台湾国立政治大学 / 文学院歴史所
政治大学オーケストラで得た異文化協働と語学の力
政治大学での生活を支えてくれた経験のひとつが、学生オーケストラとの関わりです。政治大学の学生オーケストラには、学部や専攻を問わず多様な学生が集まり、音楽を通じて互いの背景や価値観を共有する場となっています。台湾らしい自由で温かい雰囲気のなかで、練習や演奏会を通じて学生同士のつながりが自然に生まれていきます。 私は学生時代からヴァイオリンを弾いていたため、台湾でもそのままオーケストラに参加しました。特技として誇るというより、むしろ音楽があったことで初めて会う学生ともすぐに打ち解けることができ、台湾での生活に無理なく馴染む助けになりました。言葉が十分に通じない場面でも、音楽が共通の話題となり、自然に交流が広がっていきました。 日本語を学ぶ学生も多く、練習の合間に日本語で会話したり、文化の違いについて話し合ったりする時間は、教育者としての視点を広げる貴重な機会となりました。授業では見えない学生の個性や価値観が、音楽を介した交流の中で自然と伝わってきます。 同時に、この活動は私自身の中国語学習にも大きな助けとなりました。練習の指示や雑談、演奏会の準備など、日常的なやり取りを中国語で行うことで、教科書では学べない自然な表現やニュアンスを身につけることができました。音楽を通じて積極的にコミュニケーションを取る場が生まれたことで、中国語を使うことへの抵抗感が薄れ、実践的な語学力が大きく伸びました。 演奏会の準備では、役割分担やスケジュール調整を学生同士が主体的に進め、互いを尊重しながら協働する姿勢が印象的でした。こうした経験は、異文化環境でのコミュニケーションや協働のあり方を学ぶうえで大きな意味を持っています。 政治大学の学生オーケストラとの関わりは、研究や日本語教育とは異なる角度から台湾社会を理解する機会となり、台湾での生活をより豊かで立体的なものにしてくれました。音楽を通じて得た人とのつながりは、学術・教育・文化交流を横断する現在の活動にとっても大切な基盤となっています。
