俺はかつて、エンジニアの勉強をしていた。
人材会社のCEOが。
おかしいと思うかもしれない。でも当時の俺は、大真面目だった。
起業したかった。ただそれだけだった。
「起業する」という言葉に囚われていた。
あの頃、俺がやったのは「起業するにはどうすればいいか」を調べることだった。
調べると、エンジニアはフリーランスになりやすいと出てきた。独立しやすい。稼ぎやすい。だからエンジニアの勉強を始めた。
毎日コードを書いた。勉強した。努力した。
でも今振り返ると、完全に遠回りだった。
エンジニアの勉強が無意味だったわけじゃない。でも、俺がやりたかったことと、やっていることが全然繋がっていなかった。
なぜそうなったのか。
GOALが「起業する」という名詞で止まっていたからだ。
「起業する」は状態であって、目的じゃない。何を、誰のために、どうやって実現するのか——そこが抽象的なまま、手段だけが先走っていた。手段が目的化していた。
努力していた。でも、方向が間違っていた。
気づきは、自分の悩みの中にあった。
ある時、気づいた。
俺自身が、キャリアに悩んでいた。24歳で人生の底にいて、どう動けばいいかわからなくて、もがいていた。
その時に思った。
「自分が悩んでいることは、市場の悩みだ。」
同世代の多くが、同じところで詰まっている。言語化できていないだけで、俺と同じ悩みを抱えている人間は山ほどいる。だったら、その悩みを解決することがそのままビジネスになる。
エンジニアの勉強をやめた。
人材紹介というフィールドで、求職者のキャリアの悩みを解決することに振り切った。
GOALが具体的になった瞬間、やるべきことが一気に絞られた。遠回りが終わった。
500名を見てきて、わかったパターン。
キャリア支援を通じて500名以上と話してきた。
その中で、「この人、遠回りしてるな」と感じる瞬間がある。共通点がある。
名詞に囚われている人だ。
「起業したいんです」「フリーランスになりたいんです」「経営側に行きたいんです」——言葉としては立派に聞こえる。でも深掘りしていくと、その先がない。
何を。いつまでに。どうやって。何を達成したら、その状態になれるのか。
そこが不透明なまま、とりあえず行動している。資格を取る。副業を始める。本を読む。努力はしている。でも、どこに向かっているのかが本人もわかっていない。
努力の量は、方向が間違っていると全部ムダになる、とは言わない。無駄ではない。でも、確実に遠回りになる。
本質的な努力とは何か。
シンプルだ。
GOALが具体的であれば、手段は自然と絞られる。
「起業する」じゃなく、「誰の、どんな悩みを、どう解決して、いつまでに収益化する」まで落とし込めているか。「フリーランスになる」じゃなく、「何のスキルで、どんなクライアントに、いくらで売るのか」まで見えているか。
GOALの解像度が上がれば、今日やるべきことが変わる。エンジニアの勉強をしている場合じゃない、と気づける。
努力する前に、方向を決める。それだけだ。
最後に、あなたに聞きたい。
今やっている努力は、どこに繋がっていますか?
1年後、3年後の自分の姿が、具体的に見えていますか?
もし「なんとなくこっちの方向かな」くらいの解像度なら、一度立ち止まってほしい。努力を止めろということじゃない。方向を確認してから、走ってほしい。
方向さえ合っていれば、あとは走るだけだ。
それを一緒に確認するのが、俺たちの仕事でもある。