複数の案件を並行し、より効率を求めて開発に取り組むクライアントワークの世界。その最前線からリクルートとの共創を手がけるニジボックスへ転職した藤井さん(画像右)と前田さん(画像左)は偶然にも新卒で入社した会社において同期でした。一定水準以上のスキルを有する彼らがなぜ、一つの事業に深く入り込む道を選んだのか。そこにあるのは技術者としての純粋な探求心か、大規模プロダクトに挑戦する期待感か、それとも……。
今回は期せずしてニジボックスで再会したお二人に、リクルートのデータを舞台に磨き上げられる「BIエンジニアの真の価値」について存分に語っていただきました。
偶然の再会と、クライアントワークで感じた“拭えない渇望”
――お二人は前職でも同期だったそうですが、ニジボックスでの再会にはどのような経緯があったのでしょうか。
藤井: 特に最初から口裏を合わせて転職したわけではないんです。前々職のデジタルマーケティング会社をほぼ同時期に退職したのですが、私はコンサルティング会社へ。しかし私が転職した先の環境が当時の自分の想定していた業務内容とかい離があって…。そんな時、ニジボックスに入社した前田さんを含めた元同僚との飲み会があったんです。
前田: 久しぶりに集まった席で話を聞いてみると、藤井さん、かなりハードな環境に飛び込んだんだなあと(笑)。いきなり未経験のプロジェクトを任され、右も左も分からないまま全力疾走されているような状態でしたよね。
藤井: そうなんです。コンサルティング会社では多種多様なプロジェクトに関われる反面、一つひとつの領域がどうしても広く浅くなってしまいます。また、本来自分がやりたいデータの専門業務以外の仕事も多く、リソースの大半がそこで費やされていました。まあ、慣れの問題もあるのかもしれませんが。そんな折に飲み会で前田さんのニジボックスでの働きぶりを聞いて、軽い衝撃を受けたんです。
――前田さんが語った、ニジボックスの魅力とは?
前田: ニジボックスがいかに一つの事業領域に深く入り込み、長期的な視点で改善活動に取り組めているかを話しました。クライアントワークは数ヶ月単位で案件が変わるサイクルも多く、サービスや商品の理解を深めることが困難なシーンもありました。しかし、ここではリクルートの事業に深くコミットし、サービスや商品におけるデータの理解をそのまま「資産」として蓄積しながら事業成長に貢献できる。藤井さんの話を聞きながら「ニジボックスならもっと本質的な仕事に集中できるよ」と伝えた記憶があります。
――藤井さんは、その話を聞いてどう思われましたか?
藤井: 自分にとってはそっちの環境の方が合ってるかもしれないと思いました。実は最初の転職活動でニジボックスを受けていたのにも関わらず、別の選択肢を選んでしまったんです。前田さんの話を聞いて、自分が求めていたのは、ニジボックスのような環境だったと再認識しました。そこですぐお願いして、面接の機会を作ってもらったんです。
――前職のクライアントワークで、お二人が感じていたことは何だったのでしょうか。
前田: 契約範囲内でのクオリティ、コスト、デリバリーに集中するプロフェッショナルとしての重要性が非常に求められていたと思います。一方で、受託という立場上、契約で決められた範囲以上のことは基本的にはできません。たとえデータ基盤そのものに根本的な課題があることに気づいても、その改善は契約外であり、工数として認められない。そのもどかしさが常にありました。また、短期間でプロジェクトが終わってしまうため、自分が作ったダッシュボードがその後どう使われ、どう事業に貢献したのか、最後まで見届けることが難しかったんです。
藤井: 私も全く同感です。クライアントワークでは常に新しい業界、新しいツール、新しいデータ構造をキャッチアップし続ける必要があります。それはそれで刺激的ですし、学びにもなるのですが、あまりにも連続すると構造上、広く浅くになってしまうことがあります。
経験を重ねるほどに、一つのドメインを深く理解し、その知識を積み上げていく「厚み」のようなものがエンジニアとして欲しくなっていた時期でした。
――ニジボックスへの入社を決めた時、不安はありませんでしたか?
藤井: 不安よりも期待の方が大きかったですね。前田さんから「メンターがサポートしてくれる環境であり、業務内容に慣れてから段階的にステップアップできる」と聞いていたので安心感を覚えました。
前田: 実際に藤井さんが入社してきた時は嬉しかったですし、彼が即戦力として活躍するのは分かっていました。ニジボックスとリクルートの両軸でフォロー体制が整っていることは彼のような経験者にとっても、あらためて自分の技術を整理して発揮するための大きなアドバンテージになると思います。
大規模データの迷宮へ。「飲食」と「学び」を支えるエンジニアの矜持
――現在、お二人が具体的に担当されているプロダクトと役割を教えてください。
藤井: 私はリクルートの飲食領域、具体的には『ホットペッパーグルメ』や店舗向け業務支援サービスの『Airレジ オーダー』に関連するデータ利活用チームに所属しています。役割はチームリーダー。主な業務は飲食側の営業担当者やプロマネ(PM)といった依頼者からの「ビジネス課題を解決するためのこういうデータが欲しい」というリクエストに対し、SQLを駆使してデータ基盤から最適な数値を抽出し、提供すること。リーダーとしてメンバーが作成したクエリの品質レビューも重要な任務です。
前田: 私は『スタディサプリ』などの学び領域を担当し、営業チーム向けのサービス支援を行っています。学校現場への導入を提案する営業担当者が、活用状況を正確に把握し、次の提案に活かせるようなデータを提供しています。私もリーダーとして案件のアサインや納期調整、チーム全体のクオリティ管理を担当しています。
――リクルートという、さまざまな事業領域のデータを扱う面白さはどこにありますか?
