私が「方向性を間違えた」と気づいた“ある出来事”と、そこから始めた「採用カルチャー」変革のリアル
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(この記事は個人noteの転載です)
第1回目はこちら
1.「違和感」の正体。私が“方向性を間違えた”と気づいた日
(前回のあらすじ)
こんにちは、APCの小山です。 前回の記事(第1回)では、私が入社後に感じた「強烈な危機感」と「違和感」についてお話ししました。
それなりの採用経験とささやかな自信があったにも関わらず、スカウト媒体の追加や採用ページのリニューアルといった「ありふれた施策」に終始。結果は少し出つつも「違和感が消えずに残り続け」、「今期の方針、方向性を間違えたかも」と気づいたのが2024年の終盤でした。
では、その「違和感」の正体であり、私が「方向性を間違えた」と確信した「きっかけ」は何だったのか。
それは、単一の出来事ではありませんでした。 日々の業務の中で感じていた小さな違和感が、ある瞬間に一つにつながり「壁」として一気に私の前に姿を現したのです。
きっかけは、とある部門の事業部長から投げかけられた「事業部側との対話が少ない」という率直なフィードバックでした。
その一言にハッとして足元を見直した時、私は凍りついたのを今でも覚えています。なぜなら、「壁」だと思っていたものの正体が、次々と明らかになってきたからです。
- 専門性が信頼されていない
今思い返すと、事業部サイドとの関係値はパートナーではなく、「御用聞き」のような状態でした。それどころか、採用に関する知見や情報のアップデートが不十分で、場合によっては「選考に関わる事業部の皆さん方が詳しい」というケースすら散見されました。私自身も、自分がどういう強みがある人なのかを積極的に伝えていなかったのも今考えると悪手だったように思います。 - 見ていた数値(モノ)の誤認
採用進捗の拠り所として毎日見ていた「数値」自体が、集計の仕方にバラツキがあったり、KPIの設計なども曖昧な状態で、正しい数値がどれかがわからない状況になっていました(これも後に気付きます)。その上、私自身がそれを特に確認もせずに「正しいもの」と思い込んでしまっていたこともあり、より事を深刻にしてしまった部分もありました。 - 突き詰めると、壁は私自身の「慢心」だった
なぜ、こんなことになったのか。 原因は、他の誰でもない、部門長である私自身にありました。 前職までの成功体験、そして10年以上の経験というバイアスに囚われ、恐らくこうだろうという抽象的なままでことを進め、APCの今の現状を細かく確認することを怠っていたのです。
最も重要な「対話」や「現状把握」を疎かにし、「過去の成功体験(ありふれた施策)」を投下するというアンチパターンにはまり込んでしまっていた。
私は、2024年の終盤にして、ようやく「採用責任者」としての本当のスタートラインに立ったのです。
2. 「対話重視」と「過去の把握」から始めた。APCで本当にやったこと
「方向性を間違えた」と認めた(というか、気づかせていただいた)私は、まず既存の施策は維持しつつも、状況の確認とそれに基づいた再構築に重きを置きました。
そもそも、今本当はどういう状態なのか、そして何がボトルネックになっているのかを徹底的に洗い出し、そして、失われた信頼とズレていた期待値を再構築するために、徹底的な「対話」「言語化」、そして「過去も含めた状況の把握」から始めました。
【施策1(Tip)】全経営陣・事業部との「採用期待値」の再定義
まずやったのは、降ってきたものをこなすような状況を改善するために、経営陣や事業部とのコミュニケーションの場を増やしました。週次で実施されている定例会議だけではなく、事業部側の採用関係者との1on1や事業部会にも参加する機会をつくるなど、自分自身の行動改善に勤しみました(どちらかというと場をつくって頂いた感じですが)。
初期はとても厳しいフィードバックもありましたが、
- 「今後、事業部をどうしていきたいか、そのために採用で出来ることはないか」
- 「どういう人が採用出来れば、現状の事業課題が解決できるか」
- 「(あえて)今、採用部門の動きに不満・不安はないか」
といった会話を重ねつつ、その中で採用チームとして出来ることや、事業部サイドへの依頼やフィードバックも合わせて伝えることも忘れませんでした。
その結果、少なくとも私自身の状況への解像度が高まり、進むべき道が見えてくるようになりました。あのよくわからない違和感はいつの間にか消え、流れが変わった第一歩でもありました。
【施策2(Tip)】「採用チーム」のミッション・役割の言語化と合意
次に行ったのが「自分たちそのものの定義」です。 各所からの期待値(要求)を受け止めた上で、「採用チームがコミットすること/しないこと」を明文化しました。 「専門性」を取り戻すためにも、自分たちの「役割」を明確にする必要があったのです。
FY2025期初に設定した採用テーマ
提示した採用方針(一部)
- 会社からの期待値を言語化: 我々は、事業成長のために採用面から貢献する部署であることを明文化し、チームの指針をつくりました。これには、よく陥りがちな採用数ばかりに着目し、結果的に事業成長の阻害になるような状況にならないようにする抑止力的な意味合いもありました。
- (あえて)しないこと:何よりも経験者の採用にコミット。それ以外のところには極力リソースを使わないようにしました。
これはチームだけではなく、経営・事業部にもチーム指針として共有し、採用チームを「事業成長に必要な人材採用における戦略的なパートナー」として認識してもらう意味合いもありました。事業部側にも「それぞれ役割は違うが採用は共にやっていくこと」と認識してもらう狙いがありました。
【施策3(Tip)】正しい「数値」の共通認識 そして、当たり前すぎることですが、「数値の誤認」という致命的なミスを正しました。 「どこを指標とするのか」「どのデータを使うのか」「何を基準に順調かそうではないかを判断するのか」などを再定義し、数値関連を整備し直しました。これにより、実は想定よりも状況が悪かったこと(特に選考途中の辞退率が多かった)もわかり、2025年以降の改善活動に大きく繋がりました。
3. おわりに(次回予告)
「期待値を揃える」「ミッションを言語化する」「数値を正す」
言葉にすれば当たり前ですが、これこそが「過去の成功体験」に囚われていた私が見落としていた、最も重要な「施策」でした。
「ありふれた施策」を推進していた2024年よりも、この「対話」と「言語化」を進めた2025年は、採用クオリティーが上がったのはもちろん、事業部との関係性も変化したように思います。
しかし、これは「採用カルチャー変革」の入り口に過ぎません。 上記の3つだけでは、組織は変わらない。
次回(第3回)は、この「理想(あるべき論)」を現実に落とし込む際に直面した、最大の壁(=一度根付いているカルチャーをアップデートする)と、それをどう乗り越えようとしているのか、その核心に迫って行きたいと思います。