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サビ管インタビュー:障害者入所施設で経験のある社員が、就労移行支援にチャレンジして感じたこととは?

今回は、就労移行支援事業などを運営する「LITALICOワークス」でサービス管理責任者を務めるお二人にインタビューしました。お二人の共通点は、重度障害をお持ちの方が通所される入所施設での現場経験があること。そこから就労移行支援という異なる領域への転職を決意されています。入社前後での思いや、現在どのような思いで働いているのか、それぞれに聞いてみました。
※以下、敬称略

LITALICOワークス サービス管理責任者 城野(しろの)さん
学生時代は福祉と心理学を専攻。1社目は重度知的障害者向けの入所施設に就職し、そこで放課後等デイサービスの児童向けの現場も兼務。2019年にLITALICOへ入社し、就労移行の分野に初めて参画。2022年にサービス管理責任者に着任。
LITALICOワークス サービス管理責任者 片桐(かたぎり)さん(写真右)
学生時代は保育士の専門学校で保育を学び、卒業後は重度障害のある方向けの入所施設で約10年間勤務。その後派遣会社での営業経験を経て、2019年にLITALICOワークスの支援員としてLITALICOへ入社。現在はサービス管理責任者として勤務。

入所施設で、重度障害のある方の支援を経験

ー福祉事業に携わるきっかけになったのは、どのような経緯からでしたか?

(城野)私は学生時代、福祉・心理学を専門にしていました。「とにかく早く社会に出たい!」という思いが強く、院には行かず学部卒業後にすぐに就職したいと考えていました。一方、院で特定資格を取らないと心理系の専門職は就職し辛いことも多いので、進路としては介護や障害者支援の分野を検討していました。結果1社目では、地方の社会福祉法人が運営する重度障害の方向けの入所型の施設に配属となり働き始めました。

(片桐)僕は、子供にかかわる仕事がしたくて保育士の専門学校に通っていましたが、福祉施設での研修に初めて行ったとき「こんなに楽しい世界があるのか!」と思いカルチャーショックを受けまして。卒業後の1社目は、10年ほど入所施設の生活支援員やそこでのサビ管を経験しています。

ー1社目では、どんなお仕事をしていましたか?

(城野)入所されているみなさんに生活介護、日中一時支援を提供するのが主な仕事でした。2年目からは、お子さまが通う放課後等デイサービスの現場も兼務で働いていました。当時利用者さんとして多かった自閉傾向のある方の中には大きな変化を好まない方も多く、毎日を一定の水準で、安心感をもって過ごしていただくことを大切にしていました。

(片桐)僕は1社目ではお子さまから大人まで最重度と認定される障害のある方々を対象としていました。言葉での意思疎通が難しい分、ご本人の望みを推測しながら幅広い手立てをいろいろとやってみるのですが、試行錯誤の毎日でした。一方で、実習生の学生が来たときの何気ない一言で「あの利用者さん、あんな動きもできちゃうの?」と驚くような変化もあったりして。そこは正解も不正解もない難しさでもあり、対人支援の面白さでもあると感じていました。

LITALICOで初めて、就労移行の領域にチャレンジ

ー転職を考えたきっかけは何でしたか?

(城野)私は、会社方針が大きく切り替わった時期があったのですが、働く社員の満足度に重きが置かれ過ぎてしまい、大切にしていた利用者さんとの大切な行事ごとが強制的に無くなってしまったりもして残念に思っていたんです。当時は夜勤があったため体がしんどくなってしまったこともあり、転職を考えるきっかけになりました。

(片桐)結婚や子育てを機とした、経済的な理由は大きかったです。また、僕も夜勤で生活が不規則で大変だったことが理由で1社目を離れました。2社目は、人材派遣の営業職としてインセンティブありのお仕事に就きました。そこで障害が疑われるケースや、グレーゾーンの方がかなり多く派遣登録されていることに気づいたんです。
体調も勤怠も安定せずすぐ契約が切られてしまったりするケースもあり、まさに「働くこと」に障害がある状況だと思いました。そこで障害のある方への就労支援を仕事にできないかと「障害者 就労」と調べて、初めてLITALICOを含む就労移行支援事業の存在を知りました。


ーLITALICOに入社した理由を教えてください。

(城野)まずは挑戦してやってみる!が私のモットーなので、次の転職先はそのチャレンジ精神を大切にできて、失敗を次の糧にして頑張る姿勢を後押ししてくれるような、そんな環境を探していたんです。LITALICOは、「LITALICO発達ナビ」を前職でもよく見ていました。専門性や質の高い支援に対しては信頼も高かったですね。面接したその日の帰り道に内定連絡をいただき、自分を必要としてくれているんだ!という印象を受け、嬉しかったです。就労移行は知識も経験も全くなかったので迷いもありましたが、このチャンスを逃したら後悔するだろうなと思ったので入社を決めました。

(片桐)「人はちがう、それでいい、そこから始まる」というメッセージやHPの素敵な雰囲気に惹かれました。初めて接する精神障害の方とどのようにかかわれるか、という漠然とした不安はありましたが、面接官の方がとても雰囲気が柔らかくて、常にうなずきながら僕の話を丁寧に聞いてくださったので、こんな姿勢でかかわって下さる人が多い会社なら…と思い入社を決めました。

言葉があっても、それが真のニーズとは限らない

ーこれまでの現場との共通点、ないしは違いを感じる場面はありますか?

