PAJレポート「アドベンチャープログラムコーディネーター奮闘記」(後編)

アドベンチャープログラムコーディネーターとして歩み始めたあゆみ(伊藤歩美)。前編では事前の準備過程やあゆみ自身のアドベンチャー体験について辿っていきました。いよいよ当日です!(前編はこちら

#03 プログラム当日!

【当日の準備】

いよいよ当日です!参加者集合までの時間は、コースの準備とファシリテーターとの最終打ち合わせ。クライアントと確認をしたプログラムが目指す方向を再度、確認します。

コースの準備は単に荷物を出す、揃えるのではなく、コースや道具の安全の確認もコーディネーターの仕事です。

【プログラムが始まる!〜進む先を捉える】

ファシリテーターとの密なコミュニケーションはプログラムに欠かせない要素です。プログラムの場は基本、ファシリテーターに任せていますが、目指す方向にグループが進むように調整するのがコーディネーターの仕事です。

ここで難しいのがPAの特色。Aという活動をしたら、Bという作用が起きるということがはっきりしていません。グループの状態、天候、偶発的に起こることなどにより結果が大きく変化していきます。このため、「これが一番正しい」というものがはっきりしません。その見立てはかなり個人的なものです。

ファシリテーターが見えているもの、コーディネーターが見えているものが合致しないこともあります。コーディネーターがファシリテーターに見立てや意見を伝えるとき、どこまでがプログラムを進行するうえでの「調整」なのか、その線引きが難しいです。一歩間違えるとファシリテーターの存在をないがしろにしてしまう「管理」になってしまいます。プログラムの目的を担保しつつ、参加者が学べる場をつくっていくには、ファシリテーターとコーディネーターがお互いが持っているものを出し合いながら、その場の最適解を共に探していくしかありません。

暑い中、一日目が終わりました。コーディネーターは「背中」だという印象。一日中、ひたすらにプログラムを観て、すき間時間にはファシリテーターと確認を取ります。この密なやり取りがプログラムの微調整に役立っています。

一日を振り返り、翌日の準備をします。ファシリテーターとのやり取りに加えて、クライアントとのコミュニケーションも取りつつ、プログラムが進もうとしている方向を見定めていきます。プログラムをやっていると、あれもこれもやりたくなってしまいますが、進む先がどこなのかをしっかりとコーディネーターが握っていることが大切です。

プログラムが進んでほしい方向に進んでいるのか、ドキドキする場面もありました。でも一つひとつの事象だけを捉えるのではなく、全体としてどうなっているのかという視点も持ちながら、プログラムを構成していくことで、見えてくるものがあります。

【プログラム終了!】

2日間の全日程を終え、参加者を送り出しました。事故も怪我もなく、充実感の笑顔で帰路についたことにほっとひと息のあゆみです。片付けをして、ファシリテーターと短いふりかえり。「安全、効果、効率」を軸に起きたことをふりかえります。クライアントと共有しているゴールに近づけたのかなど、2日間のプロセスとグループの現在地を確認しました。

#05 ファシリテーターにとってのコーディネーター

【コーディネーターは狙いを握る存在】

ファシリテーターから見たコーディネーターとはどのような存在なのでしょうか。

コーディネーターは、ひとつのプログラムをファシリテーターと共に一生懸命考えて、客観的な視点を渡す存在であるということ。もうひとつは、コーディネーターが目的、狙いを練って掴んでいるので、大幅にプログラムの狙いからずれることがない点です。

このように書くと理想的な形のようですが、実際はファシリテーターから見たらプログラムの練り方が机上の空論であったり、当日参加者に出会ってみないと何をしたら最適かわからない点もあります。実際に場をつくるのはファシリテーターと参加者。そこにコーディネーターがどこまで口を出したり、介入することができるのか、それは多分にコーディネーターとファシリテーターの関係性が影響してきます。

「理想のコーディネーターの立ち位置は?」という質問に、あるファシリテーターが「参加者の今を一緒に見られること」と答えてくれました。狙いに忠実すぎて、今ここで起きていることを見ようとしないのでは、PAの本来のよさが生かされません。

【何を共につくっていくのか〜質の担保】

コーディネーターがプログラムの内容に介入しすぎると、ファシリテーターの自由度が下がります。「ファシリテーション」の性質上、1+1が常に2にはなりません。そこにはファシリテーターの経験や直感が大切な鍵となります。

プログラムの狙いをもとにコーディネーターがファシリテーターとコミュニケーションをとるのはとても良いことですが、やり過ぎてしまうと、ファシリテーターが自らの感覚で物事を捉える、そこから判断する機会が減ってしまい、結果、プログラムの質の低下につながる危険性もあると思いました。

