日本の厨房道具を届ける、海外営業の仕事
こんにちは!
岸保産業インターン生の篠田です。
岸保産業は、業務用厨房用品を扱う専門商社として、日本の「食をつくる現場」を支えてきました。そして現在は、国内で培ってきた経験とネットワークを生かし、日本の厨房用品を海外へ届けるなど、グローバルに事業を展開しています。
今回ご紹介するのは、2026年4月にシンガポールで開催された、アジア最大級の国際展示会「FHA(Food & Hospitality Asia)2026」です。
FHA 2026には、食品・飲料をはじめ、厨房用品や大型厨房設備など、食とホスピタリティに関わる世界各国の企業が出展し、シェフや飲食店オーナー、商社など、幅広い業界関係者が来場しました。岸保産業と、そのシンガポール子会社であるKYUBEI Japan Pte. Ltd.も、この国際的な舞台に出展しました。
今回は、FHA 2026への出展を通じて見えてきた海外事業の舞台裏や現地での取り組み、そして、日本の厨房用品を世界へ届ける仕事の魅力について、KYUBEI Japan Pte. Ltd.で営業を担当する磯野さんと、岸保産業の国際部で営業を担当する花森さんにお話を伺いました。
目次
1.世界の「食」が集まるFHA 2026
Q. まず、FHA 2026がどのような展示会なのか教えてください。
磯野:
FHAは、シンガポールで開催される、食とホスピタリティに関わるアジア最大級の国際展示会です。厨房用品を扱う企業だけでなく、ワインやチーズ、生ハム、スナック、乳製品といった食品・飲料関連の企業から、大型厨房設備を扱う企業まで、食に関わる幅広い分野の企業が出展しています。
来場される方も、シェフや飲食店のオーナー、食品卸、商社など多岐にわたります。シンガポール国内の企業や業界関係者だけでなく、中東やヨーロッパをはじめ、世界各国からさまざまな企業や関係者が集まるため、国や地域を越えて新たなビジネスの接点を築くことができる点が、FHAの大きな魅力だと思います。
Q. お二人は、普段どのような仕事を担当していますか?
磯野:
私は、岸保産業のシンガポール子会社であるKYUBEI Japan Pte. Ltd.で、営業を担当しています。シンガポールを拠点に、マレーシア、タイ、インドネシアを含む4カ国を担当し、現地のお客様への営業活動や、日本の商品を東南アジアの市場へ届けるための業務に携わっています。
海外のお客様に日本の商品をご提案し、実際に販売していくためには、日本側との連携が欠かせません。そのため、岸保産業の国際部とは日々情報を共有しながら、商品や価格、輸出に関することなど、さまざまな面で連携して業務を進めています。
花森:
私は岸保産業の国際部で、主に東南アジア以外の海外市場を担当しています。特にアメリカを中心に、ヨーロッパやオーストラリアなどのお客様とも取引を行っています。
海外のお客様からのお問い合わせへの対応をはじめ、商品の見積もりや輸出書類の作成、出荷まで、海外のお客様に商品をお届けするための一連の業務を担当しています。現在は世界各国のお客様と取引があり、既存のお客様への営業活動に加えて、新たな国や企業との取引機会を開拓することにも取り組んでいます。
今回のFHAでは、シンガポール現地のチームを日本側からサポートする立場として、出展商品の準備や、出展にご協力いただくメーカーとの連絡・調整などを担当しました。
2.展示会は、1年前から始まっている
Q. 今回の展示会には、どのような目的で出展したのでしょうか?
磯野:
大きく二つの目的がありました。一つは、東南アジア市場におけるKYUBEI Japanの認知度を高め、現地での存在感をさらに高めていくこと。もう一つは、日本の高品質な小型調理機械の魅力を、東南アジアを起点として、より広く世界に発信することです。
そのため、単に商品を展示するだけではなく、来場された方に「岸保産業・KYUBEI Japanはどのような会社なのか」「日本の厨房用品にはどのような魅力があるのか」を知っていただき、今後のビジネスにつながる接点をつくることを意識しました。
展示会は4日間ですが、そこに向けた準備には長い時間がかかります。だからこそ、最初の段階で「何のために出展するのか」「来場された方に何を伝えたいのか」を明確にし、その目的に沿ってブースのコンセプトや展示内容を考えていきました。
