2026年4月、TAPPに新たな組織が誕生しました。
事業戦略室 AI戦略ユニット——全社横断でAI活用を推進する、攻めの組織です。
立ち上げたのは、入社からわずか2ヶ月の事業戦略室 室長・近藤さん。
なぜこの組織が必要だったのか。
全社AI導入の経緯と、その先に見据えるビジョンを聞きました。
▼プロフィール
近藤 悠樹|事業戦略室 室長
スキマバイトアプリの会社でアライアンス部門の立ち上げ、持続可能な農業を作るスタートアップ、日本のマンガ文化を世界に発信するWebtoonのスタートアップで採用責任者をつとめる。2026年2月にTAPPへ入社し、営業部にて法人提携の仕組みを構想し立ち上げる。同年4月、事業戦略室 室長に。AI戦略ユニットの立ち上げを主導し、全社的なAI活用を推進。既に自社AIツールを開発・導入している。
人事責任者として応募し、2ヶ月で事業戦略室を立ち上げるまで
——まず、TAPPに入社された経緯を教えてください。
もともとは人事責任者として応募しました。スキマバイトアプリの会社、持続可能な農業を作るスタートアップ、日本のマンガ文化を世界に発信するWebtoonのスタートアップで人事責任者を歴任してきて、次の挑戦先を探していたタイミングです。
スキマバイトアプリの会社に入社した当時は1日300万円くらいだった売上が、やめるときには1億円規模まで伸びていました。その成長を自分の手で作っていく過程がとにかく楽しかった。ただ、その会社が安定成長期に入ったので、もう一度その感覚を味わえる場所を探していたんです。
そこでTAPPが目に留まりました。選考が進んでいく中で、山地社長の「もっともっとやりたいことがあるし、一つも満足していない。会社も大きくしたいし、事業展開もしたい」という想いと覚悟が見えた。一方で、その想いと会社の現在の伸び方には乖離があるとも感じました。「もっと伸びてもいいよね?」と。だとすれば、社長の構想を実行できる人材がまだ揃っていないということ。そこを自分が埋められるんじゃないかと思ったんです。
そうして山地さんや乾さん(TAPP取締役)と選考を進めていく中で、「人事ではなく、事業全体を俯瞰する役割をやってみない?」と提案されました。
入社後はまず営業部で法人提携を増やす業務につきました。その業務を社内に引き継いだ後、4月1日に事業戦略室を立ち上げ、異動しています。「何をすれば会社全体の売上が伸びるのか」という問いに正面から向き合うには、既存のどの部署にも当てはまらない動き方が必要だった。だったら新しい箱を作った方が動きやすい、という判断です。この組織は、僕が入ってこなければ作られなかったと思います。
僕の役割は、社長が考えていることを実現すること。山地社長の中にはたくさんの構想があるのに、実行に移せていないものがある。構想を、現場が動ける形に「翻訳」して、必要なものと不要なものを自分で判断し、行動に移す。それが事業戦略室の存在意義です。
世間が思っている1000倍、AIは強い
——事業戦略室の中に「AI戦略ユニット」が立ち上がりました。なぜでしょうか?
社内でもAIの活用は推進されていましたが、全員が使っている状態ではありませんでした。ガイドラインがなかなか厳しくて、使いたくても踏み出せなかった人が多かったんです。しかし個人情報を扱うサービスである以上、ガイドラインが厳しいのは当然のことです。問題は、その制約の中でどうAIを活用するかという道筋が整備されていなかったこと。そこに強い危機感を覚えました。
そもそもTAPPが手がける資産運用コンサルティングは、不動産・金融資産・税制・ライフプランなど多岐にわたる専門知識を組み合わせて、お客様一人ひとりに最適な提案を届ける仕事です。事業の成長に伴ってお客様の数が拡大していく中で、提案の品質を維持しながらお客様一人ひとりに向き合う時間をどう確保するか。これは経営としての大きな課題でした。
だからこそ、一部の部署に閉じたAI活用では足りない。営業・マーケティング・カスタマーサポート・管理部門を含むすべての部門で、日常的にAIを使いこなす体制を一気に構築する必要があると考えました。
というのも、世間の99%の人が思っている1000倍くらい、AIって強いんです。
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そしてその確信を決定的にしたのが、今年の1月、正確には昨年の12月から本格的になり始めた「AIエージェント」のアップデートでした。
以前は1パターン同士の掛け合い(指示→回答という使い方)しかできなかったのが、人間に指示をするのと同じように目的や意図を伝えるとAIがその目的のために必要な手順を自ら作り、複数のパターンを勝手に設計し、AI同士で仕上がりの確認をしながら作りきるところまでできるようになった。つまり、人間がやっていた確認作業さえ、AIが担えるようになったんです。
私は2月後半から3月にかけて個人的に色々と試したりアプリをAIと一緒に作ってみましたが、本当に土日だけで販売もできるようなレベルの開発ができました。これを体感して、「もう待てない」と確信しました。
提案から3日で始動——経営を動かした裏側
——その危機感を、どのようにして組織の意思決定につなげたのですか?