(城野)障害のある方々の支援経験は積んでいたので、障害に対する知識や対応の仕方については役に立っていますね。こだわりが強い方への対応の仕方や、先に見立てを持ったうえで、本人と実際に接しながら支援を考えていく対応も今にいかされています。

一方で、LITALICOワークスの利用者さんは、私が前職までにかかわっていた時よりも比較的障害の程度が軽い方が多いため、言語化できるがゆえに本質的な困りごとやお気持ちが他者から見えにくいケースがあるので、その点は違いを感じています。

以前は利用者さんの行動が「ちょっといつもと違うな」と感じれば、コンディションの違いを察知できる環境だったのですが、今通所されている方々は障害が軽度の方も多いので、ご本人が伝えて下さる言葉の情報に引っ張られやすいんですよね。本心を導き出すのが非常に難しいなと思います。

(片桐)僕も利用者さんの意思表示に対しての違いや難しさは感じましたね。言葉があるからこその難しさというか。その中でも、「その人が本当は周囲に何をしてほしいと思っているのか?」を考えひたすら拾いにいく、という支援の姿勢自体は、入所施設のときから変わっていないと思います。

今は、「答えはメンバーさんの中にある」というLITALICOワークスのスタンスが僕の中でしっくりきています。僕たちは本人がベストだと思う選択肢を選べるお手伝いをしているだけなので、それを引き出せるかが大事だと思っています。

定期的に自分を振り返れる研修制度

ー就労移行の分野へのはじめてのチャレンジだったと思いますが、入社後のサポート・研修はどうでしたか?

(城野)利用者さんが真に求めていらっしゃることを引き出すための具体的な質問の仕方まで、最初の研修でしっかりとデモンストレーションで練習できたので、その内容が今でも役に立っています。また、入社してからも支援員、サビ管向けに定期的に研修の機会も設けられているので、都度都度学び直せるのもいいなと。自分の支援を客観的に見直すこともできますし、慣れてきたからといって対応をパターン化せず、常に一人ひとりに向き合う「LITALICOスタイル」を大切にする意識醸成にもつながっています。

(片桐)僕はまず、教育担当(OJT)をつけて貰えたことに驚きました。最初の1か月は毎日30分面談の時間を取っていただいて。入社して1年間は、定期的に振り返りの時間があったのもありがたかったです。全国にある拠点のサビ管同士でチャットで横の繋がりもありますし、うちのエリアでは定期的に1つのセンターに集まって困りごとの共有をしたりしています。

自分の個性や強みを発揮しやすい環境

ー仕事のなかでのやりがいを感じた出来事を教えてください。

(城野)私にとっては、利用者さんの成功体験をつんで成長されていく姿がなによりの励みです。例えば、週1日だけLITALICOに通所することがやっと、という方が、悩みながらも少しずつ来れるようになって、最終的に2年間利用いただいて最後に就職が決まった例がありました。今では他の利用者さんからも目標とされるような存在です。不安感が強い傾向にあったのですが、センターでの課題を一つひとつ一緒にクリアしていくことで、どんどん自信が増え、自力で進めるようになっていった姿が印象的でした。

(片桐)僕は、サビ管として個人がやりたいことに力を入れやすい社風がやりがいに繋がっていると思います。僕自身は、地域で困っている方を救えるための選択肢を増やす活動に力を入れたいと考えていて、今は精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(にも包括)のプロジェクトで千葉市の幹事もやらせていただいています。無償での講演の登壇などもあるのですが、上司に相談した時に「いってきて!」と快く背中を押してもらえたのが嬉しかったですね。関係機関との横のつながりもできて、LITALICOワークスにも一定還元できているんじゃないかなと思います。



ー周囲のスタッフはどんな人が多いでしょうか?

(城野)福祉業界出身の方も、一般企業出身の方もいるので多様性に富む環境だと思います。私のように福祉領域での経験がある人は、利用者さんに目が向きやすいので障害に対しての理解促進や想像が及びにくい部分のサポートができますし、逆に就職先である「企業」の視点から支援を考えられる立場の人がいることで多角的な視点で議論ができる職場だと思います。
あとは、お互い小さいことでも褒め合う文化がすごくいいですよね。自分の強みを発揮できるところで積極的に「私やります!」と言ってくれるスタッフも多いので、サビ管としてはありがたいです。

(片桐)個性的なスタッフが多くて、お互いの違いをいかせる文化があると思いますね。弱みがあっても人に見せやすい環境だなと。昔であれば自分がパソコンが苦手なのも周りに隠していたりしたんですが(笑)、今は素直に人にできないところを伝えられます。どのセンターでも、出来ないことがあっても互いにカバーし合うような社風がとても良いなと思います。


ー最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください!

(城野)私は、センターの支援の質をより高めていくことが直近の目標です。ここを訪れた皆さんに「このセンターと繋がれてよかった」と安心感を持ってもらえたらなと。利用者さんやスタッフの皆さんの魅力がどんどん増え、いきいきと活動できるようにエンパワーメントができたら最高だなと思います。まだまだ未熟者ですが、「城野に任せたら安心だ!」って思ってもらえる存在になりたいので、これからも頑張ります。

(片桐)「自分らしく働く」ことへ困り感を持っている方の選択肢の中に、就労移行支援を活用することが当たり前に入るように地域の皆さまに向けた活動を続けていきたいです。

LITALICOは直接支援だけではなくWEBサービス、分野としては医療や介護など、会社として展開している事業がものすごく幅広いのでこれまでの人生経験や自分の力を発揮できる領域が、どこかに必ずあるのではないでしょうか。サービス管理責任者についてもさらに仲間を増やしていきたいので、少しでも興味のある方は面談・選考へ繋がっていただけると嬉しいです。

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