インタビュー:ニューヨークのデジタルプロダクト開発会社Fuzz Productionに行ってきた

こんにちは、デザイナーの小林です。少し前なのですが、ニューヨークのブルックリンにオフィスを構えるFuzz Production(以下、Fuzz)というデジタルプロダクト開発会社に行ってきました。どのような環境で働いているのかを観察したり、実際に働いているデザイナーに強いデザイン組織を作るために意識していることを聞いてきましたのでご紹介します。

Fuzzは今年の4月に私たちも所属するMonstar Labグループの一員になったデジタルプロダクト開発企業です。SHAKE SHACKやForever 21など名の通った企業をクライアントに持っています。

お洒落なオフィス空間

外からオフィス敷地内に入る扉

入り口のブザーを押して、オフィス内に入ると裏側にFUZZのロゴがプリントされた標識が見えます。A.C.O.とFuzzのブランドカラーが似ていることにとても親しみを覚えます。


エントランス


会議室

受賞歴も多いFuzzは、トロフィーと観葉植物をバランスよく配置してエントランスを温かみのあるものにしていました。オフィスに入ってから気づいたのですが、全体がとてもシンプルで、1つ1つのスペースがとても広いです。 会議室も広く全面クリアボックスの形態があるなど、私のような日本からのビジターにとって羨ましいものでいっぱいでした。

実際に働いているデザイナーに話を聞いた

Andrew(アンドリュー)さん(左)、Keely(キーリー)さん(右)


Koba:2人は、どのような役職でどんな仕事をしているんですか?


Andrew:UXデザイナーとしてクライアントの事業戦略に関わったり、デザイナーと一緒に体験設計をしているよ。上流に絡んでいく中で、UXデザイナーというポジションに自分がフィットしていると思っているしね。


Keely:前職では、サンフランシスコにあるクリエイティブ・エージェンシーでアートディレクターとして働いていたけど、Fuzzではデザイン全体に関われるプロダクトデザイナーをしています。


Koba:プロジェクトはどういったところからスタートするんですか?


Keely:大抵、アカウント、ストラテジー、デザイナー、クリエティブディレクター、プロダクトデザインのメンバーが参加することが多いかな。そこで、クライアントが作りたいものに関して、それぞれが専門性を活かしてプロジェクトを進めていく。
例えば、私はデザイナーとして、そのブランドに入り込むことが必要。どんなブランドなのか?どのような広がりを見せているのか?ソーシャルメディアはどうか、最近のアプリはどう作っているのか?
そこから戦略を考え、UXの観点などが入っていく感じかな。


Andrew:大事なことは、一緒かな。まずは、全体で集まって何が重要なのかを話しあって認識を合わせるね。
クライアントのフィードバックが多い場合は、もちろんアカウントが前に出て、プロジェクトマネージャーとチームをリードすることもあるし、そこでどのようなクリエイティブを求められているのかを考えていくことになる。そのあと、だいたい二週間をかけてKPI/KGIなどの具体的なゴールをセットするね。


Koba:2週間なの?


Keely:まあ、アジャイルでプロジェクトを進めたいと考えているから。それに、小さいゴールを積み重ねていくことでその都度フレキシブルに動いているから。


Andrew:それに、その都度ベストなスケジュールをコントロールできるから他の仕事と同時進行しているときはやりやすいんだ。
よくあるのは、チームにクリエイティブが20人もいるのに、仕事が全くないこと。こんな風に動くよりは、アジャイルで作っていったほうがその都度動けてリソースを上手く使える。それに、小さいゴールを積み重ねていくほうが、進捗を伝えやすいし。


Koba:そしたら、今度はその2週間の後にどうやってデザインチームにプロジェクトを説明するのか知りたいな。


Keely:具体的に、どこからがUXだからという区切りはないかも。基本的に、私は全てやるし、綺麗なものを作れと言われれば最高のものを作れるからね。Fuzzの採用方針はユニークで、多様なスキルセットを持っている人材を取るんだよね。
例えば、私は広告出身で、仕事のプロセスを通してUXに興味を持ったの。だから今は、ビジュアルとUXのギャップを埋めることができる。アンドリューも同じで、彼はUXだけど本当に戦略的な思考を持っているの。そうすることで、戦略とUXのギャップを埋めることができている。こういう風に、全員が全体のデザインにおけるエコシステムを理解しているの。そのほうが良いと思う。意外かもしれないけど、何か一つのスキルだけに特化した人材はあまり必要としていないかも。


Koba:じゃあ、もし新人が学校を卒業してすぐに応募してきて、彼はUIをスキルとして持ってるけど、UXに対するスキルはまったくなかったとする。どうする?


