AIが企画書を書き、分析を行い、資料を作る。そんな時代に、「優秀さ」の定義は大きく変わろうとしています。これまで評価されていた知識量や処理能力だけでは、差別化が難しくなる未来。その中で本当に求められるのは何なのでしょうか。
今回はBirth代表の西村さんへインタビュー。大手企業の看板を離れた先で見えたこと、AI時代に求められる市場価値、そしてBirthが「優秀さ」ではなく「相性」を重視する理由について語っていただきました。
今の働き方やキャリアに少しでもモヤモヤを感じている方へ。これからの時代を考えるヒントになる言葉をお届けします!
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西村健志 / 代表取締役
関西大学卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソンに新卒入社。同社でトップセールスとして活躍したのち、就活支援イベント「Bar活」を立ち上げ、これを機に大学生向けインターン事業を展開する人材ベンチャー企業を創業し専務取締役に就任。同社にて東証プライム上場企業へのグループインを経験したのち、複数企業での顧問や組織コンサルティングに従事。2025年5月、新卒採用支援を軸とする株式会社Birthを創業し、現在に至る。
「大手の看板がなくなったら、自分には何が残る?」トップセールスが抱いた違和感
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ーーまずは、新卒で医療系メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンを選ばれた理由を教えてください。
明確にあったのは、「できるだけ中途比率が高い会社がいい」という基準でした。中途プレイヤーたちがバチバチにしのぎを削る環境にいたほうが、自分の現在地がリアルに測れると考えたんです。
そのうえで、商品そのものが平等に扱われる有形商材のメーカーに絞りました。同じ商品という土俵で競い合ったとき、自分だけの変数でどこまで通用するのか。他人の力や環境のせいにできない、純粋な実力を知りたくて選んだのが、最初のキャリアでしたね。
ーートップセールスにもなられたようですが、結果を出すうちにどんな現実が見えてきたのでしょうか。
最初は自分の営業力で売れていると思っていました。でもあるとき、他社の営業マンが、全く相手にされていない光景を目にしたんです。それなのに、僕が会社のロゴが入った名刺を出した瞬間、先生は「御社の商品なら間違いないね」と話を聞いてくれた。
それ以来、結果を出せば出すほど「会社のおかげ」という思いが生まれてきました。「自分の実力を知りたい」と思って入社したはずなのに、皮肉にも会社の仕組みに依存していたんですよね。
そしてもう一つ見えてきたのが、理想と現実のギャップに悩む同期たちの姿でした。志望動機では「患者さんのために」と入社しますが、日々対峙するのはドクターです。そして、その先生が異動するときに「次の担当も彼がいい」と指名されて営業がついていくことも珍しくないほど、濃い関係が求められる現場なんです。
ーー理想を抱いて入社した分、現実に直面したときの衝撃が大きいと。
そうですね。就活の段階からボタンの掛け違いが生じているんだなと痛感しました。誰のために、何のためにビジネスをしているのかを十分に理解しないまま、もっともらしい志望動機で就職してしまう。看護師転職する同期もいましたね…。
こうした就活のすれ違いをなくして、もっと現場のリアルな話をフラットに共有できる場所を作りたい。そう考えて、Bar活という就活イベントを開いたのが、キャリア支援のスタートでした。
「やりたいことが分からない」の正体。Birthがキャリアを“動詞”で考える理由
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ーー日々の支援の中で感じる、若者が陥りがちな「キャリア選びの罠」とは何でしょうか。
「Must(すべき)論になっている」ということです。日本の就職活動を見ていると、「働くべきもの」という論争だけで進み、能動的なWant(したい)の姿勢が抜け落ちているように感じます。
僕の持論として、「こうあるべき」「こうしなければならない」という手の話は、それを主張している誰かの利益になっています。
ーーポジショントークのようなものでしょうか?