3月25日に山地社長に直接提案しました。個人情報のリスクをどう管理するかなど、事前に想定される論点はすべて洗い出してプレゼンに臨みました。結果、その場でOKをもらい、そのまま苗さん(TAPPマーケティング部管掌取締役)にも電話して確認を取り、次のアクションまで決定。3月27日には動き始め、4月2日には全社にアナウンスされています。
余談ですが、TAPPのバリューの一つに「スピード」があります。今回の件で、それを最も体現しているのが山地社長だと思います。提案から1週間で全社発表。50人くらいの会社にはこのスピード感があったかもしれませんが、200人規模の会社でこの速さは本当にない。しかも山地社長は会うたびに必ず「もっと早くするには何をすればいいですか?」と聞いてくるんです。トップがこの姿勢だからこそ、3日で動き出せた。またその回答がクリティカルでないと「今日の提案はあまり面白くない」とはっきり言われてしまうので、こちらも常に「何があれば、何をすれば最速か」を考え続けるようになりました。
すでに成果が出始めたAI施策
——近藤さんの開発したツールが実際に使われているそうですね。詳しく教えていただけますか?
すでに運用が始まっているものが1つ、実験中のものが1つ、開発を進めているものが2つあります。
運用中のものは「AIロールプレイングツール」で、営業のロールプレイングをAIが相手になって行えるシステムです。一番の強みは、時事ニュースや市場動向をすぐに反映できるので、常に最新の状況を踏まえた実践的なトレーニングが可能な面です。お客様への提案の質を、もう一段引き上げられると考えています。また従来は先輩社員がロープレの相手をしていたため、その時間を大幅に短縮できました。テキストでのやり取りにも対応しているため、会話をできる環境でなくても使えますし、入社前の方が使うことも可能です。
AIロープレの実施回数は現在日別7.7回※1。1回のロープレ時間を30分とすると月間約77時間分にあたり、営業がお客様のために割ける時間が約9日分※2 生まれた計算になり、それだけお客様への対応の質向上に繋がっていると思います。
※1 2026年5月19日時点、営業日20日で算出
※2 1営業日=8時間で換算
そして実験中のものが、AI面接です。24時間、アバターと実際に会話をするような面談が可能です。面接に関するノウハウや心理学等の論文や記事を数千本読み込んでおり、ベテランの面接官のように候補者の本音の掘り下げもできるようになっています。
開発中のものとしては、中古買い付けの判断をAIが支援するジャッジシステムと、集客に向けた資産運用のAI相談対応があります。お客様が気軽に資産運用の相談ができる入り口を作ろうとしています。
ただ、AIの進化のスピードを考えると、これでもまだ遅い方だと思っています。重要なのは、一つひとつの施策を完璧にしてからリリースするのではなく、まず動かしてみて、改善を重ねていくこと。うちのプロダクトは全部AIでできると言いましたが、その「全部」を、具体的に一つずつ証明していく段階です。
迷いなく動ける理由
——これだけの施策を短期間で形にしていますが、近藤さんがここまで迷いなく動ける理由は何なのでしょうか。
確信を持っているからです。「絶対にやった方がいい」と心の底から思っている。結局、何かをやらないのは感情のせいなんです。面倒だとか、ちょっと怖いとか。でも、組織にとって絶対に重要だと確信すれば、迷わず動ける。
あと、もともとPythonが書けて、エンジニア的な仕事もできるので、AIへの興味はずっとありました。趣味の株式投資の分析にも使っていましたし、前職では全社導入こそしていなかったものの、自分の業務では営業戦略の分析などに使い倒していました。だから、AIで何ができて何ができないかの肌感覚がある。「なんとなく良さそう」ではなく、「これは確実に成果が出る」とわかっているから、迷う理由がないんです。
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「使いこなす」勝負は、もう終わる
——最後に、AI戦略ユニットとしてのビジョンと、この記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします。
TAPPの社員全員が誰よりも市場価値が高く、スピードを持ってどんな市場でも活躍できる環境を1日でも早く作りたい。AIはそれを実現するための重要なピースの一つです。
そして忘れてはいけないのは、AIを導入する目的は社内の効率化だけではないということです。僕たちが生産性を上げた先にあるのは、お客様への提案の質を高め、一人ひとりにもっと深く向き合える時間を生み出すこと。つまり、AI導入の本当の目的は、顧客体験を向上させることなんです。業務が効率化された分だけ、お客様と向き合う時間が増える。その時間で、より丁寧なコンサルティングができる。AIはそのための手段です。
ただ、僕はもっと先を見ています。AIを使えること自体は、すぐにコモディティ化します。AIで何かができるとかAIであるサービスを作ることができたなどは競争優位やMOATではすでにないと認識しなければならない。全世界の人がAIを使える状態になる。その「当たり前」が訪れた瞬間に、勝負の土俵は一気に全世界の全員に広がるんです。だから本当の勝負は、「AIを使いこなした上で、どう勝つか」なんです。
3年後を見据えて、全社導入と「使いこなした先を考える文化」の定着を同時に進めなければいけない。使いこなすことがゴールではなく、使いこなした先で勝てる人と組織を作ることがゴールです。厳しい話に聞こえるかもしれませんが、この資本主義社会においてはそれが現実です。だからこそ、今から一緒に考えていきましょう。TAPPはその未来に向けて、すでに動き出しています。
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