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コロナ禍をきっかけに、従業員の働きやすい環境を考える ~多様な働き方の選択肢としてのテレワーク~

 当社では、コロナ禍の緊急対応として全社的にテレワークへ移行したことをきっかけに、 緊急事態宣言下の現在、オフィス出社率は1割未満となっています(2021年3月)。
 そこで今回、テレワークへの移行にあたって、大きな役割を担った部署へ移行時の苦労や導入後のメリット、課題などについてインタビューを行いました。
 第一弾とし て、勤務制度の整備や導入後に従業員のヘルスケアのフォローをプロジェクトメンバーと連携しながら進めてきた、人事部の鷲頭有沙さんにお話を聞きました。
テレワークへ移行したくてもなかなか踏み出せない企業が多いと言われる中で、当社が移行できたポイントは何だったのでしょうか?

緊急事態宣言下のオフィス出社率は1割未満。働き方を見直すきっかけに

―新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、従来のテレワーク制度をどのように見直したのでしょうか?

 当社では以前から月10日を上限とする在宅勤務制度を導入していましたが、介護や育児をされる方の支援として実施しているものでした。しかし、新型コロナウイルス感染症から従業員を守るというBCP対応として、2020年3月から全従業員を対象としてテレワークを導入しています。その際に、業務の見直しを行い、「テレワークでも仕事をすすめることができる」という気づきがありました。働く場所を会社や自宅など自身の状況にあわせて選ぶことで、個人のライフスタイルに合わせた働き方ができ、生産性向上にも繋がるのではないか?と感じました。 
 そのような背景からBCP委員会を中心に5月に「テレワークスタンダード化プロジェクト」を立ち上げ、10月には全従業員を対象に「自分自身の生産性を向上させ、多様な働き方を実現するために、テレワークを新たな働き方として活用してください」というメッセージのもと、テレワークを新たな働き方として選択できる制度を導入しました。
 また、これを機に10時~15時がコアタイムのフレックス制度からコアタイムのないスーパーフレックス制度に変更をいたしました。7時から22時までの間をフレキシブルタイムとし、業務開始時間を早めて夕方早く上がったり、子どもの帰宅時間にあわせて途中休憩をとり、その後また業務を行うなど、テレワーク制とあわせて多様な働き方を推進し、各自のパフォーマンスを発揮しやすい環境の整備を行っています。

―現在のオフィス出社の割合はどの程度でしょうか?

月のトータル就業日数を分母として、そのうち出社回数が何回あるのか、という算出の仕方でオフィス出社率を計算しています。そのため、出張や営業先に外出している従業員の数値は反映されていませんが、それを抜いても9割以上の方は出社していないと認識しています。

苦労も多かったが、テレワーク導入の目的を見失わず、制度設計を行うことが重要!

―テレワーク制度を本格導入するにあたり、苦労した点はありますか?

 たくさんありました(笑)なかでも、細かい制度の内容を決めていくことは大変でしたね。
 制度の目的は「テレワークを活用することで、多様な働き方や生産性の向上を目指す」というものです。毎日出社することでパフォーマンスを発揮できる方もいれば、在宅で仕事をする方が生産性高く働ける方もいます。それを考えた上で、自宅以外の勤務場所をどこまで許容するか、その場合の条件をどう設定するかなど、テレワーク制度のルール決めについては経営層へヒアリングや、全社アンケートの結果を参考にしたり、人事部内、担当役員との検討をすすめ、ある程度余裕をもたせ制度設計を考えました。
 具体的には、テレワークにおける勤務場所を自宅、自宅以外の居宅、その他場所と区分し、「情報セキュリティが担保されていれば可とする」ことにしました。出社条件も、目安としては月に1~2回というメッセージは出してはいますが、必須ではありません。あくまで制度導入の目的にそって、ある程度従業員が選べるように、制限をかけすぎず、かつ、リスクを担保しながら設計をしたところが工夫したポイントだと思います。

―導入に反対の意見はありませんでしたか?

 経営層の意向もあり、また経営層とBCP委員会との合意を得てすすめており、会社として方針が決まっていたため、導入に対しての反対意見はありませんでした。「テレワークになるなら、私たちの事業/部門はこのように対応しなくてはけないよね」というような感じで、各部門で積極的に検討してくれていましたね。

テレワーク導入のメリットは、自分が最も活躍できる場所を選べること!

―テレワーク化によるメリットはどのようなものでしょうか?