藤井: 飲食領域だけでも店舗情報、ユーザー行動、アプリ内の操作ログなど、多種多様なデータが存在します。これらをどう組み合わせるかという、パズルのような面白さがありますね。たとえば「ある店舗の情報」と「アクセスログ」を紐付けることで、それまでは見えてこなかった改善の糸口が見えてくる。依頼が来るたびにドメイン理解も深まり、新しい組み合わせを発見し、アウトプットの価値を高めていく過程にはエンジニアとしての純粋な喜びがあります。
前田: 学びの領域でも同様です。教育現場のデータとユーザーの学習ログを複合的に見ることで、より効果的な学習支援が可能になりまする。また、適切な権限管理のもとで、プロジェクト内の必要なデータや仕様書にアクセスすることができ、有識者への相談もしやすいため、どのような仕組みでデータが生成されているのかを構造から理解できまする。
――事業会社に近い立ち位置だからこそ感じる、仕事の質感の違いはありますか?
前田: 「やりっぱなしにならない」ことですね。ニジボックスやリクルートにはクォーターごとに業務を振り返り、改善していく文化が根付いています。改善を行った結果、我々エンジニアの品質は向上し、依頼者の負担は減る。プラスの連鎖が生まれていくのを目の当たりにできるのは、エンジニアとしての大きなやりがいです。
藤井: 私も「一つの領域に集中できること」の価値を日々実感しています。以前はマルチタスクゆえにあちこちに意識が分散することが多かったのですが、今は飲食というドメインの知識を深めることに全力を注げます。業界の商習慣やデータの癖を知れば知るほど、より高度な提案ができるようになる。その知識が自分の中に「資産」として溜まっていく。この感覚はエンジニアとしてのキャリア形成において非常に重要だと感じています。
――一方で、大規模データならではの難しさもあるのではないでしょうか。
前田: まさに「パフォーマンス」との戦いです。扱うデータの規模が数テラ、数ペタバイトという単位になることも珍しくありません。小規模なデータなら動いていたSQLも、この規模になると処理が終わらなかったり、膨大なコストがかかったりします。そのためデータの構成や処理フローを最適化し、スケーラビリティを意識した設計が常に求められます。チーム内ではクエリのスキャン量やコストを意識した具体的な目安を設け、パフォーマンスを調整する技術を日々磨いています。
藤井: データの「複雑性」も難易度を高める要因ですよね。多くのサービスが連携しているため、一つの数値を出すのにも膨大な数のテーブルを理解しなければなりません。しかし、その複雑さを解き明かし、誰もが使いやすい形に整理して納品できた時の達成感は、ニジボックスならではのものだと思います。
AIとの共存、そして「人間にしか取れない責任」の本質
――近年、AIによる自動化が進んでいますが、BIエンジニアの仕事はどう変わると考えていますか。
藤井: 私は現在、AIを使って業務プロセスを改善する取り組みを推進しています。具体的には、社内ルールに準拠した安全な環境でAIを活用することで定型的なタスクのスピードを上げる試みです。しかしAIが進化すればするほど、逆に「人間にしかできないこと」の重要性が浮き彫りになると感じています。
前田: 同感です。作業自体はAIで代替可能になるかもしれませんが、その上流にある「ビジネス要件をどう言葉にし、プロンプトに落とし込むか」という翻訳作業は人間にしかできませんからね。
――「人間にしかできない価値」を、より具体的に定義すると?
