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「メディア」が難しくなった時代に、ビジネスモデルを変革して挑戦。10年前の創業時から、今のチャンスを想定して準備してきた代表舟田の話。

事業開発のおちいです。今日は、ヴァズを創業して10年を迎えた代表の舟田(ふなだ)に、ヴァズ創業の経緯や、業界や当社のこれからについて、事業開発マネージャー阿部がインタビューした様子をお届けします。

舟田は、ヴァズのみんなから下の名前で「善(ぜん)さん」と呼ばれて親しまれている、実に距離の近い社長。普段口数じゃ少ないんですが、インターネットやビジネスのことを話し始めると、熱が入って止まらない。そんな舟田の話を聞くのが、社員の楽しみだったりもします。

今日はそのワクワクの一端をこれを読んでくれているみなさんにも感じてもらえると嬉しいです。

(上の写真:左が舟田、右が阿部 ※本インタビューはオミクロン株の流行前の撮影となります)

阿:SnapDishというサービスを作って10年たちますよね。今日はヴァズに興味を持ってくれてる人向けに、改めてサービス立ち上げの経緯なんかを聞かせてもらっていいですか?

舟:もう何回もあべちゃんにしゃべってる気がするんだけど・・・まぁいっか(笑)

妻のささいな行動をヒントに、SnapDishは生まれた。

舟:実は、SnapDishより前、最初に作ったサービスは「ヴァズコム」(社名の由来)というソーシャルランキングサービス。個人向けのソーシャルなサービスを作りたかった。ただ、作ってる途中で「Naverまとめ」のような似たサービスが出てきて、「ちょっとこれ違うよね」ってなって中止したんだよね。

会社のビジョンとして、社会の新しい価値を作りたかったから、人の作ったものの後追いはこの会社ではやりたくなかった。ソーシャルサービスっていろんなテーマであるんだけど、みんなで投稿して投票してコミュニケーションしてっていう仕組みは一緒で、システムは基本的に共通。だから、テーマを変えて別のサービスに活用できないかなって考えたのが、2010年の9月くらい。

そんな時にたまたま、妻が当時ガラケーで自分の作った料理の写真を撮って、友達と見せあって楽しんでる話を聞いて、暮らしの中でそういうコミュニケーションの楽しみ方もあるんだって気づいたんだよね。

(写真:創業当時のことを思い出して、だんだんギアが入り始めた舟田)

舟:ちょうど海外ではInstagramなんかの写真共有サービスが出始めてた時期で、写真コミュニケーションって面白いな~って思っていた時期に世の中がそういう流れになってきた。半年くらいでアプリを作って、2011年5月にSnapDishをリリースした。料理を作って食べて終わりじゃなくて、その後、料理の写真をコミュニケーションすることによって、料理の体験自体をすごく楽しくしていくっていうサービスにしたかった。

阿:奥さんの行動に気づいたタイミングとサービスを作るタイミングってちょっとタイムラグありますよね?

舟:その前から料理以外もソーシャルサービスのテーマをいくつか考えてて、オシャレ系、可愛い系、プリクラサービスとか3つくらい候補はあって。でも、妻の行動が印象に強くあったから料理にした。他にそういうことやってるサービスがなかったし、みんなInstagramしか知らなかった。料理だと世界中の人が楽しめるし、楽しみたいと思っている人がたくさんいて市場が大きいと思って決めた。

この10年で「サーチ」から「ソーシャル」に時代が変わって、新しい市場が誕生した

阿:この10年サービスをやってきて、一番大きい環境の変化ってどんなことですか?

舟:ソーシャルのサービスが世の中の主流になったこと。ネット利用時間を見ても、検索サービスの利用時間がソーシャルサービスよりも短くなってる。10年前はGoogle検索の時代で、検索に出ないコンテンツはインターネットの世界では無いも同然の世界だった。今はもう検索してもInstagramも出てこないし、Googleが届かない世界っていうのがめちゃくちゃ広くなった。「別にGoogleに引っかからなくてもいいじゃん」ってなったのが大きな変化。

阿:もう10年さかのぼるとインターネットが出てきたタイミングですもんね。10年の中で、いろんな変化がすごいスピードで起きてましたよね。

舟:そうそう、SnapDishが出始めの段階でInstagramが出たし、見た瞬間もうInstagramは世の中を席巻することがすぐ予感ができた。これはもう世界をとる、絶対勝てないと思った。速いし、完成度も凄まじいし。びっくりした(笑)


(写真:この10年すごいスピードで変化したインターネットサービス環境を改めて振り返るふたり。)

汎用サービスから専門サービスへの転換期、これからが狙っていた“チャンスの時”。

舟:ただ、最初にあれだけインパクトあるサービスができると市場ができる。Instagramは、コミュニケーションに特にテーマがあったわけじゃなかった。世の中のインターネットサービスのサイクルって、テーマ性のない汎用的なサービスが広がった後に専門サービスが増えていくという繰り返しで、かつ、汎用的なサービスはだいたい10年くらいでピークを迎えるんだよね。

