【食べチョク事業部 インタビュー】圧倒的な消費者と一次産業の解像度で、生産者の「売れる」をつくる。食べチョク事業部の現在地と、これから
"EC"のままでは届かない場所へ
――まずは、事業の現在地についてお伺いします。食べチョクは単体での黒字化を達成し、事業基盤がかなり強固になってきたフェーズかと思います。その上で、西尾さんが今もっとも向き合っている課題は何でしょうか?
西尾:食べチョク単体での黒字化は達成しているものの、ここから大きくどう伸ばしていくかが正直苦しいフェーズでもあります。普通のECサイトと同じように「この商品が買えます」という戦い方をすると、圧倒的に強い他社プレイヤーには勝てませんし、価格競争に巻き込まれてしまいます。
私たちの強みは多くの生産者さんがいることであり、栽培方法や味など、生産者さんの「こだわり」や「ストーリー」を伝えていく方向に持っていく必要があります。
商品目当てで来てもらうのではなく、オンラインのファーマーズマーケットのように「今日いいものないかな」「いい生産者さんいないかな」と定期的にアクセスして新しい発見をしてもらう体験を作ることが、今の大きな課題です。
(同じプロダクトチームの田島と西尾。ビジネスチームとも密接に連携をとり事業が推進される)
――西尾さんから「脱EC」や「体験の転換」という課題感のお話がありましたが、田島さんの視点から見て、数字の面で今一番伸ばしたい部分はどのあたりですか?
田島:数字の観点で言うと、PUU(注文ユーザー数)とARPU(1ユーザーあたりの平均売上)の両方を伸ばすことは意識しています。
PUUで言うと、今は食に興味がある40〜60代の女性が多いのですが、今まで使ったことがない層にいかに使っていただくかが大きなテーマです。
ARPUで言うと、例えば年末に1回買って終わりではなく、ファーマーズマーケットのように「ここに来たら新しい発見があるから買いたい」と毎月来て買っていただける体験を提供していきたいと考えていて、色々トライしている最中です。
泥臭く集めて、プロダクトで届ける
――大嶋さんは販促企画やMD(マーチャンダイジング)を担われていますが、その課題に対して直近で一番力を入れている取り組みは何ですか?具体的にどう動いているか教えてください。
大嶋:抽象度を上げて言うと、「私たちに食材の知見をいかに集め、それを編集してお客様に伝えるか」ということに力を入れています。
具体的には「いちごグランプリ」のような品評会企画ですね。全国の生産者さんにエントリーしていただき、食のプロが審査をします。単に美味しい品種を発掘するだけでなく、「この生産者さんのものはめちゃくちゃ美味しいから絶対食べてほしい」と、生産者さんのこだわりを「受賞」という形で可視化して、それを特集記事やPRとしてお客様にコミュニケーションしていく動きを泥臭くやっています。
(年始に開催したいちごグランプリ。多くの生産者さんが出品してくれる企画に成長した)
――大嶋さんたち企画側が泥臭く集めた情報を、プロダクト面ではどのように連携させているのでしょうか?
田島:食べチョクはプロダクト上で商品を販売するため、産直食材の魅力がどうしたら伝わるか?は重要なイシューです。
例えば、私たちが開催するグランプリであれば、受賞した商品であることがわかりやすく伝わったり、買った人のレビューやコメントが簡単に見えたりするようにしています。商品単体を見せるだけでなく、どういうプロセスで評価されたのかという背景を記事にして、そこから商品を買えるようにするなど、私たちが伝えたい生産者さんの魅力をプロダクト上でストレートに伝えられるよう、企画チームと一緒に改善を重ねています。
現場の声が、全社を動かす
――食べチョク事業部の特徴として「自分の役割を限定せず横ぐしで動ける」とよく伺います。実際にチームの垣根を越えて動いた、わかりやすいエピソードはありますか?
大嶋:鳥獣害被害のSOS支援がわかりやすい例かもしれません。りんごグランプリの過程で出会った生産者さんと電話で話していた際、鳥獣害被害が本当に深刻だという話を聞きました。
それをすぐにPRチームやSOSチームに連携したところ、当時の生産者サポートチームが生産者さんにアンケートを取り実情を把握、PRチームがメディアに発信してくれたんです。結果として会社始まって以来の大きな露出に繋がりました。
自分の役割を限定せず、生産者さんの生の声を拾って全社に繋げ、成果物にしていくカルチャーが根付いています。
――もう一つの特徴として「一次産業への解像度の高さ」が挙げられますが、大嶋さんご自身、その解像度が一気に上がったと感じた体験はありましたか?
大嶋:食べチョクでも長年お世話になっている、長野県のりんご生産者さん「安曇野ファミリー農産さん」のところに伺って、数時間お話を直接聞かせてもらった時ですね。品種ごとに規格外品がどれくらい出るか、利益率がどうなっているかをデータ化した資料を見せてくださったんです。その時に、一次産業がいかにシビアなビジネスであるか、そして生産者さんは生産のプロであるだけではなく「経営者」ということを痛感しました。
世間の「生産者=のんびり畑仕事をしている」というイメージとは違い、事業の継続や拡大を見据えて第一線で経営をしているのだと現場で直接感じられたことは大きかったです。
――現場の解像度の高さが、田島さんの立場から見て事業判断やプロダクトにどう影響していると感じますか?
