第5回 世代を超えた対話の場
第5回 世代を超えた対話の場
導入:思いがけない問い
「昔の遊びって、どんなことをしていたんですか?」
小学生が地域の高齢者に投げかけた問いから、思いがけない対話が広がりました。
「ビー玉で勝負したり、竹馬で町を走ったりしたんだよ。」
「えー!そんなので遊べるの?スマホもゲームもないのに?」
子どもたちが驚き、笑い合う一方で、話す側の大人の顔には懐かしさと誇らしさが浮かんでいました。
世代を超えた対話の場には、互いの価値観や経験を照らし合わせ、新しい問いを生む力があります。
世代を超える学びの意味
教育は、子どもに知識を与えるだけの営みではありません。
むしろ大切なのは、違う世代の視点と出会うことです。
- 子どもは、大人や高齢者の経験を通して「時間の厚み」を学ぶ。
- 大人は、子どもの率直な言葉に触れて、自分の価値観を揺さぶられる。
- 高齢者は、自分の歩んできた人生を語り直すことで、新しい意味を見出す。
この三者が交わることで、学びは「個人の営み」から「社会の営み」へと広がります。
実践例:三世代ワークショップ
私が関わった実践のひとつでは、子ども・保護者・高齢者が一堂に会し、「これからの町に必要なもの」をテーマに語り合いました。
- 経験の共有
高齢者が「昔の暮らし」を語り、子どもたちが驚きながら聞く。 - 価値観の交流
保護者世代が「今の子育ての課題」を話し、共感や疑問が生まれる。 - 未来の提案
子どもと大人が一緒に「こんな町にしたい」とアイデアを描く。
印象的だったのは、ある高齢者が「自分の役割はもう終わったと思っていたけど、こうして子どもたちに話せるのは嬉しい」と語ったことです。
学びは誰かを“役立つ存在”にするだけでなく、「生きていていい」と感じさせる力を持っているのだと気づかされました。
子どもが大人に問いを投げるとき
世代間対話で特徴的なのは、子どもが大人に率直な問いを投げることです。
「どうして働かなきゃいけないの?」
「大人になって楽しいことはある?」
一見すると素朴すぎる問いですが、大人にとっては不意を突かれるものです。
私たちは日常の中で当たり前だと思っていることを、改めて考え直すきっかけになります。
問いを投げる子ども、問いに揺さぶられる大人。
この関係性こそが、未来を信じる学びのかたちなのだと思います。
学びは未来を信じる行為
世代を超えた対話は、時間の流れをつなぎ直す営みです。
過去を語り、現在を共有し、未来を共に描く。
子どもも大人も高齢者も、それぞれが「まだできること」「まだ考えられること」を見つけ出します。
そのプロセス自体が、「未来を信じる」ことにつながるのです。
学びとは未来を信じる行為である。
世代を超えた対話は、その言葉をもっとも体感できる瞬間のひとつです。
おわりに:最終回へのつなぎ
第5回では「世代を超えた対話の場」を取り上げました。
最終回ではこれまでの実践を振り返りながら、「学びとは未来を信じる行為である」というテーマを改めて総括します。
問いを深め、他者と関わり合い、未来を共に信じる。
その歩みを、ここまでの実践とともに編み直していきたいと思います。