阿:ソーシャルの前は、ブログとかがそういう道をたどってましたよね。

舟:そう、昔のポータルサイトはニュースサイトやECサイトに形を変えていったし、ブログもだんだん専門化して枝分かれしていった。ソーシャルも同じ道をたどるだろうってその時にすでに感じてたから、SnapDishも本領発揮するのは10年後だと思ってた

多くの人がInstagramをある程度使い慣れてきた後、料理は料理で楽しみたいっていう細かいニーズ出てきてからが本当のスタートと思ってた。その時まで、会社組織として継続しないといけない、どう育てていくかというのはけっこう考えてたよね。

阿:ここまで10年、アプリとしては長くもってるサービスですよね。

舟:ただもたせるだけだとあんまり意味ないんだけど(笑)一般的にネットサービスの寿命って長くても10年くらいなんだけど、料理サービスのいいところは30年、50年と長く続けていくことができる、これがいろいろテーマがある中で料理がいいなと思った理由のひとつ。

一生懸命サービスをいちから作って流行っても、10年くらいでダメになってしまったら、また次を作って流行らせていかないといけない。そうとなると、本当にやりたいことができない。その点、料理はライフワークとしてコツコツと大きくしていけるようなテーマなのがすごくいいなと思ってる。

この10年、ほぼ想定通りのことが起こった。大変だったけど、新たなビジネスモデルも完成して準備は整った。

阿:この話の流れで、この10年でやろうと思っていて、できたこととできなかったこと、それぞれお聞きできますか?

舟:この10年、ほぼ想定通りの時間の変化が起こってるんだよね。できてないことっていうのは無くって、だから今こうやってここにいられるんだけど、ただチャンスを逃さないように10年間準備を続けるのは思ったより大変だったっていうのは正直ある(笑)


(写真:いや~あべちゃん、ここまで大変だったよね、と笑いながら振り返る舟田。)

今のこの状況までたどりつかないといけないっていうのは想定内なんだけど、道のりが超大変だったよね・・・!いろいろあったけど、特に新しいビジネスモデルを作るのが一番大変だった

阿:そうですよね、我々も最初はSNSに人が集まってるから、みんなに拡散してもらおうっていう、メディアっぽい立ち位置でやってましたもんね。

舟:以前はビジネスモデルが決まりきっていた中で、インターネットはまっさらな新大陸みたいなものだった。人より先にサービスを作って、あとはSEOさえ頑張っていれば、広告を回すか、利用者に課金するか、ものを買ってもらうか、だけの話で。それ以外って何もなかったんだよね、ビジネスモデルが。

でも、10年間でそのビジネスモデルも成り立たなくなってしまった。ごくわずかだけど成り立っているのはアメリカの世界規模のメディアがいくつかだけ。それですら、莫大な投資を回収する難易度は上がってきている。日本でメディアをいちから作るのはそうとう難易度が高い。

阿:それが、「食の体験を共有」して会話してもらうことで、その対象となる料理や製品についての愛着みたいなものが強まることに気がついて、食品・飲料メーカーさんにとって「製品のコアファン」との関係づくりの場になるというサービスになりました。

舟:これから人口が減少していく中で、食品・飲料メーカーさんも新規顧客だけ追っかけていてもなかなか持続可能な売り上げにならない。既存の製品利用者により長く愛用してもらうことのニーズは絶対に強くなる。その時、「伝える」ためのメディアではなくて、「体験して好きになってもらう」場所の必要性というのは絶対に大きくなるよね。

阿:体験のためサンプリングという手法は昔からあったと思うんですけど、自然な文脈で体験の共有をしてもらえる場所というのは、なかなかイチから作るのは作りづらいのではと思っています。

ようやくスタート地点に立てた、これからは広げていくフェーズ。

阿:10年前のことと、この10年のことを聞きましたが、今後の10年では「SnapDish」や「ヴァズ」でどんなことをしていきたいですか?

舟:ようやくスタート地点に立ったんだよね。で、ようやく広げていくチャンス。Instagramのユーザー数がピークを迎える中で、ここからうちが残存したのを受け止められるような仕組みを作っていけない。やっとSEOに頼らないビジネスモデルが完成したから、ここをしっかり伸ばしていく

阿:基本的な仕組みとしては、人口が減っていく日本のマーケットの中で、売上利益を伸ばすためには1人あたりからより多く「好きになってもらう」というのが基本的な考え方ですよね。


(写真:舟田の描く未来を実現するパートナーは、事業開発マネージャーの阿部。)

舟:そう、国内でひと通りできたら、次は海外。日本の家庭料理のクオリティ、コンテンツ力ってすごいでしょ?世界的に見てもズバ抜けてると思うし、漫画とかアニメとかに匹敵する。世界では日本食に興味を持つ人も増えてるし。SnapDishでは特別なマーケティングは何もしてないけど、全体の2割くらいは海外ユーザー。やっぱりそれは日本の家庭料理というコンテンツがSnapDishにしかないから。

これから、日本人口(=胃袋)は2100年までに約3,800万人まで減る国土交通省の予測もある。食の分野でも海外でやっていかざるを得ない。日本食に興味があるようなコミュニティとコミュニケーションがとれると、海外進出したい食品メーカーの役に立てることはきっとある。

阿:レシピサービスは海外にもたくさんありますけど、SnapDishは何が違うと思いますか?

