TOKIUMは、2025年5月22日に「経理AIエージェント」構想に関する発表を行いました。
詳細はこちら:https://corp.tokium.jp/news/xug1wkdnyds/
「あらゆる経理“作業”から、人々を解放する。」ことを目的に、
経理AIエージェントを提供し、日本全体の生産能力向上へと貢献することを目指します。
この度、経理AIエージェントの第一弾となる、「TOKIUM AI出張手配」のサービス発表会を2025年6月24日に実施いたしました。本noteでは、発表会の内容を全文ご紹介いたします。
目次
はじめに
経理AIエージェントのビジョン
なぜ、TOKIUMは経理AIエージェントを提供するのか
TOKIUMが提供する「経理AIエージェント」とは?
経理AIエージェントの提供によって目指すもの
TOKIUM AI出張手配の開発背景
TOKIUM AI出張手配サービス概要
経理AIエージェント開発ロードマップのご紹介
はじめに
黒﨑:皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。株式会社TOKIUM、代表取締役 兼 Chief Product Officer(最高製品責任者)の黒﨑です。
私は6月から、代表取締役の業務に加え、Chief Product Officer(最高製品責任者)としてプロダクト統括も担当することになりました。
当社の事業戦略をご紹介するにあたり、まず「TOKIUMの志」についてお話しさせていただきます。
社名の「TOKIUM」は「未来へつながる時を生む」という言葉に由来しています。
私たちは、まさにこの「時を生む」ために事業を展開してきました。
そしてこれからも、その姿勢は変わりません。
これまで当社は、経費精算や請求書受領といったSaaSアプリケーションの提供を主軸としてきました。
その上で、オンラインBPOサービスの「TOKIUMアシスタント」や、経理人材に特化した人材サービスを展開するグループ会社「TOKIUMスタッフィング」を設立するなど、経理周辺領域に「狭く深く」入り込む形で事業を拡大してきました。
そしてこの度、TOKIUMはまた一つ大きな決断をしました。
これまで10年以上にわたってミスの許されない経理周辺領域において品質の高いサービスを提供してきた実績。
そのサービスを支えるために築き上げたシステムと8,000人以上のオペレーターによる独自のオペレーション基盤を活かし、AIとプロスタッフによって経理業務の自動運転を支援する経理AIエージェントの提供に注力してまいります。
そして、TOKIUMは「経理AIエージェントのNo.1企業」を目指していきます。
経理AIエージェントのビジョン
黒﨑:TOKIUMが掲げる「経理AIエージェント」とはどのようなものか、
それを提供することでどのような世界を作っていきたいのかをお話します。
私たちは「経理AIエージェント」が目指すプロダクトビジョンを決定いたしました。
それは、「あらゆる経理“作業”から人々を解放する」というものです。
特に重要なのは、「経理“作業”」という言葉です。これは「経理業務」とは異なります。
なぜなら、「経理“作業”」は、経理担当者以外のあらゆる職種の日常に存在しているからです。
例えば、請求書処理であれば、営業担当者が請求書を受け取って開封し、確認して経理担当者に処理のために渡すといった作業もそうです。
本日お集まりいただいた皆さんも、交通費を会社に申請したり、ご自身で確定申告時に「経理“作業”」を経験されていると思います。
このように、全職種に埋め込まれた小さな「経理 "作業"」をなくして、日本全体の生産能力を上げていきたい。これが、経理AIエージェントの提供によってTOKIUMが目指すことです。
なぜ、TOKIUMは経理AIエージェントを提供するのか
黒﨑:TOKIUMがなぜ今、経理AIエージェントを提供するのか。
その背景には、日本の社会が直面する大きな課題と、AI技術の目覚ましい進化があります。
まず、差し迫る労働力不足です。パーソル総合研究所のレポートによると、2030年には約644万人の人手不足が発生する見込みです。
黒﨑:TOKIUMがなぜ今、経理AIエージェントを提供するのか。
その背景には、日本の社会が直面する大きな課題と、AI技術の目覚ましい進化があります。
まず、差し迫る労働力不足です。パーソル総合研究所のレポートによると、2030年には約644万人の人手不足が発生する見込みです。
一方で、近年のAI技術の発展は目覚ましいものがあります。
