こんにちは、TAMのHRの茶園です。
私は東京で新米ママとして、杉山くんは大阪で新米パパとして、ちょうど同じ学年の子を持つ親同士。杉山くんの育児体験をインタビューしつつ、TAM歴も年齢も近い私たちが、「育児・育休のリアル」を語りました。
プロフィール
茶園: 杉山くん、改めてお帰りなさい。復帰した日はどうだった?
杉山: ぬるっと戻ってきた感じですね。
茶園: わりと私は「もうすぐ杉山くんが戻ってくるよ~」って言いふらしたり、楽しみにしてたよ。
杉山: ヤツが帰ってくるぞと(笑)
茶園: 休みに入ったのが去年の2月だったっけ?
杉山: 子供が生まれたのが2月で、そっから僕は1年と1ヶ月休んで、妻は半年ですね。
茶園: 保育園が決まっての復帰?
杉山: そうです。やっぱり4月の一斉入所のタイミングが1番入りやすくて。だから生まれるタイミングにめっちゃ影響されるんですよね。
茶園: わかる。私の娘は10月生まれで、6か月で0歳クラスに入れるか1歳半まで育休にするかすごく迷って、結局6か月で入れたんだよね。
それで言うと、杉山くんのところは早生まれで私より育休が長くて1年経っての復帰だったけど、会社の人と喋りたい欲とかは高まってた?
杉山: 高まりますね。僕らの場合は家でめっちゃ喋るから、最初はあんま感じなかったんですけど、終盤は割と寂しくなってくるっていうか。復帰したい欲も高まってましたね。
茶園: 奥さんとかとは会話するけど、それ以外のコミュニティと少し遠く感じるというか。
杉山: そうですね。社会の大きな流れからちょっと離脱している感じ?孤立じゃないですけど、全く違う時間軸で、生活をしている感じはしましたね。子供と出かけても、通勤中のサラリーマンたちの流れに逆らうかのように動いて、全然違う風に過ごしてるみたいな。
「育休」は休暇と呼ぶけど休暇じゃない。リアルな感想
茶園: 育休って、言葉では「休み」が入っているし平日に仕事がない=のんびり、みたいなイメージはあるけど、私は全然大変だったなあ。杉山くんはどうだった?
杉山: そうですね。やっぱり言葉のイメージに引っ張られて、あんまり実情が理解されてへんのちゃうかなとは思いました。僕にとっては仕事の方が全然楽やったんで。
茶園: うん、うん。
杉山: だから、育休入る前に「ゆっくり休んでください」みたいなことを、ちょろっと同僚に言われたりとか。復帰した後もなんとなく挨拶回ってる時に、「充電たっぷりしましたね」とか言われたり。
何気ない言葉やから「なんじゃこいつ」とまでは思わないんですけど、分かってへんなとは思う。充電されるどころか、減る人も多いんで。
もちろん実際に経験した人しか、クリアには分からへんからしゃあないですけど。でも、充実はしてたし、大変やったのも含めて良い時間ではありましたね。
茶園: そうね…。
杉山: 自分のところは多分まだ楽な方やったんですよね。子供がよう寝たし、夜泣きとかも少なかったんで。
それでもこんな大変なんやから、想像すると他の人すごいなってなりますね。それこそ2人目、3人目やったりとか普通に尊敬っすね。
茶園: うん。分かる。小さいころは手が離せないし、動くようになったら今度は目が離せない。1人でもこんなんなのに、もう1人いたらどうなるんだろう…。
育児は24時間営業。休めている状態がない過酷さ
茶園:「育児の何が大変なんですか」みたいな、まだ経験してない人からの無邪気な質問に答えるとしたら、どういうところが大変だと思う?