Keely:そこは、スキルよりも、その人が何をしたいかによるね。


Andrew:Fuzzは、お互いのポジションに大きなリスペクトがあって、それが職種で分断されずに個々が橋渡しになれる要因でもあるんだ。タイトルよりも、相互理解、他分野への興味が重要。大きなエージェンシーだと、ポジションに箔がついて、エゴの塊みたいになるときもあるからね。


Koba:確かに、自分とは関係のない分野だからではなく、相手の仕事を理解することで円滑なコミュニケーションも生まれますね。 Fuzzではオープンディスカッションが多いと言ってたけど、実際はどのようなことなの?


Keely:私がよくやるのは自分よりも詳しい相手がいるとき、プロジェクト関係なく、その人に意見を求めることかな。席まで行って『ここどうなってるの?』ってカジュアルに聞いてみる。 だって、全員が全員の成功を祈っているし、同じ会社で働いているんだからそれは当然のことだよね。だから、お互い影響を受けるし影響を与える。シンプルなことだけどとても大切なことだと思うよ。


Andrew:たまに、答えに困ったときは、何もわからない人に聞いたりすることもあるよ。感情的な答えをくれたり、意外な場所に新しい刺激を見出せるんだ。


Koba:2人は、どのように若手と会話するの?


Keely:まず若手に最初に伝えるのは、どんなデザイナーも完璧なんてありえないってことかな。そう伝える理由は、みんな根拠のない自信を持っていて、デザインはチームプレイだってことを知らないから(笑)チームで仕事をしたとき、初めて自分の力以上のことができるからね。


Andrew:プライベートでも仕事でも、どのように自分を奮い立たせるのか?まずはそこらへんの人間を理解するところから始める。デザイナーは感情的な人が多い気がするから、他の職種とは違う方法でアプローチする必要があるんだ。
もうひとつは、失敗をたくさんさせることかな。失敗から学ぶことは多いからね。あとは、クライアントにしても、同僚にしても、相手が何を望んでいるのかを理解することは当たり前だけどとっても重要。


Koba:なるほど。勉強になりました!
今日は、忙しい中ありがとうございました。

2Fキッチンで定期的に社内イベントが行われる



今回インタビューした2人は、会社のハッピーアワーイベント中にお話を聞けたデザイナーの方でした。Fuzzでは、他部署の人とも交流ができる貴重な時間も用意されています。聞き耳を立てていると、お互いの仕事やライフスタイルの話などざっくばらんに何でも話してました。仕事の話だけではなく、お互いの価値観を共有するための時間が必要なんでしょうね。さまざまな人種が一つ屋根の下で働く、アメリカらしいコミュニケーションの取り方だと思います。

他にもイベントスペースに関して言えばオフィスの庭も素敵なスペースでした。東京だと、庭を備えているオフィスは稀なので、正直とても羨ましかったです。差し色のピンクが良い。

Fuzz訪問を終えて

今回、組織が良くなるためのヒントを沢山もらえました。それは、チーム内だけでなく組織のメンバー全員に対するコミュニケーションの取り方です。特に印象的だったのは、分からないことがあればプロジェクトに参加していないメンバーにも積極的に意見を聞くことです。
社内にいる人は、少なからず何かのプロフェッショナルであると意識することで、ポジションの違うメンバーにもリスペクトが生まれます。その関係性が、チームを飛び越えて会社を良くするエッセンスになっていると感じました。

グローバル企業を目指して

Monstar Labグループに参加したことで、今回のような訪問ができました。ニューヨークに再訪するのはもちろんのこと、今後は他のオフィスにも遊びに行きたい思っています。私個人としては、このようなオフィス訪問を通して、A.C.O.と世界のグループ企業を繋げることを目標に旅行を続けていきたいと思っています。



by Takuya Kobayashi

法政大学キャリアデザイン学部国際社会学エスノグラフィー専攻。東京デザインプレックス研究所卒業。デザイン担当。デザイン部所属。

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