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「食べチョク」の会社が、なぜ自ら在庫を持つのか
――まずは、おふたりの自己紹介と、現在どのような業務を担当されているかを教えてください。
松浦:私は現在、執行役員としてビビッドガーデンの流通・サービス領域を管掌しています。これまで展開してきた産直EC「食べチョク」だけでなく、ビビッドガーデンとして食品流通全般に踏み込み、自社で食材を加工したり卸したりする新規事業を見ています。
山之口:私は入社して9ヶ月になります。入社時からこの流通事業チームにジョインし、主に「Vivid Table(ビビッドテーブル)」という冷凍食品など、自社ブランド(PB)の商品開発から製造、販売、運営周り全般を担当しています。
(2024年にリリースしたVivid Table。生産者さんの食材をプライベートブランで扱う)
――ビビッドガーデンといえば産直EC「食べチョク」というイメージが強い中、なぜあえて自社で在庫を持つ「プライベートブランド(PB)」の立ち上げに踏み出したのでしょうか?
松浦:食べチョク事業は市場外流通をメインとしており、質の高いものを届ける「ど真ん中」の事業です。ただ一方で、生産者さん視点で見ると「価格転嫁がしづらい」「値段がつきにくい」といった課題も残っています。
例えば、ネギを大量に作っている農家さんがいたとして、一般の家庭がオンラインでネギを爆買いすることはありませんよね。そうした食材を我々がしっかりと買い取り、加工してプライベートブランドにすることで、「美味しくていいものを作っていれば、ちゃんと価値がついて稼げる」という生産者さんの選択肢を増やしていけると考えたのが、大きな背景です。
食べチョクのプラットフォームだけでは解決しきれない課題に対して、自社で在庫を持ち、加工・販売するという様々なオプションを持とうとしています。
――「プラットフォームとして売り場を提供する」ことと、「自社でブランドを作って届ける」こと。同じ食を扱う仕事でも、全く異なる難しさがありそうですね。
松浦:おっしゃる通り、全く競技が違います。食べチョクのようなマーケットプレイスは「売り場」を提供し、回遊してもらう動きですが、自社ブランドは「一つのブランドを愛してもらう」動きです。
まだ価値が定まっていない新しいブランドをゼロから作り、「食べる前から美味しいと信じてもらう」ための価値をどう生み出すかという点で、コミュニケーションの取り方が全く異なります。
山之口:食べチョクはある程度ユーザーさんと生産者さんの盛り上がりに委ねる、自由度の高い場所です。一方で自社ブランドを市場に出すとなると、「海外産の食材は使わない」といったような明確なメッセージや意思を持ったブランディングが必要になります。私たちが意思を持ってサプライチェーンを組み、ものづくりをしていくという点で、これまで食べチョクで培ってきた手法がそのまま転用できない難しさを感じています
「このブランド、伸びしろしかない」——9ヶ月目の実感
――山之口さんは入社9ヶ月とのことですが、数ある選択肢の中でなぜビビッドガーデンを選んだのでしょうか?ご自身のキャリア観も含めて教えてください。
山之口:私はこれまで、教育事業の立ち上げから始まり、コロナ禍で飲食店を支援するお取り寄せサイトの立ち上げ、その後は食のブランディング会社とキャリアを歩んできました。
常に「自分のリソースをどこに使うべきか」を意識してきたのですが、お米の問題など、日本の一次産業や食料自給率の課題がホットになる中で、「今度は一次産業の課題に対して自分の力を使いたい」と思ったのが大きな理由です。
また、盤石なインフラ企業ではなく、ベンチャーとしてこれから様々な打ち手でチャレンジできそうな環境を探しており、もともと松浦さんを知っていたこともあってビビッドガーデンを選びました。
――実際に入社してみて、外から見ていたイメージと一番ギャップを感じたのはどんなところでしたか?
山之口:想像以上に「伸びしろしかないブランドだ」と感じたことです。食べチョクに対して、業界からも生産者さんからも、そしてユーザーさんからも非常に大きな期待値が集まっています。
入社前は「食べチョクに並ぶネクストブランドを作るのが自分の仕事だ」くらいに思っていたのですが、実際にはどんな事業領域でも期待されていて、「やれることだらけ」な環境でした。人材さえ揃えば、今後多岐にわたる事業展開ができる会社だと、入社してからより強く実感しています。
■ 想いとビジネスのジレンマ、その先にある「共創」という答え
――ここからは事業のリアルな部分を伺います。冷凍食品などのPBを立ち上げる中で、食品流通ならではの「壁」はどこにありましたか?