私も進行形で経験してるし、言葉にせずとも想像はできるんだけど。
杉山: 起きてる間はずっと営業してるっていうことかな。子供が生まれて以降は、もう常に育児に関わっている状態になるんすよね。
妻と2人暮らしの時は、例えば平日でも、仕事が終わったら終わりじゃないですか。で、しょうもない動画見たりとか、たまに飲みに行ったりとかして、まとまった時間を何かに使えるわけですよね。それができなくなるんですよね。
茶園: 誰かに預けていても、「大丈夫かな」って気になったり、自分だけ自由時間で申し訳ないなと思ったりする。
杉山: そう。いわば休めてる状態がないんすよね。ネガティブな言い方ですけど、気持ちに負荷がずっとかかるんですよ。
特に最初なんか子供もまとまった時間寝るわけじゃないから、すぐ起きてまた面倒見ないといけない。自分の時間が細かく切り刻まれるんですよね。それによって、映画を見たりとか、2〜3時間以上の時間を使う活動がめっちゃ制限される。
茶園: 大人1人での「はい、休みですよ」っていうのとは違う。子はかわいいけど、自分の時間もメンタルも捧げるよね。
杉山: とてつもなくかわいいがゆえにですね。
育児には具体的な報酬がない。「自分の意志」があるからできる
杉山: これは妻の言ってたことですけど、「報酬がないのがきつい」とは言ってました。
報酬って、具体的なもののことだと思うんですけど、仕事やったら、人に褒めてもらったりとか、給料ももらえるじゃないですか。それが基本的にないんで。どれだけ時間と体力を費やしたとしても、具体的な形での報酬がないから。
茶園: お世話して当たり前の存在だもんね。杉山くんはその観点ではどう思ってた?
杉山: あんまりピンと来てなかったっすけどね。そもそも具体的な報酬に自分のモチベーションをそんなに依存させてなかったんかもしれないですね。もちろん嬉しいけど、それ以上に納得してできてるかどうかをモチベーションにしてる気はするんで。
1人の人間が大人になっていくことのサポートをすることが、自分的にはすごい意味のあることやったんで、自分にとっての報酬はあったかなっていう感じですね。
茶園: そうね。世の中の仕事ってきっと大きく2種類あって、目に見える生産的な何かを作る仕事と、育児とか、そばにいて見守ることがそもそも大事な仕事とに分かれる。介護とかもそうかな。後者だときっと成果は見えにくいよね。
杉山: そうっすね。だから、頑張って見出そうとしてたんかもしれないですね。世話することの意義みたいな。でも実際、めっちゃ意義深いと思いますけどね。
無事に子供が育っていけば、もちろん僕にはやらないようなことをやるやろうし、僕らとは違うコミュニティに参加して、友達を作っていくわけやから。自分1人が生きている中では起こり得ないことが広がっていくことは間違いないし。
茶園: そうね。私の場合、親が写真は撮ってくれてたけど、小さい頃のビデオは少なくて。だから、自分もこんなふうに手がかかったのかなとか、何度も風邪ひいてたのかなっていうのを、すごく解像度高く理解する体験でもあるし。
杉山: 確かにそれは面白いところかも。子供の様子を見てると、なんか自分のルーツを見てるような気にはなるんすよね。全然違うんやろうけど、自分もこういうところから今に至るんやなっていうのは感じますね。
茶園:あと、子育てって、忍耐とか未知への解決力が高まる修行みたいな…そういう意味のある期間でもあるとも思う。
親になってから直面する未知への解決力みたいなものとか、それこそ自分を犠牲にして24時間営業するとか。親である人、ならざるを得ない人も含めて、親という役割ってすごく人間力を問われるのでは…どんな子に育ったとしても、どうにか育てあげた人はもう全然立派だよなあ…と思うようになった。とはいえもちろん、子がいる人はすごい!と無条件に礼賛したいわけではないのだけど。
杉山: そうですね。自分の場合は20代やったら無理やったやろうし、やってたとしても全然今と違うことになってたでしょうね。子供ありやなと思うようになったのも、ほんま30才になってからなんで。
茶園: 「子供がいたらな」ってポジティブな気持ちで迎えられる家庭と、そうじゃなくて、とにかく育てなきゃいけないみたいな人もいる…それはそれで、しんどいよね。
杉山: そうですね。やらざるを得なくてやってるっていうことが一番しんどいと思うんで。それこそ、利他的に全部やろうとするとやっぱ無理になるじゃないですか。自分を殺して他人に全部捧げるっていうことは、そもそも。
自分は、子供を作りたいと思って、運良く授かって、子育てしたいと思ってしてるから。時間と体力は子供のために使ってはいるけど、それは自分のためにやってることなんですよね。