舟:レシピはマニュアル、料理コミュニケーションとはまったくの別物。マニュアルは家電製品にでも何にでもついてて、作り方を素早く知りたい動機に応えるためのツールですごく便利。でもマニュアルでコミュニケーションとれるかっていうとまったく違う。

インターネットサービスって「あれもこれも」はできなくて、1つのサービスに対して、ユーザーはたった1つのことをやりたくて使ってる。そう考えるとレシピサービスは今の形がすごく使いやすく最適化されていて、SnapDishはそれとはまったく別のサービス。レシピも何十万も掲載されてるけど、そっちは主目的じゃなくて、ユーザーさんはコミュニケーションを楽しみに使ってる。国内でも、海外でも、それは同じ。

インターネットの時代が来て、頑張れば自分でも社会にインパクトを与えられると気づいた

阿:善さん個人のことについても聞きたいんですが、オレが面接してもらった時、数少ない質問の中で「仕事で何したいの?」って聞かれて、「なにか世の中にインパクトを与えることがしたい」って言ったら採用してくれましたよね。いつからそういうことを重視してるんですか?

舟:最初はそう思わなかった。社会人になった時、自分が社会にインパクトを与えられるとは思ってなかった。出版社に就職して、定年まで勤めるくらいしか思ってなかった。

それが、インターネットの時代が来て、出版はもうやばい!と思ってインターネットの会社に入って。それが堀江さん(ホリエモン)の会社だったんだけど、めちゃくちゃ仕事をいっぱいさせてくれたんだよね、3年間で10年分くらい(笑)頑張ればいろいろできるんだなと気づかせてくれたし、自分でも頑張ればできるかもという気にさせてくれた。

(写真:当時を思い出しながら話す舟田と阿部。ネット黎明期は仰天エピソードの宝庫だ。)

ただ、当時はそれが会社の看板の力なのか、自分の力なのか、いまいちわからなくて。で、独立して無名の会社で試してみたらちゃんとできて、あ、できるんだって。それまでは、タイムマシーン経営(海外で成功したビジネスモデルやサービスを、日本にいち早く持ち込む経営手法)でやっていて、既存のビジネスモデルをコピーして商売することはできるようになった、と確認できた。

でも、同じことを繰り返してもしょうがないと思った。当時30過ぎてたし、人生長くないから、やりたいことをやってみたいと思って立ち上げたのがヴァズまだ解決されてない世の中の問題を解決して、できるだけ多くの人に役立つ価値を提供したいと思って始めたんだよね。

阿:その時いる会社ごとに、ベースになる考え方がアップデートされていったんですね。

自分の仕事が世の中を変えたと実感できると思う。人生で挑戦しなかった後悔を残したくない人は、ぜひ来てほしい。

阿:じゃ、最後に今この記事を読んでくれてる人にメッセージをお願いします。どんな人に入って来てほしいとか、今のメンバーってこんな感じで働いてるよとか。

(写真:大変と言いながらも、未来の話を少年のように語る舟田。)

舟:今やってる仕事で定年まで働きあげた時に、もっと挑戦すればよかったと後悔しそうだと思う人。まだ解決されてない世の中の問題を、イノベーションを起こすことで、それまでとルールや常識が変わって、自分がやった仕事が世の中を変えたんだって実感を得ることができると思う。挑戦しなかった後悔を残したくないっていう人はぜひ来てほしい。その中でも料理が好きとかあればいいし、そうじゃなくてもいい。ただ、スタートアップってめちゃくちゃ大変じゃない?(笑)

阿:そうですね、想定の10倍くらい(笑)

舟:スタートアップでイノベーション起こそうとしている人はたくさんいて、GAFAとかも含め。しかもみんなめちゃくちゃ頭いい。そういう人たちとインターネットの世界では、大小とか関係なく同じ土俵でガチンコ勝負。ユーザーの可処分時間をどう獲得していくかっていうドライな戦いなんだよね。そこが面白いところでもあるんだけど、ただ大変だよね。

世の中にまだないものを作って、認めてもらって、定着させていくのは本当に大変。でも、そのためのことをやりきったときに後悔が残らない、自分の力を発揮しきったって思える時が必ずくるその経験をしたいと思えることが一番大事かなと思う。うちのメンバーはそういう話をして入ってきてくれてるから、大変だけど頑張ってると思うんだよね。

阿:ありがとうございました。

おわりに

10年前の創業時に今を見据えていたように、今は「Web3.0」や「メタバース」「エネルギー革命」といったキーワードから、未来社会とそこでのヴァズのあり方を想定している舟田。この未来へのワクワクを共にしながら、社会を変えるようなイノベーションを起こす経験をしたいという方は、ぜひ直接舟田と話しに、お気軽に「話を聞きに行きたい」ボタンを押してみてくださいね!

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