特にChatGPTなどのAIモデルは、東大生のIQを上回るとも言われるほどの進化を遂げています。
中でも、OpenAI o3はすでに東大生のIQを超えているとされ、
私たちは、こうした高度な頭脳を持つAIをサービスに活用できるのではないかと感じ、AIエージェントの開発に本格的に取り組み始めました。
これまでのデータからも明らかですが、AIが発展し、人口が減少していく中で急激に起こる変化は、これまでの「限られた人の生産性を上げる」という努力から、「AI自体を労働力として認識し、AIをデジタル労働力として採用する」ということです。
私たちは、人が1人採用されるのと同じように、AIをデジタル労働力として認識し、積極的に活用していくことを提案します。
このような発想が可能になったのは、大規模言語モデル(LLM)の言語処理能力が飛躍的に向上し、それによりAI自体のオペレーション機能が劇的に進化したことが大きな要因です。
例えば、「TOKIUMにログインして事前申請書を出してください」と依頼すれば、AIが自動的にブラウザを起動し、その操作を代行してくれるといったことが実現可能になりました。
AIエージェントの登場により、これからの時代は「システムを操作するのはAIエージェントが担う」という、新たなフェーズへと変わっていくと私たちは考えています。
TOKIUMが提供する「経理AIエージェント」とは?
このAIエージェントがシステムを人間の代わりに操作して業務を実行することを、特に「経理領域」で実現していきたい。これが、今回提案する「経理AIエージェント構想」です。
TOKIUMの経理AIエージェントの最大の特長は、AIエージェントだけでは完結させず、プロのスタッフがAIの出力結果を修正・フィードバックする「ヒューマン・イン・ザ・ループ」機構を構築している点にあります。
これは、TOKIUMがこれまで培ってきた独自のオペレーション基盤があってこそ実現できたものであり、他社にはない私たちの独自の強みであると自負しています。
では、なぜTOKIUMは導入初期から高品質なAIエージェントを提供できるのでしょうか。
その理由は、TOKIUMが10年以上にわたり経理周辺領域でお客様の業務効率化に取り組んできた豊富な経験にあります。
一度も止まってはならず、ミスも許されない経理の周辺領域において、
10年以上にわたってSaaSを提供してきた実績。
それを支えるシステムと、8,000名を超えるオンラインオペレーターを組み合わせた独自のオペレーション基盤。
長年培ってきたスキャンセンターやオンラインスタッフのノウハウ、そしてドメインを深く理解したソフトウェアを開発できる優秀なエンジニアの存在。
これらのTOKIUM独自の強みが結集してこそ、経理AIエージェントの実現が可能になると考えています。
すでに2,500社のお客様に、毎日TOKIUMのインフラをご利用いただいております。
ほとんどすべての従業員様にご利用いただいているサービスであるからこそ、私たちTOKIUMが経理AIエージェントを提供することの価値があると考えております。
経理AIエージェントの提供によって目指すもの
黒﨑:経理AIエージェントの提供によって、私たちTOKIUMとお客様の関係性は大きく変わります。例えるなら、お客様は業務の発注者、そしてTOKIUMはお客様に成果物を納品する「工場」のような存在です。
つまり、お客様は「経理“作業”」を「TOKIUM、お願い!」と丸ごとお任せいただくだけで良いのです。
私たちは、AIエージェント、プロフェッショナルなスタッフ、そしてSaaSの最適な組み合わせによって、お客様が求める最終的な成果物を確実に納品します。
これが、私たちの経理AIエージェントのコンセプトです。
お客様が「この業務をなくしたい」と願えば、TOKIUMがその実現方法を考え、実行し、業務成果として納品する。私たちは、お客様にそのような体験を提供したいと考えています。
具体的には、約1万人分の労働時間に相当する2,000万時間の「経理“作業”」をTOKIUMが実行することを目指していきます。
それでは、最後に私のパートのまとめです。
TOKIUMは、経理AIエージェントのNo.1企業を目指します。
その過程において、あらゆる「経理“作業”」から、人々を解放し、日本全体の生産能力向上へと貢献していきます。
次のパートでは、プロダクト部 部長の花房より、経理AIエージェントの第一弾となる「TOKIUM AI出張手配」の詳細と、今後の開発ロードマップについて詳しくご説明します。
TOKIUM AI出張手配の開発背景
