**教育委員会向け提案書
**教育委員会向け提案書
問い・対話・アート・探究を核とした学習環境デザインの導入について**
■ 1. 提案の背景
近年、学習指導要領において「主体的・対話的で深い学び」が強調され、
学校教育は従来の知識伝達型から、
自ら考え、問い続ける学びへと転換することが求められています。
さらに、AI技術の発展・社会課題の多様化・職業構造の変化により、
これからの子どもたちには、単なる知識ではなく
課題発見力・創造性・多様な他者との協働力が必須となっています。
こうした社会的要請を受け、
教育哲学・学習環境デザインの視点から、
「問い・対話・アート・探究」を核とした総合的学習環境の整備を本提案では示します。
■ 2. 提案の目的
本提案の目的は次の3点です。
(1)子どもが「自ら問い、学び続ける力」を獲得すること
(2)教員が学びのファシリテーターとして成長できる支援体制を構築すること
(3)学校・家庭・地域が連携した学習コミュニティを形成すること
これらは、地域の教育力向上および将来にわたる人材育成基盤の強化につながります。
■ 3. 導入の基本方針
導入の中心となる考え方は次の4つです。
① 問い(Questioning)
自ら問いを立てる力を育成し、探究の起点をつくる。
② 対話(Dialogue)
他者の多様な視点を取り入れ、深い学びへとつなげる。
③ アート(Expression)
内面の思考・感情を可視化し、創造的な学びの土壌をつくる。
④ 探究(Inquiry)
子どもが社会とつながり、課題を発見し、改善策を考えるプロセスを重視する。
これらは特別なプログラムではなく、既存の授業・行事・校内文化に自然に取り入れることができます。
■ 4. 想定される導入効果
● 子どもの変化
- 問いを発し、自ら学びを深める主体性が向上
- 論理的思考・批判的思考・創造的思考の育成
- 他者と協働し、対話的に問題を解決する力の向上
- 自己理解・自己肯定感の向上
● 教員の変化
- 教科を越えた探究的な視点の採用
- 対話型授業デザインの実践力向上
- 校内外での学び合いが促進され、組織文化が活性化
- 子どもの“成長のプロセス”を評価する観点の定着
● 学校・地域の変化
- 学校が地域課題の学習拠点として機能
- 保護者・地域住民との協働機会が増加
- 学校の魅力化・ブランド形成につながる
■ 5. 導入のロードマップ(1年モデル)
教育委員会の支援体制を前提にした1年間の導入モデルです。
● 第1期(0〜3か月):環境整備・教員研修
- 問い・対話・アート・探究の基本研修を実施
- 各学校で「問いの壁」「問いノート」を導入
- 教員による小規模実践(10分対話、ミニアート等)を開始
● 第2期(3〜6か月):教科・学年での連携実践
- 総合・国語・社会科を中心に探究的学習を拡大
- サークル対話・インタビュー学習をモデル校で実施
- 生徒作品や探究途中経過の公開展示を実施
● 第3期(6〜12か月):学校文化の定着・地域連携の強化
- 地域協働探究プロジェクトの開始
- 全校で「探究成果発表会」または「Learning EXPO」を開催
- 校務分掌や年間計画に探究的学習を正式に位置づける
■ 6. 教育委員会の役割(推奨)
教育委員会が支援主体として取り組むべき項目として、以下を提案します。
(1)研修の体系化と専門家派遣
- 問い・対話・探究を扱う教員研修の体系化
- 学習環境デザインの専門家による伴走支援
- 各校の実践をつなぐ「学びのコミュニティ」の形成
(2)学校の実践を支える予算措置
- 外部講師・アーティスト・地域連携のための費用
- 教材・展示スペース整備のための軽微な予算
- ICT・オンライン環境整備の促進
(3)成果の可視化と普及
- モデル校実践の動画・レポートの作成
- 地域全体への成果共有会(フォーラム)開催
- 学校横断での実践交流会の開催
■ 7. 実施にあたるリスクと対策
● 教員の負担増
→ 小さな実践から始める指針を明確化し、評価は“プロセス重視”で行う。
● 実践の質のばらつき
→ 研修・伴走支援・モデル授業の提示により、共通理解を醸成する。
● 地域連携の難しさ
→ 教育委員会が窓口となり、地域団体・企業とのマッチングを支援する。
■ 8. まとめ(提案の意義)
本提案は、単なる教育手法の導入ではなく、
■ 子どもが未来をつくる力を育てる
■ 教員の専門性を高める
■ 学校と地域をつなぐ教育基盤を整える
という三位一体の改革を目指すものです。
問い・対話・アート・探究を中心とした学習環境デザインは、
学校教育を「正解を教える場」から「未来を共につくる場」へと転換する鍵となります。
教育委員会のご理解とご支援を賜りながら、
地域全体で子どもたちの学ぶ未来を創造していければ幸いです。