構造としては完全にそうですね。それを真に受けて社会から課されたMust論だけで会社を選ぼうとすると、結果として「損をしないようにどう働くか」という保守的な選び方しかできなくなります。
そうではなく、「なぜ自分は働きたいのか?」という「Want論」を自分の言葉で組み立てる必要があると考えています。
ーーその「Want」を引き出すために、Birthではどのような支援をしているのですか。
たとえば「アニメが好き」というのは「What(名詞)」です。大切なのは、それを仕事の「動詞」にまで落とし込めているか。「見るのが好き」なのか「作るのが好き」なのかで、選択肢は大きく変わります。
もし「見るのが好き」なら評論家やインフルエンサーという道が考えられますが、その茨の道で「どう突き抜けるか」を問いかけます。YouTubeやSNSなどで発信を泥臭く続けられる覚悟があるなら、本当の仕事になるというリアルな可能性を伝えるんです。
「作るのが好き」なら、本人の強みと掛け合わせて動詞をさらに細分化していきます。行動力があり、確率論で打率を上げるのが得意なら、ショート作品をたくさん作るようなスピード感のある会社。一つのことに慎重に向き合いたいなら、東宝や東映のような巨大資本のなかで、数年がかりで一本の超大作をじっくり創る環境といったように。
こうして「強みが活きる動詞(仕事) × 自分のWant(興味)」を正しく掛け合わせることができれば、進むべき業界や会社は、消去法ではなく必然的に見えてくるものだと思っています。
ーーAIの発展によって、企業の「採用基準」や「求める人材」にはどのような変化が起きているのでしょうか?
AIの発展によってビジネスパーソンの基礎体力が底上げされた結果、企業が求める人物像に大きな変化が起きています。
実際、Birthが支援しているあるコンサルティングファームでも、かつては「地頭が良くロジカルであること」が最重視されていましたが、今年は評価基準が一変しました。ドキュメンテーションやデータ分析はすべてAIがこなしてしまうため、今は「高い社交性があり、口が上手くて、対話で周囲を巻き込めること」つまり、濃いキャラクターや人間臭さを持った人材へとシフトしています。
ーー求める人材がそれほど変わるとなると、育成面の見直しも迫られますね。
日本は伝統的に現場研修の文化が強い国ですが、かつて新卒が経験していた書類作成やリサーチといった業務は、ことごとくAIに代替されています。
技術やプラットフォームの発達によって土台が底上げされた現代、全員を同じ型に当てはめる一括採用や総合職、一律のレベル引き上げを目的とした研修制度は、個人のポテンシャルを埋もれさせてしまう懸念すらあると考えています。
では、これからの時代に何が本当の価値になるのか。それが、デジタルでは決して代替できない「属人的なもの・個の力」です。ユニクロが入社式で「自分らしい好きな服を着てきなさい」と発信しているように、これからは組織のカラーに染まることではなく、独自のキャラクターや得意領域を確立していること自体が個人の資産になるのではないか、と考えていますね。
「嫌われたくないから、波風を立てない」そんなエージェントの仕組みを終わらせたい。
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ーーではここから、人材業界について伺います。今、人材エージェントを取り巻く環境はどのようになっているのでしょうか。
まず前提として、少子化によって中途・新卒問わず求職者の獲得が激化していることが挙げられます。ユーザーが圧倒的に強い立場にあるため、各エージェントは「目の前の一リードを他社に変えられたくない」という恐怖に縛られ、御用聞きになっている面があります。
たとえば、先ほどのように求職者が「アニメの仕事がしたい」と言ったとき、本当なら市場のリアルを踏まえて「ただ好きという気持ちだけでは厳しいよ」と、キャリアの深掘りに向き合うべきです。
なのに、嫌われたくない一心で「じゃあ、アニメを楽しむ時間を確保できるように、残業が少ない会社に行こうか」と、職から離れる提案をしてしまう。その結果、入社した後に「本当にこれがやりたかったんだっけ?」とギャップに悩む社会人が量産されています。
ーーなぜ、そこまでキャリアの核心から逃げたオペレーションが横行してしまうのでしょうか?
