2025年11月、GAテクノロジーズは人事評価制度や研修制度を含む、人事施策の全体像を大きくアップデートしました。
創業以来、驚異的なスピードで事業拡大を続け、グループ会社も増え続ける中で、なぜ今このタイミングで人事施策の「刷新」が必要だったのか。その背景には、急成長企業ゆえの課題と、組織が大きくなることで生じる「求心力の希薄化」への危機感がありました。
本記事では、組織の新たな指針となる今回の人事施策改革に込められた経営陣や人事の想い、そして新たな施策で目指す「個人と事業の成長の連動」について、執行役員の農里将司と、人事企画・組織開発室マネージャーの秋葉大輔に話を聞きました。
Profile
農里 将司(執行役員)
大学卒業後、2014年に株式会社GA technologies新卒1期生として入社。名古屋支社の立ち上げ、インサイドセールスの責任者などを歴任し、現在は執行役員として人事部門を管掌。
秋葉 大輔(HR Planning/Planning マネージャー)
大手メーカー系グループ会社、日系コンサルティングファームを経て2025年に株式会社GA technologies入社。現在は人事企画・組織開発室のマネージャーとして、人事制度構築や組織開発を推進。
「制度が追いつかない」急成長がもたらした課題にどう応えるか?
― まず今回、人事施策を刷新するに至った背景について教えてください。
農里:今回私たちが大きく見直したのが、人事評価制度と、人材育成制度です。この2つに共通したテーマとしては「職種の多様化への対応」があります。さらにそれぞれのテーマとしては、人事評価制度は「成果を出している人に適正に報いる」という点、そして人材育成制度は「組織の求心力の強化」があります。
まず人事評価制度についてお話すると、GAテクノロジーズの人事評価制度は、会社の成長スピードとの戦いでもあります。GAテクノロジーズの事業成長のスピードは極めて速い。2年前に策定した制度でさえ、すでに現在の事業フェーズとはズレが生じています。これは「過去の制度に不備があった」というより、「組織の成長が制度を追い越した」結果です。
今後も微修正はあるでしょうし、数年後にはまた刷新するかもしれない。常にその時々のフェーズに合わせてアップデートし続けるのが、GAテクノロジーズらしさだと思っています。
秋葉:これまで当社の人事評価制度は、大きく「Biz(ビジネス職)」と「Tech(技術職)」という二軸で設計されていました。しかし、M&Aや新規事業開発を通じて事業領域が拡大する中で、従来の分類では現場の実態に即しきれない状況となっていました。
たとえば、Bizの中にも多様な専門性を持つ人材がおり、Techにおいても、AI、プロダクトマネージャー、データなど、求められるスキルや役割が大きく異なります。
多様化・細分化し続ける職能を、既存の枠組みだけで評価・育成するには限界がありました。プロフェッショナルなメンバーそれぞれが、納得感を持って業務に邁進できる環境を整備したい。また、採用市場を考えたときに「自分が適正な評価を得ている」という納得感を持ってもらいたい。そうした思いから、よりきめ細やかな制度設計が必要だと判断しました。そこで刷新後は、社内の業務内容に応じた職種区分を12職種に変更しました。
― 評価や報酬についてはどう変わるのでしょうか?
農里:象徴的な変化としては全体的な職種の報酬水準の引き上げ、とくに「Tech(技術職)」です。
中途採用市場は年々高騰しており、とくにテクノロジー人材の市場価値は上がり続けています。GAテクノロジーズは2013年の創業から新卒採用を実施するなど、これまで新卒を主軸に成長してきた組織だったこともあり、市場相場との間にギャップが生じていた側面もありました。
しかし今回は、その課題を解消するだけでなく、市場競争力を十分に持った報酬テーブルへと抜本的に改定しました。昇格時の昇給幅なども、プロフェッショナルとしての評価がダイレクトに待遇に反映される、インパクトのある設計にしています。
もちろんテクノロジー人材に限らず、全職種において「成果を出した人が正当に報われる」状態を徹底し、外部市場と戦える水準を目指しました。移行期間として3年を設けていますが、着実に新制度の設計へと移行させていく計画です。
新しい給与レンジ
― 人事評価制度だけでなく、同時に人材育成制度を見直したのはなぜでしょうか。
秋葉:組織には、事業を拡大していく「遠心力=事業拡大のスピード」と、組織を一つにまとめる「求心力=組織の一体感」の2つの力が必要不可欠です。両者はトレードオフの関係になりやすいですが、常にバランスを取り続ける必要があります。
ここ数年、M&Aや積極的な多事業展開によって、GAテクノロジーズには強い「遠心力」が働いてきました。その結果、相対的に「求心力」が希薄化しているのではないか、という課題意識が強まっていたのです。
特にGAテクノロジーズの経営理念「OUR AMBITION」や、行動指針である「GA VALUES」といったものが、GAテクノロジーズグループで働くメンバーにとって抽象的な存在になりつつあると感じました。自分の日々の業務と、会社の目指すものの繋がりが見えにくくなっている人が多いのではないかということです。
農里:創業初期や、社員数100名程度の段階では、トップの熱量による直接的な発信で求心力を維持できました。しかし、組織規模が1,600人を超え、多様なバックグラウンドを持つ中途入社メンバーが増えた現在、トップの発信だけでは行き渡らないため、仕組みとしての整備が不可欠になっていました。
