ちそうだなと思ったんです。グループの内部監査室の人が集まるイベントでそういう話をするとすごく楽しいんですよ。管理の仕事をしている人は、ノウハウを話す機会が少ないんです。自分では地味な仕事だと感じていても、その良さがわかる人同士だと「すごい!」と言いあえて、めちゃくちゃ面白いんですよね。グループ内で面白がれたらみんなの役にも立つし、僕も面白いから、もっとやりたいと思っています。


大橋 グループ内での共有が進んで、共通した言語を持ち始めるとコミュニケーションもとりやすくなる。そうするとさらにグループ会社のメリットが色々な形で出てくるはずです。それが繋がることで、グループの総力になっていく。グループ会社同士が有機的に繋がると、単なる16社じゃなくて何十社分のパワーにもなる。そのベースはおそらく、風土や文化の共有であり、言語の共有であり、色々な情報の共有なんですよね。ビジネスが違うと、世界観や時間軸、儲け方も全然違う。違う視点の人たちが一つ屋根の下に入って会話をする。そうするとめちゃくちゃすごいものが生まれるかもしれない。このダイバーシティの世の中で、カヤックは非常に面白いことをやっていると思います。

-ベストプラクティスの共有を通じて、カヤックの強みとしたい部分はなんですか。

氏原 グループ管理部として『面白法人』は変わらない柱になると考えています。『面白法人』には色々な解釈がありますが、少なくとも「面白がる」まではグループマインドでいいと思うんです。面白がっている人同士にとって、面白がるというのは共通言語で、まずは話ができる安心感を提供できる。そうすれば個人的な繋がりは増えるし、同じグループでのメリットの話がどんどんしやすくなる。業績を比較するではなく、「面白がる」を軸にして、それぞれのグループの可能性を引き出したいということですね。各グループ会社の違いに合わせて試行錯誤するうちにまた新しい仕組みができて、『面白法人』で試したことが他の会社でもできれば、見たことのない面白いグループになれるんじゃないかな。それが、今考えている理想ですよね。

大橋 カヤックの事業領域は確実に広がっていて、ゲームやIT分野の仕事がある一方で、地方創生を柳澤社長自らやっていて、売上も利益も上がっている。だから今後、機関投資家にもアプローチしようとか、上場するマーケットを変えていくフェーズに入っていくかもしれない。フェーズが変わる時にまだ『面白法人』をキープできるのかは、過去に誰もやったことがない。カルチャーを変えずに事業を拡大できるのかと問われる分岐点が近いんじゃないのかと思っています。面白いままに大きくなる方法論を、今後も氏原さんたちと考えていきたいです。

カヤックサイト インタビューより引用- https://www.kayac.com/news/2022/11/interview_fukugyo

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