花房:皆様、こんにちは。先ほどご紹介にあずかりました、プロダクト部 部長の花房です。ここからは、経理AIエージェント第一弾となる、TOKIUM AI出張手配と今後の開発計画について詳しくご紹介いたします。
営業担当者が、出張手配業務によって、どれくらい営業活動に影響が出ているかという調査結果です。
出張手配業務を負担に感じると回答した方のうち、約60%以上が、営業活動に影響していると回答しました。
では、具体的にどのような作業が負担になっているのか、上位を挙げさせていただきます。「宿泊先決定後の予約作業」や「経費精算システムや紙による申請・精算作業」などが負担に感じる業務として挙げられています。
これらの「調べて、予約して、システムに申請する」という一連の作業を営業担当者は特に負担に感じていることが分かりました。
出張手配は、全社的にも影響がある業務です。そこでこれらの課題を解決するため、私たちは経理AIエージェント第一弾としてAI出張手配の提供を開始いたします。
これまでは出張が決まると、ホテルや新幹線などの交通手段を探し、予約を行い、さらに事前に経費の申請をするというステップがありました。
AI出張手配では、これらの一連の流れを、経理AIエージェントが実行します。
TOKIUM AI出張手配サービス概要
花房:このTOKIUM AI出張手配の特長は3つあります。
まず1つ目は、日常的な言葉で依頼可能なことです。
例えば「大阪に出張に行くんでよろしく」などAIと会話する感覚で依頼できます。
次に、規定やルールに基づいた提案をAIエージェントがしてくれることです。
「ホテルは会社で定められた金額中に収めなければならない」、「飛行機を利用する場合は、社内のルールで定められた条件に合致していなければならない」、「出張全体の費用を規程で定められた金額の中で調達しなければならない」といった社内ルールや、「大浴場付きのホテルが良い」、「朝食はビュッフェ形式がいい」といった個人の好みに基づいて提案します。
これにより、手配の手間が減るだけでなく、申請の質が均一になるため、承認する側にとっても負担が軽減されます。
最後に、申請から予約まで一貫して対応が可能なことです。
提案内容が承認されると、AIエージェントがお使いの経費精算システム上に自動的に出張申請を作成します。それが承認されると、プロスタッフとAIが連携し、予約の完了まで行います。
これにより、AI単体では難しい、事前申請作成から予約までの一連のプロセスを実行することができます。
今後はカレンダーなどで出張の予約を管理していれば、それを元に自動で予定を作成したりといった対応も検討しています。
経理AIエージェント開発ロードマップのご紹介
花房:最後に経理AIエージェントの開発ロードマップのご紹介です。
AIによる業務効率化・自動化については、3つのフェーズで展開していくことを考えております。
まず2026年5月までに、支出管理の領域において20体以上のAIエージェントを提供していきたいと考えております。
この段階では、プロスタッフとAIが共同して業務の自動運転を一部補助する形で提供いたします。そして、これを徐々に人間の介入割合を減らしながら提供していくことを目指します。
2027年5月までには、定期的な出張などの定型的な業務において、AIエージェントだけで自動化できるレベルを目指します。
この段階においては、プロスタッフは特殊なケースやルールにない例外への介入のみを想定しています。
最後に、2027年6月以降には特定の業務をAIが完全に自動で実行することを目指します。
AIが主体となり、人間はアウトプットを確認するだけという状態を目指します。
この段階になると、業務の実行スピードも格段に向上していると思います。
この図は、各フェーズにおいてAIエージェントとプロスタッフの役割がどのように変化していくかを示しています。
出張手配を例にすると、フェーズ1であればエージェントがプランの提示まで行い、プロスタッフが実際に手配を行います。
フェーズ2では、定期的に発生する、同じような出張内容であればAIが自動で手配します。
そして、フェーズ3では手配は全てAIエージェントが行い、プロスタッフは最終的なアウトプットを確認するだけとなります。
このように、人とAIが共同して、フェーズごとに少しずつ役割を変化させながら業務を自動運転していくことを目指しております。
以上で、弊社からの発表を終了とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
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