インハウスでの経験を積んできた方にとって、クライアントワークへの転身は大きな決断の一つではないでしょうか。
自社の経理として社内の業務だけに携わってきたのと、BPOで複数のクライアントと向き合うのとでは、求められる視点やコミュニケーションも変わってきます。
一方で、実際にクライアントワークに挑戦してみると、これまでインハウスで培ってきた経験が、大きな武器になることも。
さらに、キャリアを重ねる中でマネジメントという役割に挑戦すると、プレイヤーとして成果を出すこととはまた違う視点や難しさにも直面します。
今回は、インハウス経理として10年以上の経験を積んだのち、マルゴトに入社して1年を迎える曽我さんにお話を伺いました。
クライアントワークへの挑戦の中で感じたギャップや不安、そしてマネジメントに挑戦する中で見えてきた気づきについて、語っていただきました。
Q. これまでの経歴を教えてください
マルゴトに入社するまでは、10年以上ずっとインハウスで経理をしていました。
経理としては5社を経験していて、上場企業3社で約6年、上場準備企業2社で約6年と、ちょうど半分ずつくらいです。
最初は比較的規模の大きな会社で働いていましたが、大きな組織では業務が縦割りになっていて、一つの領域を深く担当する働き方が中心でした。
私はどちらかというと、同じ業務をずっと続けるより、新しいことに挑戦したり、自分のできる範囲を広げたりすることが好きなタイプです。
そのため、転職するたびに少しずつ会社の規模も小さくなり、より幅広い業務を経験できる環境を選ぶようになっていきました。
Q. なぜインハウスからBPOへ転職しようと思ったのですか?
これまでの転職を振り返ったときに、自分は「変化が多い環境が好きなんだ」と気づいたことが大きかったです。
一方で、これから先も新しい経験を求めて何度も転職を繰り返したいわけではありませんでした。転職するたびに新しい環境に慣れたり、人間関係を一から築いたりするのは、やはりエネルギーが必要です。
そこで、「一つの会社で長く働きながら、いろいろな経験ができて、変化もある仕事って何だろう?」と考えたときに、BPOという働き方が自分に合っているのではないかと考えたのがきっかけです。
複数のクライアントに関わるBPOなら、所属する会社を変えなくても、さまざまな企業や業務に触れることができます。自分が求めていた働き方に近いと感じ、BPOへの転職を考えるようになりました。
Q. BPOという働き方に興味を持つ中で、最終的にマルゴトへの入社を決めた理由は何でしたか?
大きかったのは、「正社員として長く働けること」と「フルリモートで働けること」の2つです。
BPOの求人を探してみると、業務委託という働き方も多くありました。私は次の会社では長く働きたいと考えていたので、正社員としてBPOに携われることは重要な条件でした。
もう一つは、フルリモートということです。
これまで出社勤務とフルリモートをそれぞれ6年ほど経験してきましたが、私には圧倒的にフルリモートが合っていると感じていました。
通勤時間がなくなることはもちろんですが、オフィスにいると周囲の会話や電話など、意識していなくてもさまざまな情報が入ってきます。
私は出社の環境だと思っていた以上にエネルギーを使っていたようで、リモートになってからストレスが大きく減ったことに気づきました。
「正社員としてBPOに挑戦できる」「フルリモートで働ける」という、自分が大切にしたかった2つの条件が揃っていたことが、マルゴトへの入社を決めた大きな理由です。
Q. クライアントワークは初めてだったと思いますが、最初に一番不安だったことは何でしたか?
一番不安だったのは、クライアントとのコミュニケーションです。
インハウス経理でも社内のさまざまな部署とコミュニケーションを取っていましたが、社外とのやり取りは監査法人や業務委託先などに限られていました。
どちらかというと、自分たちが「お客様側」の立場でコミュニケーションすることの方が多かったと思います。
そのため、今度は自分がお客様にサービスを提供する立場になることに対して、「失礼がないようにできるかな」「どこまで提案していいんだろう」という漠然とした不安がありました。
Q. 実際に働いてみて一番ギャップを感じたことは何ですか?
良い意味で一番ギャップだったのは、想像していたほど「お客様」という距離感ではなかったことです。
入社前は、クライアントワークというと、失礼がないように気を遣いながら、依頼されたことに応えていくイメージを持っていました。
実際は、必要以上にかしこまって接するというよりも、お客様と一緒に「どうしたらもっと良くなるか」を考えていく場面が多く、チームの一員としてその会社の経理に関わっている感覚に近いです。
入社前に見ていた「クライアントのパートナーとして働く」という言葉の意味を、実際に働いてみて実感しました。
Q. インハウスでの経験が、今のBPOの仕事に活きていると感じることはありますか?
かなり活きていると思います。
例えば、課題を見つけて改善案を考えたり、他部署と調整しながら業務を進めたりしてきた経験は、クライアントワークでもそのまま活かせています。
また、これまで複数の会社で経理を経験してきたからこそ、「以前の会社ではこういうやり方をしていた」「このケースなら、こんな方法も考えられる」と、過去の経験を引き出しとして提案に活かせることもあります。