茶園: そうね。今聞いてて、「育休を取ったらいい人」と「そこまで…」みたいな人と、どう分かれるかな?と聞こうかと思ったけど、やっぱり自分で取りたいと思って取る人が健全だよね。
杉山: ほんまそれは全部のことに言えると思います。仕事も、やっぱりやりたいことをやるべきやし、そうじゃないと続かないんで。まぁ何でもやりたいことをできるかっていうと、そういう世の中ではないけど。特に子供のことに関しては、周りがどうとかじゃなく何が自分たちにとってベストかっていうのを、絶対の基準として持つべきであって、そうじゃないとやっぱ余計にしんどいですよね。
育児休暇は「労働者の権利」。自分と家族を一番に
杉山: 特に男の場合やと、親戚とか会社の人にどう思われるかとか、いろいろ気になるとは思うんですけど、でも、そんな風評より余裕で自分と家族が大事なんで、究極だから関係ないんですよね、僕にとっては。今回、会社の人に何か言われたとかは全くなかったですけど、どんなとこにいてもそう思うっすけどね。
茶園: うん、うん。
杉山: 周りの人と話してて、僕が「育休1年取ってて」って言うと、「めっちゃホワイトやん」とか「俺んとこやったら無理やわ」とかたまに聞くんすけど。育児休暇っていうのは、会社がイエス・ノーで決めることじゃなくて、労働者の権利なんで、それは会社というよりお前の意志の問題やろ、と思いますけどね。っていうか全然ホワイトちゃうし(笑)
茶園: うん。制度上、どの会社でも取れるはずだからね。
杉山: まあ理想論に聞こえるかもしらんけど。
茶園: でも、そこまでして取りたいと思ってない人もいるのかな。他の会社の友達、それって深く聞いた? 実際に人手が足りないとか、本当に取れなさそうなの?みたいな。
杉山: そこまで深くは聞かないですけどね。結局のところ、そもそも取る気ないか、雰囲気に流されてるんやろうなと思っちゃってますけど。
茶園: そうか…。
杉山: そもそも取りたいと思ってない人も多いんじゃないんですかね。それは全然いいじゃないですか。個人と家庭それぞれの事情があるわけやし。でもそれが男女のステレオタイプに基づいてるとしたら、それは早いとこ無くなってほしいかな。
育児かキャリアか?問題。育休が与えるプラスの影響
茶園: 育休を長くとるとキャリアが止まるのでは…という不安はなかった?
杉山: あんまりなかったですね。僕は育休っていうのは、長い目でみたらキャリアにとってもええんちゃうかって思ったんですよね。
子育てでキャリアが止まるって結びつけられがちやけど、違う解釈もできるっていうことは言いたいんですよ。自分の場合、なんていうかチャンネルをバチッと切り替えて、また違う視点で周りの景色を見れるようになったから、それは巡り巡って、ものづくりにも良い影響があるんちゃうかっていうイメージなんですよね。
育休は「留学」に近い?身の回りへの見方が変わる越境体験
茶園: チャンネルをバチッと切り替えるっていうのはもうちょっと説明すると、どんな感じ ?
杉山: 例えば僕らにとっての”ゴミ箱”って不要物を捨てるためのものやけど、子供からしたらフタがぱかぱか開くオモチャなんですよね。
いうたら子供がみてる世界って、モノに機能とか意味がまだくっついてなくて、ほんまにありのままを見てる。だから蚊取り線香をポキポキ折ったり、小銭を飴ちゃんのごとく舐めたりっていうことを延々して遊んでる(笑)
そういう子供のモノに対するリアクションに付き合うことって大変ではあるんですけど、新鮮な発見があるんですよね。
茶園: うん(笑)そんな発想があったか!って、みてて面白いよね。
杉山: それって自分的には留学とかホームステイに行って、全然違う世界観に出会うことに近いというか、別に場所が移動するわけじゃないけど、子供っていうフィルターを通して身近な世界への見方がちょっと変わる、そういう意味でのチャンネルです。
茶園: 育休が留学とかと似てるって言うと、なんかこう全然違うものと接するっていう、いわば越境体験みたいな。
杉山: そうかも。茶園さんも海外経験をしてはる人やからよく分かるとは思うんですけど、いわゆるカルチャーショックですよね。
杉山: そう考えると、デザイナーとしてのキャリアというか、もはや職種関係なく人生スパンでとらえた時に、手元の仕事から一旦離れて子どもの世界にどっぷり浸る期間過ごせたのは良かったなと心底思いますね。
まぁでも、育休とか子育てに対してそういう一歩引いたような見方をできるのも結局僕が男やからかもしれないですけどね。とにかくマイナスなだけじゃないでっていうことを言いたかったです!
茶園: 別の見方があるっていうのはとても共感!杉山くん、インタビューありがとうございました。
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