 自分が一番働きやすくパフォーマンスを上げられる、活躍できる場所を選べるようになったというところがメリットだと思います。
 時間が有効に使えるようになった事はもちろんですが、一人暮らしの人が実家で一定期間、家族のサポートを受けながら勤務できたり、介護をしている従業員が遠方の実家と行き来しながらテレワークを活用したり、エンジニアからは集中して作業でき仕事がしやすくなったという声もあがっています。
 実際に「生産性があがっているか?」「ワークライフバランスが向上しているか?」については定期的にデータをとる必要があると考えているので、その点はモニタリングを継続的に実施していく予定です。
 また、人によってはテレワークがあわないという人もいると思います。緊急事態宣言があけて出社とあわせて活用することで、新たな問題点やメリットがみえてくると思いますので、それらを改善していくことで、もっとうまく活用できるようになるのでは、と考えています。

メンタルの不調や労働時間の管理。テレワーク導入で見えてきた課題とは?

―テレワーク化によって生じた課題があれば教えてください。また課題の解消にむけてどのようなことをされていますか?

 1点目はメンタルヘルス不調者の対策です。
 メンタルヘルス対策についてはマネジメント層からの意見も含め、孤独感や健康状態に課題があることが分かっており、改善策として、個人でセルフケアができる環境づくりと組織マネジメントの強化を実施しています。
 個人に向けては、保健師相談の相談窓口を明確化し定期的に周知を行ったり、心身の健康やセルフケアなどに関する情報発信や、コミュニケーション施策として社長をはじめ経営層と従業員が対話できる場としてオンラインバーなども開催しています。
 管理職に向けては、オンラインの場合のマネジメント実施方法の研修や、ストレスチェックの結果から自部門の課題を把握するための研修などを行っています。
 また、2020年度の新入社員は、オフィスに出社して仕事を行うことがなかなかできないため、交流の場を持つ必要があると考え、定期的にオンラインによる懇親会を実施するなどのフォロー対策も行っています。
 2点目は新しい働き方によって出てきた、労働時間の適正化対策です。自宅でいつでも仕事ができるため、自分で働く時間を管理しなければ長時間労働に繋がってしまいます。また、テレワークにより通勤がなくなったことやスーパーフレックスで勤務時間の調整ができるようになったことで、休暇をとらなくても自身のやりたいことができる時間が増え、年次有給休暇の消化率が下がってきています。
 解消策としては、毎月の残業時間の推移や、年次有給休暇の取得状況をチェックして、該当者とその上長にアラートメールを送っています。また、上長が部下の労働時間が把握しやすくなるシステムも導入しています。

―このような課題はどのように吸い上げているのですか?

 定期的な調査として全従業員対象で昨年7月にテレワークの勤務状況の現状把握と課題把握のための調査を行い、また、1月のストレスチェックの中にテレワークに関する設問も追加するなどして、心身の不調とテレワークの関連性の分析ができるように取り組んでいます。

―テレワーク移行後に従業員から要望や不満などはあがりましたか?

 ワーケーションや外国籍の社員からの海外でのテレワークの要望はありますが、それに伴うリスクや効果を考えて、慎重に検討して取り組んでいかなければならないと思っています。

迅速なテレワーク移行のポイントは、経営層と従業員が足並みを揃えること!

―社会的にテレワーク化がすすまない企業が多いと言われていますが、当社がスムーズに移行できた理由とは何だと思いますか?

 テレワーク制度導入に対する経営層の強い意向があったことと、2020年7月にテレワークの勤務状況の実態把握のための調査を実施し、調査結果からテレワーク制度導入に関する影響や、課題、メリットなどをデータで把握し経営層に提案できたことがポイントだったと感じています。
 また、テレワーク移行に向けて、現場のなかで業務の見直しを実施できていたからこそ、スピード感をもって対応できたのではないかと思います。

―テレワーク制導入を考えている企業に対してアドバイスがあれば教えてください。

 テレワークが自社にとってどのような影響があるのかは、その会社の事業や仕事内容によって違い、一概に上手くいく方法はないのかもしれません。
 全社規模で急に取り入れることは難しいと思うので、最初は協力してくれる部門などを募り、実験的に取り組んだ結果のデータから、課題やメリットを探って成功事例をつくる。そして定期的に経営層に報告するなど、地道な活動を積み重ねて導入をすすめていくことが望ましいのではないでしょうか。

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