これまでインハウスで積み重ねてきた経験が、BPOでは複数のクライアントを支援するための武器になっていると感じます。
Q. 一方で、入社後に苦戦したことはありましたか?
複数の案件を担当し始めたときの時間管理は、かなり苦戦しました。
特に最初に2案件を担当したときは、一方が既存クライアントの支援範囲を拡大するタイミング、もう一方が新しく支援を開始するタイミングでした。
予定が見えづらい中で、「この時間が重なっているけれど、どう分散させればいいんだろう」と悩むことも多かったです。
インハウスでは基本的に一つの会社のスケジュールを考えればよかったので、複数社の状況を同時に見ながら、自分の時間を組み立てていくことには慣れが必要でした。
Q. その壁はどのように乗り越えていきましたか?
まずは、複数案件を並行して進めるための自分なりの管理方法をつくっていきました。
工数管理表を使いながら、それぞれの案件にどのくらい時間がかかるのかを見える化し、予定がずれたときも、その分を含めて先のスケジュールを考えるようにしました。
最初からうまくできたわけではありませんが、実際に案件を経験しながら少しずつ調整の仕方を身につけていった感覚です。
Q. クライアントワークに慣れるまで、周囲からどのようなサポートがありましたか?
一番サポートいただいたのはリーダーです。
リーダーには入社当初から、案件の優先順位や業務の進め方など本当にいろいろなことを相談してきました。
今ではマネジメントについて「こういうときには、どういうコミュニケーションを取ったらいいと思いますか?」という細かいことまで相談しています。
「こんなことを聞いてもいいのかな」と構えることなく、気兼ねなく相談できる関係性のため、今でもお世話になりっぱなしです。
また、リーダー以外のメンバーとも、入社当初から意識的にコミュニケーションを取るようにしていました。
フルリモートだからこそ、自分から周囲と関わることも大切だと思います。
Q. 社内のメンバーと仕事をするのと、お客様と仕事をするのでは、一番大きな違いは何だと思いますか?
一番大きな違いは、「認識合わせと合意形成」だと思います。
インハウスで一人経理に近い働き方をしていた頃は、小さなことであれば自分で判断して進めて、最後に上司へ「こうしておきました」と事後報告することもありました。
でも、クライアントワークでは、自分にとって正しいと思う方法でも勝手に進めることはできません。
「この認識で進めますね」と事前に確認したり、必要なところで合意を取ったりしながら進める必要があります。
最初はどこまで確認すればいいか分からなかったので、今よりかなり慎重だったと思います。経験を重ねるうちに、クライアントごとの考え方や関係性も分かってきて、「ここは事前に確認する」「ここはこの認識で進めると共有だけしておく」といった判断もできるようになりました。
Q. クライアントごとに状況や運用が違う中で、最初はどんなことに戸惑いましたか?
同じ経理業務でも、クライアントによってルールが違うことに最初はかなり戸惑いました。
A社ではこのやり方だけれど、B社では違う。「あれ、この会社はどっちのルールだったっけ?」と頭の中が混ざってしまう感覚がありました。
そのため最初の頃は記憶だけに頼らず、一つひとつルールを確認しながら進めていました。
2ヶ月ほど、同じ業務を2回くらい経験した頃から、少しずつ頭の切り替えができるようになったと思います。
そうした経験を重ねる中で、「このやり方が正解」と決めつけず、状況に合わせて考える力も身についたと思います。
Q.クライアントから「任せても大丈夫」と思っていただくために、普段どんなことを意識していますか?
業務の「背景」を理解することを、常に意識をしています。
「なぜこの業務はこのフローになっているんだろう」ということだけではなく、「このクライアントはどういう考え方で、このルールにしているんだろう」というところまで理解するようにしています。
