OECDが2026年10月に公表したレポート「Mapping Skill Shortages in OECD Countries」を読みました。38か国の雇用・賃金・求人データをもとに、どの職種・どのスキルが足りていないのかを国際比較できる形で可視化したものです。
結論として示されているのは、不足は高度なスキルを要する職種に集中しているということでした。その中でも、最も大きく、かつ長く続いている不足として挙げられているのが、ICT専門職、医療専門職、そして教員です。
不足しているスキルを見ると、次のような項目が並びます。
【知識】数学/コンピュータ・電子工学/教育・研修(医療知識も多くの国で不足)
【認知能力】言語能力/推論・発想する力
【基礎スキル】傾聴/読解力/批判的思考/複雑な問題解決
(図3.3〜3.5より)
この一覧を見て、特に基礎スキルは幼児教育、初等中等教育から効いてくる領域だと感じました。読む・聴く・考える・伝える・解く。どれも一朝一夕には身につかず、日々の積み重ねと、それを支える指導者がいてこそ育つ力です。実際、レポートはこれらの基礎スキルを育てるには、しっかりした学校教育と、質の高い大人の学びの機会の両方が必要だと述べています。
そして見逃せないのが、こうした力を「育てる側」の不足です。レポートによると、教員の3割以上が50歳以上である一方、30歳未満は約1割にとどまります。
さらに印象的だったのは、少子化で学校教育の需要が減ったとしても、リスキリングなど生涯学習へのニーズによって「教える人」の需要は長期的に維持、あるいは拡大すると見込まれている点です。教育の舞台は学校だけでなく、社会人の学び直しへと広がっています。
自身の経験からも、これらの力は「教えれば終わり」ではなく、対話と試行錯誤の中で少しずつ育つものだと実感しています。指導人材の育成と教育機関の重要性が、データによって浮き彫りになったと言っても過言ではないでしょう。
AIが広がる今だからこそ、傾聴や批判的思考、問題解決といった「人が人として持つ力」を育てる教育の価値は、むしろ高まっています。私自身、教育現場で培った経験とデジタルの知見を掛け合わせ、学ぶ人と教える人の双方を支える仕事に挑戦していきたいと考えています。
同じ問題意識を持つ方、教育や人材育成に関わる方と、ぜひつながり、意見を交わせたら嬉しいです。
📄 参考:OECD (2026)「Mapping Skill Shortages in OECD Countries: New Evidence from the Updated Skills for Jobs Database」https://doi.org/10.1787/735f9485-en
📷写真は、静岡県静岡市駿河区敷地にある「サウナしきじ」です。聖地です。