学生団体S.A.L.
学生団体 S.A.L. は国際問題の知識を深め、啓発することを活動内容として. 2008 年に発足した、慶應義塾大学に本部を置く学生団体です。
https://www.salkeio.com
慶應義塾大学文学部3年、very50インターンの小池遼です。今年4月からインターンとして、very50に関わらせていただいています。very50との出会いは、今年3月のMoGにメンターとして参加したことがきっかけでした。元々インターンをしていた友人から紹介され、大学生メンターとして参加したMoGは、何もかもが新鮮で、驚きに満ちたものでした。私自身、それまで社会問題を題材にしたドキュメンタリーの制作や雑誌の発行を行う学生団体の代表をしていたのですが、日々制作費や協賛企業探しに頭を悩ませ、持続可能な枠組みの中で活動を発展させる難しさを痛感していました。
そんな中、修学旅行引率の代理事業のビジネスの側面と、現地の事業家の課題に対して付加価値を出すというプロジェクトの側面を両立させるMoGのサステナブルな構造に最も心を掴まれました。もちろんMoGの持つ教育的価値も、体験価値もとても高いものであると感じていますが、私にとってMoGは社会課題解決の抱える閉塞感を打開しうる答えの一つだと感じています。
そして、そのプログラムを届けるvery50のスタッフたちが醸し出す「面白さ/新しさ」と「シビアさ」が両立するような雰囲気に惹かれ、インターンとしてこの環境に身を投じることに決めました。
very50のインターンとして、今年の8月にあるボールを任されました。それはインドのコルカタへの単身出張。2026年3月のMoGでコラボする社会事業家を探し、ファーストコンタクトを取るというものでした。
初めは、というか渡航中にも、最も感じていたものは不安でした。英語ネイティブではないことによる言語への不安、単身出張に対する不安、そして渡航先がインドであるという不安、結果が出せず全体進捗を滞らせてしまうことへの不安。今振り返れば、時期的にもタスクの重さ的にも単身でインターンメンバーに任せられるという上長たちの判断は妥当だったと感じますが、そんな色々な不安に割としっかり苛まれる夏を過ごしました笑。
渡航前のタスクは候補先のリストアップと現地アポイントメントの獲得、飛び込み営業の習得でした。
リストアップとアポ獲得については、chat gptとの二人三脚の作業になりました。副代表の谷弘がvery50内外で話しているような、AIとの関わり方における勘所みたいなものは、この時に少し掴むことができたと感じています。業務で使えるレベルのリストを私自身が手作業で作るより早くアウトプットするには、現状ではプロンプトに拘る他に方法はありません。そのため、いかに良いアウトプットが出せるプロンプトを書けるか、他の出張の際にも流用できるようなテンプレートを作れるか、ということを意識しました。プロンプト一文次第で中長期的にアウトプットの質が大幅に変わるということを学んだ期間でした。
飛び込み営業の習得に関しては、かなり微妙な状態での渡航になってしまったと反省しています。なんとなくテレビやドラマでよく見るような営業というイメージに抵抗感があったり、「営業トーク」のような喋り方を上手にできない苦手意識もあったのかもしれません。ただ、そもそもMoGというプログラムが現地の事業家に対してそこまでリスクを背負わせるプロダクトではないことや、そもそも抵抗感とか苦手意識とか言っていても単身インドに行った私にとっては文字通りどうしようもなかったので、幸いなことに現地ではリカバリーできたと思います。
現業に目を戻してみても、スタッフそれぞれがクリエイティブ制作から新規営業まで多職種のボールを持ち、学校関係者や事業家、その他様々なステークホルダーとのクライアントワークを止めることなく進めています。一人ひとり得意不得意もあると思いますが、そこに対してしっかり自分自身をマネジメントしていくことがこの組織で特に強く求められていることだと思います。苦手業務で安定して平均点を取り、高得点を狙えるようになる状態をインターンとしてしっかり目指すというところは、これからも意識していきたいと思います。
そのような形で事前準備を進め、インドには1週間滞在しました。結果として、マストで3社という目標に対して、合計7社と関係を築くことができました。もちろん、明日にでもMoGを始められる温度感のところもあれば、あと数回上長の訪問が必要な事業家もあり、必ずしも数字ほど見栄えの良い成果ではないと思います。ただ渡航後数ヶ月経ち、来春のMoGに向けてのプロセスが(私のレイヤーで見える限りにおいては)滞りなく進んでいるのを見て、一定の達成感と安堵感を得ています。
現地期間において最も障壁となったことは、コルカタの土地勘が全くなかったことと、体調不良に見舞われたことです。幸い事前にそれなりにアポを詰め込むことができていましたが、渋滞や車の揺れ、電車の混雑で想定していたより移動に時間と労力を取られることになってしまいました。Uber taxiが待てど暮らせど来ない、やっと来た運転手がアプリの使い方をわかっていない。クラクションが鳴り響く大渋滞にハマり30分の行程が2時間になる。道中に運転手が軽く事故る。遠出した際に帰りの電車が来ず、辺鄙な駅のホームで2時間待ち続ける。など、今となっては良い感じにインドっぽいお土産話になる出来事も、当時の私にとっては決して小さくない不安材料になっていました。
