仕組みに「心」が通うとき、組織はここまで強くなる。第99回経営会議で見えた、これからの理想の組織像
9年目の節目に見た、劇的な成長の軌跡
私たちコンサルタントが株式会社ニチコミ様の経営改革に伴走させていただくようになってから、早いもので9年目の夏を迎えました。そして先日、一つの大きな節目となる「第99回 経営会議」が開催されました。
ほぼ毎月、足掛け9年間にわたり継続されてきたこの会議ですが、その軌跡は決して平坦なものばかりではありません。コンサルティングの導入当初を振り返ると、会議の場で示される「数字」に対して自部門の状況をうまく言葉にできず、報告の途中で詰まってしまう社員の方々の姿も少なくありませんでした。当時の彼らにとって、経営の数字とはどこか他人事だったのかもしれません。
しかし、今回の第99回会議の光景は、当時からは想像もつかないほど劇的な進化を遂げていました。現在、社員の皆さんが使いこなしている「重点報告シート」に目をやると、記載されている内容の質・格ともに極めて高いレベルに達しています。単に過去の実績数値を読み上げるだけの場ではなく、自部門の課題を浮き彫りにし、次なる一手へ向けた本質的な議論が、社員の皆様主導で活発に交わされていたのです。これこそ、長年積み重ねてきた変革の成果であり、コンサルタントとして心からの敬意を表さずにはいられない光景でした。
仕組みのその先へ:「数字」だけでは組織は動かない
ニチコミ様がここまで成長を遂げられた原動力には、私たちが提唱する「部門別採算制度(ニューチームマネジメント)」という強力な経営インフラの存在があります。組織を細かな部門に分け、それぞれのリーダーが独自の採算管理を行うこの仕組みは、社員の市場感覚と経営者意識を養う上で、これ以上ない強力な武器となります。
しかし、多くの企業の変革に携わってきた中で、私たちは一つの真十分に突き当たります。それは、「優れた仕組み(インフラ)だけを導入しても、真の全員経営は実現しない」ということです。
なぜなら、数字を追う仕組みだけが一人歩きしてしまうと、組織に新たな歪みを生む危険性があるからです。例えば、他部門の状況を無視して「自部門の利益」を最優先してしまう部分最適の横行。あるいは、目標未達による叱責を恐れるあまり、自分の見栄や意地から現実とかけ離れた無理な計画を立てて、結果として周囲に嘘をつくような状況。こうした歪みは、数字の仕組みが強ければ強いほど、その裏側で深刻化しやすいのです。
この仕組みの暴走を防ぎ、組織を正しい方向へと導くために絶対に欠かせないのが、もう一つの車輪である「フィロソフィ(経営理念・人間として何が正しいかという判断基準)」です。
経営の数字という「仕組み」に、誠実さという「心」を通わせる。この両輪が揃って初めて、組織はギシギシと音を立てることなく、真の全員経営に向けて真っ直ぐに進み始めるのです。
第99回会議の本質:理念が【浸透しつつある】3つの証拠
今回の第99回経営会議は、まさにこの「仕組み」と「フィロソフィ」が融合し、社内に【浸透しつつある】リアルなプロセスを目の当たりにする、非常に濃密な時間となりました。その本質を感じさせる、象徴的な3つの姿をご紹介します。
① 経営トップのブレない姿勢と本質的な問いかけ
会議の緊迫感が高まる中、城戸社長から投げかけられたのは、目先の利益や数字の帳尻合わせを超えた、人間としての生き方に迫るフィロソフィでした。
「目の前の数字以上に、大切な人や仲間との約束を何年、何十年かけてでも守り抜く生き方ができているか」「1ミリのごまかしもいい加減なことも許されない、徹底した正直さを持っているか」経営トップ自身が、目先の数字のブレに一喜一憂するのではなく、常に「それはいち人間として、仲間に対して正しい姿勢なのか」という高い視座からメッセージを発信し続けていること。このブレない姿勢こそが、社内に理念が根づくための絶対的な土壌となっています。
② 数字の裏にある「嘘」と向き合う強さ
トップの投げかけに対し、参加した幹部や社員の皆様から上がったのは、驚くほど真摯な「自己反省」の言葉でした。
これまでの組織であれば、「計画は未達でしたが、次月頑張ります」と表面的な報告で終わっていたかもしれません。しかし、今回の会議では違いました。「自分の見栄や意地、あるいは周囲から良く見られたいという気持ちから、現実から目を背けた計画を立てていた。それは真面目に取り組んでいる他の仲間に対して不誠実であり、結果として嘘をつくことに繋がっていた」という、自らの心の弱さと向き合う発言が自発的に生まれたのです。叱責を恐れる隠蔽ではなく、フィロソフィに照らし合わせて自らの姿勢を正そうとする強さが、そこにはありました。
③ 全体最適の視点と仲間への配慮
さらに印象的だったのは、自部門の都合が他部門に与える影響を「自分事」として捉える発言が飛び交ったことです。
「自部門のルール違反や無理な進行が、その裏側で業務を引き受ける他部門の仲間にどれだけの重労働とミスのリスクを背負わせていたか、深く猛省したい」
部門別採算制度を導入すると、通常は自部門の利益を守ることに躍起になりがちです。しかし、ニチコミの社員の皆様は、数字の壁を越えて「仲間への思いやり」というフィロソフィを軸に、会社全体を俯瞰した議論を展開していました。
もちろん、ニチコミ様のフィロソフィ浸透は「完璧に完成した姿」ではありません。今でも現場では日々のトラブルや、自部門の都合との葛藤が起きています。しかし、課題にぶつかるたびに、社員一人ひとりが「フィロソフィに照らし合わせたら、どちらが正しいか?」と立ち止まり、自らの姿勢を正そうとしている。この、発展途上だからこそ泥臭く、そして極めて尊い【浸透しつつある】プロセスそのものが、今回の会議で見つかった最大の成果でした。
未来の「全員経営」へ向けたエール
数字という冷徹な「仕組み」に、徹底した正直さと仲間への配慮という「魂」が確実に吹き込まれつつある。それが、導入 9年目・第99回を迎えたニチコミ様の経営会議の現在地です。
多くの企業が「社員に当事者意識を持ってほしい」「理念を大切にする組織にしたい」と願いながらも、具体的な方法を見出せずに悩んでいます。その答えこそ、まさにニチコミ様が体現されている「仕組みとフィロソフィの両輪経営」にあります。厳しい数字の現実から目を背けず、同時に、人間としての正しさを妥協なく追求する。この一見すると矛盾するような二つを高い次元で両立させようとするプロセスの中にしか、真の全員経営者は育ちません。
今回の会議を通じて、ニチコミの社員の皆様は、確実に城戸社長と同じ経営者目線の景色を見始めておられると確信しました。コンサルタントという伴走者の視点から見ても、これほど頼もしく、これほど未来が楽しみに感じられる組織はそうありません。
次回はいよいよ、記念すべき「第100回」の経営会議を迎えます。しかし、100回という数字もまた、通過点に過ぎません。これからも課題にぶつかり、フィロソフィに照らして猛省し、また一歩前進する――。その尊い歩みを止めることなく、さらに強固な全員経営へと進化を遂げていかれることを、私たちはこれからも全力で、心からのリスペクトと情熱を持って伴走し続けてまいります。
次なる100回目、そしてその先の未来のステージへ。株式会社ニチコミ様のさらなるご発展を、心より応援しております。