松浦:一番大きな壁は「賞味期限のある在庫を持つ」こと、そして「原価管理のジレンマ」です。これまで食べチョクは売れた分だけを販売する在庫を持たないモデルでしたから、確実に見立てをつけて在庫を捌くというビジネスモデル自体が初体験でした。
さらに、我々は「生産者さんの食材にしっかり価値をつけて高く販売する」というビジョンで事業をやっていますから、原料を買い叩くようなことはあり得ません。しかし事業者として事業を継続するには、できるだけ原価を抑えなければ立ち行かなくなります。「一次産業への想い」と「資本主義(ビジネス)」のバランスをどう帳尻を合わせていくかが、非常に難しくも面白いところです。
――山之口さんが現場で泥臭く手を動かす中で、「ここは想像以上にハードだった」と感じたエピソードはありますか?
山之口:松浦さんが言ったジレンマの通り、食べチョクから生まれる素晴らしい食材の価値と、「ユーザーさんが日常に取り入れやすい価格」をどうすり合わせるかがどうしても難しいポイントです。
また、規格外の野菜なども使うのですが、生産者さんが作る食材は形が不揃いな分、工場での加工効率が落ちて加工賃が他社よりかかってしまうこともあります。ハンドクラフト感や高品質へのこだわりと、価格設定をどう合わせていくかは常に悩みどころですね。
――事業を進める上で「共創」というキーワードが出ていますが、外部のパートナーとの連携で印象に残っているエピソードを教えてください。
山之口:「牡蠣とセリの炊き込みご飯」を作った時のことは印象深いです。産直の食材だと少し土がついていたり殻が入っていたりしても「新鮮さ」の証になりますが、加工食品の工場では衛生面で絶対にNGです。
また、セリは収穫後の劣化が早いため、色を保つために素早く塩茹でするなど、工場からすると「こんな手間のかかることをさせないで」と思われるような工程をお願いすることになりました。
それでもブランドのこだわりとして妥協せず調整を重ねた結果、ユーザーさんから「冷凍でこのクオリティが食べられるなんて」と大変嬉しいお声をいただけました。
松浦:こうした経験を通じて、原材料の加工業者、倉庫、物流など既存の流通構造にも「そこにあるべき理由」があり、我々がものづくりをする上で不可欠なピースだと強く実感しました。
宮城県などの自治体や地域の事業者と組んでゼロイチを作る取り組みもしていますが、我々だけでは絶対に無理なことを、それぞれのプロフェッショナルと英知を結集して形にしていくプロセスは、非常に面白いフェーズです。
■ プラットフォーマーから、食と一次産業の「当事者」へ
――この流通事業やPBの立ち上げが成功した先で、ビビッドガーデンという会社はどう進化していくのでしょうか?「第二創業期」におけるこの事業の意義を教えてください。
松浦:これまでの食べチョクは、ある意味「ECの売り場を提供する」という空中戦のような部分もありました。しかしこの事業は、我々自身がリスクを取り、食品流通や一次産業の現場に2歩、3歩と深く入り込んでいく挑戦です。
ここを深く理解して事業を展開できれば、食べチョクとの間にも強力なシナジーが生まれます。プラットフォームにとどまらず、「食と一次産業のマーケットの会社」として、本格的に現場へ入り込んでいくための大きな一歩だと位置づけています。
――その未来予想図を現場で形にしている山之口さんとしては、今どんな手応えを感じていますか?
山之口:お客様から「食べチョクが作っているから国産食材なんだね」「食べチョクが作っているから美味しいんだね」と言っていただける機会が増え、食べチョクという基盤ブランドの価値がPBにもしっかり転化できているという手応えがあります。
今後はこのPBをきっかけに、もっとライトな層が生産者さんのことを知り、楽しめるような「入り口」となるサービスを流通事業から作っていきたいですね。
――最後に、この記事を読んでいる未来の仲間に向けて、「ビビッドガーデンは今、こんな面白い挑戦をしている会社だ」という熱いメッセージをお願いします!
松浦:我々がやっているのは、既存のJAさんや既存流通と「戦う」とか「壊す」ことではありません。これまで業界が培ってきた素晴らしい資産を活かしながら、もっと稼げるように、もっと社会が良くなるように「一緒に作る」というチャレンジです。社会課題をぶっ壊すのではなく、スタートアップとして周囲を巻き込み、共に事業を作っていく。そんな泥臭くも意義のある挑戦を楽しめる環境だとお伝えしたいです。
山之口:今のビビッドガーデンは、ここ1年〜1年半で次々と新規事業を作っていく流れが強く、社内は新規事業に挑戦する熱気で溢れています。しかも、我々には「強力なPRチーム」という最高の資産があります。
アイデアを形にする馬力さえあれば、社内で連携して世の中に大きなインパクトを出せる。新規事業に本気で挑戦したい方には、これ以上ないほどエキサイティングでぴったりな環境だと思います!