その結果かどうか分かりませんが、滞在3日目から倦怠感、頭痛、腹痛、悪寒等に襲われてしまいました。幸い嘔吐したり動けなくなったりするほどではなかったのですが、結局帰国後まで完治せず、現地では騙し騙し活動することになりました。「男はすぐ体調悪いって言う〜」という趣旨のリール動画が最近バズっていますが笑、この時自分がそうだったのかもということは否定できません笑。ただ個人的に「自分が止まったら、中長期的にスタックする」というプレッシャーを大きく感じていたため、「体調悪い」中で現地での活動を継続しました。もちろんvery50自体はそこまでブラックな思想を持った組織ではないため、行程の半分ぶっ倒れて「手ぶら」で帰国することになっても、全く責められることはないと思いますし、建設的に任命責任の議論に移行していくと思います。当時、そうなってしまうかもしれないということに対してしっかりと悔しさと無力感を感じ、できるうちにできるだけのことはやっておこうと考えを整理できたことは、自分の糧として大きいものだったと思います。
これまで、自分自身でやりたいことを取捨選択し、その目標を達成するために注力してきた私にとって、与えられた業務の中で自分の成果が数字として可視化され比較されてしまう状況はあまり経験のないものだったと思います。かつ、このインド出張は学生団体のリーダー職などとは異なる社会を動かそうとするビジネスの現場であり、自分のクリエイティビティよりも、行動量や忍耐力を持ってプロジェクト全体の流れを止めないということを求められる状況でした。そのため、自分の苦手意識や困難に対して試行錯誤するのではなく、ただ単純に真正面から突破することを強いられた経験でした。そして程度の差こそあれ、日々のインターン業務でもこの感覚にはいつも向き合わなければいけないと感じるようになりました。
初の単身出張inインドということで、色々な困難はありましたが、これらの困難に立ち向かう中で得られたものは結局のところ「気合い」、もう少しビジネスっぽくいえば「マインドセット」だったと思います。よくマインドセットと二軸で語られる「スキルセット」に関しては、英語や進捗を作るコミュニケーションというところで多くの課題を感じながらも、業務上のクリティカルな失点にならない程度には自分が積み上げていたものがあったと実感できました。もちろんスキルセットもまだまだ発展途上ですが、それ以上にマインドセットに関しては、自分の中でのターニングポイントになったと思います。
具体的に言えば、業務へ本質的にオーナーシップを持つという感覚と、業務運用能力的な側面とクリエイティブ能力的な側面を使い分けて業務を効率的かつ本質的に進めるという感覚が朧げながら見えてきたように感じています。それを普段の日常の中で身につけるのがインターンに本質的に求められることなんだろうと反省しつつも、この感覚を持ちながら他の業務に当たることを意識するようになりました。
まず、業務に対してオーナーシップを持つ感覚で言えば、今まで以上に自分のボール、タスクの一つ一つが大きな川の流れのどこに位置し、どのように作用しているかを意識するようになりました。そしてそれを理解した上で、少なくともその川のその部分に関しては責任と意志を持とうと心がけています。うまくいかない時の方が多く日々もがいていますが、川の流れと自分の発揮すべきオーナーシップの範囲を適切に(本質的に)見定め、そこで自分らしい働きを発揮するという勘所は、「インドMoG開催」という大河に放り込まれたからこそ得れたものだったと思います。
また、業務運用能力的な側面とクリエイティブ能力的な側面の使い分けという感覚については、「皆がすべきことをしっかりやる」と「自分しか生み出せない付加価値を目指す」という形で、業務における思考の方向性をしっかり分けるということを意識するようになりました。そんなの当たり前、と正直執筆していても感じますが、私も含め、特に学生だと混同している方も多いと思います。特に今回のインド出張では、前述のリストアップやアポイントメントといったようにミスが即失点になる業務と、先方との関係構築や情報収集といった好プレーが加点になる業務がはっきり分かれていたと感じており、よく「仕事の攻守」という説明もされますが、どこを守らなければいけなくて、どこを攻めたら付加価値が高いのかという勘所を、まさに体調の悪く残りの時間が短くなっていく中で意識させられました。やはりここに関してもインドでもう少しこう立ち振舞っておけばとか、日々の業務内でもっとこう、というように日々もがきながらインターン業務に取り組んでいます。
「単身インド出張」は、一見とてもユニークで大仰なイベントに感じられます。実際にインド出張のボールを渡された時には非日常で旅のような感覚が多少なりともありました。しかし、何度か記述したように、完全に日常の業務と地続きで、だからこそ私自身が試され、鍛えられた出張だったと思います。そして、この業務と成果の地続き感と、その中でいかに付加価値を発揮できるかを問われ続けることこそ、very50インターンにジョインする学生にとっての最大のチャレンジと代え難い経験になると思います。
冒頭に書いたように、very50が団体として展開しているプログラムはとてもユニークで、意義高く、#海外#教育#社会貢献という文脈もあいまって一見するとそれなりに華々しいものに見えるかもしれません。また、業務内のボールという側面でも業務外のコミュニティという側面でも、間違いなく他の企業のインターンや個人活動ではなかなか遭遇しないものと巡り会えます。しかし、裏を返せばvery50チームとして社会に対する成果物の作り手となるために(作り手として認められるために)業務内外で試行錯誤する日々です。私自身、残りのインターン期間を通じて、very50という環境でどこまでも本質的に業務に取り組むことと、そこで付加価値を生むために試行錯誤し自分をアップデートしていくという原理原則は、変わらず意識し続けようと思っています。
読者の方の中に次の挑戦に迷う学生や、自分の腕試しをしたい学生がいれば、very50インターンは間違いなくお勧めできます!気になった方はぜひ、very50インターンに応募してください!