前編では「まず自分で動いてみる」という姿勢がどのように形成され、
それが“信頼で仕事の範囲が広がる”土台になったのかをお聞きしました。
後編では、その姿勢が 今の役割にどう生きているのか、
そして 、なぜ役職ではなく“プロフェッショナル”であり続けたいのか を深掘りしていきます。
現場のリアルと、13年間積み上げてきた価値観が交差する内容です。
それでは、後編に進みます。
Q.現在はどのような役割を担っているのでしょうか?
A.いま携わっているのは、社内外の調整が多い仕事です。
クライアント先や制作会社とやり取りしながら、こちら側の意図や数値状況を共有し、改善の方向性を一緒に描くような仕事が多いですね。
たとえば「この数値を抑えたい」「単価のバランスを見直したい」「成果率が下がっている理由を知りたい」といった相談を受けると、まず僕自身で仮説を立て、必要な情報を整理します。
そのうえで、外部と内部の両方と会話していく。感覚的には、社内と社外の“ハブ”のような立ち位置です。
Q. 新しい領域や、誰も着手していない仕事が発生した場合は、どのように動くことが多いのでしょうか?
A.そうですね。
特に、仕組みや機能の連携が必要になるケースは多いです。
以前、外部が制作したものを社内システムと接続する必要があり、
それまで誰も着手していなかった領域の調整に入ったことがあります。
「誰がやるのか?」ではなく、
「必要だから、まず自分が理解してみよう」
という感覚のほうが近いかもしれません。
外部に説明するにしても、
社内のエンジニアに相談するにしても、
自分の中で最低限の構造が理解できていないと、会話が進まないんですよね。
もちろん、最終的に専門的な判断はエンジニアに任せますが、
“会話のスタート地点を自分で作れる”状態にしておくのは大事にしています。
Q.前編でお話しされていた「信頼できる人」という言葉が、ここでつながりますね。
A.はい。僕の中では「説明できるかどうか」が、信頼の大きな基準だと思っています。
たとえば外部との打ち合わせで、
少し込み入った話になるたびに「システム呼んできますね」と席を外していると、
相手からの信頼は薄れていくと思うんです。
もちろん、専門領域の判断が必要な場面ではしっかりバトンタッチします。
でも、その手前の“橋渡し”まで誰が担うかで、仕事の進み方は大きく変わる。
だから僕は、できるだけ自分のところで一度受け止めるようにしています。
外部の人からも、社内の人からも
「まず彼に聞けば大筋のところは整理される」
と思ってもらえる状態が理想ですね。
Q.その姿勢は、13年間の積み重ねから生まれたものだと思いますか?
A.そうですね。ただ、年数が長いから任される、という感覚はあまりないです。
むしろ、
- どうすれば話が進むか
- どこで自分がボトルネックになっているか
- 相手が次に知りたい情報は何か
こういうことを考えながら動いてきた時間の“密度”が大きい気がします。
それに、僕自身が「満足しない」タイプなのも大きいと思います。
どれだけ任されても、「これで十分」とは思わない。
わからないところがあれば調べるし、理解できていなければ自問自答する。
その積み重ねに、結果として信頼がついてきたんだと思います。
Q.これからのキャリアについては、どのように考えていますか?
A.僕は役職に進むより、
プロフェッショナルとして深めていく道を選びたいと思っています。
もちろん、チームをまとめる立場にも価値はあると思います。
でも、自分の性質を考えると、数字や仕組みを読み解いて、外部と内部をつなぎ、改善の筋道をつくる。
そういう役割のほうがしっくりきます。
特定の領域に関しては
「まず彼に聞こう」
と言われるような状態を、これからも維持したい。
それが僕にとっての“プロ”の姿です。
Q.最後に、メッセージをお願いします。
A.仕事って、最初は誰だってわからないことばかりだと思います。
ジャンルが変われば、みんな未経験です。
だからこそ、
「やったことがないから不安……」
という理由で止まる必要はないはずです。
僕自身、13年前は何もわかっていませんでした。
でも、“まず動いてみる”という一歩が、環境を変え、役割を変え、信頼を変えていきました。
もし少しでも興味を持ったら、まずは飛び込んでみてください。
必要なのは「完璧さ」じゃなくて、「小さな一歩」です。
正解がない状況でも、まず自分で動いてみる。
調べ、整理し、仮説を立て、相手に説明できる形にする。
その積み重ねが、気づけば“信頼される存在”をつくりあげていました。
宇野さんが語った言葉の通り、新しい挑戦は、誰にとっても最初は未経験です。
大事なのは、完璧な準備よりも、小さな一歩を踏み出す勇気。
もしこの記事を読んで「ここで挑戦してみたい」と思ったら、
その気持ちが何よりの適性なのかもしれません。