外から見ると、一見もっと効率的な方法があるように思えることもあります。
でも、その会社の考え方やこれまでの経緯を知ると、「だからこの運用なんだ」と分かることもあります。
その背景を理解せずに、いきなり「こっちの方がいいですよ」と提案しても、なかなか受け入れてもらえません。
クライアントの考え方を理解したうえで、「それならこうした方が良いのでは」と提案する。その積み重ねが、信頼につながると思っています。
Q. 苦戦もあったと思いますが、それでもクライアントワークを面白いと思うのはどんな瞬間ですか?
やはり、常に新しいことに触れられるところです。
同じ経理業務でも、会社によってやり方が全然違います。「こんなやり方もあるんだ」と知れること自体が面白いです。
特に楽しいのは、新しい業務フローを提案するときや、クライアントから「こういうことを考えているんですけど」と相談をいただいて、一緒に詳細を詰めていくときです。
単純に依頼された業務をこなすのではなく、「どうすればもっと良くできるか」を一緒に考えられるところに、クライアントワークならではの面白さを感じています。
Q. 入社して最初の頃、「これは失敗したな」と思う出来事はありましたか?そこから何を学びましたか?
あるクライアントで、クライアントからの依頼内容や対応状況を一覧で管理するスプレッドシートがあったのですが、最終更新日がかなり前だったので、「もう使っていないシートなんだろう」と思い込んで放置してしまったことがありました。
実際にはクライアント側ではまだ使われていて、記入した際に連絡をいただくという暗黙のルールで運用されていました。
ところが、クライアント側の担当者が変わったことで連絡がなくなり、こちらもシートを確認していなかったため、対応できていない依頼があることに後から気づきました。
この経験から学んだのは、「思い込みで進めないこと」と「違和感を放置しないこと」です。
「あれ、このシートは何だろう?」と思った時点で、確認しておけば防げたことでした。
それ以降、少しでも「これってどうなんだろう?」と思ったことは必ず確認するようにしています。また、誰かの行動に頼った暗黙の運用ではなく、「ここに記入したら連絡する」といったルールを明確にすることも意識するようになりました。
Q. 入社前の想像よりも「やりやすかった」「安心できた」と感じたことはありますか?
フルリモートでも、想像以上に社内のコミュニケーションが活発だったことです。
経理と労務など、普段の業務では直接関わらないメンバーとも社内プロジェクトで一緒になる機会がありますし、日頃から「どんな人なのか」がなんとなく分かる環境があります。
そのため、普段一緒にプロジェクトを担当していない人にも相談しやすいです。
フルリモートだと人とのつながりが薄くなるイメージもあるかもしれませんが、私はむしろ以前出社していたときよりも、いろいろな人のことを知れている感覚があります。
業務上のつながりだけではなく、人の顔や性格が見えるチームで働けていることは、入社前の想像以上でした。
Q. 最近はマネジメントにも挑戦されていますが、プレイヤーとのギャップが大きかったことはなんですか?
感覚的な表現になりますが、「点で見る」ことから「面で見る」ことへの変化が大きかったです。
プレイヤーのときは、自分が「これが一番良い」と思うゴールに向かって、自分で進んでいっていました。
一方で、マネジメントでは、自分の考える最適解とメンバーのやり方が少し違っていても、目的や品質が満たされているのであれば、「このやり方もありだな」と考える必要があります。
以前だったら「自分ならこうする」と思っていたことも、少し広い視点で見られるようになりました。
自分のやり方を正解として押しつけるのではなく、チームとして成果を出すためにどうするかを考える。そこはプレイヤーとの大きな違いだと思います。
Q. マネジメントに挑戦したことで、ご自身が一番成長したと思うことは何ですか?
「自分とはまったく違う価値観を持っている人がいる」と、改めて実感できたことです。
頭では人によって考え方が違うと分かっていたつもりでしたが、実際にマネジメントをすると、「そんな捉え方もあるんだ」と驚くことがあります。
だからこそ、自分にとって分かりやすい伝え方が、相手にとっても分かりやすいとは限りません。
今は「こういうタイプの人には、どういう言葉のかけ方がいいんだろう?」ということも周囲に相談しながら、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを意識しています。
自分の価値観だけで考えず、相手を見ながら関わり方を変える意識を持てるようになったことは、大きな成長だと思います。
Q. 今後どんなユニットをつくっていきたいですか?
クライアントから「任せて良かった」と思ってもらえる仕事ができるユニットにしたいです。
そのためには、リーダーがすべてを判断するのではなく、メンバー一人ひとりが自分で考えて動けることが大切だと思っています。
メンバー自身が気持ちよく働けて、それがお客様への良い支援にもつながる。どちらかだけではなく、双方にとってプラスになる状態をつくっていきたいです。
Q. そのために、どんなメンバーと一緒に働きたいですか?
社内・社外に関係なく、相手への気遣いができる人と一緒に働きたいです。
「どうしたらもっと良くなるだろう」「こう伝えた方が相手にとって分かりやすいかな」と、相手の立場を想像して行動できるような人です。
また、マルゴトに依頼してくださるクライアントは、単純な作業代行だけではなく、プラスアルファの価値を期待してくださっていると思っています。
そのため、ホスピタリティはもちろんのこと、「言われたことをそのままやればいい」というよりも、「もっと良くできるところはないか」と自分から考えて提案できることが大切です。
決まったやり方だけにこだわらず、クライアントや状況に合わせて柔軟に考えられる方であれば、マルゴトの環境を楽しめると思います。
Q. 「クライアントワークが不安」と感じている方へ、曽我さんならどんな言葉をかけますか?
「お客様だから」と、そこまで構えすぎなくても大丈夫だと伝えたいです。
私自身、入社前はクライアントとのコミュニケーションが一番不安でした。でも実際に働いてみると、マルゴトのクライアントワークは、依頼されたことをただこなすのではなく、お客様と一緒に業務をより良くしていくパートナーとしての関わり方でした。
インハウスで、課題を見つけて改善したり、周囲と調整しながら仕事を進めたりしてきた経験は、クライアントワークでも十分活かせます。
私も最初は不安でしたが、今では複数の会社に関わりながら、常に新しいことに触れられるこの働き方を楽しんでいます。
「一つの会社で長く働きたい。でも、ずっと同じことをするのは物足りない」
そんな方にとって、BPOはとても面白い選択肢だと思います。