Q. 実際の準備は、どのように進めたのでしょうか?
磯野:
本格的な準備は、開催の約1年前からスタートしました。まずは展示会のテーマやコンセプトを決め、そこからメーカーの皆さんと相談しながら、実際に展示する商品を選定していきました。6メートル四方のブースという限られたスペースの中で、それぞれの商品をどのように配置すれば魅力が伝わるのか、何度も検討しました。
そのほかにも、商品リストや価格表の作成、船便のスケジュールから逆算した輸送手配など、さまざまな準備があります。展示会の規模が大きい分、準備することも多岐にわたりますが、岸保産業だけで進めるのではなく、ステンレス製品や野菜調理機械、かき氷機などを扱う仕入先メーカーの皆さんとも連携しながら、一つの展示会をつくり上げていきました。
花森:
私は、FHAに向けた英語カタログの刷新にも携わりました。以前の英語カタログ発刊から期間が空いていたこともあり、今回の展示会を機に、掲載する商品だけでなく、それぞれの商品の魅力をどのように伝えるかという点から見直しました。
また、カタログは展示会当日に配布して終わりではありません。展示会で商品に興味を持っていただいた方が、その後のお問い合わせやご注文につなげられるよう、どのような情報を掲載すればよいかという点も意識して制作しました。
通常の営業や輸出業務と並行して準備を進めるため、限られたスケジュールの中で、カタログの制作や商品の輸送など、それぞれの工程を確実に進めていくことが重要でした。多くの関係者と連携しながら一つひとつ準備を進め、展示会当日を迎えました。
3.デモンストレーションと言葉の壁を越えるチーム力
Q. 会場では、来場された方に商品へ興味を持っていただくために、どのような工夫をしましたか?
磯野:
実際に機械を動かすデモンストレーションを行いました。実際に商品が動いている様子を見ていただくことで、「これは何に使う機械なんだろう」と興味を持っていただき、そこからブースで詳しくお話しするきっかけをつくることができます。
ブースに来ていただいた後は、お客様の業態や用途、どのような商品を探されているのかを伺いながら、それぞれのニーズに合った商品をご紹介しました。実際の動きを見ていただいた上でお話しできるので、商品の特徴や使い方も具体的にイメージしていただきやすかったと思います。
花森:
日本食は海外でも広く知られていますが、その料理を支えている日本独自の道具や、その具体的な使い方までご存じの方は、必ずしも多くありません。
例えば、寿司や天ぷらをつくる際に、どのような道具を使い、どのように調理するのかをご説明すると、「なるほど、こうやって使うのか」と興味を持っていただけることがあります。日本では当たり前に使われている道具でも、海外の方にとっては新しい発見になることがあり、そうした反応を直接見ることができるのも、展示会ならではの魅力だと思います。
Q. 海外の展示会ならではの、言葉の違いへの対応はどのように行いましたか?
磯野:
基本的には英語で対応しましたが、英語だけでは十分に意思疎通を図ることが難しい場面もあります。その際は、中国語にも対応できる現地メンバーにサポートしてもらうなど、チームで補い合いながら対応しました。
また、今回の出展にご協力いただいたメーカーの担当者の中には、海外展示会への参加経験が豊富な方も多く、専門性の高い商品については、メーカーの方から直接商品の特徴や使い方を説明していただくこともありました。
言語だけでなく、それぞれが持つ商品知識や海外展示会での経験など、異なる強みを持ち寄って対応できたことが、今回の展示会を進める上で大きな支えになったと思います。
4.世界の企業との出会いが、新たなビジネスへ
Q. 今回の展示会で、特に印象に残っている出会いを教えてください。
磯野:
今回、特に印象に残っているのは、普段の営業活動とは異なる形で、さまざまな企業の方と直接お話しできたことです。
シンガポールで新規営業を行う中では、企業によっては担当者の方と直接お話しするまでに、ある程度の時間をかけて関係を築いていく必要があります。一方、FHAでは、さまざまな業界の企業や担当者の方が私たちのブースを訪れてくださるため、普段とは違った形で直接お話しできる機会がありました。
実際に、ブースで名刺交換をしたことをきっかけに商談が始まり、その後、実際のビジネスにつながった企業もあります。日頃の営業活動に加えて、こうした国際的な展示会を活用することで、新たな企業との接点を広げられることは、FHAならではの大きな価値だと思います。
花森:
私は、モーリシャスから来場された厨房用品の販売会社との出会いが特に印象に残っています。日本の商品にとても興味を持ってくださり、「日本の製品をどのように仕入れたらよいか分からない」というお話を伺いました。
そこで、岸保産業では、さまざまなメーカーの商品を取り扱っているため、お客様のニーズに合わせて複数のメーカーの商品をまとめてご提案できることをお伝えしました。
展示会後も継続して連絡を取り、実際に取引が始まり、その後も複数回ご購入いただいています。展示会での一つの出会いが、その場限りではなく、継続的なビジネスへとつながったことは、とても印象に残っています。
FHAには、東南アジアだけでなく、さまざまな国や地域から企業や業界関係者が集まります。そうした国や地域を越えた新たな出会いから、具体的なビジネスにつなげられることも、FHAの大きな魅力だと思います。
