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WebデザイナーからPMへのキャリアチェンジに必要だったいくつかのこと(3/4)

ハピタスのPM(プロダクトマネージャー)を担当している西です。

技術畑のWebデザイナーからプロダクトのビジネス責任を持つPMへの転身例として、自身が身に着けてきたスキルや経験を挙げていくシリーズ3回目の投稿になります。
Webデザイナー
Webディレクター
③新規事業開発 ←いまここ
④PM
と職種別で書いていきます。

③新規事業開発

オズビジョンでは安定した成長を遂げているメイン事業ハピタスに加えるべく、数年前から新規事業開発にトライしています。ぽわんとしたアイディアを事業として成立させるにはどう立ち上げていくのか。まずはその手法を第一人者から学ぶべきだ!ということで、当時注目されていた顧客開発モデルを学べる機会を探しました。「アントレプレナーの教科書」「スタートアップマニュアル」の著者であるスティーブン・ブランク氏の弟子であり著作の訳者でもある堤氏・飯野氏に直接ワークショップで指導いただける「NEXT powered by Google for Entrepreneurs」に数名で参加したのが2014年です。

顧客開発モデルは、新規事業開発あるあるの”誰も欲しがってない商品を一生懸命作って力尽きる”ことを回避するために、顧客のニーズとプロダクトの提供する価値がマッチしているかを確かめながら進めていく事業開発プロセスです。この手法はプロダクトアウトで流行が作れるような時代はとっくに過ぎている昨今本質的なアプローチだと思いますし、スピーディで実践的であることが私たちにぴったりでした。

代表の鈴木と私はタッグを組み、事業アイディアとして温めていた「日用品の価格比較サービス」を題材に書籍やワークショップで学んだことを実務に直接導入していきました。MVP開発は当時創業されたばかりのギルドワークスさんを紹介していただき、ビジネスオーナーVS開発者あるいは発注者VS受託者といった構図では全くなく、ひとつのチームとして顧客開発を進めていきました。

顧客開発モデルのプロセスに沿って、仮説立てた顧客セグメント(CS)、ターゲットが欲しい体験(JTBD)、提供価値(VP)が適切なのか検証していくことになります。これは顧客に聞くことからはじまりますのでハピタスのユーザーや知りあいづてに様々なパターンでヒアリングを行いました。事業のアイディアは出している本人としてはこれはイケる!と思っているものですから、なるべくお客様に率直なお話をしていただけるようなヒアリング用のトークを考え試し、の繰り返しでした。実際に話を聞けば仮説が完全に否定されるような結果もしばしば出ます。そうであれば方向転換して再度ヒアリングし仮説を確かなものに整形していくという流れです。この段階ではオフィスで机の前に座っていてもいっこうに仕事は進まず、お客様に会うために真夏の日中にあちらこちらへと出向き電話インタビューを行い、サービスの内容を伝えるための資料や簡単なデモを作ったり、という感じであっという間に時間が過ぎていきました。

仮説がそこそこ確からしいだろう、と思える所まで来たらティザーサイトやMVP開発を進め定量的に見ていきます。新規のサービスですから何もしなければアクセスは限りなく0に近い。ハピタスのような会員が自発的に訪れ利用してくれるサービスとは全然違いました。トラフィックを発生させるためにリスティングを使ったりしましたが、今ならもう少し良いアイディアが出ると思います。ここでも仮説が外れていそうならば機能や見せ方を色々と変更し検証していきます。題材が「日用品の価格比較」でしたから、ほとんどの方は「こういうサービスがあったらいいね。使うと思う」という意見をくださいました。ワークショップでも優秀賞をいただいたくらいです。しかし、実際に使うかどうかというと、本当に天と地ほどのギャップがあるのです。

結局、マネタイズが見込めるほどの強いニーズは発見できなかった。ということでこのプロジェクトは終了したわけですが、約1年をかけての試行錯誤を通し、私たちは貴重な学びを得ることができました。その後私はつづけて別の新規アイディアの検証を担当し、代表の鈴木は現在Polletという新しい事業を展開しています。学びとして大きかったのは、実際にお客様に話を聞いてみることなくして仮説の精度は上がらないという実感、そして想定通りになど何ひとついかないので、いかに速くPDCAを回して行けるかが勝負、ということです。

つづく新規アイディアの検証でも次のステージに進めることができずがっかり2連続(他の事業の検証も手伝っていたのでもっというと3連続)の私に約2年ぶりにハピタスの運営に戻る話がきました。その時は異動前のディレクターとしてではなく事業戦略に関わる役割になろうとは考えていませんでした。つづきます。

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