コーディネーターは諸刃の剣かもしれません。プログラムを生かすことも殺すこともできます。意図性と偶発性が行き交いながらファシリテーターとコーディネーターが楽しみながら場をつくっていけたら素敵です。

#06 プログラムを振り返って

「時間も自分の想いもかけました。迷いもありましたが、やってよかったという充実感がありました。この場をつくってこれてよかったです。”組織だけではなく個人の責任について考えられたよいプログラムだった”とファシリテーターに言ってもらえました。そこを意図してプログラムを設計したのですごく嬉しかったです。いいチームをつくるのではなくて、いいチームを自分がどうつくっていくのかということを考えてもらえる時間にできたらと思っていたので、プログラムの最後にそういったふりかえりが参加者から出てきたのがよかったし、皆さんが書いた目標が数ヶ月後にどんなふうになっていくのか楽しみです」(あゆみ)

【コーディネーターの立ち位置】

「コーディネーターはその場を当日までにつくっていくけれど、当日、参加者と向き合うのはファシリテーターです。当日は、私は客観的に外から見ています。ファシリテーターが感じることや、向き合っている中で生まれてくる想いは、私より濃いものがあると思うし、ファシリテーターは圧倒的に参加者と関係を結びます。そういう感覚をファシリテーターに大事にしてもらいたいという思いもあってどこまでコーディネーターの意図を反映させていくのかはすごく悩みました。ファシリテーターがその場で感じて、その場でできることを最大限できるように支援していくのがコーディネーターの仕事だと思います」(あゆみ)

とコーディネーターの仕事を位置づけたあゆみですが、

「でも迷いました。当日は想定とは違うことが起きていきました。狙いに対してこのまま進んで大丈夫かなど迷いました。でもそれはファシリテーターの場のつくり方もあるし、当日対面してみないとわからない参加者の特徴もあるので、臨機応変に対応できるように自分のバリエーションを増やしていきたいです」(あゆみ)

#07 報告に向けて

【クライアントに何を伝えるか】

プログラムが終わったら報告書づくりです。あゆみの書いた報告書をベースにみんなで2日間をふりかえります。

のんちゃんからのアドバイスは、「起きていた出来事をプロとして見立てることが大切。例えば、”コミュニケーションが取れていた”場合、”なぜコミュニケーションが取れていたのか”という視点を提供することが大切」

起きていたこととプログラムの狙いを丁寧に拾いながら当日のことを生き生きと思い出していきました。

ときには「参加者の皆さんは元気かな〜」と参加者のその後に思いを馳せたりもしました。たった2日間ですが、そこで起きていることをずっと眺めているコーディネーターにとってもかけがえないのないプログラムでした。

#08:プログラム報告

秋も深まったある日、プログラム報告に伺いました。報告では、プログラムの目的と、こちら側から見えた参加者やプログラムの様子がどのように関連するかなど、実際に起きたことを元に話を進めました。

毎年違うことが起きるPAプログラムの中で、今後よりよいプログラムにするためにどんなことを加えたらよいのか、何を削ぎ落とし、何に注力するのかなど双方に出し合うよい時間となりました。そこにはこのプロジェクトを成功させたいと願って日々参加者に寄り添うスタッフの皆さんの熱い思いがあり、それにできるだけ応えてよりよいプログラムを練っていきたいというコーディネーターの思いがありました。プログラムを発注する、受注するという関係以上に、目の前の参加者のよりよい成長を願う場であることがとても感じられる場でした。

あゆみも共に過ごした時間があるからこそ、リラックスした状態でプログラムへの思い、今後に向けての課題などをお伝えすることができ、満足そうです。

#09:コーディネーターとは〜管理か調整か?

取材を通して常に頭の中にあったのは、「管理か調整か」でした。

「コーディネーターがデザインするのは、”流れ”です。そこに到達するまでの道筋を描きます。当日、参加者と向き合って、参加者と一緒にそこに到達するのはファシリテーターなのかなと思いました」(あゆみ)
「グループのあり方をコーディネーターとファシリテーターで一緒に描く必要性があります。ファシリテーターが直感でやっていたものに、コーディネーターが枠をつくる。そうすることで、軸がしっかりして、その中でファシリテーターは自由に安心して狙いにいけると思っています」(のんちゃん)

あゆみとのんちゃんのコーディネーターの捉え方は少し違うように感じました。それはPAJのファシリテーターにそれぞれの個を生かしたファシリテーションがあるように、コーディネーターにもそれぞれの個を生かしたコーディネーションというものがあるのかもしれません。

プログラム同様、コーディネーションにも「完全な正解」のない仕事です。あゆみがこれからどんなクライアントやファシリテーター、参加者と出会い、どんなプログラムをつくっていくのか楽しみです!


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