雨上がりの静かな午後に、昔ながらの古道具屋さんを通りかかると、棚の端にひっそりと置かれた一本の古い竹尺が目に留まりました。長年使い込まれて表面の目盛りは少し擦れていましたが、指先でそっと撫でてみると、職人さんが刻んだ小さな溝の感触が確かに伝わってきます。どれほど時代が移り変わり、道具の形が変わろうとも、物の長さを正確に測るというその竹尺の役割と芯の強さは、一切ぶれることがありません。
私が日々、様々な企業やチームの伴走者として向き合っている仕事も、この竹尺のように自分たちの現在地と正しい軸を確かめる作業にとてもよく似ています。変化の激しい日々の中で、チームや個人がどこを目指すべきか迷ってしまうことは珍しくありません。自分たちの足元にある大切な価値や目盛りを見つめ直し、どの方向へ進むべきかを共に整理することが、私の果たす役割です。
先日、近所の静かな池のほとりを歩いていると、水面に浮かぶ色鮮やかなガラスの浮き球を見かけました。かつて漁師さんたちが網を支えるために使っていたその丸い球体は、波に揺られながらも決して水底に沈むことなく、太陽の光を反射してキラキラと輝いていました。
組織や個人が新しい挑戦に向かって進むときも、この浮き球のようなしなやかさと浮力が求められます。どんなに変化の波が押し寄せてこようとも、自分たちの中心にある思いや誇りを失わなければ、柔軟に波を乗り越えて進んでいくことができます。私の仕事は、現場の声や感情という目に見えない波の動きに耳を澄ませ、客観的なデータという確かな土台を組み合わせながら、チームが安心して浮き上がれる環境を整えることです。
誰かの成長や変化に伴走するとき、最も大切にしているのは答えを一方的に押し付けることではありません。相手の中にある声や本来持っている強みを丁寧に引き出し、自らの手で選択肢を選び取れるようにサポートすることです。対話を重ねる中で散らばっていた思考がすっと整理され、相手の表情に明るい納得感が広がる瞬間を見届けることに、何よりの喜びを感じます。
一人では大きく見えて立ちすくんでしまうような課題であっても、視点をほんの少し変えて測り直すことで、必ず道筋は見つかります。試行錯誤を重ねながら変化を面白がり、新しい未来を自分たちの手で切り開いていく姿勢こそが、大きな原動力となります。
今日という一日が、あなたにとって身近な変化や自分らしさに気づける素晴らしい時間となりますように。見慣れた景色の角度を変えて見つめてみてください。