田島:一次産業は自然環境だけでなく、経済や政策、技術など外部環境の影響をすごく受ける産業です。だからこそ、今起こっている問題やこれから起こるであろう問題を深く理解しておくことは、次の成長を考える上で非常に重要です。現場の解像度が高いメンバーがいるからこそ、「何を届けるべきか」の判断の質が上がり、プロダクトの方向性もブレずに進めるのだと思います。
あとは、会社として「生産者とともに、一次産業の課題を解決する」というフィロソフィーも掲げているので、次の一手を考える時も、常に「本当に一次産業や生産者さんのためになっているのか?」という問いに答えが出せるような解像度は必要だと感じています。
難易度の高いビジネスの先に、新しい価値を見出す
――ここまで聞くと非常にやりがいの大きい仕事だと感じますが、あえて正直に聞きます。この仕事で一番「きついな」と思う瞬間はいつですか?
大嶋:やはり、天候や気候に大きく左右されるところです。どれだけ自分たちで準備や仕込みをしても、台風で収穫できなくなったり農産物全滅したりすることがあります。
ただ、それをいかに「生産者さんや我々にとってのチャンスに転換するか」も自分たち次第だと思っています。たとえば不作であればそれをSOS企画に繋げたり、暑さに強い新しい品種を次のスタンダードに育てていくような動きも私たちならできます。きびしい反面、それをピンチで終わらせず、ユーザーさんへの啓蒙も含めて新しい価値に変えていくのが私たちの役割だと思っています。
――前職や入社当時と比べて、この環境でご自身が一番変わった、あるいは成長したと感じる部分はどこですか?
大嶋:一般的なマーケティングだと「売るものが決まっている状態でどう売るか」を考えることが多いですが、ここでは「何を・誰から仕入れて・どんなストーリーで・どう届けるか」を全部自分で設計して成果まで見届けられるようになりました。
領域を横断して自分でドライブする力が自然と身につく環境です。
(イベントの企画からマーチャンダイズまで務める大嶋)
田島:プロダクトの観点でも、「買いたいものが決まっているEC」から「来た後に欲しいものが見つかるファーマーズマーケット」へと体験を変えていくという、世の中にもあまりない難易度の高いチャレンジに向き合えていることは、大きな成長機会だと感じています。
デジタル化の余地が高い領域で、AIも活用しながらどのように価値提供できるんだろうと考える環境は刺激的です。
1万軒のこだわりを、テクノロジーで届ける
――今後の食べチョクとして、どのような方向への進化を考えていますか?
西尾:一言で言えば「こだわりの食材と出会えるプラットフォームへの進化」です。商品を検索して買うのではなく、サイトを見た時に「なるほど、こんな魅力やこだわりがあるんだな」と伝わる場所に変えていきます。
ただ、一つ一つの商品に対して手作業で記事を書いて情報を揃えるのは限界があるので、生産者さんが日々考えているこだわりをうまく吸い上げ、AIなども活用しながら商品の魅力としてたくさん展開していく。テクノロジーの力でその体験に早く近づけたいと考えています。
――そのビジョンを実現するために、チームとしてどんな変化や覚悟が必要だとお考えですか?
西尾:数字だけを見てECを伸ばすなら、「安いものをバンバン広告で出す」という王道の戦略がありますが、それでは私たちの叶えたいこととはズレてしまいます。
食べチョクが持つ「1万軒の生産者さんとの信頼関係」という資産を活かしきれるかどうかは、生産者さんの現場に入り込んでこだわりを理解し、消費者に届けられるチームがいるかどうかにかかっています。会社のビジョンを深く理解した上で、数字もしっかり伸ばせるアイデアを出し、推進できるチームにしていきたいですし、そこに全力で投資していきます。
一緒に走れる人へ
――最後に、これから一緒に働く未来のメンバーに向けて、「こういう人に来てほしい!」というメッセージをそれぞれお願いします。
大嶋:アイデアを出すだけでなく、「定量と定性の両面で検討でき」かつ「実行力」のある方とぜひ一緒に働きたいです。周りを巻き込んで横断的に動き、本当に形にして成果に結びつけられる人が必要なフェーズだと思っていますし、そういう人にとってとても楽しい環境だと思います。
田島:戦略と実装を両方一致させ続けられる人に来てほしいです。理想を描くだけでなく、それをいかに現場の実装や実行とアラインさせ続けられるか。そこに自分の能力やスキルを発揮できると思える方をお待ちしています。
西尾:一次産業の未来を本気で変えたいと思い、自分の手でプロダクトと事業をつくっていけるフェーズを楽しめる人に来てほしいですね。
ビジョンへの理解と事業を伸ばす力の両方を持ち、それを橋渡ししながら走り続けられる方にぜひ仲間になっていただきたいです