5.現場のアイデアを形にする、挑戦できる環境
Q. 今回のような大きなプロジェクトを、社内ではどのように進めていったのでしょうか?
磯野:
今回のプロジェクトでは、現場のメンバーが自分たちで考え、理由や目的を持って提案できる環境がありました。決められたことをそのまま進めるのではなく、「こうした方がより良いのではないか」という意見やアイデアを出し合いながら、KYUBEIと岸保産業のメンバーで話し合って、一つひとつ形にしていきました。最終的には、上司責任者の承認を得た上で進めていくという流れです。
今回が私にとって2回目のFHA参加だったこともあり、前回の経験に加えて、これまでの営業活動を通じて身につけてきた商品や市場への理解も生かしながら、展示会のコンセプト設計やブースづくりに関わることができました。
もちろん、規模の大きなプロジェクトであり、メーカーの皆さんにもご協力いただくため、一つひとつの判断には責任を感じました。一方で、現地のディレクターや岸保産業の国際部、花森さんをはじめ、多くの方からサポートしていただきました。
自分たちで考えて挑戦できる一方で、必要なときには周囲からしっかりと支えてもらえる。そうした環境があったからこそ、責任を持って新しいことにも挑戦できたのだと思います。
6.日本の商品を世界へ届ける、海外営業の仕事
Q. 華やかに見える海外事業ですが、仕事の面白さはどこにありますか?
磯野:
日本のメーカーの方々が思いを込めてつくっている商品が、シンガポールの展示会で海外のお客様の目に留まり、実際の購入につながる。その瞬間に立ち会えることに、大きなやりがいを感じます。
日本でつくられた商品が海外で評価され、実際にレストランやキッチンで使われていく。メーカーの方々が大切につくった商品を、日本から海外のお客様へ届ける。その橋渡しができることが、海外営業の面白さだと思います。
花森:
私も、日本の調理道具の使い方や特徴を説明して、それを聞いたお客様が「そうやって使うのか」と驚いたり、興味を持ってくださったりする瞬間が好きです。
そして、展示会などでご紹介した商品が、実際に海外の飲食店で使われているのを見ると、自分たちの仕事がその先につながっていることを実感できます。そうした瞬間が、仕事へのやりがいにつながっています。
Q. 海外事業では、どのような人が活躍できると思いますか?
磯野:
国によって貿易のルールや輸出入に関する規制が異なるため、分からないことをそのままにせず、自分から調べたり、周囲に質問したりできる人だと思います。
例えば、「この商品は輸入できるのか」「難しい場合には、どのような書類が必要なのか」といったことを一つひとつ確認しながら、知識を身につけていくことが大切です。
知識が増えると自信がつき、その自信が営業力にもつながっていきます。最初からすべてを知っている必要はありません。分からないことを素直に認めて、そこから学ぼうとする姿勢が重要だと思います。
花森:
いろいろなことに疑問を持って、自分から挑戦できる人だと思います。「なぜ今この仕事をしているのか」「なぜこの展示会に出るのか」と、自分なりに考えながら行動できる人は、海外営業に向いていると思います。
海外営業では、出張や時差のある環境で仕事をする機会も多いため、そうした環境に対応できる体力も大切です。
最後に、岸保産業への応募を考えている方へメッセージをお願いします。
磯野:
私も最初は厨房用品の知識がほとんどありませんでした。でも仕事を通じて、一つの商品にも素材や産地、メーカーごとの違いがあることを知ると、どんどん面白くなります。今では飲食店に行くと、使われているスプーンや食器を確認してしまうほどです。
最初から厨房用品に詳しくなくても大丈夫です。身近な「食」に関わる仕事だからこそ、働きながら新しい興味や好奇心を見つけられる業界だと思います。
花森:
私も、もともと厨房用品が好きで入社したわけではありません。人が生活するうえで「食」はなくてはならないものであり、食を支える仕事はこれからも社会に必要とされ続ける仕事 「食は私たちの生活に欠かせないものだから、食に関わる仕事にも将来性がある」と考えたことが、入社のきっかけの一つでした。
実際に仕事を始めてみると、「この料理は、この道具があるからつくることができるんだ」と気づく場面がたくさんあります。身近な「食」を入り口に、商品やものづくりについて知っていくことに面白さを感じられる方には、ぜひ岸保産業に興味を持っていただきたいです。
7. まとめ
FHA 2026での4日間の展示会を支えていたのは、約1年前からの準備をはじめ、メーカーの皆さん、国内外のメンバーとの連携、そして現場からアイデアを出し、一つひとつ形にしていく取り組みでした。
今回の展示会を通じて、日本の商品を海外のお客様に届けるためには、商品そのものの魅力だけでなく、相手のニーズを知り、考え、伝え、周囲と協力しながら形にしていくことが大切だと改めて感じました。
岸保産業では、厨房用品や海外営業についての経験・知識がなくても、分からないことを学び、興味を持ったことを深く知ろうとし、自ら考えて行動できる方が活躍できる環境があります。
・「食に関わる仕事がしたい」
・「日本の商品を世界へ届けたい」
・「自分のアイデアを形にしたい」
そんな思いをお持ちの方は、ぜひ私たちの仕事に興味を持っていただければと思います。
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