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現場で生まれ、みんなで育てたmanaby note―支援員たちのプロジェクト

ソーシャルベンチャーとしてスタートしたマナビーでは、創業から社員発のプロジェクトが盛んに行われてきました。そして2023年、社内にある素敵な取り組みをもっとみんなで共有しようと、「manabyらしい挑戦」を公募するという新しい“挑戦”を行いました。


そこで最高評価を得た取り組みの一つが、「manaby note プロジェクト」です。プロジェクトのリーダーである、石巻駅前事業所のサービス管理責任者 金野さんにお話しを伺いました。
(広報 大坪)

manaby noteとは?

manaby noteは、就労移行支援manabyの事業所で生まれたツールの一つです。



就労移行支援では、利用者(manabyではクルーと呼びます)は就労に向けて様々な訓練に取り組みます。eラーニングでPCスキルを学び、ビジネスマナーを身に着けるほか、自己理解を深めていくことも自分らしく働くための大事なポイント。自身の状態や考えを整理しながら、働くための準備ができるのがmanaby noteというツールです。


「ワークシート形式で、クルーさんの課題や目的に合わせてページごとに選んで使うことができるんですよ」(金野さん)


manaby noteは、大きく3つのフェーズに分けてまとめられています。


① スタート:自己分析編、自己理解編、生活支援編
② チャレンジ:職業指導編
③ リクルート:就労支援編


支援員が一人ひとりに必要なものを選んでクルーさんご本人に提案して使うもので、今では全国の事業所で活用されるようになりました。


はじまりは支援の現場から

このmanaby noteのはじまりは、いまから4年ほど前にさかのぼります。


当時、宮城県仙台市にあるmanaby長町駅前事業所の支援員たちはある課題を抱えていました。事業所では一人のクルーさんに対してチームで支援していきますが、その情報をうまく共有して活かしていくという点でもどかしさを感じていたのです。


支援員はそれぞれにクルーさんとコミュニケーションをとり、本人についてよく理解をしていました。しかし、就労に向けた準備状況や働くことに対する思いを情報として整理できていなかったため、いざ就職活動を始めようというときに、改めてチームで正しく把握するための作業に苦労していたのでした。


就労移行支援の支援員には、生活支援員、就労支援員、職業指導員がいます。そこに事業所管理者やサービス管理責任者が加わって一人のクルーさんに対して多くのスタッフが関わりながら支援をしていきます。


チームとしてより包括的にサポートしていきたい。クルーさんの状態を可視化してみんなで共有できる仕組みをつくりたい。そんな思いから、長町駅前事業所ではワークシートの作成を始めました。


その頃、神奈川県川崎市のmanaby川崎事業所でも同じような思いでツールをつくろうとしていました。川崎事業所は、manabyが初めて関東エリアで立ち上げた事業所。


ベンチャーとして創業し、初めてづくしで未開の地を切り開いてきたmanabyのスタッフは、それぞれの場所で柔軟に変化しながらクルーさんのために自ら行動していたのです。(manabyが大事にする価値観、Crew first、Think deep、Do now を体現している!)


仲間がどんどんつながって

そこで「manabyとして一丸となってよりよい支援を届けていこう」と、事業所をまたいだプロジェクトが発足します。ここで現リーダーの金野さんもプロジェクトに加わることとなりました。


「最初にできたのは自己理解に注目したシートです。自分とダイアローグするようなもので、書き出しながら自分のことが客観的に可視化できる、そんなものでした」


事業所では、まず支援員と一緒にいまの状態を共有し、就職に向けてどんな準備をしたらよいかを整理して見通しを立てることから始めます。生活リズムはどうなっているか、自分の得意なことと不得意なことは何か、どんな働き方をしたいと思っているか、シートに書き出していくことでまとまっていきます。


「就職に向けた課題は一人ひとり違うので必要なツールも違います。だから全員が全部を使う前提のものではなく、必要な人が必要なものだけ選択できるものにしよう、ということをまず決めました」


これまでにそれぞれ支援員が独自で作成したものや専門機関が提供しているものをベースに、よいものを集めて精査していきました。


いつしか自ら志願したメンバーも加わり、プロジェクトは進化していきました。全国の事業所のサービス管理責任者にも声をかけ、時間をかけて対話を重ねたメンバーたち。クルーさんの準備段階に合わせて必要な情報をワンセットにして、デザインも整えます。支援現場で生まれたCrew firstなアクションが少しずつ大きくなっていきました。


広げて深めるダイアローグ

使用マニュアルも作成し、いよいよ全国の事業所での利用が始まりました。


「説明会をしてslackチャンネルには問い合わせ窓口もつくりましたが、ツールの使い方や事例についてざっくばらんに話ができる機会があるといいなと思い、座談会を始めました」


喫茶店のマスターと気軽に話してほしい、というイメージで「manaby cafe」と名付けたダイアローグ座談会を定期的に開催。全国の支援員がオンラインで参加して、「こんなときどうしてる?」「こう使ったらとてもよかったよ」などという話で盛り上がりました。


ツールの使い方だけに留まらず、ツールを通したクルーさんの支援事例検討会もやってみました。現場の支援員から、「ツールに書き出してくれたのはいいけど、それに対してどう声をかけたらよいか」という悩みの声が聞かれたのがきっかけでした。


クルーさんが記したmanaby noteから読み取れることはどういうことか、就職に向けて次にどんなアクションが必要か、実際の事例をもとにいろいろな視点や角度からダイアローグの姿勢で意見を聴き合います。


「支援員はそれぞれ経験や持つ知識も違います。改めて事業所の枠を越えて話をしてみると、そういう見方があるか、そういう対処法があるか、と気付きます。検討会をするといつも新しい発見がありますね」


manabyの事業所は東北から関西に点在し、日頃は事業所以外のスタッフと顔を合わせることは多くありません。こうした対話の機会があると、離れた場所にいても、manabyの仲間は自分たちと同じくらいクルーさんのことを想い、悩んでいるのがわかります。


こうした対話の機会を設けることで、「支援員が皆で支援できるようになった」という声や「クルーさんが休まずに出席してくれるようになった」などのフィードバックがあることもうれしい、と金野さん。


manaby noteというツールが、クルーさんと支援員、支援員同士がつながるきっかけをつくっていました。


わかちあう学び

プロジェクトに長く関わってきた金野さんは、manaby noteの「推しページ」を教えてくれました。


「最後の『これからの自分』というページでは、今後の生活の目標や、頼りにする人はだれなのかを書いていきます。就職してもしなくても、クルーさんだけでなく私たち自身にとっても大事なページじゃないかと思います」


他にも、生活リズムシートの書きやすさや、クルーさんがそれぞれに表現してくれる自己紹介ページはどれも素敵で見ていてとても楽しい、と金野さんは続けます。


また、manaby noteを使うことで、アセスメント(状況を評価・分析すること)につながることもあるそうです。シートを期限までに自分で書き上げることができるか、お聞きしながら支援員が記載するやり方がよいかなど、全体のやりとりを通して支援員たちはクルーさんごとに必要な対応を考えていました。


「manaby noteについてもっとたくさんの声を聴きたいですね。クルーさんや支援員が実際に使って気づいたことを集めてアップデートして、もっと良い支援をしていきたいです」


オンラインでつながり対話しながら、ツールそのものもみんなの使い方も、進化し続けています。

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