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もしカスタマーサポートで再度働くなら

今まで相当期間、カスタマーサポートのお仕事に従事してきました。アウトバウンド/インバウンド問わず人員育成、マネジメント、途中放棄の削減施策、クレーム対応等、所属部署に対しては高い実績をだしてきたと自負します。

それでも、カスタマーサポートという仕事に対してモヤモヤとした煮え切らない思いが心に残ったままです。このモヤモヤは、”よし!俺が解決しよう!”と思えるたちのものではなく、顧客対応窓口を設置している多くの企業に共通したいくつかの問題に起因しています。(とりあえず4点)

1,CSスタッフが商品知識の集積とテンプレート対応(お客様への披露)に終始している。

そんなの当たり前のことだろと考える方が多いかもしれませんが、自社商品知識とテンプレート対応に追われていると、全社的な回答に終始してしまい、問い合わせ者が『顧客』から『職務を完遂するための一部』となっていることが往々にして見受けられます。商品知識への問い合わせはFAQの充実でカバーすべきで、本来カスタマーサポートに必要なことは『顧客が直面している課題のヒアリング』つまり【お客様のサポート】(そのまんまですね‥)であり、対応者は聞き取り(ニーズやウォンツの確認)にこそ重きを置く必要があります。

2,1に基づいた採用基準

ありがちなのが、”(繁忙期)だから誰でもいいからとにかく数を入れて、とりあえず導入研修をして席に座らせる”というプロセスのみ実施し、後は各種テンプレートと対応マニュアルによるピンポイントな状況での対応方針の策定しか行っていない現場が多いのでは無いでしょうか?結局採用された方のポテンシャル頼み。それも最初からそのポテンシャルを見抜いて採用したわけではないからハズレが多い。『誰でもいいからとにかく数』という採用基準と導入背景が離職率の上昇とサービスの低下を招き、そこからマニュアルに記載されるシチュエーションの増加に繋がり、「これだけ詳細に研修資材があるのだから誰でもできるよね』と働きづらい(もしくはやりがいの見いだせない)職場が拍車をかけて構築されていく…上で述べたとおり本来求められていることは回答ではなく聞き取りです。採用段階から話を聞き取る能力があるのかしっかり観ることをオススメします。

3,十分なモチベーションを得られにくい環境

せっかく有能な人材を採用してもすぐに流出してしまうのが多くのサポートセンターの課題だと思います。残念ながらカスタマーサポートの位置づけを低く見ている企業も多く、給与面でも満足感を得るのは中々難しい現状があります。もう一つ、位置づけが低いがために部署としての裁量が小さいことが挙げられます。サポート部門で検討した対応方法が結局社内ではボツになる。自社顧客と最前線で対応している部署に裁量が無い。となると、お客様は問い合わせている事自体時間の無駄となります。
この問題も、回答(といかに裁くか)部署へと陥ってしまっている状態から本来の聞き取り部署としての役目を部署全体(会社全体)で意識統一できれば解決へと向かいます。『お客様の直面している困りごとを聞き取って自分の会社が商品/サービスを見直すきっかけを作る』これができている企業がどの程度あるのかわかりませんが、顧客と勤め先にの両方にバッチリ役に立てる場所で働けるのなら定着率は大きく改善されるのでは無いでしょうか?

4,一旦環境ができあがると無理に維持しがち

『いままでこうやってきたから』『運用がこうだから』があまりに多すぎます。ホテルのコンシェルジェを思い浮かべましょう。対応しているのはそれぞれ別のお客様、千差万別です。前回の対応は経験則としてしか役に立ちません。ビジネスに不変なし。です。
スタッフひとりひとりが経験した体験はマニュアルではなく賢くナレッジ・ベース化しましょう。おすすめはツール等を用いてリーダーやSVが事前に体験内容を収集した上で、少人数のスタッフと時間を取り「そういえばあのときの話してよ!」と口頭で想いとともに話してもらうことです。
昨日作った運用は今日壊しましょう。今日のお客様の声に耳を傾けて、昨日まで通用した出来事は対応方法ではなくあくまで経験値として用いるべきです。


と、掲題に戻りますが、もし私が再びカスターマーサポートでお仕事をさせていただくのであれば、商品知識よりもヒアリング、手っ取り早い問題解決ではなく、サービスや商品の改善にどんどん結び付けられる社内構造。そして、できれば(できればですが)3社以上の全く業種の違う企業で同時に働ける環境を望みます。

最後になりますが、多くのカスタマーサポートは『支出源』となりやすく『収入源』となりづらいと考えます。成果を得ることができていなくてもとりあえず稼働させる部署といったところでしょうか。本来、顧客=会社にとっての収入に最も近い場所にいるのですから少しの知恵と裁量で『儲かるCS』を作ることも可能だと考えます。カスタマーサポートに現在従事している方はぜひ、お客様にも勤め先にも貢献できて収益まで考えられるCSを目指して下さい。(なにかご相談事項ございましたらいつでもどなたからでもお問い合わOKです。)