卒業研究:中高年者・高齢者における高座椅子の構成要素が使用満足感に与える影響
本研究では,中高年者・高齢者を対象に,高座椅子の構成要素が使用満足感に与える影響を検討した。その結果,高座椅子の使用満足感が,「身体の安定」「座面の高さ」「背もたれの角度」「背もたれの感触」といった姿勢支持および体性感覚に関わる複数の構成要素によって形成され,これらが統合された評価概念としての「身体適合度」を介して規定されていることを明らかにした点に,本研究の大きな特徴がある。 そのうえで,使用満足感は年齢帯および主観的健康状態によって有意な差を示し,身体的条件の違いが高座椅子の評価に影響を及ぼす可能性が示された。あわせて,購入者,購入価格帯,住環境改善意向においても有意差が認められ,高座椅子の評価が身体的適合のみならず,生活背景とも関連していることが示唆された。 これらの結果から,高座椅子の使用満足感の評価は,「身体適合度」を基盤としつつ,年齢や健康状態といった身体特性,ならびに購入・所有・住環境といった生活文脈が重なり合う中で形成される多面的な評価であると結論づけられる点に,本研究の意義があるといえる。 今後の高座椅子の設計・評価においては,座面の高さや身体の安定性といった身体適合に関わる要素を基盤としつつ,使用者の年齢帯に応じて重視される評価項目の違いを明確に意識し,使用者の生活文脈を踏まえて総合的な視点から検討を行うことが不可欠である。