変革を牽引するリーダープログラムの深化
コンサルタントの松浦です。
サイエンスパーク株式会社が掲げる「売上100億円達成」と「全員経営」の実現に向け、リーダー層(部長・課長クラス)のマインドセット変革を目指す本研修プログラム。株式会社NTMC代表森田直行著『稼ぐ会社の「課長心得12条」』を教科書に進められてきた全12回のリーダー育成プログラムも、いよいよ終盤の第11回を迎えました。
第1回からの連続性の中で、リーダーとしての「視野の拡大」「目標の明確化」「思いの伝達」と段階的に思考の枠組みを深めてきた本研修。今回のテーマは「第11条 特定分野において優れた専門能力を持つ」です。変化の激しい現代において、組織の生産性を引き上げ、正しい決断を下すためにリーダーへ求められる「専門性」の本質と「好奇心」の重要性に迫ります。
なぜ今、リーダーに「専門性」と「好奇心」が求められるのか
「特定分野において優れた専門能力を持つ」と聞くと、「現場の誰よりも実務に詳しくならなければならないのか」「プレイヤーとして現場を仕切るべきなのか」と捉えがちです。しかし、本講義で森田が説くリーダーの専門性とは、「自らが実行するため」ではなく、「正しく『判断』するため」の知識を指します。
「課長は『判断』のために専門知識を勉強するのです。自らが実行するために学ぶのではありません。」(『稼ぐ会社の「課長心得12条」』より)
未知の分野や新規事業に挑む際、リーダーが「自分は専門外だから」と現場に丸投げしてしまえば、本質を見抜く判断力は失われ、組織の意思決定スピードと精度は著しく低下します。稲盛和夫氏がJAL(日本航空)の再建に際し、毎日5〜6時間も各部門からの説明に耳を傾け、現場を巡って航空業界の専門知識を徹底的に叩き込んだのも、まさに「人間として何が正しいか」という自らの哲学に基づいた正しい判断を下すためでした。
また、森田自身がかつて未経験の通信エンジニアリング事業へ参入した際も、強烈な好奇心を持って事業構造を調べ上げ、協力会社との「パートナーシップ会」を立ち上げることで、後に1,000億円を超える売上を支える巨大な事業ドメインへと育て上げました。
リーダーに必要なのは、未知の世界に飛び込む勇気と、自ら学び続けるための強烈な「好奇心」なのです。
現場のリアルな議論:葛藤と疑問を紐解く
研修当日は、日々最前線で指揮を執る部長・リーダー層から、非常にリアルで切実な悩みや質問が寄せられ、熱い議論が交わされました。
悩み① 技術の細分化が進む中、どこまで理解すべきか?
- 「AIやクラウドなど専門性が極めて細分化され、部下の方が詳しい場面が多いです。リーダーはどのレベルまで理解すれば十分なのでしょうか?」 (デジタル・イノベーション課 リーダー / AIシステム課 リーダー)
森田の紐解き
- すべての実務ノウハウを部下以上に把握する必要はありません。大切なのは「空手3段の者が柔道を習う」ような応用力です。これまでに培ったマネジメント経験や人間性をベースに、部下の報告を聞いて「何が本質か」「リスクはどこにあるか」を直感・判断できるレベルまで知識を捉えること。部下に対して『君を頼りにしている。だからこそ私に教えてほしい』と素直に耳を傾け、謙虚に学び続ける姿勢を示すことが、かえって強い信頼関係を生み出します。
悩み②:専門知識がない領域で、どう部下に自発的になってもらうか?
- 「知識のない仕事を依頼した際、部下が積極的に動かないことがあります。自ら動いてもらうにはどう関わるべきでしょうか?」 (ビジネス共創課 リーダー)
森田の紐解き
- 『わからないから任せる』という姿勢は部下に透けて見えます。リーダー自らが好奇心を持ってその領域に関心を示し、一緒に学ぶスタンスを見せることが不可欠です。『自分も勉強するから、一緒にこの分野を開拓しよう』という情熱と姿勢を示すことが、部下の自発性と探究心に火をつけます。
悩み③:業界の常識と「あるべき判断」がぶつかったらどうするか?
- 「業界の常識と独自の経営思想が衝突した際、どちらを優先すべきか、どのように判断を下すべきでしょうか?」(トラスト・イノベーション課 リーダー)
森田の紐解き
- 専門知識を得た上で、最終的な判断基準となるのは『人間として何が正しいか』『お客様・社会にとって何が真の価値か』という原理原則です。業界の慣行や固定観念に呑まれることなく、専門性を担保にした上で本質的な判断を下すことこそが、組織に変革を起こすリーダーの役割です。
参加者の声・決意、研修で見えた「腹落ち」と「次の一歩」
事前課題や当日の対話を通じ、参加した部長・課長層からは次々と深い気づきと決意の声が上がりました。
- 「『判断』のための専門性という言葉に深く納得した」 「これまで『リーダーは部下の仕事をすべて理解しなければならないのか』と漠然とした焦りを感じていましたが、リーダーの目線で正しく判断するための理解で良いのだと腹落ちしました」(セキュリティビジネス部 部長)
- 「新しい分野への好奇心と謙虚さが不足していた」 「新規事業を担当しながら『詳しい人に任せればいい』という甘えがあったと大反省しました。判断力を高めるため、自らアンテナを張り、謙虚に知識を吸収していきます」(研究開発企画部 部長)
- 「進化の速い業界だからこそ、日々勉強を怠らない」 「IT業界に長年いますが、新規参入事業など、過去の知見だけでは対応できないスピードで時代が変化しています。適切な判断を下すため、これからも好奇心を持って学び続けます」 (営業部 部長)
- 「AI時代だからこそ、判断する側の専門性が問われる」 「AIが出した回答が正しいか否かを判断するにも専門性が必要です。部下に任せっぱなしにするのではなく、判断できる知識を持ち続けることで、相談しやすい環境とスピード感ある組織を作ります」 (トラスト・イノベーション課 リーダー / サポート課 リーダー)
今後の展望
今回のリーダー研修を通じ、サイエンスパークのリーダーたちは「専門性とは、自ら手を動かすためではなく、正しく決断し、組織を正しい方向へ導くために磨くものだ」という確信を得ました。
リーダー自らが旺盛な好奇心を持って学び続ける姿は、必ずや部下へと伝播し、組織全体の生産性と挑戦意欲を引き上げます。「全員経営」と「売上100億円達成」に向け、サイエンスパークのリーダーたちの変革はさらに加速していきます。