「なんか熱い会社だよね」という雰囲気だけでなく、研修や制度という「仕組み」を通じて、一人ひとりが「OUR AMBITION」や「GA VALUES」に触れ、当事者意識を持つ機会を意図的に作らなければならない。そう考えたのです。
プロフェッショナルの進化を加速させる「3層の育成戦略」
― 具体的な新しい人材育成制度の全体像について教えてください。
農里: これまでもGAテクノロジーズでは人材育成プログラムを「GALILEO」と名付け、さまざまな研修を実施してきました。今回の刷新の核は、一律教育からの脱却です。「人材強化」と「組織開発・カルチャー浸透」の大きく2つに分かれますが、人材強化においては等級および職種別、さらに選抜型を組み合わせ、個人のフェーズと専門性に合致した成長機会を提供します。
- 等級別・選抜型研修: 新卒から管理職まで、各レイヤーで求められる「視座」を獲得するプログラムに加え、将来の経営を担う人材を早期に見出し戦略的に育成する「選抜型」を強化します。組織の縦軸を通すことで、キャリアの階段を明確にします。
- 職種別専門研修: ここが最大の進化点です。全社共通(=セントラル人事)の枠組みとは切り離し、現場を知り尽くした各部門のHRBPが主導権を持ちます。 技術進化の速いテクノロジー部門や、専門知識が問われる仕入部門など、現場の「今」必要なスキルを、HRBPがスピーディーに研修化します。人事主導では追いつけなかった、鮮度の高い学びを担保する仕組みです。
- 組織開発・カルチャー浸透研修: 組織の拡大に伴い、個人の業務と会社の理念の接続が見えにくくなる課題を解決します。 単に言葉を覚えるのではなく、日々の意思決定の判断軸として理念を「使いこなす」ためのワークショップを実施。組織としての求心力を高め、遠心力とのバランスを保つための土台となります。
秋葉: 特に「職種別」における現場への権限移譲は、育成のスピード感を劇的に変えます。人事もHRBPと連携しながら伴走し、主役である現場が自ら最適解を選び取れる体制を整えました。
キャリアは自分で切り拓く——自律が価値になる制度へ
― 今回の制度刷新を通じて、どのような組織、人材を育てていきたいですか?
農里:目指しているのは、「個人の成長」と「事業の成長」が高度にリンクする組織です。これは単なる理想論ではなく、私たちが本気で実現しようとしている組織の未来図です。
新しい制度を通じて、社員一人ひとりにビジネスパーソンとしての視座を高め、自らの手でキャリアを切り拓いてほしい。そうした個の挑戦が事業を成長させ、結果として成果を出した人が最大限に報われる。そんなポジティブな循環を生み出す制度設計をしています。
一つ強調しておきたいのは、この制度は「会社が用意したレールに乗っていれば自動的に昇進できる」類のものではないということです。制度に依存したり、受動的な姿勢でいたりする方にとっては、厳しい環境に映るかもしれません。
しかし、主体的に「自身のキャリアを通じてどう価値を発揮するか」を考え行動する方にとっては、これ以上ないほど自由度が高く、成長の機会にあふれた環境になっています。
多様なキャリアパスという選択肢と、公平な評価・報酬。それらを基盤に、自分次第でキャリアを切り拓くことで事業も成長していく——。「組織と個の共進化」が生み出す緊張感と高揚感のあるサイクルを、皆さんと共に作っていきたいと考えています。
秋葉:制度はあくまで「成長のためのインフラ」であり、重要なのは、どのように活用するかです。日々の業務の中で、研修での気づきと実務が結びつく瞬間——「点と点が線になる瞬間」をいかに多く生み出せるか。「あの時の研修で学んだことは、こういう時に必要だったんだ!」と現場で腹落ちする。そんな瞬間を生み出すための種を撒き続けることが、我々人事の役割です。
創業からの信念「高い志を持ち、努力する人が正当に報われる会社」
― GAテクノロジーズのメンバー、そして未来の仲間へメッセージをお願いします。
農里:まずお伝えしたいのは、この制度刷新が「人事部門単独の施策ではない」ということです。過去2年間、経営陣が一丸となり参加し、数百時間に及ぶ議論を重ねてきました。なぜこれほど多くの時間を費やすのか。それは、経営陣が本気で「人材こそが最大の資産である」と考えているからです。
「高い志を持ち、成果を出す人が正当に報われる会社であり続けたい」。創業時から変わらないこの信念を、組織が拡大しても変わらず貫いていくために、議論を尽くして作り上げました。
秋葉:経営陣の、人材に対する本気の想いがあるからこそ、制度を“用意された仕組み”として受け身でとらえるのではなく、変化を味方につけて成長し、組織へより大きな価値を還元していくための機会として活用いただきたいですね。
急成長する組織において、現状維持は後退と同義です。この変化の波を自身の成長エネルギーに変えられる方には、GAテクノロジーズは最高のフィールドだと確信しています。
農里: 今回の刷新は、GAテクノロジーズが世界的企業へと進化するための覚悟の表れでもあります。 事業が拡大しても、創業時からの「OUR AMBITION」や「GA VALUES」を中心に据え、プロフェッショナルとして成果を出す方が胸を張って活躍できる場所を作る。
変革期の今だからこそ、メンバーの皆さん、そしてこれから参画する皆さんと共に、次のステージを創っていきたいと考えています。
※本記事は作成時点での情報を参考にしております。最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。