『POST Dev』は、ニジボックスが運営するエンジニア向けのキュレーションメディア『POSTD』のスピンオフイベントです。2024年10月19日に行われた『POST Dev 2024』のテーマは「テクノロジーの進化がサービスを加速する」。技術、サービス、ソフトウェアを進化させつづける「人」とその「仕事」に焦点が当てられ、各領域の最前線で培われた知見が公開されました。株式会社ニジボックス デベロップメント室 室長の古川陽介からは、昨今のフロントエンド事情についての自らの見解が語られました。
―Profile
古川 陽介 (@yosuke_furukawa) | 株式会社リクルート / 株式会社ニジボックス デベロップメント室 室長
複合機メーカーやゲーム会社を経て2016年にリクルートへ入社し、プロダクト開発室でアプリ基盤の改善や運用、各種開発支援ツールの開発、エンジニアの支援や育成までを行う。Node.js日本ユーザーグループの代表。
プライベートではJSConf.jpのオーガナイザーやNode学園などを主宰する古川さんにはフロントエンドに対する向き合い方、楽しみ方を改めて示唆いただきました。
いまフロントエンドの楽しみ方を改めて考える理由
今回のテーマを設定するにいたった理由は、古川さんが数カ月前に見かけた「ITがつまらなくなった」「いや面白い」といった論争が起点になっているそうです。
「僕はフロントエンドエンジニアリングの初期から色々見てきた自負があります。そんな僕にとって、この論争をする前に『そもそもフロントエンドの楽しみ方、面白がり方が深く浸透しているのか』、『もし浸透していないとするならば、もったいない』と思いまして。主観が色濃く出る場面があるかもしれませんが、このセッションではフロントエンドの楽しみ方を再考させていただければと思います」(古川さん)
まずはフロントエンドを『上』から見てみる
フロントエンドを語るにあたり、古川さんが定義するフロントエンドとはブラウザとサーバーの一式。そこを軸として、まずはフロントエンドを含むシステムとして俯瞰してみるところから説明がはじまります。
「システムとして全体を見てみると、バックエンドがあり、さらにそれらを構成するインフラストラクチャーがある。ここで必要なことはセキュリティやパフォーマンス、全体の可用性、開発者がどれだけ生産性あげられるか。フロントエンドだけではなくバックエンドやインフラ、それらを含めたアーキテクチャがどう構成されているかを考えることは、システム上にまるで世界を創っているかのようだと思っておりまして。この時点で面白さを感じられる人もいるのかなと」
システムをさらに俯瞰しプロダクトとして観てみることも古川さんは勧めます。ここでいうプロダクトとはすなわちデザインとシステムを足したもの。
「プロダクトとして考えると『どうつくるのか?』ではなく『何をつくるのか?』という発想になりますよね。フロントエンドとしてもデザインと密に連携する形となるわけです。デザインとシステムをいったりきたりしながら、いいものをつくろうという雰囲気があると、このあたりをより楽しめるのかなと。デザインをフロントエンドから提案したり、デザイナーが提案してきた機能をどう実装しようか検討したりするのも個人的にはワクワクする瞬間ですね」
「プロダクト」をさらに「上」から俯瞰すると、「サービス」、または「ビジネス」になると古川さんは続けます。
「ここで考えるのは、ユーザーはどういう人で何に困っており、このサービスがあるとどう助かるのか? さらに、ビジネスとしてはどうなのか? 投資対効果は? などといったことがありますよね。フロントエンドとしては、カスタマージャーニーマップやUXの磨きどころ、開発工数、期限などを考えるわけです。カスタマーにどんな価値を届けられるのかを検討し、実際にそれが届いた際の喜びも、フロントエンドの楽しみ方のひとつだと考えています」
フロントエンドを「下」から見てみる
次に「下」からの視点について。
古川さんいわく「下」からの視点とは、つまりフロントエンドを要素技術に分解していくことだと言います。
「各要素がどのように動いて、どのように仕組みとして振る舞っていくのかを考えること自体が面白いんじゃないかなと。はじめはHTML/CSS/JavaScriptで何をどう表現するかを楽しみ、そのうち設計をどうするのかを楽しめるようになる。さらにHTTP/HTTPSとかネットワークレイヤーの話も楽しくなる」
そして、さらに「下」へ。顕微鏡で微生物をみるかのようにどんどん細かいところに潜れば潜るほど、これらは面白いと古川さん。
「W3C、WHATWG、ECMAの仕様書を読んでみたり、ブラウザの中にあるエンジンはどう動いているのか考えてみたり、React / Next.jsの最新はどうなりそうか調べてみたり、HTTP/HTTPSはTCP/UDPレベルでどう変わりそうか思いを巡らせたり。潜れば潜るほど知らないことが出てくる。そこを面白がれるかが重要なんじゃないかと思っています」
フロントエンドを「ヨコ」から見てみる
最後に「横」からの視点に関して古川さんは述べられました。
「各方向からの視点とその楽しさがわかると誰かと共有する、共有される楽しさ、つまり横からの視点も加わるわけですよね。上から下からとか、方向に優劣はないと思うので、まずは興味を持つことが大事だということが皆さんに伝わっていただければ幸いです」
登壇内容を動画で視聴したい方は以下も見てみてください!
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【古川 陽介 氏】 フロントエンドの楽しみ方 | POST Dev 2024 | ニジボックス主催