藤井: 「品質に対する責任」ではないでしょうか。AIが作成したクエリがビジネス上の文脈において本当に正しいのか。それを判断し、結果に責任を持てるのは、現場のドメイン知識とエンジニアリングの知識を併せ持った人間だけです。SQLの知識が浅い人がAIを鵜呑みにすれば、常に疑心暗鬼な状態でデータを見ることになります。私たちがデータの品質とロジックに責任を持ち、確からしさを担保することで、利用者は初めて安心して事業判断ができる。その信頼の担保こそが、私たちの真の価値だと思っています。
――技術的な成長という面では、ニジボックスに入ってからどのような変化がありましたか。
藤井: 私は設計力が格段に向上したと感じています。前職では要件定義からダッシュボード完成まで、ステークホルダーが多くて数ヶ月かかることもありました。しかし今は実際にデータを使う人と直接、高速にやり取りをします。「5営業日で1つのアウトプットを出す」というスピード感でPDCAを回し続けることで、最短距離で最適な構造を導き出す設計力が磨かれました。
前田: 私は検証と品質管理への意識が根本から変わりました。それまではスピードが優先され、検証に十分な時間を割けないこともありましたが、リクルートの案件では一つの数字のミスが甚大な損失に繋がりかねません。そのためニジボックスには厳格なレビュー体制と品質担保のフローがあります。今まであまり意識してこなかった「検証」という工程に深く踏み込み、ロジックの正当性を極限まで突き詰める技術を習得できたことは大きな収穫だと実感しています。
――お二人は入社1年前後でチームリーダーを任されています。そのスピード感はどう捉えていますか。
前田: 私は入社半年を過ぎた頃に打診されました。当初は果たして自分にできるのか、という不安もありましたが、前職で後輩の指導やレビューを行っていた経験が活かせると考え挑戦しました。上司のサポートがある上で前任者からの引き継ぎ期間もあり、障壁は少なかったです。未経験の役割でも思い切ってステップアップできる環境があるのは、非常に心強いですね。
藤井: 私はさらに早いタイミングで、確か入社半年足らずでの打診でした(笑)。正直「まだ新入社員の気分が抜け切れていないけど大丈夫かな」と思いましたが、挑戦を歓迎する文化が背中を押してくれました。ニジボックスは社歴に関わらず「やりたい」という意欲と実力があればどんどん責任ある仕事を任せてくれる。リーダーとしてチームのモチベーションを管理し、組織を動かしていく経験はプレイヤー時代とは全く違う視座を私に与えてくれました。
――視座が変わることで、業務への取り組み方に変化はありましたか。
前田: 全体を俯瞰して「どこがボトルネックになっているか」を察知する能力が高まったと感じます。ただ納品するのではなく、効率化するためにどこを改善するか、誰に何をアサインすることでチームメンバーの成長と安定した納品を実現するかを考えています。事業を良くするために必要だと思えば、どんどん自分の役割を広げていける面白さがあります。
藤井: 私も自分の業務が事業全体にどう寄与しているのか、常に高いレイヤーから考えるようになりました。AIの導入もその一環です。単なる効率化ではなく、それによってチーム全体がより高度な分析に時間を割けるようになれば、飲食事業そのものを加速させることができる。そんな「当事者意識」を持てるようになったことが最大の成長かもしれません。
「染み出し」大歓迎。エンジニアが事業をドライブする未来
――今後の目標として、自分たちのチームをどう発展させていきたいと考えていますか。
前田: 学びの領域では、まずはメンバー全体の技術力底上げが最優先です。TableauやSQLを触り始めたばかりのメンバーもいるので、しっかりとした育成期間を設け、全員が自信を持って業務をこなせる状態を作りたい。その土台を固めた上で、単なるデータ提供に留まらず、こちらからビジネス要件に基づいた「攻めのダッシュボード提案」ができる組織へと進化させていきたいと考えています。
藤井: 飲食領域では、これまで以上に業務の幅を「染み出し」させていきたいですね。現在は抽出・集計がメインですが、今後はリクルートの事業運営においてより一層信頼され、存在感を発揮していけるようにしたいです。
――「染み出し」という言葉が出ましたが、ニジボックスにはそのような挑戦を歓迎する文化があるのでしょうか。
藤井: はい、むしろ大歓迎という雰囲気です。自分たちが「やりたい」「もっと良くしたい」と手を挙げれば、領域を限定せずにチャレンジできる可能性もあるので、非常にやりがいのある環境です。
――お二人と同じように、クライアントワークで自身のキャリアに限界を感じているエンジニアへ、アドバイスをお願いします。
前田: クライアントワークで浅く広く経験を積むことも大切ですが、もし「一つの事業の成長をデータの力で支えたい」という想いがあるなら、ニジボックスは最高の環境です。ここでは大規模データという技術的挑戦と、事業貢献というエンジニアとしての喜びが両立しています。一歩踏み出すことで、今まで見えていなかった新しい世界が開けるはずです。
藤井: 多くのエンジニアが「いつかは内側から事業を変えてみたい」という願望を抱いていると思います。その想いをニジボックスなら形にできる。もし少しでも興味があるなら、まずはカジュアルに話を聞きに来てください。リクルートという幅広い事業領域があるフィールドで、自分の技術がどこまで通用するのか試してみる。それは、キャリアにおいてかけがえのない経験になるはずです。
――最後に、お二人にとって「ニジボックスのBIエンジニア」とはどのような存在ですか。
前田: データの専門家であると同時に、事業の最前線で並走する「一番の理解者」でありたいと思っています。
藤井: 技術を武器に、事業の不確実性を解き明かし、未来を指し示す羅針盤のような存在。そんなエンジニアとして、これからも挑戦を続けていきたいですね。