評価指標が「応募承諾の数」や「選考に乗せること」にフォーカスされているからです。しかし、こうした進め方は、今すぐ見直すべきだと強く提言したいですね。それは支援でも何でもなく、ただの作業でしかありませんから。
結果、お互いの理解が浅いままマッチングが進んでしまう。これでは入社後のミスマッチを生み出すだけで、企業にとっても求職者にとっても不幸な選択になりかねません。こうした構造が、働く人のモチベーションや成長機会に影響を与えてしまうのではないかと懸念しています。
そして、語弊を恐れずに言えば、エージェントの仕組みそのものは、仲介業であり、何も生み出していません。ただ、これだけAIやテクノロジーが発展した今の時代において、そうした表面的なマッチングだけのサービスは、真っ先に必要とされなくなっていくと感じています。だからこそ、求職者の意思と、企業のリアルな現場を結びつけるような、人と組織の未来にコミットする支援にこだわりたいんです。
Birthが個人ノルマをなくした理由。「売上」より「人生」を見ているから
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ーー「求職者の未来にコミットする」と言うのは簡単ですが、数字とのバランスが難しいようにも思います。そのジレンマを、Birthではどう乗り越えているのでしょうか?
Birthでは、個人ノルマを設けない環境を徹底し、企業提案を右から左へと流すだけのプレイングを禁止しています。なぜなら、数字に追われている人間が、相手の人生に本気で向き合えるわけがないからです。エントリーの数を強制されたら、プレイヤーはユーザーを置いてきぼりにして、ミスリードしてでも売り上げを立てようと動いてしまいます。
特に僕たちがメインで向き合っている新卒というのは、まだ世に出たことがない真っ白な状況です。その大切な瞬間において、大人の都合でミスリードすることは、社会的にも絶対にやってはならない。
だからこそ、候補者自身の理解が深まり、その事業と「相性」が合うとチャレンジの意思を固めるまでは、企業提案はしていません。実際、初回面談は必ずヒアリングのみに徹しており、その場で求人を提案することは一切ないです。
ーーノルマをなくして、ビジネスは本当に成り立つのでしょうか?
成り立ちますし、むしろこれからの時代、中長期的な優位性が大きいと考えています。具体的なアクションとしては、リファラル数を重要な指標として置いています。1リードを大事にしなければならない時代だからこそ、Birthを信頼してくれている方からの紹介は、ミスマッチのない良質なものになると考えている戦略的な背景もあるんです。
そして、候補者との関係をその場限りの点ではなく、「LTV(生涯顧客価値)」の視点で捉えています。目先の売上のために納得感のない就職をさせる必要はありません。Birthとの対話で強みや本音に向き合った体験があれば、他社を選んでも中途などの転機に「また相談したい」と必ず戻ってきてくれます。
この考えに基づき、今後は転機を支える中途支援領域にも本格展開していく構想です。
選考ではなく、まずはあなたの「Want」を聞かせてください!
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ーーこれからBirthにジョインするメンバーは、この環境でどのように成長していけるかお聞かせください。
採用メッセージとしてお伝えしたいのは、「これほどまでに人それぞれの個性を活かそうとしている会社は他にない」ということです。
僕たちがユーザーの皆さんにお届けしている「個人のWantや強みを引き出す支援」を、社内でもそのまま行っています。外に向けて綺麗事を言うんじゃなくて、まず自分たちがその体現者であるために、社内の環境作りでもこの思想を貫いています。
この業界、数字に追われて疲弊する人も多いですが、Birthは違います。手前味噌ながら、みんな「カウンセリングをしたくて仕方がない!」という、Wantに溢れた自立した集団です。
自分の成長を止めずに、誰かの人生に本気でコミットしていきたい。そんな想いを胸に秘めたあなたと、お互いに生かし・生かされる関係を作っていきたいです。ぜひ、あなたの本音を聞かせてください!
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